シニアが歌詞をおぼえるコツ。あせらず、楽しくつづけるための工夫
「好きな歌なのに、歌詞がなかなか頭に入らない」 「きのうおぼえたはずなのに、今日はもう出てこない」
歌の教室やサークルに通っているシニアの方の中には、こんなふうに感じている方も多いと思います。メロディーは口ずさめるのに、ことばがつまってしまう。そんなとき、「もう年だから」と少しさびしい気持ちになる方もいるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌詞をおぼえることは、年れいに関係なく、だれにとっても少し手間のかかることです。
この記事では、シニアの方にしぼって、歌詞をむりなくおぼえるコツと、楽しくつづけるための工夫をまとめます。お子様や若い方むけの「早くおぼえるコツ」は、こちらの記事に書いています。子どもが歌詞と曲を早くおぼえるコツ。暗譜がにがてな子も楽しくできる6つの方法
ここでは、「早く」よりも「ゆっくり、楽しく、長くつづける」ことを大切にしてお話しします。
まずは、気持ちを楽にすることから
「すぐにおぼえられない」は、ふつうのこと
歌詞をおぼえるのに時間がかかるのは、めずらしいことではありません。若いころにおぼえた歌でも、何年も歌っていなければ、ことばが出てこないことはよくあります。
おぼえるのに時間がかかっても、歌を楽しむ力がへるわけではありません。むしろ、長い人生でいろいろな気持ちを知っているからこそ、歌のことばに心をこめやすい、という面もあります。
「全部おぼえる」を目標にしない
はじめから1曲まるごとおぼえようとすると、つかれてしまいます。
- 今週は、1番だけ
- 今日は、さいしょの4行だけ
- サビ(いちばんもり上がるところ)だけ
このように、小さく区切って目標にすると、「できた」という気持ちを毎回あじわえます。それが、つづける力になります。
歌詞を見ながら歌っても、だいじょうぶ
教室や発表会によっては、歌詞を見ながら歌ってよいこともあります。おぼえることが目的ではなく、歌を楽しむことが目的です。どこまでおぼえるかは、先生や仲間と相談して決めてかまいません。
見やすい歌詞カードを作る
大きな文字で、ゆったり書く
歌詞をおぼえる前に、まずは「見やすい歌詞」を用意しましょう。小さな文字の歌詞は、読むだけでつかれてしまいます。
- 文字は大きめにする
- 行と行のあいだを広くあける
- 1番、2番のあいだに、1行あける
- 紙はA4など、大きめのものをつかう
パソコンやプリンターがあれば、文字を大きくして印刷するのも楽です。なければ、自分の手で書きうつすのもよい方法です。
自分の手で書きうつしてみる
歌詞をノートや紙に書きうつすと、ことばをひとつずつ目で見て、手を動かすことになります。ゆっくり書くうちに、「ここは、こういうことばだったのか」と気づくこともあります。
きれいに書かなくてもかまいません。自分が読みやすければ、それでじゅうぶんです。
色や印をつける
- 1番と2番で、ちがう色のペンをつかう
- 同じことばがくり返されるところに、印をつける
- 息つぎをするところに、小さな「V」を書く
印があると、歌っている最中にも、どこを歌っているのかわかりやすくなります。
少しずつおぼえる順番
1 まずは、曲をたくさん聞く
いきなり歌詞を読むより、先に曲を何度も聞いてみましょう。メロディーが耳になじむと、ことばも入りやすくなります。
家事をしながら、お茶を飲みながら、ラジオのように流しておくだけでもかまいません。
2 歌詞を声に出して読む
次に、歌詞をふつうに声に出して読んでみます。歌わずに、話すように読むのがポイントです。
- ゆっくり、はっきり読む
- 意味がわからないことばは、しらべておく
- どんな場面の歌なのか、思いうかべながら読む
昔のことばや、ふだんつかわないことばが入っている歌もあります。意味がわかると、ぐっとおぼえやすくなります。
3 短く区切って、歌ってみる
1行か2行ずつ、歌詞を見ながら歌ってみます。うまく歌えたら、次の行へ。前の行とつなげて、もう一度歌う。この「つなげて、もどる」をくり返すと、少しずつ長く歌えるようになります。
4 歌詞をかくして、ためしてみる
なれてきたら、紙で歌詞を少しかくして歌ってみましょう。つまったら、すぐに見てかまいません。「見ないで歌えたところ」が少しずつふえていくのを楽しんでください。
毎日の中で、くり返すコツ
1日1回、短い時間でいい
長い時間をかけて一度におぼえるより、短い時間を毎日つづけるほうが、ことばは頭にのこりやすいといわれます。
- 朝ごはんのあとに、1回だけ歌う
- さんぽのとき、心の中で歌う
- ねる前に、歌詞カードを1回読む
5分くらいでも、毎日つづけることが大切です。
「いつもの場所」に歌詞をおいておく
冷蔵庫のとびら、洗面所の鏡のよこ、テーブルの上など、よく目にする場所に歌詞カードをはっておくと、ふとしたときに目に入ります。何度も目にするうちに、自然とことばがなじんでいきます。
録音を聞きながら歌う
先生や家族に歌ってもらった声、または自分が歌った声をスマホで録音しておくと、いつでも聞きながら練習できます。スマホのつかい方がむずかしいときは、家族に手伝ってもらうのもよいですね。
ことばを「場面」でおぼえる
歌の中の景色を思いうかべる
歌詞は、ただの文字のならびとしておぼえるより、「場面」として思いうかべるほうが、心にのこりやすくなります。
たとえば、季節の歌なら、
- どんな景色が見えるか
- どんな音が聞こえるか
- だれが、どんな気持ちでいるか
を、ひとつずつ思いうかべながら歌ってみてください。絵本をめくるように、場面が次々にうかんでくると、ことばも自然につながっていきます。
自分の思い出とむすびつける
歌の場面と、自分の思い出をむすびつけるのもおすすめです。子どものころに見た景色、家族とすごした季節など、歌詞から思い出すことがあれば、それをメモしておきましょう。思い出とつながったことばは、わすれにくくなります。
かんたんな手の動きをつける
歌詞に合わせて、かんたんな手の動きをつけるのもひとつの方法です。「空」で手を上に、「花」で両手を開く、などです。体を少し動かすと、ことばと動きがいっしょにのこりやすくなります。むりのない、小さな動きでかまいません。
仲間といっしょに楽しくつづける
いっしょに歌う人がいると、つづけやすい
ひとりでおぼえるのは、ときどきさびしくなるものです。教室やサークルの仲間と、「今週はここまでおぼえよう」と声をかけ合うと、楽しくつづけやすくなります。
- 歌詞カードを見せ合う
- おぼえにくいところを教え合う
- 練習の前に、1回いっしょに歌う
先生に「おぼえ方」を相談する
教室に通っている方は、先生に「歌詞がおぼえにくい」と、えんりょなく伝えてみてください。区切り方や、練習の順番を、その方に合わせて考えてくれる先生も多いです。
できたことを、ほめ合う
「1番を見ないで歌えた」「サビがすっと出てきた」など、小さなことでも、できたことを言葉にして、ほめ合いましょう。だれかに「すごいね」と言ってもらえると、また歌いたくなります。
わすれてしまったときの考え方
わすれるのも、練習のうち
おぼえた歌詞を、何日かするとわすれてしまうことは、だれにでもあります。わすれたら、また読んで、また歌えばだいじょうぶです。2回目、3回目は、1回目よりも早く思い出せることが多いです。
本番でつまっても、歌いつづける
発表会などで歌詞がとんでしまっても、あわてなくてだいじょうぶです。
- メロディーだけを「ラララ」で歌う
- 次のわかるところから、また歌い出す
- にっこりして、さいごまで歌いきる
見ている人は、歌詞のまちがいより、楽しそうに歌う姿をおぼえているものです。
つかれたら、休む
歌詞をおぼえようとがんばりすぎると、頭も体もつかれてしまいます。今日は気が乗らないという日は、思いきってお休みしましょう。好きな歌を聞くだけの日があってもかまいません。
まとめ
- 歌詞をおぼえるのに時間がかかるのは、ふつうのこと
- 1曲全部ではなく、1番だけ、4行だけなど、小さく区切る
- 大きな文字で、行をあけた歌詞カードを作る
- 聞く、読む、区切って歌う、かくしてためす、の順番で
- 1日5分でも、毎日くり返す
- 歌の場面や、自分の思い出とむすびつける
- 仲間や先生といっしょに、楽しくつづける
歌詞をおぼえることは、ゆっくりでもかまいません。いっしょに歌う仲間や、相談できる先生がいると、もっと楽しくつづけられます。近くの教室やオンラインの教室をさがすときは、こちらのページをつかってみてください。歌の教室さがし練習してきた歌を聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、歌をつづける楽しみのひとつになると思います。こどもの歌声グランプリ