幼児とおうちの歌あそび。0〜5歳の歌の時間のつくり方
「子どもと歌であそびたいけれど、何を歌えばいいのかわからない」 「わたしは歌が得意じゃないから、子どもの前で歌うのがはずかしい」
小さなお子様をそだてているお父様・お母様から、こんな声をよく聞きます。歌は、特別な道具がなくても、いつでもどこでも楽しめるあそびです。でも、いざやってみようと思うと、何からはじめたらいいのか、まよってしまいますよね。
わたしは、息子といっしょにたくさんの歌のコンクールに出てきました。その中で感じたのは、歌が好きな子の多くは、小さいころから「歌うことが楽しい」という思い出を、たくさんもっているということです。上手に歌うことより、まずは「楽しい」がいちばんです。
この記事では、0〜5歳のお子様と、おうちで楽しめる歌あそびをまとめました。年齢ごとのあそび方、昔から歌われている童謡やわらべうたのえらび方、毎日の中で歌の時間をつくるコツをお話しします。
おうちの歌あそびで大切にしたいこと
上手に歌わなくてだいじょうぶ
お子様にとって、いちばんうれしいのは、お父様・お母様の声です。音がはずれていても、声が小さくても、まったく問題ありません。プロの歌手の声より、そばにいる大人の声のほうが、お子様の心にとどきやすいものです。
「うまく歌えないから」と思わずに、まずは口ずさむところからはじめてみてください。
歌を「教える」より、いっしょに「あそぶ」
小さなお子様に、「ちゃんと歌って」「音がちがうよ」と言う必要はありません。歌あそびのいちばんの目的は、楽しい時間をいっしょにすごすことです。
- お子様が歌いはじめたら、それに合わせる
- お子様が手をたたいたら、いっしょにたたく
- とちゅうでやめても、しからない
こんなふうに、お子様のペースに合わせると、歌の時間が「楽しいもの」として心にのこりやすくなります。
短い時間で、何回も
歌あそびは、長い時間つづけなくてもだいじょうぶです。1曲だけ、1分だけでもじゅうぶんです。毎日の生活の中で、何回も少しずつ歌うほうが、お子様も楽しみやすくなります。
年齢ごとの歌あそびのアイデア
ここでは、年齢ごとのめやすをしょうかいします。お子様によって育ち方はちがうので、「この年齢だからこれ」と決めつけず、楽しそうなものをえらんでみてください。
0〜1歳ごろ 声と体のふれあいを楽しむ
この時期は、まだ自分で歌うことはむずかしいですが、大人の声をよく聞いています。
- だっこしながら、ゆっくり体をゆらして歌う
- おむつがえのときに、足をやさしくさわりながら歌う
- ねる前に、小さな声で子もり歌を歌う
- お子様の名前を、メロディーにのせて呼ぶ
歌詞をおぼえていなくても、「ラララ」や「ルルル」で歌うだけでもいいのです。お子様の顔を見ながら、ゆっくり歌ってあげてください。
1〜2歳ごろ まねっこと手あそび
ことばが少しずつ出てくるこの時期は、まねっこが大好きになります。
- 歌に合わせて、手をたたく
- 「ぱちぱち」「とんとん」など、音のことばをくりかえす
- 大人が歌って、さいごの1音だけお子様に言ってもらう
- 手あそび歌で、指や手をうごかす
わらべうたの「げんこつやまのたぬきさん」のように、手のうごきがある歌は、この時期のお子様にも楽しみやすいと思います。全部できなくても、ひとつのうごきをまねできたら、たくさんほめてあげてください。
2〜3歳ごろ 体をうごかして歌う
歩いたり走ったりが上手になってくると、体全体で歌を楽しめるようになります。
- 歌に合わせて、その場でジャンプする
- 動物になりきって歩きながら歌う
- 「はやく」「ゆっくり」と、テンポをかえて歌う
- 大きな声と小さな声を、交互に出してみる
テンポをかえるあそびは、お子様がとても喜ぶことが多いです。ゆっくり歌ったあとに、急にはやく歌うと、笑いながらついてきてくれます。
3〜4歳ごろ 歌でやりとりをする
ことばのやりとりができるようになると、歌でも「かけあい」ができるようになります。
- 大人が1行歌って、お子様が次の1行を歌う
- 歌詞の一部を、お子様の好きなものにかえてみる
- 「次はだれの番?」と、順番に歌う
- 人形やぬいぐるみに歌を聞かせる
わらべうたの「ずいずいずっころばし」のように、あそびといっしょに歌われてきた歌も、この時期から楽しみやすくなります。
4〜5歳ごろ 歌を最後まで歌いきる
この時期になると、1曲を通して歌えるお子様もふえてきます。
- 好きな歌を、家族の前で発表する
- スマホで歌を録音して、いっしょに聞く
- 歌に合わせて、かんたんなふりつけを考える
- 輪になって歌う「輪唱」に、ちょっとだけチャレンジする
「かえるの合唱」(ドイツ民謡)は、輪唱でよく歌われる歌です。まずは大人とお子様で、ずらして歌うだけでも、「声がかさなっておもしろい」と感じてもらえるかもしれません。
歌えらびのヒント
昔から歌われてきた童謡やわらべうた
おうちの歌あそびには、昔から歌われてきた童謡やわらべうたが、とてもつかいやすいです。
- メロディーが短く、おぼえやすい
- 音の高さが、子どもの声に合いやすいものが多い
- お父様・お母様や、おじいさま・おばあさまも知っていることが多い
たとえば、「どんぐりころころ」(青木存義 作詞・梁田貞 作曲)や、文部省唱歌の「かたつむり」は、多くのご家庭で歌われてきた歌です。わらべうたは、作った人がわからないものも多いですが、そのぶん、地域や家庭によって歌い方がちがうこともあり、それもまた楽しみのひとつです。
お子様の「好き」を大切にする
アニメの歌や、テレビで流れている歌が好きなお子様も多いと思います。それも、もちろんすてきな歌の時間です。「この歌じゃないとだめ」ということはありません。
お子様が「これ歌って」と言ってきた歌を、いっしょに楽しんでみてください。
季節や行事の歌もとり入れる
春には春の歌、夏には夏の歌と、季節の歌をとり入れると、歌の時間がさらに楽しくなります。お散歩で見た花や虫の歌を、帰ってから歌うのもおすすめです。季節の童謡は、こちらの記事でもまとめています。子どもと歌いたい季節の童謡・唱歌|春夏秋冬の歌と、歌い方のコツ
毎日の中で歌の時間をつくるコツ
生活の「きりかえ」に歌をつかう
歌の時間を、わざわざつくらなくてもだいじょうぶです。毎日の生活の中に、歌をまぜてみましょう。
- 朝おきたときの「おはようの歌」
- 歯みがきのときの歌
- おかたづけのときの歌
- おふろで数をかぞえる歌
- ねる前の歌
決まった場面で同じ歌を歌うと、お子様も「次はこれをする時間だ」とわかりやすくなります。ぐずりやすい場面でも、歌があると、気持ちをきりかえやすくなることがあります。
おふろは歌の時間にぴったり
おふろは、声がよくひびくので、歌うのが楽しくなる場所です。お子様も、いつもより大きな声で歌ってくれることがあるかもしれません。ただし、のぼせないように、長くなりすぎないようにしましょう。
音源にたよりすぎない
CDや動画の歌を流すのも、もちろんいい方法です。ただ、できれば、ときどきは大人が自分の声で歌ってあげてください。お子様の顔を見ながら、テンポや声の大きさを合わせられるのは、生の声ならではです。
声を守るために気をつけたいこと
大きな声を出しつづけない
小さなお子様は、楽しくなると、どなるような大きな声で歌うことがあります。少しなら問題ありませんが、ずっと続くと、のどがつかれてしまうこともあります。
- 「小さな声でも歌ってみよう」とさそう
- ささやくような声と、ふつうの声で歌いくらべる
- 歌のあいだに、お水をのむ時間をつくる
声がかすれたら休む
歌ったあとに声がかすれていたり、のどを痛がったりしているときは、むりに歌わせず、休ませてあげてください。かすれや痛みが何日も続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
子どもののどを守るために気をつけたいことは、こちらの記事でもくわしく書いています。子どもののどを守るためにできること。歌をがんばる子の毎日のケア
よくあるなやみ
子どもが歌ってくれない
歌わないお子様も、聞いていないわけではありません。じっと聞いている時期のあとに、急に歌いはじめることもよくあります。大人が楽しそうに歌っている姿を見せるだけでも、じゅうぶんな歌あそびです。
同じ歌ばかり歌いたがる
小さなお子様は、同じ歌をくりかえすのが大好きです。何回も同じ歌を歌うことで、安心したり、歌をおぼえたりしています。大人は少しあきてしまうかもしれませんが、つきあってあげられるときは、いっしょに楽しんでみてください。
兄弟で歌いたい歌がちがう
年のはなれた兄弟がいると、歌いたい歌がちがうこともあります。そんなときは、「次はお兄ちゃんの歌、その次は妹の歌」と、順番を決めると、けんかになりにくくなります。
まとめ
- おうちの歌あそびは、上手に歌うより「楽しい」がいちばん
- 歌を教えるより、お子様のペースに合わせていっしょにあそぶ
- 0〜1歳はふれあい、1〜2歳はまねっこ、2〜3歳は体をうごかす、3〜4歳はかけあい、4〜5歳は歌いきる、をめやすに
- 昔から歌われてきた童謡やわらべうたは、短くおぼえやすい
- 朝や歯みがき、おふろなど、生活の中に歌をまぜる
- 大きな声を出しつづけないようにし、かすれや痛みが続くときはお医者さんに相談する
おうちでの歌の時間が、お子様にとって「歌って楽しい」と思えるきっかけになったらうれしいです。もう少し大きくなって、「歌をもっと習ってみたい」と言い出したら、こどもの歌声グランプリをのぞいてみるのもおすすめです。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、おうちで歌ってきた歌を、記念にのこすこともできます。こどもの歌声グランプリ