ヨーデルとは?地声と裏声を行き来する歌い方の楽しみ方とやり方
「ヨーデルって、あの『ヨロレイヒー』と聞こえる歌のこと?」 「どうやったら、あんなふうに声がくるっと切りかわるの?」
ヨーデルという名前は聞いたことがあっても、どんな歌い方なのか、どうやって声を出しているのかは、あまり知られていないかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、ヨーデルとはどんな歌なのかをやさしくお話ししたうえで、ヨーデルのやり方のきほん、おうちでできる練習、のどを守るための注意をまとめました。大人の方はもちろん、お子様といっしょに楽しみたいお父様・お母様にも読んでいただけるように書いています。
ヨーデルは、上手に歌えるかどうかより、声が切りかわるおもしろさを味わうのがいちばんの楽しみです。気楽な気持ちで読んでみてください。
ヨーデルとは?どんな歌い方なのか
地声と裏声を、すばやく行き来する歌い方
ヨーデルとは、ふだん話すときの低めの声(地声)と、高くやわらかい声(裏声)を、すばやく行ったり来たりさせる歌い方のことです。
ふつうの歌では、声の切りかわりが目立たないように、なめらかにつなぐことが多いです。ところがヨーデルでは、その切りかわりを、わざと聞かせます。声が「ひっくり返る」ところを、あえて音楽にしているのです。
そのため、ヨーデルを聞くと、低い声と高い声がぴょんぴょんとはねるように聞こえます。この明るく、はずむような感じが、ヨーデルの大きな魅力です。
山の多い国で育った歌
ヨーデルは、ヨーロッパのアルプスの山のあたりで、むかしから歌われてきたと言われています。山と山のあいだで、遠くにいる人に声をとどけたり、家畜をよんだりするときの声が、もとになったという話がよく知られています。
広い山の中では、高い裏声はよくひびき、遠くまで聞こえやすいと言われます。くらしの中の声が、少しずつ歌になっていったと考えると、ヨーデルがぐっと身近に感じられますね。
いまでは、山の国だけでなく、いろいろな国でヨーデルを楽しむ人がいます。民謡の中に入っていたり、カントリーと呼ばれる音楽の中で歌われたりと、形もさまざまです。
ことばよりも「音」を楽しむ歌
ヨーデルでは、意味のあることばより、「ヨ」「ロ」「レ」「イ」「ホ」といった、ひびきのよい音をつかって歌うことが多いです。
これは、声を切りかえやすい音をえらんでいるからだと言われます。あとでくわしくお話ししますが、母音(あ・い・う・え・お)のちがいが、地声と裏声の切りかえを助けてくれるのです。
ヨーデルのやり方を知る前に、地声と裏声をたしかめよう
自分の地声と裏声を知る
ヨーデルのやり方を知るには、まず、自分の地声と裏声のちがいを、体で感じることが大切です。
- 地声:ふだん話しているときの声。胸のあたりにひびく感じがする
- 裏声:高くて、やわらかい声。頭のほうにひびく感じがする
たとえば、「あー」と話すような声で出してから、フクロウのまねをするように「ホー」と高い声を出してみてください。この2つの声のちがいが、地声と裏声のちがいです。
地声と裏声のちがいや、ふつうの歌での切りかえ方は、こちらの記事でくわしくお話ししています。地声と裏声の違いとは?切り替えのコツと、境目をなめらかにする練習
声が「ひっくり返る」場所をさがす
低い声から、少しずつ高くしていくと、どこかで声がくるっと裏声にかわるところがあります。この場所は、人によってちがいます。
ふつうの歌では、この場所をなめらかにするために練習します。でもヨーデルでは、この場所こそが大切です。「ここでひっくり返るんだな」と知っておくと、ヨーデルの練習がしやすくなります。
ヨーデルのやり方のきほん
母音の組み合わせをつかう
ヨーデルのやり方のコツは、母音の組み合わせにあります。
- 地声で出しやすい音:「お」「あ」など、口を大きめにあける音
- 裏声で出しやすい音:「い」「え」など、口を横に少しひらく音
たとえば、低い地声で「ヨ」、高い裏声で「レ」、また地声で「ロ」、裏声で「イ」というように、音をかえながら声を行き来させます。母音がかわると、のどの形も少しかわるので、声が切りかわりやすくなるのです。
まずは2つの音から
いきなり長いヨーデルを歌おうとすると、むずかしく感じます。はじめは、2つの音だけで練習してみましょう。
- 地声で、らくな高さの「ヨ」を出す
- そのすぐあとに、少し高い音で、裏声の「イ」を出す
- 「ヨ・イ」「ヨ・イ」と、ゆっくりくりかえす
はじめは、ひとつずつ切って出してかまいません。なれてきたら、2つの音をつなげて、「ヨイ」と一息で出してみます。声がくるっとかわる感じがつかめたら、それがヨーデルの入り口です。
音の高さのはばは、小さくてよい
ヨーデルというと、低い声から、とても高い声へ、大きくとぶイメージがあるかもしれません。でも、はじめから大きくとぶ必要はありません。
地声と裏声の切りかえがおきる、ちょうど境目のあたりで、小さなはばで行き来するところからはじめましょう。高い声を無理に出そうとすると、のどに力が入ってしまいます。
力を入れず、息を軽く流す
声を切りかえようとして、のどにぐっと力を入れると、うまくいきません。肩の力をぬいて、息を軽く流すようなイメージで声を出してみてください。
「声をひっくり返す」というより、「息にのって、声が自然にかわる」と考えると、らくに出しやすくなります。
おうちでできる、やさしいヨーデルの練習
ステップ1 フクロウとハトのまね
まずは、あそびのような練習からはじめましょう。
- 「ホー」と、フクロウのような高い裏声を出す
- 「ポッポー」と、ハトのような低めの声を出す
- 2つを交互にくりかえしてみる
お子様といっしょにやると、楽しい声あそびになります。
ステップ2 「ヨ・イ」「ロ・レ」をくりかえす
先ほどの2つの音の練習を、少しずつかえてみます。
- 「ヨ・イ」
- 「ロ・レ」
- 「ホ・イ」
1日に、それぞれ5回くらいで十分です。たくさんやるより、毎日少しずつのほうが、声の切りかえになれやすくなります。
ステップ3 3つ、4つの音をつなげる
なれてきたら、「ヨ・ロ・レ・イ」のように、音を増やしてつなげてみましょう。地声と裏声を、順番に行き来させます。
テンポは、ゆっくりでかまいません。速く歌うのは、声の切りかえがらくにできるようになってからにしましょう。
ステップ4 録音して聞いてみる
スマホで自分の声を録音して、聞いてみましょう。
- 地声と裏声のちがいが、はっきり聞こえるか
- 切りかわりのところで、声がつまっていないか
- 力が入って、かたい声になっていないか
自分で聞くと、「思ったより切りかわっていない」「意外とできている」など、いろいろなことに気づけます。
ヨーデルを楽しむときの、のどへの注意
長い時間つづけない
ヨーデルは、声を何度も切りかえるので、ふつうに歌うより、のどがつかれやすいことがあります。1回の練習は、5分から10分くらいにして、こまめに休みましょう。
高い声を無理に出さない
裏声を出すときに、きいきいとした、かたい声になっていたら、高すぎるのかもしれません。少し音を下げて、らくに出せる高さで練習してください。
裏声のきほん的なつかい方については、こちらの記事も参考になります。ファルセットとは?裏声との関係と、歌での上手なつかい方
体と声の調子を見ながら
- 練習の前後に、水をのんでのどをうるおす
- かぜぎみのときや、のどがつかれているときは休む
- のどがいがいがしたら、その日はやめる
もし、のどの痛みや、声のかすれが何日も続くときは、無理をせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
お子様と楽しむときは
お子様は、楽しくなると、大きな声で長く続けてしまうことがあります。お父様・お母様が、「今日はここまでにしようね」と声をかけて、短い時間で終わるようにしてあげてください。
声がわりの時期のお子様は、声の調子がかわりやすいので、とくに無理をさせないようにしましょう。
ヨーデルを楽しむと、歌がもっとおもしろくなる
自分の声の「切りかわり」を知るきっかけに
ヨーデルの練習をすると、自分の声がどこで切りかわるのかが、よくわかるようになります。これは、ふつうの歌を歌うときにも役に立ちます。
たとえば、歌っていて声がひっくり返ってしまう場所があるとき、「ここが自分の切りかわりの場所なんだ」と気づけると、練習のしかたを考えやすくなります。
歌は「きれい」だけではない
ヨーデルは、声がひっくり返るおもしろさを、そのまま音楽にした歌です。歌は、きれいになめらかに歌うだけがすべてではありません。いろいろな声のつかい方があると知ると、歌の楽しみ方が広がります。
習ってみるのもひとつの方法
ヨーデルを専門に教えている教室は多くありませんが、ボイトレや声楽の教室で、地声と裏声のつかい方を習うことはできます。「ヨーデルのような声の切りかえをやってみたい」と、先生に相談してみるのもよいと思います。
まとめ
- ヨーデルとは、地声と裏声をすばやく行き来させる歌い方
- アルプスの山のあたりで、くらしの中の声から育ったと言われている
- やり方のコツは、「お」「あ」と「い」「え」など、母音の組み合わせをつかうこと
- はじめは2つの音から、小さなはばで、ゆっくり練習する
- のどに力を入れず、息を軽く流すイメージで
- 練習は短い時間にして、痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
ヨーデルは、声がくるっとかわる楽しさを、だれでも味わえる歌い方です。地声と裏声のつかい方をきちんと習ってみたい方は、近くの教室やオンラインのレッスンをさがしてみてください。歌の教室さがし練習した歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリもおすすめです。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ