ボイトレのおすすめ曲のえらび方。初心者が練習しやすい曲のタイプを目的別に
「ボイトレをはじめたけれど、どの曲で練習したらいいのかわからない」 「好きな曲で練習したいけれど、むずかしすぎる気もする」
ボイトレをはじめたばかりの方から、こんな声をよく聞きます。ボイトレのおすすめ曲をさがしても、人によって言うことがちがって、まよってしまいますよね。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。そのなかで感じたのは、練習する曲のえらび方ひとつで、練習のしやすさがかなりかわるということです。
この記事では、ボイトレの曲を初心者の方がえらぶときに見ておきたいことと、「高い声」「息」「ひびき」「リズム」など目的別の曲のタイプをまとめます。曲名ではなく、「こんな曲」という形でしょうかいしますので、ご自分の好きな曲の中から、近いものをさがしてみてください。
なお、カラオケで歌う曲のえらび方は、別の記事にまとめています。この記事は、あくまで「練習のための曲」にしぼってお話しします。カラオケで歌う曲のえらび方。自分の声に合う曲の見つけ方
ボイトレの曲えらびで、まず知っておきたいこと
「歌いたい曲」と「練習する曲」は分けてもいい
いちばん歌いたい曲が、いちばん練習しやすい曲とはかぎりません。むしろ、あこがれの曲ほど、高い音が多かったり、テンポが速かったりして、はじめのうちはむずかしいことがよくあります。
そこで、おすすめなのが、曲を2つに分けて考えることです。
- 目標の曲 いつか気持ちよく歌いたい曲
- 練習の曲 いまの声で、むりなく歌える曲
練習の曲で声の出し方になれてから、目標の曲にちょうせんすると、のどに負担をかけにくくなります。
好きな曲であることも、とても大事
練習しやすい曲でも、まったく好きではない曲だと、つづけるのがつらくなります。何回も歌う曲なので、「この曲なら何度歌ってもいい」と思えるものをえらびましょう。
「練習しやすい」と「好き」の、両方に近い曲が見つかると、毎日の練習が楽しくなります。
初心者がボイトレの曲をえらぶときの5つのポイント
1 音の高さが、いまの声に合っている
まずは、曲の中でいちばん高い音と、いちばん低い音をたしかめましょう。サビの高いところで、のどがぎゅっとしまる感じがするなら、いまの声には少し高すぎるかもしれません。
カラオケの機械やアプリには、キー(音の高さ)をかえられるものが多いです。原曲のキーにこだわらず、らくに歌える高さに下げて練習してかまいません。
2 テンポがゆっくりめ
テンポが速い曲は、息つぎのタイミングがむずかしく、声の出し方まで気をくばる時間がありません。初心者のうちは、ゆったりしたテンポの曲のほうが、ひとつひとつの音をていねいに練習できます。
3 ことばがつまっていない
1つの音にたくさんのことばがのっている曲は、口のうごきがいそがしくなります。ことばの数が少なめで、のばす音が多い曲は、声のひびきや息の流れに意識をむけやすいです。
4 メロディーが上がったり下がったりしすぎない
音がとびはねるように大きく上下する曲は、音程をとるのがむずかしくなります。はじめは、となりの音へなめらかにうごくメロディーが多い曲がおすすめです。
5 長さが短め
1曲がとても長いと、とちゅうでのどがつかれてしまいます。3分から4分くらいの曲や、1番だけを練習するのもよい方法です。
目的別・ボイトレにおすすめの曲のタイプ
ここからは、練習したいことごとに、どんな曲がむいているかをまとめます。
息の流れを整えたいとき
息がとちゅうで足りなくなる方には、次のような曲がおすすめです。
- ゆっくりしたバラードのような曲
- 1つのフレーズ(ひと息で歌うまとまり)が短めの曲
- 息つぎの場所がわかりやすい曲
フレーズが短いと、息つぎのたびに体を立てなおせます。なれてきたら、少しずつ長いフレーズの曲にうつっていきましょう。
ひびきのある声をつくりたいとき
声がこもる、平たく聞こえるという方には、こんな曲がむいています。
- のばす音が多い、ゆったりした曲
- 「あ」「お」など、口を開く母音が多く出てくる曲
- 童謡や唱歌のような、すなおなメロディーの曲
童謡や唱歌は、子どもの歌と思われがちですが、大人のボイトレにもよく使われます。メロディーがシンプルなので、声のひびきだけに集中しやすいからです。
高い声をらくに出したいとき
高い声の練習では、いきなりむずかしい曲を歌わないことが大切です。
- サビだけが少し高くなる曲
- 高い音が長くつづかず、すぐに下がってくる曲
- キーをかえて、少しずつ高さを上げられる曲
高い音が一瞬だけ出てくる曲なら、のどへの負担が少なく、高い声の出し方をためしやすくなります。音の高さを広げる練習については、こちらの記事もどうぞ。歌の音域を広げる方法。高い音・低い音を少しずつのばす練習
低い声・おちついた声を育てたいとき
低い音域を育てたい方には、次のようなタイプがおすすめです。
- 語りかけるような、おちついた曲
- 音の上下が少なく、低めの音が中心の曲
- 歌謡曲や演歌のような、しっとりした曲
低い声は、むりに押し下げようとすると、のどがかたくなります。体の力をぬいて、話し声に近い感じで歌える曲をえらびましょう。
リズム感をきたえたいとき
リズムが少しおくれてしまう方には、こんな曲がむいています。
- 手びょうしを打ちやすい、テンポがはっきりした曲
- 中くらいの速さで、くり返しが多い曲
- 楽器の音がはっきり聞こえる曲
いきなり速い曲ではなく、手びょうしをしながら歌える速さの曲からはじめると、リズムをつかみやすくなります。
滑舌(かつぜつ)をよくしたいとき
ことばがはっきり聞こえないのが気になる方は、次のような曲で練習してみてください。
- 少しずつことばが多くなる、中くらいの速さの曲
- 日本語の歌詞が中心の曲
- 歌詞の意味がわかりやすい曲
はじめはゆっくり歌って、口の形をたしかめてから、もとの速さに近づけていきます。
気持ちをこめて歌う練習をしたいとき
声の出し方になれてきたら、歌のことばの意味を考えて歌う練習もしてみましょう。
- 物語のように、歌詞に流れがある曲
- 静かなところと、もりあがるところがはっきりした曲
同じ曲でも、小さな声のところと大きな声のところをつけるだけで、ぐっと聞こえ方がかわります。
曲をえらぶときに気をつけたいこと
むりをしていないか、体の声を聞く
歌ったあとに、のどがヒリヒリする、声がかすれるというときは、曲が今の声に合っていないのかもしれません。キーを下げる、練習する部分を短くするなど、工夫してみましょう。痛みやかすれが何日もつづくときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
原曲の歌い方を、まねしすぎない
プロの歌手の歌い方には、その人ならではのくせや工夫が入っています。まねをすることで学べることもありますが、まねしすぎると、自分の声に合わない出し方になってしまうことがあります。
まずは、メロディーとことばを正しく歌うことからはじめて、そのあとで、自分らしい歌い方を見つけていきましょう。
1曲にこだわりすぎない
何か月も同じ曲だけを練習していると、あきてしまったり、くせがついたりすることがあります。かといって、すぐにかえてしまうと、身につく前に終わってしまいます。
練習する曲をかえるタイミング
曲をかえるタイミングは、人それぞれです。次のようなことが、ひとつのめやすになります。
- 1曲をとおして、のどがつかれずに歌えるようになった
- 録音を聞いて、はじめのころより声がかわったと感じる
- 練習がなんとなくマンネリになってきた
新しい曲にうつるときは、前の曲より少しだけむずかしいものをえらぶのがおすすめです。「少しがんばれば歌える」くらいの曲が、いちばん力がつきやすいと感じます。
また、前に練習した曲を、ときどき歌いなおしてみるのもよい方法です。前よりらくに歌えると、自分の成長に気づけます。
先生に曲えらびを相談するのもおすすめ
教室に通っている方は、曲えらびを先生に相談してみましょう。いまの声の高さや、苦手なところを知っている先生なら、練習にむいた曲のタイプを教えてくれることが多いです。
「この曲を歌えるようになりたい」と目標の曲を伝えると、そこまでの練習の曲をいっしょに考えてくれる先生もいます。曲の決め方は、教室や先生によってちがいますので、気になることがあれば、体験レッスンのときに聞いてみてください。
まとめ
- 「歌いたい曲」と「練習する曲」は分けて考えてよい
- 初心者は、音の高さが合っていて、テンポがゆっくりめで、ことばがつまっていない曲から
- 息・ひびき・高い声・低い声・リズム・滑舌など、目的に合わせて曲のタイプをえらぶ
- キーは下げてよい。原曲どおりにこだわらない
- のどの痛みやかすれがつづくときは、お医者さんに相談する
- 1曲が楽に歌えるようになったら、少しだけむずかしい曲にうつる
自分に合う曲がわからないときは、先生といっしょにえらぶのがいちばんの近道です。通いやすい教室は、こちらからさがせます。歌の教室さがし練習した曲を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリもぜひのぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、練習の成果をたしかめるよいきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ