50代・60代からのボイトレ。注意したいことと、むりなくつづけるコツ
「50代になってから、ボイトレをはじめてもいいのかな」 「60代だけれど、のどや体に負担にならないか心配」
子育てや仕事がひと区切りついて、「やっと自分のための時間ができた」と、歌を習いはじめる方がふえています。いっぽうで、若いころとちがう体の変化を感じて、ボイトレの注意点が気になる方も多いと思います。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。会場では、いろいろな年代の方が歌う姿を目にします。歌は、何歳からでもはじめられる趣味です。
この記事では、50代・60代からボイトレをはじめるときに気をつけたいことと、むりなくつづけるためのコツにしぼってお話しします。70代以上のシニアの方のボイトレについては、別の記事にまとめていますので、あわせて読んでみてください。シニアのボイトレ。声の若さをたもつ、やさしい発声練習
50代・60代は、ボイトレをはじめやすい年代
時間と気持ちに、少しゆとりが生まれやすい
50代・60代は、子どもが手をはなれたり、働き方がかわったりして、自分の時間を持ちやすくなる年代です。「いつか歌を習ってみたかった」という思いを、かたちにしやすい時期ともいえます。
人生経験が、歌のことばを深くする
歌のことばには、出会い、別れ、ふるさと、家族への思いなど、いろいろな気持ちがこめられています。いろいろな経験をしてきた年代だからこそ、歌詞の意味を自分のこととして感じやすい、という方もいます。
声の出し方は、練習で少しずつ身につけられます。気持ちをこめて歌う力は、これまでの毎日の中で、すでに育っているのかもしれません。
50代・60代のボイトレで注意したいこと
声の変化を「年のせい」とあきらめない
この年代になると、「高い声が出にくくなった」「声がかすれやすい」「声が細くなった」と感じる方がいます。声も体の一部なので、年齢とともに変化することはあります。
ただ、その変化を「もう年だから」とあきらめる必要はありません。声の出し方を見なおしたり、体をほぐしたりすることで、らくに声が出るようになったと感じる方もいます。
いっぽうで、急に声がかわった、かすれが何週間もつづく、というときは、ボイトレの前に、耳鼻科などのお医者さんに相談してみてください。
いきなり長い時間、大きな声を出さない
はじめのうちは、やる気があって、つい長く歌ってしまうことがあります。でも、ふだんあまり歌っていなかったのどは、急に使うとつかれやすくなります。
- はじめは、1回10分から15分くらいの練習から
- 大きな声より、らくに出る声の大きさで
- 歌ったあとにのどがつかれたら、その日はおしまいに
少しずつ時間をのばしていくほうが、結果として長くつづけやすくなります。
体のこわばりに気をつける
肩こりや腰の痛みがあると、歌うときの姿勢がくずれやすくなります。体がかたいと、息も深くすいにくくなります。
歌う前に、首や肩をゆっくり回す、深呼吸をするなど、かるい準備運動をしてから声を出しましょう。準備運動のやり方は、こちらの記事でくわしくしょうかいしています。歌う前の準備運動。体と顔をほぐす、やさしいストレッチ
ただし、痛みのあるところをむりにのばすのはやめましょう。持病がある方や、体の調子に不安がある方は、かかりつけのお医者さんに相談してからはじめると安心です。
のどのかわきに気をつける
年齢とともに、のどがかわきやすくなったと感じる方もいます。のどがかわいたまま歌うと、声がかすれたり、せきが出たりしやすくなります。
- 練習の前と、とちゅうで、こまめに水をのむ
- 部屋がかんそうしているときは、加湿器を使う
- 冷たすぎる飲みものより、常温の水や白湯がおすすめ
薬をのんでいる方は、気になることを相談する
のんでいる薬によっては、のどがかわきやすくなるなど、声に関わることもあるといわれます。気になる方は、自分で判断せず、お医者さんや薬剤師さんに聞いてみてください。
50代・60代のボイトレ、練習の量とペース
「毎日少し」がつづけやすい
週に1回だけ長く練習するより、毎日5分から10分でも声を出すほうが、のどになれやすいと感じる方が多いです。
たとえば、こんな組み合わせはいかがでしょうか。
- 朝 深呼吸と、かるい首・肩の体操
- 昼 ハミングを2分ほど
- 夜 好きな歌を1曲、らくな声で
まとまった時間がとれない日は、口をとじて「んー」とハミングするだけでもかまいません。
つかれを次の日にのこさない
練習の次の日に、声がかれていたり、のどに違和感があったりしたら、練習が少し多すぎたのかもしれません。その日は声を休めて、次の練習では時間を短くしてみましょう。
体調のよい日、わるい日があってあたりまえ
睡眠不足の日や、かぜぎみの日は、声も出にくくなります。「今日は調子がよくないな」と感じたら、むりに歌わず、歌を聞くだけ、歌詞を読むだけの日にしてもかまいません。
50代・60代におすすめの練習のしかた
話し声を整えることからはじめる
いきなり歌うのがはずかしい方は、話し声を整えることからはじめてもよいと思います。
- 本や新聞を、ゆっくり声に出して読む
- 「あ・い・う・え・お」を、口を大きく開けて言う
- 一語一語、ことばの終わりまではっきり言う
話し声がらくに出るようになると、歌うときの声も出しやすくなります。
自分がよく知っている歌で練習する
若いころに聞いていた歌や、なつかしい童謡・唱歌は、メロディーをおぼえる手間が少なく、声の出し方に集中しやすい曲です。
高いところが出にくいときは、カラオケの機械やアプリでキーを下げましょう。原曲の高さで歌えなくても、まったく問題ありません。
録音して、変化をたしかめる
スマホで自分の歌を録音しておくと、数か月あとに聞きくらべることができます。はじめは自分の声を聞くのがはずかしいかもしれませんが、小さな変化に気づくと、つづける力になります。
50代・60代の教室えらびで見ておきたいこと
いまの声と体に合わせてくれるか
体験レッスンでは、先生がいまの声や体の調子を聞いてくれるかを見ておきましょう。
- 体をほぐす時間や、息の練習からはじめてくれるか
- 「高い声を出して」と、いきなりむりをさせないか
- のどの調子を気にかけてくれるか
同じ年代の生徒さんがいるか
教室によっては、大人の生徒さんが多いところ、若い生徒さんが中心のところなど、ふんいきがちがいます。同じくらいの年代の方がいると、気軽に話せて、通いやすく感じる方も多いようです。
通いやすさと、レッスンの形
家から近いか、駅から歩けるか、階段が多くないかなど、通いやすさも大切です。移動がたいへんなときは、オンラインのレッスンを取り入れている教室もあります。レッスンの時間や回数、ふりかえのしくみは、教室によってちがいますので、体験のときに聞いておきましょう。
むりなくつづけるためのコツ
目標は、小さく、具体的に
「上手になる」という目標より、「この1曲を、のどがつかれずに歌いきる」「半年後に録音を聞きくらべる」など、自分でたしかめられる目標がおすすめです。
歌う楽しみを、ほかにもつくる
教室のレッスンだけでなく、合唱に参加する、家族とカラオケに行く、歌声喫茶に行くなど、歌う場があると、練習にもはりが出ます。
練習した日を、かんたんに記録する
カレンダーに丸をつける、手帳に「今日は10分」と書くなど、練習した日を記録してみましょう。あとで見返すと、「こんなにつづけてこられた」と自信につながります。のどの調子もひとこと書いておくと、つかれやすい日のくせに気づきやすくなります。
くらべる相手は、きのうの自分
教室では、若い生徒さんや、長く習っている方の歌を聞くこともあると思います。でも、はじめた時期も、声も、目標も、人それぞれです。ほかの人とくらべるより、先月の自分とくらべて、小さな変化をよろこんでいきましょう。
休むことも、練習のうち
旅行や家の用事で、しばらく練習できない時期があってもだいじょうぶです。再開するときは、短い時間から、ゆっくりとはじめましょう。
まとめ
- 50代・60代は、時間と気持ちにゆとりができ、ボイトレをはじめやすい年代
- はじめは1回10分から15分くらいの短い練習から
- 準備運動と水分補給で、体とのどをいたわる
- 急な声の変化や、かすれ・痛みがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
- 持病や薬が気になる方は、お医者さんや薬剤師さんに相談してから
- 教室は、いまの声と体に合わせてくれるか、通いやすいかで見る
- 目標は小さく具体的に。休む日があってもだいじょうぶ
50代・60代からのボイトレは、あせらず、自分のペースで進めることがいちばんです。いまの声に合わせてくれる教室を、こちらからさがしてみてください。歌の教室さがし練習してきた歌を形にのこしたくなったら、こどもの歌声グランプリもあります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、お孫さんといっしょに見るのも楽しいかもしれません。こどもの歌声グランプリ