練習・発声のコツ

シニアのボイトレ。声の若さをたもつ、やさしい発声練習

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「さいきん、声が出にくくなった気がする」 「話していると、声がかすれたり、小さくなったりする」 「年をとっても、楽しく歌いつづけたい」

年をかさねるにつれて、こんなふうに感じる方は少なくないと思います。声は、毎日つかうものだからこそ、少しの変化にも気づきやすいものですよね。

わたしは、息子といっしょにたくさんの歌のコンクールに出てきました。会場では、お子様だけでなく、60代、70代、80代になっても、元気に歌っている方にたくさん出会ってきました。どの方も、声を出すことを楽しんでいる姿が、とてもすてきでした。

この記事では、シニアの方がボイトレをするときに大切にしたいこと、家でできるやさしい発声練習、むりをしないための注意をまとめました。むずかしいことはしません。毎日の中で、少しずつ声を出す時間をつくってみませんか。

なお、声の出にくさの原因は、人によってさまざまです。この記事でしょうかいする練習は、体調のよいときに、むりのないはんいで行ってください。

シニアのボイトレで大切にしたいこと

「たくさん」より「毎日少し」

ボイトレというと、大きな声を長い時間出すようなイメージがあるかもしれません。でも、シニアの方にとって大切なのは、たくさん練習することよりも、毎日少しずつ声を出すことです。

1日5分から10分くらいでも、つづけることで、声を出すことになれていきます。

体ぜんたいをつかう

声は、のどだけで出すものではありません。姿勢、息のつかい方、顔や口のまわりのうごきなど、体ぜんたいがかかわっています。のどに力を入れるのではなく、体をほぐして、らくに声を出すことを意識してみてください。

楽しむことがいちばん

「うまく歌わなければ」と思うと、体に力が入ってしまいます。好きな歌を口ずさむ、昔よく歌った歌を思い出して歌う。そんな楽しい時間が、そのまま声のトレーニングになります。

練習の前に 体をほぐす

声を出す前に、まずは体をやさしくほぐしましょう。いすにすわったままでもできます。

肩と首をほぐす

  • 肩をゆっくり上げて、ストンと下ろす(3回)
  • 肩を前から後ろへ、ゆっくり回す(3回)
  • 首をゆっくり左右にかたむける(痛みがない範囲で)

首を大きくぐるぐる回すのは、さけたほうがよいでしょう。ゆっくり、気持ちのよいところまでにしてください。

顔と口のまわりをほぐす

  • 両手で、ほおをやさしくマッサージする
  • 口を大きく「あ・い・う・え・お」と動かす(声は出さなくてよい)
  • くちびるを、ブルブルとふるわせる

顔や口のまわりがやわらかくなると、ことばがはっきりしやすくなります。

姿勢をととのえる

  • いすに、少し浅めにすわる
  • 背中を、すっとのばす
  • 肩の力をぬいて、あごを軽く引く

立って練習する場合は、足を肩はばくらいに開いて、ひざを少しゆるめると、体がらくになります。ふらつきが気になる方は、いすにすわって行ってください。

家でできる、やさしい発声練習

1.ゆっくり息をはく

まずは、息のつかい方から練習します。

  • 鼻から、ゆっくり息をすう
  • 口から「スー」と、細く長く息をはく
  • これを3回から5回くり返す

息をすうときに、肩が上がらないように気をつけましょう。おなかのまわりが、ふわっとふくらむようなイメージでかまいません。苦しくなるまでがんばらず、らくに続けられる長さで大丈夫です。

2.ハミング

口をとじて、「んー」と声を出します。

  • 自分の話し声くらいの、らくな高さで
  • 鼻やくちびるのあたりが、少しふるえる感じをさがす
  • 10秒くらいを、3回ほど

ハミングは、のどに負担をかけにくく、声を出す準備にぴったりです。大きな声を出しにくいおうちでも、やりやすい練習です。

3.「あー」と声をのばす

ハミングになれたら、口を開けて「あー」と声をのばしてみましょう。

  • らくに出せる高さで
  • 小さめの声からはじめる
  • 声がゆれても気にしない

1回ごとに、ひと息ついてから次の声を出すようにしてください。

4.声の高さを少しうごかす

「あー」の声を、低いところから少し高いところへ、すべり台のように、なめらかにうごかしてみます。むりに高い声を出そうとしなくて大丈夫です。らくに出せるはんいの中で、声をうごかすことが大切です。

5.ことばをはっきり言う

  • 「パ・タ・カ・ラ」を、ゆっくりはっきり言う
  • なれてきたら、少しずつ速くする
  • 早口ことばを、ゆっくり読んでみる

口や舌をよくうごかすことは、歌だけでなく、ふだんの会話にも役立ちます。

6.好きな歌を1曲歌う

さいごに、好きな歌を1曲、楽しく歌いましょう。昔から知っている歌や、季節の歌などがおすすめです。季節の歌については、こちらの記事でもしょうかいしています。シニアに人気の季節の歌。春夏秋冬、みんなで歌いたい日本の歌と歌い方のコツ

むりをしないための注意

のどに痛みや違和感があるときはお休み

のどが痛いとき、かすれているとき、せきが出るときは、声を出す練習はお休みしましょう。むりに声を出すと、のどに負担がかかってしまうことがあります。

痛みやかすれが何日もつづくとき、声の出にくさが急にかわったと感じるときは、自分で判断せずに、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。

体調のよいときに

  • 食後すぐや、つかれている日はさける
  • 血圧が気になる方や、通院中の方は、かかりつけのお医者さんに相談してからはじめる
  • 息を長くはく練習で、くらっとしたらすぐにやめる

ふだんの体調に合わせて、むりのないはんいで行うことが、なによりも大切です。

のどをうるおす

練習の前後には、水やぬるめのお茶を少しずつのみましょう。部屋が乾燥していると、のどがつかれやすくなります。加湿器をつかったり、ぬれタオルを干したりするのもよいと思います。

ふだんの生活でできること

ボイトレの時間だけでなく、ふだんの生活の中でも、声を出す機会をふやしてみましょう。

  • 新聞や本を、声に出して読む
  • 家族やお友だちと、電話でおしゃべりする
  • 近くの人に、自分から「おはようございます」とあいさつする
  • テレビの歌番組に合わせて、口ずさむ

ひとりでいる時間が長いと、声を出す機会がへってしまいがちです。少しでも声を出す時間をつくることが、声をたもつことにつながっていきます。

年をかさねて声が出にくくなったと感じるときのことは、こちらの記事でもくわしくまとめています。年をとって声が出にくいと感じたら。歌がすきな方のための、やさしい発声練習

教室で習ってみるのもおすすめ

家での練習になれてきたら、歌の教室で習ってみるのもよいと思います。

教室で習うよさ

  • 先生が、いまの声に合わせた練習を教えてくれる
  • まちがったくせに、早めに気づける
  • 同じように歌を楽しむ仲間ができる
  • 通うこと自体が、外に出るきっかけになる

教室えらびで見ておきたいこと

  • シニアの生徒さんを教えた経験があるか
  • 体調に合わせて、ペースを調整してくれるか
  • 通いやすい場所か、オンラインでも受けられるか
  • 体験レッスンがあるか

レッスンの回数や料金は、教室によってちがいます。いくつかの教室で体験レッスンを受けて、「ここなら楽しく通えそう」と思えるところをえらんでみてください。

練習をつづけるためのちょっとした工夫

時間を決めておく

「朝ごはんのあと」「お昼の散歩から帰ったら」など、練習する時間をだいたい決めておくと、毎日の習慣にしやすくなります。歯みがきのように、生活の流れの中に入れてしまうのがコツです。

記録をつける

カレンダーに、練習した日に丸をつけるだけでもかまいません。丸がならんでいくと、「今日もやってみよう」という気持ちになりやすくなります。ときどき自分の歌を録音しておくと、あとで聞きくらべる楽しみもできます。

仲間といっしょに

ひとりでつづけるのがむずかしいときは、家族やお友だちをさそってみるのもよいと思います。いっしょに歌う人がいると、練習の時間がぐっと楽しくなります。地域の合唱の集まりや、歌声喫茶のような場所に出かけてみるのも、一つの方法です。

できない日があっても気にしない

体調がすぐれない日や、いそがしい日は、お休みしてもだいじょうぶです。何日かあいても、また気が向いたときにはじめればよいのです。「つづけなければ」と思いすぎず、気楽に取り組んでみてください。

まとめ

  • シニアのボイトレは「たくさん」より「毎日少し」が大切
  • 声を出す前に、肩や首、顔のまわりをやさしくほぐす
  • 息をはく、ハミング、「あー」と声をのばす、などのやさしい練習からはじめる
  • のどの痛みやかすれがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
  • 体調がよいときに、むりのないはんいで行う
  • ふだんの生活の中でも、声を出す機会をふやす

声は、何歳になってもつかいつづけることで、のびのびと出しやすくなっていきます。先生といっしょに練習してみたい方は、お近くの教室やオンラインの教室をさがしてみてください。歌の教室さがし練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリもおすすめです。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、歌をつづける楽しみの一つになると思います。こどもの歌声グランプリ

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