歌うときの立ち方・手・目線。見た目でかわる歌の伝わり方
「歌っているとき、手をどうしたらいいのかわからない」 「目線がきょろきょろしてしまって、落ちつかないように見える」
歌の練習では、声の出し方や音程に目がいきがちです。でも、本番や動画で歌うときには、「どんなすがたで歌っているか」も、聞いている人にしっかり伝わっています。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌は耳で聞くものですが、見ている人は目でも歌を受けとっています。立ち方や手、目線がととのうと、同じ歌でも、ぐっと伝わりやすくなります。
この記事では、歌うときの立ち方、手の位置、目線、表情の基本をまとめます。お子様にも大人の方にもつかえる内容です。むずかしい決まりではなく、「こうすると楽に、気持ちよく歌える」というヒントとして読んでみてください。
なぜ「歌うすがた」が大切なのか
すがたは、声にもえいきょうする
立ち方がくずれていると、息がすいにくくなったり、のどに力が入りやすくなったりします。反対に、体がまっすぐで力がぬけていると、声も楽に出しやすくなります。
歌うすがたをととのえることは、見た目のためだけでなく、声のためにもなります。
見ている人は、すがたからも気持ちを感じる
うつむいて歌っていると、どんなにきれいな声でも、少し自信がなさそうに見えてしまいます。顔を上げて、まっすぐ前を見て歌うだけで、「この歌を伝えたい」という気持ちが伝わりやすくなります。
緊張していても、すがたで落ちついて見える
本番では、だれでも緊張します。でも、立ち方や目線が決まっていると、心の中がどきどきしていても、見ている人には落ちついて見えます。「どう立つか」が決まっていること自体が、安心につながります。
立ち方の基本
足は、こしはばくらいに開く
まずは足の位置です。
- 足は、こしのはばくらいに開く
- つま先は、少しだけ外にむける
- 体重は、かかとだけでなく、足のうら全体にのせる
足をぴったりそろえると、体がゆれやすくなります。大きく開きすぎても、ふんばったように見えてしまいます。こしはばくらいが、ちょうどよい目安です。
ひざは、ピンとのばしきらない
ひざをピンとのばしすぎると、体がかたくなります。ほんの少しだけゆるめておくと、体の力がぬけて、息もすいやすくなります。
ずっと同じ形で立っていると、気分が悪くなることもあるので、ひざは軽くゆるめておきましょう。
頭が上から引っぱられているイメージで
背すじは、むりにそらすのではなく、頭のてっぺんが糸で上から引っぱられているようなイメージでのばします。
- あごは、上げすぎず、引きすぎず
- 肩は、一度上げてから、すとんと落とす
- むねは、軽く開く
肩に力が入っていると、のども固くなりやすいので、歌う前に肩を回したり、上げ下げしたりしてほぐしておくとよいでしょう。
手の位置と動かし方
いちばん楽なのは、体のよこに自然におろす形
手の位置にまよったら、まずは体のよこに、自然におろしておく形がおすすめです。指先までピンとのばさず、ふんわり力をぬいておきます。
小さなお子様の場合は、この形がいちばんわかりやすく、まねしやすいと思います。
おなかの前で軽く手を組む形
もうひとつ多いのが、おなかの前あたりで、両手を軽くかさねる形です。
- 手は、おへそのあたりに軽くそえる
- ぎゅっとにぎりしめない
- ひじは、体にくっつけすぎない
手をかたくにぎると、その力が肩やのどにつたわりやすくなります。あくまで「そえる」くらいの軽さが大切です。
やってしまいがちな手のくせ
- 服のすそや、スカートをさわる
- 手をうしろで組む
- 指をもじもじ動かす
- ずっと手をふり回す
こうしたくせは、緊張しているときに出やすいものです。悪いことではありませんが、気になる場合は、練習のときから「手はここ」と決めておくと、本番でも落ちつきやすくなります。
手を動かすときは、歌の気持ちに合わせて
ジャンルや曲によっては、手を動かして歌うこともあります。そのときは、歌詞や気持ちに合わせて、ゆっくり大きく動かすと自然に見えます。
- 「遠く」を歌うときに、手を前にのばす
- 「あたたかい」を歌うときに、むねに手をあてる
- 動かしたら、ゆっくりもとの位置にもどす
ずっと動かしつづけるより、ここぞという場面で1回か2回動かすほうが、気持ちが伝わりやすくなります。曲や大会によって、ふさわしい動き方はちがうので、先生に相談しながら決めると安心です。
目線のコツ
目線は、少し上、遠くを見る
目線は、歌の伝わり方を大きくかえます。基本は、聞いている人の頭より少し上、会場のいちばんうしろのあたりを見るイメージです。
足もとや床を見てしまうと、顔が下をむき、声もこもりやすくなります。少し上の遠くを見ると、顔が上がって、声も前にとどきやすくなります。
1点を見つめすぎない
ずっと同じ1点を見つめていると、表情がかたく見えることがあります。曲の区切りなどで、目線をゆっくり右、左とうつしてみましょう。
- 1番は、正面
- 2番は、少し右から左へ
- さいごは、また正面にもどる
このように、目線の動きを決めておくと、きょろきょろせずに、自然に会場全体を見わたすことができます。
動画のときは、カメラのレンズを見る
動画で歌うときは、カメラのレンズを、聞いてくれる人の目だと思って見るのが基本です。画面にうつった自分を見てしまうと、目線が少しずれてしまいます。
スマホでとるときは、レンズの近くに小さなシールをはって、そこを見るようにするとわかりやすくなります。動画をきれいにとるコツは、こちらの記事にまとめています。歌の動画をきれいにとるコツ。スマホ・マイク・部屋の音と、安心して公開するための注意点
表情も、歌の一部
歌の気持ちに合った表情を
明るい歌はにこやかに、しっとりした歌はおだやかに。表情は、歌の気持ちをいちばんわかりやすく伝えてくれます。
むりに笑顔をつくる必要はありません。歌詞の場面を思いうかべると、自然と表情がついてきます。歌に気持ちをこめる方法は、こちらの記事も参考にしてください。歌に気持ちをこめるには?歌詞の読みこみ方と、表情・声の色のつけ方
まゆと目のまわりを、少し上げる
歌っているときに、まゆや目のまわりを少しだけ上げると、表情が明るく見えます。声もひびきやすくなるといわれています。鏡を見ながら、やりすぎない程度にためしてみてください。
前奏と後奏のあいだも、歌の一部
歌い出す前の前奏や、歌いおわったあとの後奏のあいだも、見ている人はすがたを見ています。
- 前奏のあいだに、歌の気持ちを思いうかべる
- 歌いおわっても、すぐに表情をくずさない
- 音がおわってから、ゆっくりおじぎをする
ステージでのあいさつやマナーについては、こちらの記事もどうぞ。ステージでのおじぎ・入場・退場のマナー。子どものはじめての本番に
おうちでできる練習
鏡の前で歌ってみる
いちばんかんたんなのは、鏡の前で歌うことです。
- 肩が上がっていないか
- 手がもじもじしていないか
- 目線が下がっていないか
を、ひとつずつたしかめてみましょう。いっぺんに全部なおそうとせず、今日は「立ち方」、次の日は「目線」と、1つずつ練習するのがおすすめです。
動画にとって見てみる
スマホで歌っているすがたをとって見ると、自分では気づかなかったくせが見えてきます。お子様の場合は、お父様・お母様がとってあげて、いっしょに見るとよいですね。
見るときは、できていないところだけでなく、「ここはすてきだったね」と、よいところも必ず伝えてあげてください。
家族に、お客さんになってもらう
家族の前で歌って、聞いてもらうのもよい練習です。人の目があると、本番に近い気持ちで歌えます。聞く人は、「目が合ってうれしかった」「手の動きがきれいだった」など、具体的に感想を伝えてあげましょう。
お子様のすがたを見るときに気をつけたいこと
一度にたくさん言わない
お子様に「手はこう、目線はこう、足はこう」と一度にたくさん伝えると、何を気をつければいいのかわからなくなってしまいます。1回の練習で伝えるのは、1つか2つにしぼりましょう。
形よりも、楽しく歌えているか
すがたをととのえることは大切ですが、いちばん大切なのは、お子様が楽しく歌えていることです。形ばかり気にして、歌うことがいやになってしまっては、元も子もありません。
「顔を上げて歌えたね」「手が落ちついていたね」と、できたことをほめながら、少しずつととのえていきましょう。
まとめ
- 歌うすがたは、声の出しやすさにも、伝わり方にもかかわる
- 足はこしはば、ひざは軽くゆるめ、頭は上から引っぱられるイメージ
- 手は、体のよこに自然におろすか、おなかの前に軽くそえる
- 目線は、少し上の遠くを見る。動画ではカメラのレンズを見る
- 表情は、歌の場面を思いうかべると自然につく
- 鏡や動画で、1つずつたしかめながら練習する
立ち方や目線は、少し意識するだけで、だれでもかわっていけるところです。ととのったすがたで歌えるようになったら、動画にとって、こどもの歌声グランプリに出してみるのもおすすめです。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、歌声だけでなく、歌うすがたをふりかえるきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ