歌い方がわからない初心者へ。まずはこの5つから
「歌が好きなのに、どう歌えばいいのか、歌い方がわからない」 「歌い方のコツを調べても、ことばがむずかしくて、何からはじめればいいのかわからない」
歌をはじめたばかりのころは、こんなふうに感じる方がとても多いです。ボイトレや発声の説明には、なれないことばもたくさん出てきます。調べれば調べるほど、かえってわからなくなってしまうこともありますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。その中で感じたのは、歌は、いくつかのきほんを大切にするだけで、ぐっと歌いやすくなるということです。
この記事では、歌い方がわからない初心者の方に向けて、「まずはこの5つから」というきほんにしぼってお話しします。むずかしいテクニックは、あとからでだいじょうぶです。お子様にも大人の方にも使える内容です。
歌い方がわからなくなる理由
やることが多すぎる
歌には、音の高さ、リズム、声の出し方、息つぎ、ことば、気持ちのこめ方など、いろいろな要素があります。これを一度に全部よくしようとすると、何が大切なのかわからなくなってしまいます。
自分の声がどう聞こえているかわからない
歌っているときに自分で聞こえている声と、まわりの人に聞こえている声は、少しちがいます。そのため、自分ではどこを直せばいいのか、わかりにくいのです。
「上手な歌い方」がひとつだと思っている
歌い方には、たったひとつの正解があるわけではありません。声楽、ポップス、童謡、合唱など、ジャンルによっても大切にすることがかわります。「正しい歌い方」をさがしつづけて、まよってしまう方も多いです。
だからこそ、まずはどのジャンルにも通じる、きほんの5つから始めるのがおすすめです。
その1 歌いたい曲を、よく聞く
歌う前に、まず聞く
歌い方がわからないときほど、まずは曲をよく聞くことから始めましょう。いきなり歌うより、何回も聞いて、メロディやリズムを耳に入れておくほうが、ずっと歌いやすくなります。
- メロディの高いところ、低いところはどこか
- ことばがたくさんつまっているところはどこか
- 息つぎをしていそうなところはどこか
- 声がやさしいところ、力強いところはどこか
こうしたことに気をつけながら聞くと、ただ聞き流すより、たくさんのことに気づけます。
いっしょに小さく口ずさむ
聞きなれてきたら、お手本の歌に合わせて、小さな声で口ずさんでみましょう。はじめは大きな声を出さなくてかまいません。メロディについていけるかをたしかめる気持ちで歌ってみてください。
歌いやすい曲をえらぶ
はじめての練習には、高すぎず低すぎず、テンポもゆったりした曲がおすすめです。むずかしい曲は、もう少しなれてからでもおそくありません。
その2 姿勢と息をととのえる
らくに立つ
声は、体全体を使って出すものです。まずは、らくな姿勢で立ってみましょう。
- 足は、こしはばくらいに開く
- ひざは、ピンとのばしすぎない
- 背中を軽くのばし、肩の力をぬく
- あごを上げすぎず、まっすぐ前を見る
いすにすわって歌うときも、背中を軽くのばして、肩の力をぬくことを意識してみてください。
息をゆっくりはく
歌は、はく息にのせて声を出します。まずは、声を出さずに、息をゆっくり長くはく練習をしてみましょう。
- 肩を上げずに、鼻からゆっくり息をすう
- 口を少しすぼめて、「スー」と細く長く息をはく
- 息がなくなる少し前でやめる
これを数回くりかえすだけでも、体がほぐれて、声が出しやすくなります。苦しくなるまでやる必要はありません。
その3 らくな声で、小さめに歌う
大きな声を出そうとしない
歌い方がわからないとき、つい大きな声を出そうとして、のどに力が入ってしまうことがあります。でも、はじめのうちは、話すときくらいの、らくな声で歌うのがおすすめです。
大きな声は、体がなれてくると、少しずつ自然に出るようになります。まずは「らくに声が出ている」感じを大切にしましょう。
ハミングから始める
口をとじて「んー」とハミングするのは、のどにやさしい声の練習です。ハミングでメロディを歌ってみて、そのあとに口をあけて歌ってみると、声が出しやすくなることがあります。
高いところはむりしない
高い音が出にくいときは、むりに出そうとせず、キーを下げて歌ってかまいません。カラオケや伴奏の音源で、キーをかえられるときは、自分の声に合う高さをさがしてみましょう。
のどが痛くなったり、声がかすれたりしたら、その日は練習をお休みしてください。痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
その4 ことばをていねいに歌う
歌詞を声に出して読む
歌はメロディだけでなく、ことばを伝えるものでもあります。歌う前に、歌詞を声に出して、ゆっくり読んでみましょう。
- 読みにくいことばはないか
- 意味がわからないことばはないか
- どんな場面や気持ちを歌っているか
ことばの意味がわかると、自然と歌い方もかわってきます。
母音を意識する
日本語は、「あ・い・う・え・お」の母音がはっきりしていることばです。歌うときは、この母音をていねいに出すと、声がのびやかになり、ことばも伝わりやすくなります。
たとえば、「さくら」ということばなら、「さ」の「あ」、「く」の「う」、「ら」の「あ」を、それぞれていねいに出すイメージです。
気持ちは少しずつでいい
「気持ちをこめて歌いましょう」と言われても、はじめはどうすればいいかわからないかもしれません。まずは、ことばの意味を知ることから始めれば、じゅうぶんです。
その5 録音して、自分の声を聞く
スマホで録音してみる
自分の歌い方がわからないときは、スマホで録音して聞いてみるのがいちばんの近道です。歌っているときにはわからなかった、音のずれやリズムのずれ、声の出方に気づくことができます。
はじめて自分の歌声を聞くと、「こんな声なの?」とおどろくかもしれません。でも、それは多くの人が感じることです。気にしなくてだいじょうぶです。
1つだけ直すところを決める
録音を聞いたら、気になるところを全部直そうとせず、1つだけえらんで練習しましょう。
- 高いところで声がかたくなっている
- ことばが聞きとりにくいところがある
- 歌い出しがおくれている
1つ直せたら、つぎの1つに進みます。録音を使ったチェックのしかたは、こちらの記事にくわしくまとめています。自分の歌は上手い?録音でできるセルフ診断のしかたとチェック項目
前の録音と聞きくらべる
録音をのこしておくと、何週間かあとに聞きくらべることができます。少しずつでも変化に気づけると、練習を続ける力になります。
5つを毎日の練習にするには
10分だけでもいい
この5つを、毎日少しずつ練習してみましょう。長い時間でなくても、10分くらいでじゅうぶんです。
- 姿勢をととのえて、息をはく練習(2分)
- ハミングで声を出す(2分)
- 歌詞を読む(2分)
- らくな声で1曲歌う(3分)
- 録音して聞く(1分)
家でできる練習の組み立て方は、こちらの記事でも紹介しています。自宅でできるボイトレメニュー。10分・30分の練習の組み方を、初心者向けにまとめました
つかれた日は休む
体調がよくない日や、のどがつかれている日は、むりに練習しなくてかまいません。曲を聞くだけ、歌詞を読むだけでも、りっぱな練習になります。
ひとりでむずかしいときは、先生にみてもらう
5つのきほんを続けても、どうしても歌い方がわからないときや、くせがなかなか直らないときは、歌の先生にみてもらうのもひとつの方法です。
先生は、いまの声を聞いて、その人に合った練習を教えてくれます。ひとりで何か月もなやむより、早く道が見えることもあります。体験レッスンを受けられる教室も多いので、気軽にのぞいてみてください。近くの教室やオンラインの教室は、こちらでさがせます。歌の教室さがし
お子様の場合は、お父様・お母様がいっしょに体験レッスンに行くと、お子様も安心して歌いやすくなります。
まとめ
- 歌い方がわからないのは、やることが多すぎたり、自分の声がわかりにくかったりするから
- その1 歌いたい曲を、よく聞く
- その2 姿勢と息をととのえる
- その3 らくな声で、小さめに歌う
- その4 ことばをていねいに歌う
- その5 録音して、自分の声を聞く
- 毎日10分でも続けて、ひとりでむずかしいときは先生にみてもらう
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
歌い方は、いきなりわかるものではなく、きほんを続けるうちに、少しずつ見えてくるものです。練習した歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところや、つぎに練習したいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ