歌の上手い・下手の基準って?ふだん聞く人が「上手い」と感じるポイント
「歌が上手い・下手って、だれが、どうやって決めているの?」 「点数は高いのに、上手いと言われない。逆に、点数は低いのに、上手いと言われる人もいる」
こんなふしぎを感じたことはありませんか。歌の上手い・下手の基準は、テストのように、はっきり1つに決まっているわけではありません。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。コンクールでは審査員の先生が点をつけますが、ふだんの生活のなかで歌を聞くのは、家族や友だち、職場の人、カラオケでいっしょにいる人たちです。そうした人たちが「この人、歌が上手いね」と感じるときには、いくつかの共通したポイントがあるように思います。
この記事では、コンクールの審査ではなく、ふだん歌を聞く人の感じ方にしぼって、歌の上手い・下手の基準をお話しします。コンクールの審査員の見方を知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。歌のコンクール、審査員はどこを見ている?点数につながる7つのポイント
歌の上手い・下手の基準は、1つではない
聞く人によって、感じ方がちがう
歌の上手い・下手の基準は、聞く人によってかわります。クラシックが好きな人は、ひびきのある声を「上手い」と感じやすいかもしれません。ロックが好きな人は、力強い声に心を動かされるかもしれません。
また、同じ人でも、そのときの気分や場面によって感じ方がかわります。にぎやかなカラオケの場では、もり上がる歌が「上手い」と感じられ、しずかな場面では、やさしく語りかける歌が心にひびくこともあります。
それでも、多くの人が感じる「共通のポイント」がある
感じ方は人それぞれですが、多くの人が「上手い」と感じる歌には、にたところがあります。それは、むずかしい技術というより、「聞いていて安心できる」「気持ちが伝わってくる」という感覚です。
反対に、「下手」と感じられやすい歌は、聞いている人が「だいじょうぶかな」と心配になったり、何を歌っているのかがわかりにくかったりする歌です。
ふだん聞く人が「上手い」と感じる6つのポイント
ポイント1 聞いていて安心できる
ふだん歌を聞く人が、まず感じるのは「安心できるかどうか」です。音程が大きくずれず、リズムもくずれず、さいごまで歌いきってくれる。それだけで、聞く人は落ちついて歌を楽しめます。
音程がほんの少しずれていても、多くの人は気にしません。でも、歌い出しの音が大きくずれたり、とちゅうで歌が止まりそうになったりすると、聞く人は少しはらはらしてしまいます。
ポイント2 ことばが聞きとれる
ふだん聞く人は、楽譜を見ながら聞いているわけではありません。だから、歌詞が聞きとれるかどうかは、上手さの感じ方に大きくかかわります。
ことばがはっきりしている歌は、知らない曲でも内容が伝わります。「歌詞がすっと入ってきた」と感じると、多くの人は「上手いな」と思います。
ポイント3 声がらくそうに聞こえる
聞く人は、歌っている人の体のようすを、声から感じとります。高い音で声がつまったり、苦しそうに聞こえたりすると、聞く人まで力が入ってしまいます。
反対に、らくに声が出ているように聞こえると、聞く人も心地よく聞けます。声の大きさよりも、「らくそうかどうか」が、上手さの感じ方につながることが多いです。
ポイント4 その人らしさがある
ふだん歌を聞く人は、声のくせや、その人らしい歌い方を楽しんでいることがあります。だれかのまねではなく、「この人の声だな」と感じられる歌は、心にのこりやすいです。
上手い・下手の基準は、正しさだけではありません。少し声がかすれていても、その人らしいあたたかさがあると、「いい歌だったね」と言われることがあります。
ポイント5 気持ちが伝わってくる
「うまく言えないけれど、なんだか心にしみた」。ふだん聞く人が上手いと感じるとき、こんな感想になることがよくあります。
歌詞の意味を考えて歌っている人の歌は、聞く人にも伝わりやすいです。ほほえみながら歌う、さびしい歌はしずかに歌う。そうした小さなちがいを、聞く人は思っている以上に感じとっています。
ポイント6 場面に合っている
ふだんの場面では、「その場に合った歌か」も、上手さの感じ方にかかわります。お祝いの席で明るい歌を楽しそうに歌う、家族の前でみんなが知っている歌を歌う。場面に合った歌は、それだけで聞く人の心をつかみます。
カラオケなどで、自分の声に合わない高さの曲をむりに歌うと、聞く人は「苦しそうだな」と感じやすくなります。キーを合わせることも、場面に合わせる工夫の1つです。
「下手」と感じられやすい歌の特徴
上手いと感じるポイントの反対を見ると、「下手」と感じられやすい歌の特徴も見えてきます。
- 歌い出しの音が大きくずれる
- 伴奏とリズムがずれていく
- ことばがぼやけて、歌詞がわからない
- 声がつまって、苦しそうに聞こえる
- ずっと同じ強さで、平らに聞こえる
- 自信がなさそうで、声がとちゅうで小さくなる
さいごの「自信がなさそう」は、とくに大切です。歌の技術がまだ育っていなくても、まっすぐ前を向いて、さいごまで歌いきる人は、聞く人から「よかったよ」と言われることが多いです。
点数と「上手い」は、同じではない
カラオケの採点は、音程やリズムなどを機械がはかったものです。歌の上手い・下手の基準の1つにはなりますが、ふだん聞く人が感じる「上手い」と、かならずしも同じではありません。
採点では高い点が出ても、聞く人には平らに聞こえたり、気持ちが伝わりにくかったりすることがあります。反対に、点数はそれほどでなくても、聞く人の心を動かす歌もあります。点数と聞こえ方のちがいについては、こちらの記事でくわしくまとめています。カラオケの点数は高いのに上手く聞こえない?点数と「伝わる歌」のちがい
聞く人の基準を、自分の歌に生かすには
家族や友だちに、具体的に聞いてみる
「どうだった?」と聞くと、「よかったよ」で終わってしまいがちです。「歌詞は聞きとれた?」「苦しそうに聞こえたところはあった?」と、具体的に聞くと、ふだん聞く人の感じ方を知る手がかりになります。
録音して、聞く人の耳で聞いてみる
自分の歌を録音して、少し時間をおいてから聞いてみましょう。歌っているときとはちがって、聞く人の立場で、安心できるか、ことばがわかるかを感じとりやすくなります。
できることから1つずつ
6つのポイントを、一度にぜんぶ気にする必要はありません。
- まずは、さいごまで止まらずに歌いきる
- つぎに、歌詞がはっきり聞こえるように口を動かす
- なれてきたら、強弱や気持ちを少しずつ足していく
こうして、1つずつ身につけていくと、聞く人の「上手いね」が少しずつふえていくと思います。
「上手い」と言われたことばを、メモしておく
家族や友だちから「上手いね」と言われたときは、どこがよかったのかも聞いて、メモしておくのがおすすめです。「声がやさしかった」「ことばがよくわかった」など、聞く人が感じたよいところは、自分ではなかなか気づけないものです。
よいところがわかると、そこをもっとのばそうという気持ちになれます。歌の上手い・下手の基準は、自分の外にだけあるのではなく、聞いてくれる人とのやりとりのなかで、少しずつ見えてくるものなのかもしれません。
お子様の歌を聞くお父様・お母様へ
お子様の歌を聞くとき、お父様・お母様はいちばん身近な「聞く人」です。上手い・下手の基準を気にするよりも、「ことばがよく聞こえたよ」「楽しそうに歌っていたね」と、聞く人として感じたことを伝えてあげてください。
お子様にとって、家族が「聞いてよかった」と感じてくれることは、歌をつづける大きな力になります。のどが痛そうなときや、声がかすれる日がつづくときは、むりをさせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 歌の上手い・下手の基準は1つではなく、聞く人や場面によってかわる
- ふだん聞く人が上手いと感じるのは、安心できる・ことばが聞きとれる・らくそう・その人らしさ・気持ち・場面に合っている、の6つ
- 下手と感じられやすいのは、大きなずれ、ことばのぼやけ、苦しそうな声、自信のなさなど
- カラオケの点数と、聞く人の「上手い」は、かならずしも同じではない
- 家族に具体的に聞く、録音を聞く人の耳で聞く、などで自分の歌に生かせる
歌の上手さは、聞いてくれる人がいてこそ、たしかめられるものです。家族や友だちのほかにも、だれかに歌を聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、聞く人にどう伝わっているかを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ