心のこと・声かけ

「歌の才能がない」と思ったとき。才能より大切にしたいこと

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「わたしには、歌の才能がないのかもしれない」 「まわりには、才能がある人ばかりに見える」

歌を習っていると、こんなふうに思ってしまう日があります。大人の方だけでなく、お子様が「ぼくは歌がへただから」「わたしには向いてない」と言うこともあります。

わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。

この記事では、「歌の才能がない」と感じたときの気持ちに目をむけてお話しします。才能がある人とくらべて苦しくなったときの考え方や、お子様がそう言ったときの声かけ、そして、才能よりも大切にしたいことをまとめました。

歌が上手い人に多い特ちょうや、練習でのばせるところについては、こちらの記事でくわしく書いています。歌が上手い人の特徴とは?生まれつき?練習でのばせることと、のばし方この記事では、練習のやり方よりも、心のほうにしぼって考えていきます。

「歌の才能がない」と思ってしまうのは、どんなとき?

がんばっているのに、思うように歌えないとき

練習をつづけているのに、高い声が出ない、音がずれる、声がふるえる。そんな日がつづくと、「やっぱり才能がないのかな」と思いやすくなります。

がんばっている人ほど、こう感じやすいものです。できないところに気づけるのは、それだけ歌にまじめにむき合っているからでもあります。

ほかの人の歌を聞いたとき

発表会やコンクール、動画などで、自分と同じくらいの年の人がのびのびと歌っているのを聞くと、心がざわっとすることがあります。

  • あの人は、はじめから上手だったのかな
  • わたしは、何年やってもあんなふうにはなれない
  • 才能がある人には、かなわない

こうした気持ちは、とても自然なものです。歌が好きだからこそ、くらべてしまうのだと思います。

だれかに何か言われたとき

「声が小さいね」「音がちがうよ」と言われて、心にのこってしまうこともあります。言った人にとっては、軽いひとことだったかもしれません。でも、言われたほうは、ずっと気にしてしまうことがあります。

「才能がある人」は、どう見えている?

見えているのは、いまの姿だけ

上手に歌っている人を見ると、「生まれつきなんだろうな」と思いがちです。でも、わたしたちが見ているのは、その人の「いま」だけです。

その人が、どれくらいの時間、どんな練習をしてきたのか。うまくいかない日をどうすごしてきたのか。そこまでは、なかなか見えません。

才能のかたちは、ひとつではない

「歌の才能がある人」と聞くと、高い声がきれいに出る人や、声量がある人を思いうかべるかもしれません。でも、歌のよさは、それだけではありません。

  • やわらかくて、聞いていてほっとする声
  • ことばが、はっきりと伝わる歌い方
  • 歌うのが楽しそうで、見ている人も笑顔になる
  • 小さな声でも、気持ちがこもっている
  • まわりの声をよく聞いて、合わせるのが得意

どれも、歌の大切な力です。自分では「ふつう」だと思っていることが、まわりから見ると、その人らしいよさになっていることもあります。

声は、ひとりひとりちがう楽器

声は、体そのものが楽器です。体の大きさや、顔のかたち、話し方のくせなどによって、ひとりひとりちがう音になります。

だれかと同じ声を目ざすより、「自分の声は、どんなところがすてきかな」と考えてみると、見え方が少しかわってきます。

くらべて苦しくなったときの考え方

くらべる相手を「前の自分」にかえてみる

ほかの人とくらべると、どうしても「足りないところ」ばかりが目に入ります。そんなときは、少し前の自分とくらべてみてください。

  • 前より、息が長くつづくようになった
  • 前より、人前で歌うのがこわくなくなった
  • 前は知らなかった歌を、1曲歌えるようになった

小さなことでかまいません。前の自分とくらべると、ちゃんと歩いてきたことに気づきやすくなります。

録音をのこしておく

自分の声の変化は、毎日聞いていると気づきにくいものです。ときどきスマホで録音しておくと、しばらくたってから聞きくらべることができます。

「前は、こんなふうに歌っていたんだ」と思えると、それだけで少し心が軽くなることがあります。

「できないこと」と「まだできないこと」を分ける

「わたしは高い声が出ない」と思うのと、「わたしは、まだ高い声が出ない」と思うのとでは、気持ちが少しちがいます。

いまできないことは、ずっとできないとはかぎりません。「まだ」ということばをつけるだけで、先を楽しみにする気持ちがのこります。

苦しいときは、少し休んでもいい

くらべる気持ちが強くて、歌うのがつらくなってしまったときは、少しだけ歌からはなれてもだいじょうぶです。好きな歌を聞くだけの日や、ハミングだけの日があってもかまいません。

歌は、がまんしてつづけるものではありません。また「歌いたいな」と思えたときに、もどってくればいいのです。

お子様が「才能がない」と言ったとき

まずは、気持ちを受けとめる

お子様が「ぼく、歌の才能ないもん」と言ったとき、お父様・お母様は「そんなことないよ」と、すぐに言いたくなるかもしれません。

でも、まずは「そう思ったんだね」「くやしかったね」と、気持ちを受けとめてあげてください。気持ちをわかってもらえると、お子様は少し落ちつきます。

理由を、そっと聞いてみる

落ちついてきたら、「どうしてそう思ったの?」とやさしく聞いてみましょう。

  • お友だちのほうが上手だった
  • 先生に注意された
  • 発表会で、思うように歌えなかった
  • だれかに何か言われた

理由がわかると、どんなことばをかければいいか、考えやすくなります。からかわれたことがきっかけのときは、お子様の心のきずに、ていねいによりそってあげてください。

結果ではなく、とりくんだことをほめる

「上手だったね」だけでなく、「毎日練習していたね」「さいごまで歌いきったね」など、お子様がとりくんだことをことばにして伝えてみてください。

結果は、その日の体調や、まわりの人とのめぐり合わせでもかわります。でも、がんばった時間は、お子様の中にちゃんとのこります。

歌が子どもの自信につながっていくことについては、こちらの記事でもお話ししています。歌で子どもの自信を育てる。ほめ方とことばかけ

お父様・お母様の気持ちも、大切に

お子様がうまくいかないと、お父様・お母様のほうが不安になることもあります。「才能がないなら、やめさせたほうがいいのかな」と考えてしまう日もあるかもしれません。

そんなときは、「この子は、歌うことが好きかな」というところに、もう一度目をむけてみてください。好きな気持ちがあるなら、それはとても大切なたからものです。

才能より大切にしたいこと

「好き」という気持ち

歌をつづけるうえで、いちばんの力になるのは「好き」という気持ちだと思います。好きだから、もう一度歌ってみようと思える。好きだから、うまくいかない日もすごせる。

上手かどうかより、歌っているときに楽しいと感じられるかどうか。そこを大切にしてほしいと思います。

つづけること

声は、少しずつかわっていくものです。すぐに結果が見えなくても、つづけているうちに、ふと「前より楽に歌えている」と感じる日がくることがあります。

毎日長い時間でなくてもかまいません。好きな歌を口ずさむだけでも、歌とのつながりはたもたれます。

自分の声を、大切にすること

「才能がない」と思うと、自分の声まできらいになってしまうことがあります。でも、あなたの声は、あなたにしか出せない声です。

のどにむりをさせない、つかれたら休む、という小さな心がけも、自分の声を大切にすることにつながります。のどの痛みやかすれがつづくときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。

聞いてくれる人がいること

家族や友だち、先生など、歌を聞いてくれる人がいると、それだけで歌う楽しさがふえます。「その歌、いいね」と言ってもらえたひとことが、つぎの一歩につながることもあります。

歌とのむき合い方を、少しかえてみるヒント

  • 目標を「上手になる」から「この1曲を楽しく歌いきる」にかえてみる
  • 練習のあとに、できたことを1つだけメモする
  • 自分の声に合う曲を、先生といっしょにさがしてみる
  • ときどき、だれかに聞いてもらう場をつくる
  • 歌えなかった日があっても、自分をせめない

先生にみてもらうと、自分では気づかなかったよさを教えてもらえることもあります。近くの教室やオンラインのレッスンをさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし

まとめ

  • 「歌の才能がない」と感じるのは、まじめに歌とむき合っているからこそ
  • 才能がある人に見えても、見えているのは「いま」の姿だけ
  • 歌のよさは、高い声や大きな声だけではなく、ひとりひとりちがう
  • くらべる相手は「前の自分」に。録音をのこすと変化に気づきやすい
  • お子様が「才能がない」と言ったら、まず気持ちを受けとめて、とりくんだことをほめる
  • 才能より大切なのは、「好き」という気持ちと、むりなくつづけること

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