透き通る声の出し方。息と声のバランスで、すんだ歌声に
「すんだ、透き通る声で歌ってみたい」 「自分の声は、なんだかにごって聞こえる気がする」
歌が好きな方なら、一度はこんなふうに思ったことがあるかもしれません。透き通る声は、聞いている人の心にすっと入ってくるような、気持ちのいい声ですよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。
この記事では、透き通る声の出し方について、すんだ声に聞こえるしくみ、息と声のバランスのとり方、おうちでできる練習、気をつけたいことをまとめます。
声の感じは、生まれつきの声の高さや太さだけで決まるものではありません。息のつかい方や、のどや口のまわりの力のぬき方で、少しずつかわっていくところもあります。むりのない練習から、ためしてみてください。
透き通る声ってどんな声?
聞く人が「すんでいる」と感じる声
透き通る声には、はっきりした決まりがあるわけではありません。ただ、多くの人が「すんだ声だな」と感じるのは、次のような声のことが多いです。
- 声にざらざらした感じや、にごりが少ない
- 息のもれる音が、目立ちすぎない
- 声がこもらず、前にまっすぐとどく
- 力んだ感じがなく、らくに出ているように聞こえる
つまり、声と息がちょうどよくまざって、むだな力がない声、と言いかえることができます。
「細い声」や「小さい声」とはちがう
透き通る声というと、細くて小さな声をイメージする方もいるかもしれません。でも、小さな声でも息がたくさんもれていると、かすれて聞こえます。反対に、大きな声でも、力が入りすぎていると、かたくにごって聞こえます。
透き通る声は、声の大きさよりも、声の「質」にかかわることです。小さめの声でも、大きめの声でも、すんだ感じを出すことはできます。
すんだ声にならない、よくある理由
息がもれすぎている
声を出すとき、のどの奥にある声帯(声を出すための、ひだのような部分)がふるえて音になります。このとき、声帯がうまく合わさらず、すきまから息がもれすぎると、「ハー」という息の音がまざった声になります。
やわらかく歌おうとして、息をたくさんまぜすぎると、こうした声になりやすいです。ささやくような歌い方が合う曲もありますが、ずっと続けると、のどがつかれやすくなることもあります。
のどや首に力が入っている
反対に、のどや首、あごに力が入りすぎていると、声がかたく、しめつけられたように聞こえます。高い音を出そうとして、首をのばしたり、あごを上げたりすると、こうなりやすいです。
のどに力が入る歌い方については、こちらの記事でくわしくまとめています。喉声とは?治し方と、のどに力が入らない歌い方の練習
ひびきが口の中にこもっている
舌が奥のほうにさがっていたり、口があまり開いていなかったりすると、声が口の中でこもってしまい、すんだ感じが出にくくなります。
透き通る声のカギは「息と声のバランス」
息が多すぎても、少なすぎてもにごる
透き通る声を出すときにいちばん大切なのは、息と声のバランスです。
- 息が多すぎる → かすれた、ぼやけた声
- 息が少なすぎて、のどでおしている → かたく、きつい声
- 息と声がちょうどいい → らくで、すんだ声
この「ちょうどいい」ところは、人によってちがいます。また、同じ人でも、歌う高さや大きさによってかわります。なので、決まった答えをさがすより、自分の声を聞きながら、少しずつさがしていくことが大切です。
「息にのせて声を出す」イメージ
よく言われるのが、「息の上に声をのせる」というイメージです。のどで声をおし出すのではなく、ゆっくり流れる息に、声がのって前に出ていくように考えてみてください。
たとえば、ろうそくの火をゆらさないくらいの、やさしい息の流れを思いうかべると、むだな力がぬけやすくなります。
おうちでできる、透き通る声の練習
1 体と首まわりをほぐす
声を出す前に、肩をまわしたり、首をゆっくりかたむけたりして、体をほぐしましょう。あごを軽く手でさすって、力をぬくのもおすすめです。
体がかたいままだと、声もかたくなりやすいです。歌う前の数分で、体の力をぬいておくと、声が出しやすくなります。
2 「スー」と息を細く長くはく
すわったままでも、立ったままでもかまいません。鼻から息をすって、歯のすきまから「スー」と細く、同じ強さで息をはきます。
- 息の音が、とちゅうで強くなったり、弱くなったりしないようにする
- 肩が上がらないようにする
- むりに長くしようとせず、らくにはける長さで止める
この練習で、息を同じ強さで流す感じをつかむことができます。
3 ハミングで、ひびきを感じる
口をとじて、「んー」とハミングしてみましょう。くちびるや鼻のまわりが、少しむずむずするような感じがあれば、ひびきが前に集まっているサインです。
ハミングは、のどに力が入りにくく、声と息のバランスをとりやすい練習です。くわしいやり方は、こちらの記事にまとめています。ハミングのボイトレのやり方。口をとじた練習で、声のひびきをつかもう
4 ハミングから「あー」に開く
ハミングで「んー」と声を出したまま、ゆっくり口を開けて「あー」にかえてみます。このとき、ハミングのときのひびきを、なるべくそのままにすることを意識してみてください。
口を開けたとたんに、声がかたくなったり、息がもれたりする場合は、もう一度ハミングにもどって、くりかえしてみましょう。
5 小さめの声で、やさしく歌う
すんだ声の練習は、大きな声より、小さめの声でするほうがわかりやすいです。好きな曲を、ふだんの半分くらいの大きさで、ていねいに歌ってみましょう。
小さな声でも、息がもれずに、すっと声が出ているかを聞いてみてください。
6 録音して聞いてみる
自分の声は、歌っているときと、録音で聞いたときとで、ちがって聞こえるものです。スマホで録音して、次のようなところを聞いてみましょう。
- 息の音が多すぎないか
- 声がかたくなっているところはないか
- 高い音のときに、声の感じがかわっていないか
はじめは聞くのがはずかしいかもしれませんが、自分の声を知る、とても大切な手がかりになります。
透き通る声に近づくための、ちょっとしたコツ
口の中を少し広くする
あくびをする前のような感じで、口の奥を少し広くすると、声がこもりにくくなります。ただ、大きく開けすぎると、かえって力が入ることもあるので、「ほんの少し」くらいの気持ちでためしてみてください。
母音をそろえる
「あ・い・う・え・お」で、声の感じが大きくかわると、すんだ感じがとぎれてしまいます。とくに「い」や「え」は、口が横に広がりやすく、声がかたくなりがちです。どの母音でも、口の中の広さがあまりかわらないように意識すると、声がそろいやすくなります。
ことばのはじめを、やさしく出す
歌い出しで、のどを強くおして声を出すと、声がかたくなります。反対に、息を先に出しすぎると、かすれた声になります。息と声が、同じタイミングで出るように、やさしく歌いはじめてみてください。
水分をとり、のどをうるおす
のどがかわいていると、声がかすれやすくなります。練習の前や、とちゅうに、水やお茶を少しずつのむようにしましょう。部屋が乾燥しているときは、加湿器をつかうのもひとつの方法です。
お子様が練習するときに気をつけたいこと
お子様の声は、まだ育っているとちゅうです。透き通る声をめざすときも、むりのない練習を心がけてください。
- 練習は短い時間で、楽しくおわる
- 「もっときれいに」と何度もくりかえさせない
- 高すぎる音や、大きすぎる声をつづけない
- お子様がつかれた顔をしたら、すぐに休む
お父様・お母様は、「今の声、すっきりしていたね」など、よかったところをことばにしてあげると、お子様も声の感じに気づきやすくなります。
むりをしないための注意
すんだ声を出そうとして、のどをしめたり、息をむりにおさえたりすると、かえってのどをいためることがあります。
- 練習中にのどが痛くなったら、すぐに休む
- 声がかすれたら、その日は歌うのをやめる
- 長い時間、つづけて練習しない
- かぜをひいているときは、むりに歌わない
痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 透き通る声は、声の大きさよりも、息と声のバランスにかかわる
- 息が多すぎるとかすれ、のどでおすとかたい声になりやすい
- 「息の上に声をのせる」イメージで、むだな力をぬく
- 細く長い息、ハミング、ハミングから「あー」への練習がおすすめ
- 小さめの声でていねいに歌い、録音して聞いてみる
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
透き通る声は、すぐに手に入るものではありませんが、毎日の少しの練習で、近づいていくことができます。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ