ソプラノの発声練習。高い音をきれいにひびかせるコツ
「ソプラノの高い音になると、声がかたくなってしまう」 「声楽の発声練習を、どんなふうにしたらいいのかわからない」
声楽でソプラノを歌っている方や、これからソプラノの曲に挑戦したい方の中には、こんななやみをもっている方も多いと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。ソプラノの歌は、高い音がすっとひびいたとき、とても気持ちのよいものです。そのためには、ふだんの発声練習がとても大切だと感じています。
この記事では、声楽の発声練習の中でも、ソプラノの声にしぼってお話しします。ソプラノならではの声の特徴、練習の前の準備、高い音をきれいにひびかせるための練習のしかた、そしてよくあるなやみまでをまとめました。
声楽の発声そのもののきほんについては、こちらの記事でくわしく書いています。あわせて読んでみてください。声楽の発声のきほん。はじめての人がおさえたいコツと練習
ソプラノの声とは
いちばん高い音を受けもつ声
ソプラノは、女性の声の中で、いちばん高い音を受けもつ声です。お子様の声も、高い音を歌うときはソプラノとよばれることがあります。
ソプラノの曲は、明るく、かがやくような高い音が多いのが特徴です。そのぶん、高い音を力まずにひびかせることが、ソプラノの発声練習の大きな目標になります。
ソプラノの中にも、いろいろな声がある
ひとくちにソプラノといっても、声のタイプはさまざまです。
- 軽くて、細かい動きがとくいな声
- やわらかく、なめらかに歌うのがとくいな声
- 太く、力強くひびく声
どのタイプかは、先生といっしょに、時間をかけて見つけていくものです。はじめから決めなくてもだいじょうぶです。自分の声に合った練習をすることが、いちばんの近道になります。
ソプラノの発声練習の前に
体をほぐす
高い音を出そうとすると、肩や首に力が入りやすくなります。練習の前に、体をやさしくほぐしておきましょう。
- 肩を、ゆっくり上げて、すとんと下ろす
- 首を、左右にゆっくりかたむける
- 両手を上にのばして、大きくのびをする
- ほおや口のまわりを、手でやさしくほぐす
息の流れをととのえる
ソプラノの高い音は、息の流れにのせて出すイメージがとても大切です。
「スー」と、細く長く息をはく練習をしてみましょう。息が、とちゅうでとぎれたり、強くなったり弱くなったりしないように、同じ強さではきつづけます。これだけでも、声の土台がととのっていきます。
いきなり高い音から始めない
練習のはじめから高い音を出すと、のどに負担がかかります。まずは、話し声に近い、楽な高さから始めて、少しずつ音を上げていきましょう。
高い音をきれいにひびかせる練習メニュー
ここからは、ソプラノの方におすすめの、発声練習のメニューを紹介します。どれも、先生に教わったやり方がある場合は、そちらを優先してください。
1. ハミングで、ひびく場所を感じる
口をとじて、「んー」とハミングをします。鼻のあたりや、ほおの骨のあたりが、こまかくふるえるのを感じてみてください。
ソプラノの高い音は、このひびきを、そのまま声にのせていくイメージで歌うと、きれいにひびきやすくなります。
2. 上から下へおりる音型
ソプラノの練習では、高い音から低い音へ、おりていく練習がよく使われます。
たとえば、「ソ・ファ・ミ・レ・ド」と、上からおりてくるように、「ウ」や「オ」の母音で歌ってみましょう。上の音の、軽くてやわらかいひびきを、下の音まで保ったままおりていくのがポイントです。
高い音を「下から持ち上げる」のではなく、「上からそっとおりてくる」感覚を知ると、高い音への苦手意識がへることがあります。
3. 母音をかえて歌ってみる
同じ音の並びを、ちがう母音で歌ってみましょう。
- 「ウ」 口を少しすぼめて、細いひびき
- 「オ」 口の中を、たてに広く
- 「ア」 明るく、ひらいたひびき
- 「イ」「エ」 前にひびく、かがやく声
ソプラノの高い音では、「ア」や「イ」で声がかたくなりやすい方もいます。歌いやすい母音から始めて、その感覚をほかの母音にうつしていくと、ひびきがそろいやすくなります。
4. 軽いスタッカートで、高い音にふれる
「ア・ア・ア」と、短く、はずむように歌うスタッカートの練習も、ソプラノにはよく使われます。
一つひとつの音を、強くおすのではなく、ボールがはねるように軽く出すのがコツです。おなかのまわりが、音といっしょに小さく動くのを感じてみてください。重たくならずに、高い音にふれる練習になります。
5. ゆっくりのばして、ひびきを保つ
楽に出せる高い音を1つえらんで、同じ大きさで、ゆっくりのばしてみましょう。声がゆれたり、のどがしまったりしないか、自分の声をよく聞きながら練習します。
むりに長くのばす必要はありません。きれいなひびきのまま、のばせる長さでじゅうぶんです。
練習曲を使うのもよい方法
声楽では、発声のための練習曲を使うこともあります。たとえば、コンコーネという作曲家の練習曲集は、声楽を習う人のあいだでよく使われています。歌詞のない、母音だけで歌う曲なので、ひびきや音のつながりに集中しやすいのがよいところです。どの練習曲を使うかは、先生と相談してみてください。
ソプラノの発声練習で、よくあるなやみ
高い音で、声がうすくなる
高い音になると、声が細く、うすくなってしまうことがあります。息が足りていなかったり、口の中のスペースがせまくなっていたりすることが、原因のひとつかもしれません。
あくびをする前のように、口の中をたてに広げるイメージで歌ってみると、ひびきが変わることがあります。
高い音で、声がキンキンする
反対に、声がかたく、キンキンひびいてしまうこともあります。高い音を「強く出そう」としすぎると、こうなりやすいです。
音量を少しおとして、やわらかく歌う練習をしてみましょう。小さな声でも、きれいにひびく場所が見つかると、そこから少しずつ声を大きくしていけます。
高い音の前で、体がかたくなる
「次は高い音だ」と思うと、体が先にかたくなってしまうことがあります。高い音の少し前から、肩の力をぬくこと、あごをひきすぎないことを意識してみてください。
鏡を見ながら歌うと、肩が上がっていないか、首に力が入っていないか、たしかめやすくなります。
ことばがはっきりしない
ソプラノの高い音では、ことばがききとりにくくなることがあります。これは、多くのソプラノの人がなやむところです。
高い音ではひびきを優先しながらも、子音を少していねいに発音するよう意識すると、ことばが伝わりやすくなることがあります。
練習を続けるための工夫
録音して、ひびきを聞きくらべる
自分の声は、歌っているときと、外で聞いたときとで、ちがって聞こえるものです。発声練習を、ときどきスマホで録音してみましょう。
高い音がかたくなっていないか、母音によってひびきがかわっていないかを、落ちついて聞きなおすことができます。前の録音と聞きくらべると、小さな変化にも気づきやすくなります。
1回の練習で、目標は1つにしぼる
「高い音も、ことばも、息も」と、一度にたくさんのことを気にすると、体がかたくなりやすいです。今日は「肩の力をぬく」、次の日は「ひびきを上からおろす」など、目標を1つにしぼって練習してみてください。
のどを守るために
練習は、短い時間をこまめに
ソプラノの発声練習は、長い時間つづけるより、短い時間をこまめにするほうが、のどにやさしいことが多いです。つかれたと感じたら、そこで休みましょう。
水分をとり、のどをうるおす
練習の合間に、水を少しずつ飲みましょう。部屋が乾燥しているときは、加湿器などで湿度をととのえるのもおすすめです。
痛みやかすれが続くときは
歌うとのどが痛い、声のかすれが何日も続く、というときは、むりに練習を続けないでください。耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
のどを守ることについては、こちらの記事もあわせて読んでみてください。歌うとのどが痛いのはなぜ?大人の歌い方の見直しとケア
まとめ
- ソプラノは、いちばん高い音を受けもつ声。高い音を力まずにひびかせることが大きな目標
- 練習の前に、体をほぐし、息の流れをととのえる
- いきなり高い音から始めず、楽な高さから少しずつ上げていく
- ハミング、上からおりる音型、母音をかえる練習、スタッカート、のばす練習がおすすめ
- 高い音で声がうすい・キンキンするときは、口の中の広さや音量を見直してみる
- 練習は短い時間をこまめに。痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
ソプラノの発声は、毎日の少しずつの練習で、だんだんと育っていくものです。ひとりで練習するのがむずかしいと感じたら、声楽の先生に見てもらうのもよい方法です。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、今のソプラノの声のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ