歌のスランプのぬけ方。うまくいかない時期のすごし方
「前は楽しく歌えていたのに、さいきんは何をしてもうまくいかない」 「練習するほど、自分の声がきらいになっていく」
歌をつづけていると、こんなふうに、うまくいかない時期がやってくることがあります。いわゆる「スランプ」や「伸び悩み」とよばれる時期です。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌のスランプのぬけ方を、気持ちと休み方にしぼってお話しします。練習のやり方を見直したい方は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。歌は練習しても上手くならない?伸びないと感じるときの見直し方
スランプは、つらいものです。でも、ずっとつづくわけではありません。うまくいかない時期を、少しでも楽な気持ちですごすためのヒントをまとめました。
歌のスランプって、どんな状態?
よくある「スランプかも」のサイン
スランプのかたちは、人によってちがいます。たとえば、こんなことはありませんか。
- 前は出ていた声が、出にくく感じる
- 練習しても、前に進んでいる気がしない
- 自分の録音を聞くのが、いやになった
- 歌う前から「どうせうまくいかない」と思ってしまう
- 好きだったはずの歌が、あまり楽しくない
いくつか当てはまっても、心配しすぎなくてだいじょうぶです。歌をつづけている人の多くが、どこかで同じような時期をすごしています。
スランプは「がんばってきた人」に起こりやすい
スランプは、何もしていない人にはあまり起こりません。毎日練習している人、目標にむかってがんばっている人ほど、「思ったように進まない」と感じやすくなります。
耳がそだってきて、前は気づかなかったところが聞こえるようになった、ということもあります。自分にきびしくなったぶん、できていないところばかりが気になってしまうのです。
のどや体のつかれがかくれていることも
声が出にくい日がつづくときは、気持ちだけでなく、のどや体がつかれていることもあります。ねぶそく、かぜのあと、いそがしい時期などは、声にもえいきょうが出やすくなります。
痛みやかすれ、声の出にくさが何日もつづくときは、むりに練習をつづけず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
スランプのときに、心の中で起きていること
「あせり」がさらに声をかたくする
うまくいかないと、「早くもとにもどさなきゃ」とあせります。あせると体に力が入り、のどや肩がかたくなります。すると、ますます声が出にくくなる、ということがあります。
まずは「いまは、そういう時期なんだ」と、自分の状態をみとめてあげることが大切です。
くらべる気持ちが強くなる
スランプのときは、ほかの人がとても上手に見えます。同じ教室の人や、動画で見る人とくらべて、「わたしだけが止まっている」と感じてしまうことがあります。
でも、まわりの人も、見えないところで同じようななやみをかかえているかもしれません。くらべる気持ちが強いときは、ほかの人の歌を聞く時間を少しへらしてみるのも、ひとつの方法です。
自分をせめてしまう
「練習が足りないからだ」「わたしには向いていないんだ」と、自分をせめてしまう方もいます。でも、スランプは、なまけているから起きるものではありません。
がんばってきた自分を、まずはねぎらってあげてください。
スランプのぬけ方1 思いきって休む
「休む」のも練習のうち
うまくいかないとき、多くの人は「もっと練習しなきゃ」と考えます。でも、スランプのときは、思いきって休むことが、ぬけ出すきっかけになることがあります。
しばらくのあいだ、歌の練習をお休みしてみる。それだけで、気持ちがすっきりして、また歌いたくなることがあります。どれくらい休むかは、自分の気持ちや、先生と相談しながら決めてください。
のどを休めるすごし方
休むあいだは、のどもいたわってあげましょう。
- 水やお茶を、こまめにのむ
- 大きな声で長く話すのを、少しひかえる
- へやがかわいているときは、加湿をする
- ねる時間を、いつもより少し長めにとる
声をまったく出さないようにするより、ふだんの会話くらいは、ふつうにしてかまいません。むりのないはんいで、のどにやさしいすごし方をこころがけてみてください。
歌から少しはなれて、ほかのことをする
散歩をする、本を読む、ゆっくりおふろに入るなど、歌とは関係のないことをする時間も大切です。体を動かすと、気分がかわりやすくなります。
歌のことを考えない時間があると、心にゆとりがうまれます。そのゆとりが、もう一度歌に向かう力になります。
スランプのぬけ方2 「楽しい」をとりもどす
好きな歌を、ただ聞く
練習曲や課題曲からいったんはなれて、自分が好きな歌を、ただ聞いてみましょう。上手に歌おうとしなくていい、ただ楽しむだけの時間です。
「この歌、やっぱり好きだな」と思えると、歌をはじめたころの気持ちを思い出せることがあります。
上手にやろうとしない歌を歌う
お風呂で鼻歌を歌う、家事をしながら口ずさむ、子どものころに好きだった歌を歌ってみる。そんな、だれにも聞かせない歌の時間をつくってみてください。
評価されない歌は、心をほぐしてくれます。音がずれても、声がかすれても、気にしなくていいのです。
いつもとちがうジャンルにふれる
いつも声楽を歌っている方がポップスを口ずさんでみる、いつもカラオケで歌っている方が童謡を歌ってみる。ジャンルをかえると、気分も新しくなります。
新しいものにふれると、「歌って、こんなに楽しいんだった」と思い出すきっかけになることがあります。
スランプのぬけ方3 小さな「できた」を見つける
目標を、いったん小さくする
スランプのときは、大きな目標が重く感じられます。そんなときは、目標をぐっと小さくしてみましょう。
- 今日は、1曲だけ歌えたらいい
- 今日は、ハミングを少しだけやってみる
- 今日は、好きなフレーズを1か所だけ歌う
小さな目標なら、「できた」と感じやすくなります。その「できた」が、少しずつ自信をとりもどしてくれます。
前の録音を聞いてみる
ずっと前に録音した自分の歌を聞いてみると、「前より、ここはよくなっている」と気づけることがあります。
いまはうまくいかないと感じていても、ふりかえると、ちゃんと前に進んできたことがわかるかもしれません。
できたことを書きとめる
練習のあとに、できたことを1行だけメモしてみてください。「肩の力がぬけた」「さいごまで歌えた」など、どんなに小さなことでもかまいません。
書いたものが少しずつたまっていくと、スランプの時期にも、自分をはげます材料になります。
ひとりでかかえこまないために
先生に、正直に話してみる
教室に通っている方は、先生に「さいきん、うまくいかないんです」と話してみてください。先生は、同じような時期をすごす生徒さんを、たくさん見てきていることが多いです。
練習の内容をかえてくれたり、少しペースを落としてくれたりと、いまの状態に合わせて考えてくれるかもしれません。
家族や仲間に聞いてもらう
「うまくいかない」と、だれかに話すだけでも、気持ちが軽くなることがあります。答えをもらえなくても、聞いてもらえるだけで、ひとりではないと感じられます。
本番や結果のあとに落ちこんだとき
コンクールや発表会のあとに気持ちが落ちて、そこからスランプのようになることもあります。結果とのむき合い方については、こちらの記事でくわしくお話ししています。コンクールで思うような結果が出なかったとき。親子でのふりかえり方
お子様がスランプのときの見守り方
「練習しなさい」を少しお休みする
お子様が歌の練習をいやがったり、元気がなかったりするときは、「練習しなさい」と言うのを少しお休みしてみてください。
お父様・お母様があせると、お子様にもその気持ちが伝わります。「いまは休む時期だね」と、ゆったりかまえてあげることが、お子様の安心につながります。
歌を「楽しいもの」にもどしてあげる
いっしょに好きな歌を聞く、車の中で歌う、家族で歌あそびをするなど、練習ではない歌の時間をつくってみてください。
「歌って楽しいね」という時間がもどってくると、お子様のほうから「また練習したい」と言い出すこともあります。
のどのようすも見てあげる
声がかすれている、のどを気にしているようすがあるときは、むりに歌わせないようにしましょう。かすれや痛みがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 歌のスランプや伸び悩みは、がんばってきた人ほど起こりやすい
- あせる気持ちが体をかたくし、声をさらに出にくくすることがある
- 思いきって休むことも、スランプのぬけ方のひとつ
- 好きな歌を聞く、上手にやろうとしない歌を歌うなどで、「楽しい」をとりもどす
- 目標を小さくして、小さな「できた」を見つける
- ひとりでかかえこまず、先生や家族に話してみる
- のどの痛みやかすれがつづくときは、お医者さんに相談する
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