練習・発声のコツ

初見で歌う力をつけるには?はじめて見る楽譜をすらすら歌う練習と、初見視唱のコツ

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「合唱で新しい楽譜をわたされると、どう歌えばいいのかわからない」 「レッスンで、はじめての曲をいきなり歌うのがこわい」

楽譜を見て歌うことにはなれてきても、「はじめて見る楽譜を、その場で歌う」となると、とたんにむずかしく感じる方は多いと思います。

わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。

この記事では、はじめて見る楽譜を歌う「初見」の練習にしぼってお話しします。初見で歌う力は、生まれつきのものではなく、練習で少しずつ育てていけるものです。初見視唱のコツと、おうちで毎日できる練習をまとめました。

楽譜のよみ方のきほんについては、こちらの記事でくわしく書いています。音符や記号にまだ自信がない方は、先に読んでみてください。楽譜が読めなくても歌える?楽譜のよみ方のはじめの一歩

初見で歌うとは?

初見視唱とは

「初見」とは、はじめて見る楽譜を、その場で演奏することです。歌の場合は「初見視唱(しょけんししょう)」とよばれます。「視唱」は、楽譜を見て歌うという意味です。

音楽大学や音楽高校の受験では、はじめて見る短いメロディを歌う試験があることが多く、「新曲視唱」とよばれることもあります。

初見の力がいきる場面

初見で歌う力は、受験だけでなく、いろいろな場面でやくに立ちます。

  • 合唱団で、新しい曲の楽譜をもらったとき
  • 声楽のレッスンで、はじめての曲にとりかかるとき
  • コンクールの課題曲を、さいしょに歌ってみるとき
  • 歌の会などで、知らない曲をみんなで歌うとき

初見でだいたい歌えると、曲をおぼえるまでの時間がみじかくなります。そのぶん、表現や声の出し方の練習に時間を使えるようになります。

歌いはじめる前の「下見」が大切

初見でいちばん大切なのは、歌いはじめる前に、楽譜をさっとながめる「下見」の時間です。いきなり歌いだすより、先に見ておくことで、まちがいがぐっとへります。

調と拍子をたしかめる

まず、楽譜のいちばんはじめを見ましょう。

  • ト音記号のとなりに、シャープやフラットがいくつついているか
  • 何分の何拍子か
  • 速さの記号や、ことばの指示はあるか

シャープやフラットの数で、その曲の調(どの音を中心にした曲か)がわかります。どの音にシャープやフラットがつくのかを、先に頭に入れておきましょう。

はじめの音と、さいごの音を見る

はじめの音がどの高さかを、たしかめます。ピアノやアプリで音をもらえる場合は、はじめの音を聞いてから歌いはじめます。

さいごの音も見ておくと安心です。多くの曲は、その調の中心の音で終わることが多いので、曲の「帰る場所」がわかります。

ぜんたいをながめて、目じるしを見つける

  • 同じメロディがくりかえされるところ
  • いちばん高い音と、いちばん低い音
  • 音が大きくとぶところ
  • 休符や、長くのばす音
  • 途中で出てくるシャープやフラット(臨時記号)

こうした「目じるし」を先に見つけておくと、歌っている途中であわてにくくなります。

下見の時間がみじかいときの順番

受験や合唱の練習では、下見の時間がかぎられていることもあります。時間がないときは、つぎの順番で見るのがおすすめです。

  1. 調と拍子
  2. はじめの音
  3. リズムがむずかしいところ
  4. 音が大きくとぶところ

ぜんぶを見ようとしなくてだいじょうぶです。大事なところから順に見ていきましょう。

初見視唱のコツ

止まらずに、さいごまで進む

初見でいちばん大切なのは、止まらないことです。音を少しまちがえても、もどってやり直さずに、つぎに進みましょう。

合唱や伴奏といっしょに歌うときは、拍は止まらずに進んでいきます。ひとりだけ止まると、もとにもどるのがむずかしくなります。「少しくらいまちがえても、拍に合わせて進む」ことを心がけてください。

リズムを先に、音はあとから

音の高さとリズムを、同時に正しくするのはむずかしいものです。まよったときは、リズムを守ることを先にしましょう。

音の高さが少しずれても、リズムが合っていれば、曲の形はくずれません。反対に、リズムがくずれると、どこを歌っているのかわからなくなってしまいます。

音の動きを「かいだん」と「ジャンプ」で見る

音符を1つずつ読もうとすると、時間がかかります。そこで、音のならび方を、かたまりで見るようにしましょう。

  • となりの音へ動くところは「かいだん」
  • はなれた音へとぶところは「ジャンプ」
  • 同じ音がつづくところは「たいら」

このように見ると、「ここは上がっていく」「ここで大きく下がる」と、メロディの形がつかみやすくなります。

拍を体で感じる

手でひざを軽くたたいたり、指で拍をとったりしながら歌うと、リズムが安定します。受験などで手を動かしてよいかどうかは、場面によってちがうので、先にたしかめておきましょう。

まずは「ドレミ」か「ラ」で歌う

歌詞がついている楽譜でも、初見ではまず「ドレミ」や「ラ」などの音で歌ってみるのがおすすめです。ことばと音を同時に読むのは、たいへんだからです。

音がつかめたら、つぎに歌詞をのせて歌ってみましょう。ドレミで歌う練習については、こちらの記事にくわしく書いています。ドレミで歌う練習。ソルフェージュとは?子どもにも大人にもやさしく

毎日できる初見の練習

やさしい楽譜を、たくさん歌う

初見の力をつけるには、むずかしい曲を1曲ていねいに練習するより、やさしい短い楽譜を、たくさん歌うほうが向いています。

子ども向けの歌の楽譜や、短い練習曲など、いまの自分が少しがんばれば歌えるくらいのものをえらびましょう。1回の練習で、短いメロディを2つか3つ歌うだけでもかまいません。

1回めを大切にする

初見の練習では、1回めに歌うときが、いちばん大切です。1回めは止まらずに、さいごまで歌ってみましょう。

2回めに、ピアノやアプリで音をたしかめながら、まちがえたところを直します。何回も歌ったあとでは、もう「初見」ではなくなってしまうので、1回めの練習をいつも意識してみてください。

録音してふりかえる

1回めに歌ったものをスマホで録音しておき、あとで正しい音と聞きくらべてみましょう。

  • どこで音がずれたか
  • どこでリズムがくずれたか
  • どこで止まりそうになったか

自分のくせがわかると、つぎに楽譜を見るときに、気をつけるところがわかるようになります。

音のはばの練習をする

初見がにがてな方は、音と音のはばを歌う練習をしておくと、ジャンプのところで迷いにくくなります。

  • ドとミ
  • ドとソ
  • ドと上のド

このような音を、ピアノやアプリでたしかめながら歌ってみましょう。よく知っている歌のはじまりの音の動きと結びつけて覚えると、思い出しやすくなります。

合唱の人は、自分のパートで練習する

合唱をしている方は、もらった楽譜の自分のパートを、まず初見で歌ってみるのもよい練習です。そのあとで、音取りの音源などでたしかめると、自分がどこでまちがえやすいかがわかります。

つまずきやすいところと工夫

途中で出てくるシャープやフラット

曲の途中で出てくる臨時記号は、見おとしやすいところです。下見のときに見つけて、えんぴつで小さくしるしをつけておくと安心です。

付点のリズムや、タイ

付点のついた音符や、音と音をつなぐタイは、リズムがくずれやすいところです。歌う前に、そのところだけ手でリズムをたたいてみましょう。

長い休符

休符のあいだも、拍は進んでいます。休符のところで心の中で拍をかぞえておくと、つぎの入りがずれにくくなります。

高い音や低い音がつづくところ

初見のときは、むりに大きな声を出さなくてだいじょうぶです。正しい音をさがすことを先にして、声はらくに出せるくらいにしておきましょう。のどがつかれたら、休むことも大切です。

先生といっしょに練習するよさ

ひとりでの練習でも初見の力は育ちますが、先生にみてもらうと、自分では気づきにくいくせを教えてもらえます。

  • 下見のときに、どこを見ればいいか
  • 自分がどんな音のはばでまちがえやすいか
  • いまの力に合った楽譜のえらび方

声楽やソルフェージュのレッスンでは、初見の練習をとり入れている教室もあります。レッスンの内容は教室によってちがうので、体験レッスンなどで聞いてみてください。

まとめ

  • 初見視唱とは、はじめて見る楽譜をその場で歌うこと
  • 歌う前の下見で、調、拍子、はじめの音、目じるしをたしかめる
  • 止まらずに進み、まよったらリズムを先に守る
  • 音の動きは「かいだん」「ジャンプ」「たいら」のかたまりで見る
  • やさしい楽譜をたくさん歌い、1回めを大切にして、録音でふりかえる
  • 臨時記号や付点、休符は、下見でしるしをつけておく

初見で歌う力は、毎日の小さな練習で、少しずつ育っていきます。新しい曲に出会うのが楽しみになると、歌の世界がもっと広がります。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、つぎの練習のヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ

中学生高校生おとな声楽合唱

つぎの一歩を さがす

あわせて読みたい