指導者がいない合唱団の練習のすすめ方。みんなで決めるコツと、毎回の練習の流れ
「先生がやめることになって、合唱団に指導者がいなくなってしまった」 「指導者のいない合唱団で、どんなふうに練習をすすめればいいのかわからない」
合唱団に指導者がいないとき、こんなふうにこまってしまうこともあると思います。いつも前に立ってくれる人がいないと、何からはじめればいいのか、まよってしまいますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、指導者がいない合唱団の練習のすすめ方にしぼってお話しします。役わりの分け方、毎回の練習の流れ、声と音をそろえる工夫、そして、みんなで話し合って決めるときのコツをまとめました。指導者がいなくても、みんなで少しずつ工夫すれば、歌う楽しさはつづけていけます。
指導者がいない合唱団で、まず考えたいこと
「先生のかわり」をひとりにまかせない
指導者がいなくなると、「だれか前に立ってくれる人を」と、ひとりにお願いしたくなります。でも、ひとりに全部をまかせると、その人がつかれてしまったり、お休みした日に練習が止まってしまったりします。
指導者のいない合唱団では、先生がしていたことを、いくつかに分けて考えるのがおすすめです。
- 練習の前に、体と声をほぐす
- その日に練習するところを決める
- 音をとる、音を出す
- 歌を聞いて、気づいたことを伝える
- 本番や行事の予定を考える
こうして分けてみると、「これならわたしもできそう」という役わりが見つかりやすくなります。
団のめあてを、もう一度ことばにする
指導者がいたころは、先生が方向を決めてくれていたかもしれません。いなくなったときこそ、みんなで「この合唱団は、何を大切にしたいのか」を話してみましょう。
- とにかく楽しく歌いたい
- 地域の行事で歌うことを目標にしたい
- 少しずつ、むずかしい曲にも挑戦したい
- 長くつづけられる場所にしたい
めあてがはっきりすると、練習のすすめ方や、曲のえらび方を決めるときに、まよいにくくなります。
役わりを分けて、みんなでささえる
あると助かる役わり
合唱団の大きさによってちがいますが、たとえばこんな役わりがあると、練習がすすめやすくなります。
- 進行の係:その日の練習の流れを声に出して伝える
- 準備運動の係:体をほぐす、息の練習をリードする
- 音とりの係:ピアノや音源で、パートの音を出す
- 聞き役:みんなの歌を少しはなれて聞いて、気づいたことを伝える
- 記録の係:練習で決めたことをメモして、みんなに知らせる
役わりは、交代でもいい
役わりは、ずっと同じ人でなくてもかまいません。月ごと、練習ごとに交代すると、ひとりの負担がへります。それに、いろいろな人が前に立つことで、「人に伝えるむずかしさ」もわかり合えます。
ピアノがひける人がいない場合は、パートごとの音源を用意しておくと、音とりがぐっとらくになります。音とりのやり方は、こちらの記事にもまとめています。合唱の音取りのやり方。自分のパートを早くおぼえる練習のコツ
毎回の練習の流れを決めておく
流れが決まっていると、まよわない
指導者がいない合唱団でいちばんこまりやすいのが、「今日は何をするの?」と、みんなが顔を見合わせてしまうことです。そこで、毎回の練習の流れを、だいたい決めておきましょう。
- 体をほぐす、肩や首をまわす
- 息をゆっくりはく練習をする
- ハミングや、やさしい声で声出しをする
- パートごとに音をたしかめる
- 全体で合わせる
- 録音を聞いて、気づいたことを話す
- 次回にやることを決める
毎回同じ流れにすると、進行の係がかわっても、練習がすすめやすくなります。合唱の声出しのメニューは、こちらの記事も参考になります。合唱の発声練習メニュー。合唱部やクラス合唱で、みんなの声をそろえる練習
「今日やるところ」をしぼる
指導者がいないと、つい最初から最後まで、何回も通して歌ってしまいがちです。でも、通して歌うだけだと、むずかしいところはなかなかよくなりません。
その日に練習するところを、あらかじめしぼっておきましょう。
- 前回うまくいかなかったところ
- 音がとりにくいところ
- 入りがそろいにくいところ
- 終わり方がばらばらになるところ
しぼったところをていねいに練習して、さいごに全体を通すと、「今日はここがよくなった」と感じやすくなります。
指導者がいなくても、声と音をそろえる工夫
録音して、みんなで聞く
指導者がいないとき、いちばんたよりになるのが録音です。歌っているときは、自分たちの声がどう聞こえているか、なかなかわかりません。スマホで録音して、みんなで聞いてみましょう。
聞くときは、こんなところに耳をむけてみてください。
- 歌い出しがそろっているか
- パートの声の大きさに、かたよりがないか
- ことばがはっきり聞こえるか
- 音がだんだん下がっていないか
輪になって歌ってみる
いつもの並び方をかえて、輪になって歌ってみるのもひとつの方法です。ほかのパートの声がよく聞こえるので、声を合わせる感覚がつかみやすくなります。
「聞き役」を交代で
全員が歌っていると、全体のひびきがわかりにくいものです。何人かずつ交代で、少しはなれたところから聞く役をつくると、「アルトの声がもう少しほしい」「ここは強すぎる」といったことに気づきやすくなります。
息をそろえる合図を決める
指揮をする人がいない場合でも、歌い出しや終わりの合図を決めておくと、そろいやすくなります。だれかが小さくうなずく、みんなでいっしょに息をすう、など、かんたんな合図でかまいません。
みんなで話し合って決めるコツ
意見を言いやすい場をつくる
指導者がいない合唱団では、みんなで話し合って決めることがふえます。でも、話し合いがうまくいかないと、気まずくなってしまうこともあります。
- 「いいところ」から先に言う
- 人ではなく、歌について話す(「あの人の声が」ではなく、「この部分のひびきが」)
- 長くなりすぎないよう、話す時間を決めておく
- 声の大きい人だけの意見で決めない
人の名前を出さず、「サビの入り」「アルトの低いところ」のように、歌の場所で話すと、だれも気まずくなりにくいです。
決めかたを、先に決めておく
「どうやって決めるか」をあらかじめ決めておくと、話し合いがすっきりします。
- 多い意見で決める
- まずためしに歌ってみて、よかったほうにする
- 進行の係が、さいごに決める
- まよったら、次回までにもう一度考える
とくに歌い方のことは、ことばで話し合うより、両方ためして録音を聞きくらべるほうが、みんなが納得しやすいこともあります。
決めたことは、記録にのこす
「この部分はやさしく歌う」「ここで息つぎをする」など、決めたことは楽譜に書きこんだり、メモにのこしたりしましょう。お休みした人にも伝わり、同じことを何回も話し合わずにすみます。
ときどき、外の力も借りてみる
単発のレッスンをお願いする
指導者がいない合唱団でも、ずっと自分たちだけでがんばる必要はありません。ときどき、声楽や合唱にくわしい方に来てもらい、単発のレッスンをお願いするのもひとつの方法です。
自分たちでは気づけなかったことを教えてもらえると、そのあとの練習のヒントになります。
団員ひとりひとりが学ぶ
団員のだれかが、個人で歌のレッスンに通うのもよい方法です。習ったことを団の練習で少し伝えてもらうと、みんなの学びにもつながります。
のどと体に、むりをさせない
指導者がいないと、つい長い時間、大きな声で歌いつづけてしまうことがあります。とちゅうで休けいをとり、水をのんで、のどを休めましょう。
声がかすれる、のどが痛いといった様子があれば、その日はむりをせず、聞く役にまわってもかまいません。痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 指導者がいないときは、先生のしていたことをいくつかに分けて考える
- 役わりは何人かで分けて、交代でもよい
- 毎回の練習の流れを決めておくと、まよわずにすむ
- その日に練習するところを、しぼっておく
- 録音、輪になって歌う、聞き役の交代で、声と音をそろえる
- 話し合いは「決めかた」を先に決め、決めたことは記録にのこす
- ときどき外の先生に来てもらうのもひとつの方法
指導者がいない合唱団でも、みんなで工夫すれば、歌うよろこびをわかちあえます。団の練習とあわせて、個人でも歌を学びたくなったら、近くの教室をさがしてみてください。歌の教室さがしまた、こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ