合唱の発声練習メニュー。合唱部やクラス合唱で、みんなの声をそろえる練習
「合唱部の発声練習、毎日同じでいいのかな」 「クラス合唱のリーダーになったけれど、何から練習すればいいのかわからない」
合唱では、ひとりで歌うときとはちがって、みんなの声をそろえることが大切です。そのために、歌う前の発声練習は、とても役に立ちます。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。ソロでも合唱でも、歌う前の声の準備が、そのあとの歌声を左右すると感じています。
この記事では、合唱の発声練習について、合唱部の毎日の練習や、中学生のクラス合唱でもつかえるメニューをまとめました。指揮をする人、パートリーダー、先生、そしてお子様をおうえんするお父様・お母様にも読んでいただける内容です。
合唱の発声練習で大切にしたいこと
「ひとりの声」より「みんなの声」
ソロの発声練習は、自分の声をよくすることが中心です。合唱の発声練習では、それに加えて、まわりの声を聞きながら、声をそろえることが大切になります。
- 声の大きさをそろえる
- 母音(あいうえお)のひびきをそろえる
- 息つぎや、歌いはじめのタイミングをそろえる
- 音の高さを、みんなで合わせる
まわりの声を聞く習慣
合唱の発声練習では、「自分の声を出す」ことと「まわりの声を聞く」ことを、同時に練習します。はじめはむずかしく感じるかもしれませんが、毎日の発声練習でくりかえすうちに、少しずつなれていきます。
合唱の発声練習メニュー
ここでは、合唱部やクラス合唱で、10分から15分ほどでできるメニューをしょうかいします。時間に合わせて、えらんで組み合わせてください。
1 みんなで息をそろえる
まずは、声を出さずに、息だけで練習します。
- 全員でまっすぐ立ち、肩の力をぬく
- 指揮をする人の合図で、鼻からゆっくり息をすう
- 「スー」と、8カウントで息をはく
- なれてきたら、12カウント、16カウントとのばしていく
全員が同じタイミングで息をすって、同じタイミングではきおえることを目指します。息の音がそろってくると、それだけで「ひとつのグループ」という感じが生まれます。
2 ハミングでひびきを合わせる
口をとじて、「んー」とハミングをします。ピアノで1つの音を鳴らし、その音にみんなで合わせてみましょう。
- 小さめの声で、やさしく出す
- となりの人の声が聞こえるくらいの大きさにする
- 鼻やくちびるのあたりがひびく感じをたしかめる
大きな声を出す前に、ハミングで声をならしておくと、のどにもやさしく、声がそろいやすくなります。
3 声のサイレン
「ウ〜」と、低い声から高い声へ、高い声から低い声へと、サイレンのように声をなめらかに動かします。声が切りかわるところでも、できるだけなめらかにつなぐことを意識しましょう。
男子と女子で、出しやすい高さがちがうので、むりのないはんいで行ってください。
4 母音をそろえる練習
合唱で声がそろって聞こえるかどうかは、母音のひびきが大きくかかわります。同じ「あ」でも、口の形が人によってちがうと、声がばらばらに聞こえてしまいます。
- ひとつの音の高さで、「あ・え・い・お・う」と、ゆっくり歌う
- 口の形を、みんなで鏡のようにそろえる
- とくに「い」と「え」は、口を横に広げすぎないようにする
「い」や「え」は、口を横に引きすぎると、声がかたく、うすくなりやすいです。口の中を少したてに広げるイメージで歌うと、ほかの母音とひびきがそろいやすくなります。
5 5つの音の音階
「ドレミファソファミレド」の5つの音を、「マ」や「ナ」などの音で歌います。1回歌うごとに、半音ずつ高くしていきます。
- はじめは、だれでも出しやすい高さから
- 苦しくなる手前で止める
- 高くなっても、口の形や声の色をかえないようにする
この練習は、声の高さを広げるだけでなく、音の高さをみんなでそろえる練習にもなります。
6 和音(ハーモニー)の練習
合唱らしい発声練習として、和音の練習もおすすめです。
- ピアノで「ド・ミ・ソ」の和音を鳴らす
- パートごとに、「ド」「ミ」「ソ」をうけもつ
- 「ナー」や「ルー」で、みんなで同時に声を出す
- ほかのパートの音を聞きながら、音の高さを合わせる
きれいに合うと、ひびきがすっと広がるように感じられることがあります。その感じを、みんなで味わってみてください。パートのちがいについては、こちらの記事もあわせてどうぞ。合唱のパートのちがい。ソプラノ・アルト・テノール・バスと、自分に合うパートの見つけ方
7 ことばをそろえる練習
さいごに、ことばの練習をします。早口ことばや、これから歌う曲の歌詞を、メロディなしで、みんなで声をそろえて読んでみましょう。
- 子音(ことばのはじめの音)を、はっきり出す
- 文のおわりの「ん」や「た」などの音を、みんなで同じタイミングで切る
- ことばのまとまりを意識して読む
ことばがそろうと、合唱の歌詞がぐっと聞きとりやすくなります。
合唱部の発声練習のくふう
毎日の流れを決めておく
合唱部では、毎日の発声練習の流れを決めておくと、練習がスムーズに進みます。
- 息の練習(2分)
- ハミング(2分)
- 声のサイレン(1分)
- 母音をそろえる練習(2分)
- 5つの音の音階(3分)
- 和音の練習(3分)
このくらいで、だいたい13分ほどです。時間がない日は、1・2・5だけでもよいと思います。
ときどき内容をかえる
毎日まったく同じメニューだと、あきてしまったり、なんとなくこなすだけになったりすることがあります。週に1回くらい、新しい練習を入れたり、母音や音の種類をかえたりすると、集中しやすくなります。
パートごとの発声練習
全体の発声練習のあとに、パートごとにわかれて、少しだけ練習するのもおすすめです。パートリーダーが前に立ち、自分たちの音の高さに合わせて練習すると、パートの声がまとまりやすくなります。
中学生のクラス合唱での発声練習
短い時間でできるものをえらぶ
クラス合唱の練習は、時間がかぎられていることが多いです。5分ほどで、「息の練習」「ハミング」「5つの音の音階」の3つだけでも、やるとやらないとでは、声の出方がかわってきます。
はずかしさを、なくす工夫
中学生になると、みんなの前で声を出すことを、はずかしく感じる人もいます。
- はじめは、ハミングなど小さな声の練習からはじめる
- 全員で輪になって、たがいの声を聞き合う
- 「大きな声を出して」ではなく、「となりの人の声に合わせて」と声をかける
まずは、声を出すことに安心できるふんいきを作ることが大切です。
声がわりの時期の人への気くばり
中学生の時期は、声がわりをむかえる人も多いです。高い声が出にくくなったり、声がひっくり返りやすくなったりすることがあります。声がわりの時期は、むりに高い音を出させず、出しやすい高さで歌えるように、気をくばってあげてください。声がわりについては、こちらの記事にまとめています。声がわりの時期の男の子と歌。続けていい?気をつけたいこと
前に立って発声練習をすすめる人へ
声かけは短く、わかりやすく
発声練習をすすめるときは、「もっと大きく」より、「となりの声を聞いて」「口をたてにあけて」のように、何をすればよいかがわかる声かけが伝わりやすいです。説明は短くして、声を出す時間を多くとるようにしましょう。
よくなったところを伝える
「さっきより、息がそろってきたね」「和音がきれいにひびいたね」と、よくなったところを、みんなに伝えてください。前に立つ人のひとことで、練習のふんいきは大きくかわります。
発声練習で気をつけたいこと
- 大きな声を出しすぎない。とくに練習のはじめは小さめの声で
- 高い音を、むりに出さない
- 練習のあいだに、水をのめる時間をつくる
- 声がかすれている人は、その日は聞く練習にまわる
- のどの痛みやかすれが何日も続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
合唱では、みんなでがんばろうとするあまり、つい声を出しすぎてしまうことがあります。のどを大切にしながら、練習を続けてください。
まとめ
- 合唱の発声練習では、まわりの声を聞きながら、声をそろえることが大切
- 息、ハミング、声のサイレン、母音、音階、和音、ことばの順に練習するとよい
- 合唱部では、毎日の流れを決めつつ、ときどき内容をかえる
- 中学生のクラス合唱では、短い時間でできるメニューと、はずかしさをなくす工夫を
- 声がわりの時期の人には、むりに高い音を出させない
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
合唱でみんなと声を合わせる経験は、ひとりで歌うときにも、きっと生きてきます。ひとりでの歌にもチャレンジしてみたくなったら、こどもの歌声グランプリに出てみるのもよい目標になります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌声を見つめなおすきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ