シニアの歌の会で使う、見やすい歌詞カード・楽譜の作り方
「歌の会で歌詞カードをくばったけれど、字が小さくて読みにくいと言われた」 「シニアの方にも見やすい楽譜や歌詞カードは、どう作ればいいの?」
高齢者施設やデイサービス、地域の集まりなどで歌の会をひらくとき、歌詞カードや楽譜の見やすさは、とても大切です。どんなに楽しい歌でも、歌詞が読めないと、歌に入りにくくなってしまいます。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌の会では、上手に歌うことより、みなさんが安心して声を出せることがいちばんです。そのための道具の1つが、見やすい歌詞カードです。
この記事では、シニアの方のための歌詞カードと楽譜の作り方にしぼって、字の大きさ、書体、色、紙のえらび方などをまとめます。歌の会の曲のえらび方や、すすめ方については、べつの記事にくわしく書いています。高齢者施設・デイサービスの歌の会。みんなで歌いやすい童謡・唱歌のえらび方と進め方
シニアの方にとって「見やすい」とは
年齢とともに、見え方はかわる
年齢を重ねると、近くの小さな字が見えにくくなったり、うすい色の字が読みにくくなったりする方が多くなります。また、明るさによって見え方がかわることもあります。
そのため、若い方が「これくらいで読める」と感じる大きさでは、シニアの方には小さいことがよくあります。作るときは、「少し大きすぎるかな」と思うくらいがちょうどよいと考えてください。
見やすいカードの3つのポイント
見やすい歌詞カードには、次の3つのポイントがあります。
- 字が大きく、太めで、はっきりしている
- 字と紙の色に、しっかりした差がある
- 1枚の中の情報が、多すぎない
この3つを意識するだけで、ぐっと読みやすくなります。
歌詞カードの作り方
字の大きさのめやす
字の大きさは、パソコンで作る場合、ふつうの書類よりかなり大きめにするのがおすすめです。手に持って読むカードなら、ふつうの書類の2倍くらいの大きさを、ひとつのめやすにしてみてください。
ただ、見え方は人によってちがいます。いちど試しに印刷して、実際に参加される方に見てもらい、「読みやすいですか」と聞いてみるのがいちばん確かです。
書体(字の形)のえらび方
書体は、線の太さが同じで、はっきりした形のものがおすすめです。
- ゴシック体のような、線が太くてまっすぐな書体
- 「ユニバーサルデザイン」とうたっている、読みやすさを考えた書体
- 細い明朝体や、くずした手書き風の書体は、さける
太字の設定をつかって、字を少し太くするのも、読みやすくする方法の1つです。
漢字にはふりがなを
むずかしい漢字や、昔のことばには、ふりがなをつけると安心です。童謡や唱歌には、ふだんあまり使わないことばも出てきます。ふりがなは小さくなりすぎないように気をつけてください。
行の分け方と、すき間
歌詞は、メロディーの区切りに合わせて、1行に入れることばを短めにします。
- 1行は、ひと息で歌える長さにする
- 1番、2番、3番のあいだは、1行あける
- 行と行のあいだを、少し広めにとる
- くりかえしの部分も、省略せずに書く
「くりかえし」と書いて省略すると、どこにもどればいいのか、まよってしまう方もいます。少し長くなっても、全部書いておくほうが、歌いやすいことが多いです。
色のえらび方
字は黒、紙は白か、うすいクリーム色がおすすめです。字と紙の色の差がはっきりしていると、読みやすくなります。
- うすい灰色や、明るい黄色の字は、さける
- 背景に、もようや写真を入れない
- 赤い字は、見えにくい方もいるので、多用しない
色をつけたいときは、題名のまわりなど、歌詞ではないところに、少しだけ入れるとよいと思います。
紙の大きさとカードの形
手に持つカードと、前にはる紙
歌詞を見てもらう方法には、手に持つカードと、前にはる大きな紙(または画面)があります。
- 手に持つカード:自分の見やすい距離で読める
- 前にはる紙や画面:みんなで同じところを見られる。顔が上がり、声が出しやすい
参加される方の人数や、お部屋の広さに合わせてえらんでください。両方を用意しておくと、どちらか見やすいほうをえらんでもらえます。
手に持つカードの大きさ
手に持つカードは、大きすぎると持ちにくく、小さすぎると字が小さくなります。ふつうの書類と同じくらいの紙を、1曲1枚で使うと、あつかいやすいことが多いです。
- 1曲を1枚におさめる(うらにつづけない)
- 手がふるえる方には、厚めの紙がもちやすい
- 何度も使うなら、ラミネートやクリアファイルに入れる
ラミネートをすると、光がはね返って見えにくくなることもあります。つやのない加工をえらぶか、明かりの位置を気にしてみてください。
前にはる大きな紙
前にはる紙は、うしろの席の方にも見えるように、字をとても大きく書きます。模造紙に手書きする場合は、太いペンで、ゆっくりていねいに書きましょう。
画面にうつす場合も、1画面の行数を少なくし、字を大きくするのがポイントです。
楽譜を見やすくする工夫
楽譜が必要な方へ
合唱や、楽器をいっしょに演奏する会では、楽譜をつかうこともあります。シニアの方の中には、楽譜を見ながら歌いたい方もいらっしゃいます。
- 拡大コピーして、音符と歌詞を大きくする
- 1ページの段数を少なくする
- 歌詞の行だけ、太く書きなおす
- 息つぎの場所に、目立つしるしをつける
楽譜を拡大するときは、使い方のきまりにも気をつけてください(下でお話しします)。
楽譜がにがてな方へ
楽譜を読むのがにがてな方には、歌詞カードに、ちょっとした目印を入れると歌いやすくなります。
- 高くなるところに、上向きの矢じるし
- のばすところに、横線
- 息つぎのところに、小さなしるし
目印は、多すぎるとかえって見にくくなります。1曲に2つか3つくらいにしぼるのがおすすめです。
使い方のきまりを確かめる
歌詞や楽譜には、作った人の権利があります。歌詞カードを作ってくばるときや、楽譜をコピーするときは、使い方のきまりを確かめてから作るようにしてください。
- 古くから歌われている童謡や唱歌でも、念のため確かめる
- 新しい歌は、とくに注意する
- 施設や団体の担当の方に、ルールを聞いてみる
- わからないときは、くわしい窓口や専門の方に相談する
きまりを守って作ることで、安心して歌の会をつづけることができます。
歌の会の当日に、カードを使いやすくする工夫
くばり方とならべ方
当日は、歌う順番どおりにカードをかさねて、1人分ずつまとめておくと、くばるときにあわてずにすみます。カードのはしに、大きく番号を書いておくのもおすすめです。「つぎは3番のカードです」と声をかけると、どのカードを見ればよいか、すぐにわかります。
- カードの右上に、大きな番号を書く
- 1曲ごとに、題名をいちばん上に大きく書く
- 歌いおわったカードは、うしろに回してもらう
目が見えにくい方への気づかい
字を大きくしても読みにくい方には、となりに座る方や、スタッフの方が、歌い出しのことばを先に小さく声に出して伝える方法もあります。歌詞を読むことにいっしょうけんめいになりすぎず、知っているところだけでも口ずさめれば、それでじゅうぶんです。
また、席の位置も大切です。窓からの光がまぶしい席や、明かりのかげになる席では、カードが見えにくくなります。明るさがちょうどよい席を、カードが読みにくい方にすすめてみてください。
作ったあとに、たしかめたいこと
歌詞カードができたら、歌の会の前に、次のことをたしかめておきましょう。
- 参加される方に、試しに読んでもらう
- お部屋の明るさで、読みやすいかを見る
- 歌詞にまちがいがないか、ゆっくり読みなおす
- 曲の順番どおりに、カードをならべておく
歌詞をおぼえたい方には、カードを持ち帰ってもらうのもよいと思います。シニアの方の歌詞のおぼえ方は、こちらの記事にまとめています。シニアが歌詞をおぼえるコツ。あせらず、楽しくつづけるための工夫
まとめ
- シニアの方には「少し大きすぎるかな」と思うくらいの字がちょうどよい
- 書体は、線が太くてはっきりしたものをえらぶ
- 字は黒、紙は白かうすいクリーム色で、色の差をはっきりと
- 1行はひと息で歌える長さにし、くりかえしも省略せずに書く
- 手に持つカードと前にはる紙を、人数やお部屋に合わせてえらぶ
- 楽譜は大きくし、目印は少なめにしぼる
- 歌詞や楽譜の使い方のきまりを確かめてから作る
見やすい歌詞カードがあると、みなさんの顔が上がり、声もしぜんと出やすくなります。歌の会で歌うことがもっと楽しくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、歌の会の仲間やご家族といっしょに楽しむきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ