声優やナレーションにあこがれる子へ。おうちでできる発声練習と、歌とのつながり
「アニメの声の人になりたい」 「テレビのナレーションみたいに、かっこよく読んでみたい」
アニメや動画を見ているうちに、声の仕事にあこがれるお子様は少なくありません。お気に入りのキャラクターのセリフをまねしたり、絵本を声色をかえて読んだりする姿を見て、「この子は声の仕事に向いているのかな」と感じるお父様・お母様もいるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌も、声の仕事も、「声で気持ちを伝える」という点では、とても近いところにあります。
この記事では、声優やナレーションにあこがれるお子様のために、おうちでできる発声練習と、歌の練習とのつながりについてまとめました。将来の夢がまだはっきりしていなくても、声をつかう楽しさにふれるきっかけになればうれしいです。
声の仕事で大切にされること
「よい声」より「伝わる声」
声の仕事というと、「きれいな声」「かっこいい声」が大切だと思われがちです。もちろん声の個性も大切ですが、それと同じくらい大切なのが「伝わる声」です。
- ことばがはっきり聞きとれる
- 気持ちや場面が、声から伝わる
- 長く話しても、声がつかれにくい
これらは、生まれつきの声だけで決まるものではありません。練習で少しずつ身につけていくことができます。
声優とナレーションのちがい
声優は、アニメやゲームなどで、キャラクターになりきって声をあてる仕事です。ナレーションは、テレビ番組や動画などで、場面を説明したり、ことばを読んだりする仕事です。
- 声優:キャラクターの気持ちを、声で表現する
- ナレーション:内容を、わかりやすく、ききやすく伝える
どちらも、正しい発声と、はっきりした話し方が土台になります。
おうちでできる発声練習
1 姿勢をととのえる
声を出す前に、まず姿勢をととのえましょう。
- 足を肩はばくらいに開いて立つ
- 頭のてっぺんが、上から糸で引っぱられているイメージ
- 肩の力をぬいて、あごを引きすぎない
すわって読むときも、背中をまるめず、楽にのばしておくと声が出しやすくなります。
2 息をゆっくりはく
声は、息にのって出てきます。まずは、息をゆっくり長くはく練習をしてみましょう。
- 鼻から、ゆっくり息をすう
- 口を少しすぼめて、「スー」と細く長く息をはく
- 何秒続くか、時計で数えてみる
「きのうより1秒長くできた」など、記録をつけるとお子様もやる気になります。苦しくなるまでがんばる必要はありません。
3 「ア・エ・イ・ウ・エ・オ・ア・オ」で口を動かす
声の仕事の練習でよくつかわれるのが、母音(ア・イ・ウ・エ・オ)をはっきり出す練習です。
- 「ア」は口をたてに大きく
- 「イ」は口を横に引く
- 「ウ」はくちびるを前につき出す
- 「エ」は口を横に少し開く
- 「オ」は口をまるくする
鏡を見ながら、口の形がかわっているかをたしかめてみましょう。大げさなくらいに動かすのがコツです。
4 早口ことばであそぶ
ことばをはっきり話す練習には、早口ことばがぴったりです。
- 「生麦生米生卵」
- 「となりの客はよく柿食う客だ」
- 「赤巻紙青巻紙黄巻紙」
はじめは、ゆっくり、一つひとつの音をていねいに言うことが大切です。速く言えることより、はっきり言えることを目標にしましょう。ことばをはっきり話す練習は、こちらの記事でもくわしくまとめています。歌の滑舌をよくする練習。ことばがはっきり伝わる歌い方
5 絵本や教科書を音読する
声の仕事の練習には、音読がとても役に立ちます。
- 句読点(、。)で、少し間をとる
- 会話の部分は、登場人物になりきって読む
- 説明の部分は、落ち着いた声で読む
同じ文章を、「うれしそうに」「かなしそうに」「ひそひそ声で」など、気持ちをかえて読んでみるのも楽しい練習です。
6 録音して聞いてみる
スマホで自分の声を録音して、聞いてみましょう。
- ことばが聞きとりやすいか
- 速すぎないか
- 気持ちが声に出ているか
はじめは自分の声を聞くのがはずかしいかもしれません。お父様・お母様が「ここ、わかりやすかったね」と、よいところを見つけてあげると、お子様も前向きにとりくめます。
歌の練習は、声の仕事にどうつながる?
息のつかい方が身につく
歌では、長いフレーズを一息で歌ったり、息つぎの場所を考えたりします。この「息をコントロールする力」は、長いセリフやナレーションを読むときにも、そのまま役に立ちます。
声のはばが広がる
歌の練習では、高い声や低い声、やわらかい声や力強い声など、いろいろな声を出します。声のはばが広がると、ちがうキャラクターや場面に合わせた声をつくりやすくなります。
リズム感と「間」がわかるようになる
歌にはリズムがあります。リズムに合わせて歌う練習をしていると、ことばのテンポや「間(ま)」の感覚が自然と身についていきます。セリフやナレーションでも、この「間」が、伝わり方を大きくかえます。
気持ちをこめる練習になる
歌では、歌詞の意味を考えて、気持ちをこめて歌います。これは、セリフに気持ちをこめることと、とてもよくにています。
アニメの歌やミュージカルの歌など、歌と演技の両方がつまったジャンルにふれるのもおすすめです。歌いながら演じる楽しさについては、こちらの記事もどうぞ。子どものミュージカル・劇団の歌のレッスンとは?声楽やボイトレとのちがいと、はじめ方
習い事をえらぶときのポイント
歌の教室、演技の教室、話し方の教室
声の仕事にあこがれるお子様の習い事には、いくつかの方向があります。
- 歌の教室・ボイトレ:息のつかい方や発声を学ぶ
- 演技やミュージカルの教室:表現の力を育てる
- 話し方や朗読の教室:ことばをはっきり伝える力を育てる
どれがよいかは、お子様の年れいや、何に一番ワクワクしているかによってちがいます。体験レッスンに行ってみて、お子様が楽しそうにしているかどうかを見てあげてください。
年れいに合った内容か
小さなお子様の声は、まだ育っている途中です。大きな声を出しつづけたり、むりに低い声やかすれた声をつくったりする練習は、のどに負担がかかります。年れいに合わせて、やさしくすすめてくれる先生をえらぶと安心です。
夢を急がせない
声の仕事への夢は、とてもすてきなものです。ただ、小さいうちから「プロになるために」と急がせると、お子様が声を出すことを楽しめなくなってしまうこともあります。
まずは、声をつかうことが楽しいと感じられる時間を大切にしてあげてください。その楽しさが、これから先も続けていく力になります。
年れい別の練習のヒント
幼児のお子様
小さなお子様は、まだ「練習」という形にこだわらなくてだいじょうぶです。絵本の読み聞かせのときに、お子様にもセリフを1つ言ってもらったり、どうぶつの鳴き声をまねしたりするだけでも、声で表現するあそびになります。歌あそびや手あそび歌も、口や息のつかい方を自然に育ててくれます。
小学生のお子様
小学生になると、音読の宿題がよい練習の場になります。「今日は、ニュースの人みたいに読んでみよう」「この人物は、どんな気持ちかな」と、少しだけ工夫をくわえてみましょう。早口ことばを家族で競争するのも、楽しくつづけられる方法です。
中学生・高校生のお子様
大きくなると、声の仕事についてもっと知りたいと思うようになるかもしれません。自分でしらべたり、録音した声を聞きくらべたりしながら、自分の声の特徴を知っていく時期です。声がわりの時期は声が出にくくなることもあるので、むりをしないように見守ってあげてください。
お父様・お母様ができるサポート
- お子様の音読やセリフを、いちばんのお客さんとして聞いてあげる
- 「声が聞きとりやすかったよ」など、具体的なよいところを伝える
- 練習の録音を、いっしょに聞いてみる
- アニメやドラマを見たあとに、「あの声、すてきだったね」と話してみる
お子様は、だれかに聞いてもらえることで「もっとやってみたい」と感じます。上手かどうかより、声を出すことを楽しんでいる気持ちを、大切にしてあげてください。
のどを守るために
声の練習をがんばるお子様ほど、のどに気をつけてあげたいものです。
- キャラクターのまねで、むりな声を出しつづけない
- さけぶような声は、あそびの中でも長く続けない
- 練習の前後に、水をのむ
- 空気がかわく季節は、加湿をこころがける
声がかすれたり、のどの痛みが何日も続いたりするときは、練習をお休みして、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 声の仕事では「よい声」より「伝わる声」が大切にされる
- 姿勢、息、口の動き、早口ことば、音読、録音が、おうちでできる練習
- 早口ことばは、速さよりもはっきり言うことを大切に
- 歌の練習は、息のつかい方、声のはば、リズム、気持ちのこめ方につながる
- 習い事は、歌・演技・話し方など、お子様がワクワクするものから
- 小さな子の声は育っている途中。むりな声を出しつづけない
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
声で表現することが好きなお子様には、歌にもちょうせんしてみてほしいと思います。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があります。ジャンルは自由なので、アニメの歌やミュージカルの歌で応募することもできます。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ