声楽の声の種類とは?ソプラノ・メゾソプラノ・アルト・テノール・バリトン・バスのちがい
「声楽のバリトンとは、どんな声のことなんだろう」 「アルトとメゾソプラノは、何がちがうの?」 「先生に、あなたはバスかもしれないねと言われたけれど、バスとはどういう声?」
声楽を習いはじめると、ソプラノやテノールなど、声の種類をあらわすことばをよく聞くようになります。なんとなく「高い声」「低い声」というイメージはあっても、それぞれのちがいまでは、なかなかわかりにくいですよね。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。声楽のステージでは、同じ曲でも、声の種類によってまったくちがうふんいきに聞こえることがあります。声の種類を知っておくと、歌を聞くのも、自分で歌うのも、ぐっと楽しくなります。
この記事では、ひとりで歌う声楽の声の種類について、ソプラノ・メゾソプラノ・アルト・テノール・バリトン・バスの6つを中心にお話しします。合唱のパートについては、こちらの記事でくわしく書いていますので、あわせて読んでみてください。合唱のパートのちがい。ソプラノ・アルト・テノール・バスと、自分に合うパートの見つけ方
声楽の声の種類とは
声の高さと、声の色で分ける
声楽の声の種類は、おもに「どのくらいの高さの声が出しやすいか」で分けられます。ただ、それだけではありません。声の明るさ、重さ、やわらかさといった「声の色」も、声の種類を考えるときの大切なポイントになります。
同じくらいの高さが出せる人でも、声の感じがちがえば、ちがう種類として考えられることがあります。
女性の声と男性の声
声楽の声の種類は、大きく女性の声と男性の声に分けられます。
- 女性の声 ソプラノ、メゾソプラノ、アルト
- 男性の声 テノール、バリトン、バス
それぞれ、上から「高い声」「まん中の声」「低い声」と考えるとわかりやすいです。
音域は「目安」として
この記事では、それぞれの声が出しやすい高さを、ピアノのまん中あたりにある「ド」をもとにしてお伝えします。ただし、これはあくまで一般的な目安です。人によって出しやすい高さはちがいますし、練習によってもかわっていきます。
女性の声の種類
ソプラノとは
ソプラノは、女性のいちばん高い声です。まん中のドから、その2つ上のドのあたりまでが出しやすい、といわれます。
- 明るく、かがやくような声
- 高い音が、軽やかにひびく
- オペラでは、物語の中心になる若い女性の役が多い
ひとことでソプラノといっても、軽やかで高い音をころがすように歌う声や、やわらかくのびのびとした声、力強くドラマのある声など、いろいろなタイプがあります。
メゾソプラノとは
メゾソプラノは、ソプラノとアルトのあいだの高さの声です。まん中のドより少し下のラのあたりから、その2つ上のラのあたりまでが出しやすい、といわれます。
- ソプラノより、少しあたたかみのある声
- 低い音も高い音も、バランスよく出せる
- オペラでは、少年の役や、強い気持ちをもった女性の役を歌うことも多い
「高い声も出るけれど、少し低めのほうが楽に歌える」という女性は、メゾソプラノの声かもしれません。
アルトとは
声楽のアルトとは、女性のいちばん低い声のことです。ソロの声楽では「コントラルト」とよばれることもあります。まん中のドより下のファのあたりから、その2つ上のファのあたりまでが出しやすい、といわれます。
- 深く、おちついた声
- 低い音に、ゆたかなひびきがある
- ソロの声楽では、数が少なく、めずらしい声ともいわれる
日本では、合唱のパートの名前としての「アルト」がよく知られています。合唱では、ソプラノより低いパートをまとめてアルトとよぶことが多いですが、ソロの声楽でいうアルトは、とくに低くて深い女性の声をさすことが多いです。
男性の声の種類
テノールとは
テノールは、男性のいちばん高い声です。まん中のドの1つ下のドから、まん中のドの1つ上のドのあたりまでが出しやすい、といわれます。
- 明るく、のびやかな声
- 高い音が、遠くまでよくとおる
- オペラでは、若い主人公の役が多い
バリトンとは
声楽のバリトンとは、テノールとバスのあいだの高さの男性の声のことです。まん中のドの1つ下のドより、さらに少し下のラやソのあたりから、まん中のドの少し上のあたりまでが出しやすい、といわれます。
- 男性の声の中では、いちばん多いともいわれる
- あたたかく、話し声に近い自然なひびき
- 低い音にも高い音にも、ほどよく手がとどく
- オペラでは、主人公の友人や父親、あるいは主役まで、はば広い役を歌う
ふだん話している声が、高すぎず低すぎずという男性は、バリトンの声であることが多いようです。
バスとは
声楽のバスとは、男性のいちばん低い声のことです。まん中のドの1つ下のドより、さらに下のミのあたりから、まん中のドの少し上のあたりまでが出しやすい、といわれます。
- 太く、重みのある声
- 低い音が、体にしみるようにひびく
- オペラでは、王様やおじいさん、こわい役などを歌うことが多い
低い声が体のおくからひびくのは、バスならではの魅力です。
カウンターテナーという声も
男性の中には、とても高い音を、うら声をきたえた声で歌う「カウンターテナー」という声もあります。女性のアルトやメゾソプラノに近い高さで歌うことが多く、ふしぎで美しいひびきがあります。
声の種類は、どうやって決まるの?
先生に聞いてもらうのがいちばん
自分の声の種類は、ひとりで決めるのはむずかしいものです。声楽の先生は、いろいろな高さの声を出してもらいながら、次のようなところを聞いています。
- どの高さが、いちばん楽に、きれいにひびくか
- 高い音や低い音で、声がどうかわるか
- 声の明るさや、重さ
- 長く歌ったときに、どの高さでつかれやすいか
ただ「高い音が出るか」だけで決めるのではなく、「どの高さで歌うと、その人のよさがいちばん出るか」を大切にしています。
声の種類は、かわることもある
声の種類は、一度決まったら、ずっと同じとはかぎりません。
- 練習を続けて、出しやすい高さがかわる
- 年齢とともに、声の色がかわる
- 声がわりの時期に、大きくかわる
はじめはソプラノだと思っていた人が、のちにメゾソプラノとして歌うようになる、ということもあります。いまの声を大事にしながら、ゆっくりと自分の声を知っていけばだいじょうぶです。
お子様の声は、まだ分けなくてよいことが多い
小さなお子様の声は、まだ成長のとちゅうです。そのため、お子様の場合は、大人のように声の種類をはっきり分けないことが多いです。お父様・お母様は、むりに高い声や低い声を出させず、お子様が楽に歌える高さを大切にしてあげてください。
声の種類を知ると、何がよいの?
自分に合った曲をえらびやすくなる
声楽の曲には、ソプラノ向け、バリトン向けなど、声の種類に合わせて書かれた曲がたくさんあります。同じ歌でも、高い声用と低い声用の楽譜が出ていることもあります。自分の声の種類を知っておくと、歌いやすい曲をえらびやすくなります。
のどにむりをさせにくくなる
自分の声に合わない高さの曲ばかり歌っていると、のどがつかれやすくなります。声の種類を知ることは、のどを守ることにもつながります。歌ったあとにのどの痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
歌を聞くのが楽しくなる
オペラやコンサートで、「この役はバリトンなんだな」「ここでソプラノとバスが歌い合っているんだな」とわかると、歌を聞く楽しみがふえます。声の種類によって、役がらや気持ちの表し方がちがうことにも気づけるようになります。
自分の出しやすい高さをたしかめてみよう
先生に聞いてもらう前に、自分でも少しためしてみることができます。
- ピアノやアプリで音を出し、楽に声を出せる高さをさがす
- むりなく出せるいちばん高い音と、いちばん低い音をメモする
- いろいろな高さで歌った声を録音して、聞きくらべる
このとき、むりに高い声や低い声を出そうとしないでください。あくまで「楽に出せる高さ」を知るのが目的です。音域を広げる練習については、こちらの記事もあわせて読んでみてください。歌の音域を広げる方法。高い音・低い音を少しずつのばす練習
まとめ
- 声楽の声の種類は、声の高さと、声の色で分けられる
- 女性はソプラノ・メゾソプラノ・アルト、男性はテノール・バリトン・バス
- アルトとは、女性のいちばん低く深い声
- バリトンとは、テノールとバスのあいだの、男性に多い声
- バスとは、男性のいちばん低く、重みのある声
- 音域はあくまで目安。声の種類は、練習や年齢でかわることもある
- 自分の声の種類は、先生に聞いてもらうのがいちばん
どの声の種類にも、その声にしかないよさがあります。自分の声の種類が気になったら、声楽の先生に聞いてもらうのがいちばんの近道です。近くの教室は、こちらのページからさがせます。歌の教室さがし自分の声に合った曲が見つかったら、こどもの歌声グランプリで歌を聞いてもらうのもおすすめです。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよさを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ