声質は変えられる?歌の声質を改善したい方へ、自分の声のよさを生かす練習
「自分の声が好きになれない。歌の声質を変えることはできるのかな」 「もっとやわらかい声になりたい。声質の改善って、練習でできるの?」
歌を楽しんでいる方ほど、こんなふうに思うことがあるかもしれません。好きな歌手の声にあこがれたり、録音した自分の声を聞いて、がっかりしたりすることもありますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。そのなかで、いろいろな声の方の歌を聞いてきて、「声のよさ」は人の数だけあるのだと感じています。
この記事では、歌の声質は変えられるのか、というぎもんに、正直にお答えします。声質には、生まれつきの部分もあります。でも、練習で変えられる部分も、思っているよりたくさんあります。変えられるところと、変えにくいところを知ったうえで、自分の声のよさを生かす練習をしていきましょう。
声質ってなに?
声質は「声の持ち味」のこと
声質とは、その人の声が持っている感じのことです。「やわらかい声」「明るい声」「ハスキーな声」「太い声」「すんだ声」など、ことばにするといろいろな言い方があります。
同じ高さの音を、同じ大きさで歌っても、人によって聞こえ方がちがいます。そのちがいが、声質です。
声質をつくっているもの
声質には、いくつかのことが合わさっています。
- のどの中の、声を出す部分の大きさや形
- 口の中や鼻のおく、のどの広さなど、声がひびく場所の形
- 体の大きさや、骨格
- 息のつかい方
- 口の開け方や、舌の位置
- ふだんの話し方のくせ
はじめの3つは、生まれつきの部分が大きいところです。あとの3つは、練習や意識で変えていける部分です。
生まれつきの部分もある、と知っておく
声のもとは、体のつくりで決まるところがある
正直にお伝えすると、声質のすべてを、練習で好きなように変えることはできません。のどや体のつくりは人それぞれで、そこから生まれる声のもとの部分は、変えにくいものです。
たとえば、低くて太い声の方が、高くて細い声の方とまったく同じ声になることは、むずかしいと思います。反対に、高い声の方が、ずっしりと低い声になるのも、かんたんではありません。
だからこそ「変えられるところ」に目をむける
「生まれつきなら、どうしようもない」と思う必要はありません。声のもとは同じでも、ひびかせ方や息のつかい方で、聞こえ方は大きくかわります。
同じ楽器でも、ひき方によって音がちがって聞こえるのと、にています。自分の楽器(声)の持ち味を知って、いちばんよく鳴るつかい方をさがしていくことが、声質の改善への近道です。
声の高さの種類については、こちらの記事でくわしくまとめています。自分の声がどのあたりに合っているか、知るヒントになると思います。声楽の声の種類とは?ソプラノ・メゾソプラノ・アルト・テノール・バリトン・バスのちがい
練習で変えられること
息のまじり方
声に息がたくさんまじると、やわらかく、ささやくような声になります。息が少なすぎると、かたく、つまったような声に聞こえることがあります。
息と声のバランスを少しかえるだけで、声の印象はかわります。「声がかたい」と感じている方は、息のながれを意識してみるとよいかもしれません。
ひびかせる場所
声は、口の中や鼻のおく、頭のほうなど、どこにひびかせるかで、聞こえ方がかわります。
- 口の前のほうでひびかせると、明るく、はっきり聞こえやすい
- 口のおくを広げると、まるく、ゆたかに聞こえやすい
- 鼻にかかりすぎると、こもった声に聞こえることがある
どれがよい、わるいではなく、歌う曲や、出したい感じに合わせてえらべるようになると、声の幅が広がります。
口の形と舌の位置
口を横に広げるか、たてに開けるかで、声の明るさはかわります。また、舌がのどのおくに下がっていると、声がこもって聞こえることがあります。
鏡を見ながら歌うと、自分の口の形のくせに気づきやすくなります。
力の入り方
のどや首、肩に力が入っていると、声がかたくなったり、細くなったりしやすいです。体の力がぬけると、もともとの声のひびきが出やすくなります。「声質を変えたい」と思っていた方が、力をぬいただけで「自分の声って、こんな感じだったんだ」と気づくこともあります。
自分の声のよさを見つける方法
録音して、いいところをさがす
まずは、自分の歌を録音して聞いてみましょう。ここで大切なのは、だめなところをさがすのではなく、「いいところ」をさがすことです。
- この高さの音は、きれいに聞こえる
- 小さな声で歌うところが、やさしく聞こえる
- ことばがはっきり聞こえる
- 低い音に、おちつきがある
ひとつでも見つかったら、それがあなたの声の持ち味です。
好きな人の声と、くらべすぎない
あこがれの声があるのは、すてきなことです。ただ、その声をそっくりまねしようとすると、のどにむりがかかることがあります。
まねをするなら「声そのもの」より、「ことばの伝え方」や「息つぎのしかた」など、まねしやすいところから取り入れるのがおすすめです。
まわりの人に聞いてみる
自分では気づかない声のよさを、ほかの人は感じていることがあります。家族や友だち、先生に「わたしの声って、どんな感じ?」と聞いてみるのもよいと思います。思いがけないほめことばが、自信につながることもあります。
おうちでできる、声のよさを生かす練習
1 体をほぐす
肩を回したり、首をゆっくりかたむけたりして、体の力をぬきます。あくびをするように口を大きく開けると、のどのおくも広がりやすくなります。
2 ハミングでひびきをさがす
口をとじて「んー」と、らくな高さでハミングします。鼻のまわりや口びるが、少しふるえる感じがあれば、ひびきが前に出ているしるしです。そのまま口を開けて「まー」と声を出すと、ひびきをつなげやすくなります。
3 息の量をかえて歌ってみる
同じフレーズを、息を多めにまぜて、やわらかく歌う。つぎに、息を少なめにして、はっきり歌う。この2つを録音して、聞きくらべてみましょう。曲のどの場所に、どちらの声が合うか考えると、表現が広がります。
4 母音をそろえる
「あ・え・い・お・う」を、口の形に気をつけながら、ゆっくり歌います。母音ごとに声の感じがばらばらだと、声質が安定しないように聞こえることがあります。どの母音も、同じようなひびきで出せるようにしていくと、声がまとまって聞こえやすくなります。
5 自分に合う高さの曲をえらぶ
声のよさがいちばん出るのは、むりなく出せる高さの曲です。キーを少し下げたり上げたりして、いちばん気持ちよく歌える高さをさがしてみてください。
すんだ声をめざしたい方は、息と声のバランスについてまとめたこちらの記事もあわせて読んでみてください。透き通る声の出し方。息と声のバランスで、すんだ歌声に
声質を変えたいときに、気をつけたいこと
むりに声をつくらない
太い声を出そうとして、のどを押しつけたり、かすれた声を出そうとして、のどをしめつけたりすると、のどをいためることがあります。声をつくる練習は、つかれたらすぐに休みましょう。
少しずつ、時間をかける
声の変化は、1日や2日で出るものではありません。何か月かつづけるうちに、少しずつかわっていくことが多いです。録音をのこしておくと、あとで聞きくらべたときに、変化に気づきやすくなります。
のどの痛みやかすれが続くとき
練習のあとに、のどの痛みや、声のかすれが何日も続くときは、むりをしないでください。耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
子どもの声は、まだ育つとちゅう
お子様の声は、体の成長とともにかわっていきます。声がわりの時期もあります。お子様の声質を、大人の声のようにむりにかえようとするのは、さけたほうが安心です。その年れいならではの声のよさを、大切にしてあげてください。
先生にみてもらうよさ
ひとりで練習していると、自分の声のくせには、なかなか気づけません。先生にみてもらうと、「このひびき方がよく合っている」「ここに力が入っている」など、自分では気づかないところを教えてもらえます。
- 自分の声に合う発声を、いっしょにさがしてもらえる
- むりのない練習のすすめ方を教えてもらえる
- 声に合う曲を教えてもらえる
体験レッスンで「声質について相談したい」と伝えると、話を聞いてくれる先生も多いと思います。
まとめ
- 声質には、生まれつきの部分と、練習で変えられる部分がある
- 息のまじり方、ひびかせる場所、口の形、力のぬき方で、声の聞こえ方はかわる
- 録音して「いいところ」をさがすと、自分の声の持ち味が見えてくる
- あこがれの声は、そっくりまねするより、伝え方をまねする
- むりに声をつくらず、時間をかけて少しずつ
- のどの痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
自分の声のよさを、もっと引き出したいと思ったら、先生にみてもらうのもひとつの方法です。近くの教室やオンラインの教室は、こちらからさがせます。歌の教室さがしまた、自分の声で歌った歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ