歌の声量を上げる方法。大きな声より「ひびく声」を出す練習
「歌っていると、声が小さいと言われる」 「声量を上げたいけれど、がんばって大きな声を出すと、のどが苦しくなる」
歌の声量について、こんななやみを持っている方は多いと思います。合唱で自分の声が聞こえない、カラオケで伴奏に声がうもれてしまう、発表会で後ろの席まで届くか心配、など、場面もいろいろです。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。よく通る声は、かならずしも「大きな声」ではないと感じています。
この記事では、歌の声量を上げる方法を、のどを痛めない声量の出し方という目線でまとめました。ポイントは、大きな声をむりに出すのではなく、「ひびく声」を出すことです。息のつかい方、姿勢、口の形、ひびきの感じ方、そしておうちでできる練習まで、順番に見ていきましょう。大人の方にも、お子様といっしょに練習したいお父様・お母様にも、読んでいただける内容です。
歌の声量を上げる前に知っておきたいこと
声量は「力」より「ひびき」で決まる
声量を上げたいと思うと、多くの人は、のどに力を入れて大きな声を出そうとします。でも、のどに力が入ると、声はかたくなり、かえって遠くまで届きにくくなることがあります。
よく通る声は、のどに力を入れるのではなく、息がなめらかに流れ、体の中で声がひびいている声です。ひびきのある声は、そんなに大きく出しているつもりがなくても、広い場所でよく聞こえることが多いです。
むりに大きな声を出すと、のどを痛めることも
大きな声を出そうとして、どなるような声で歌いつづけると、のどに負担がかかります。
- 歌ったあと、のどがひりひりする
- 声がかすれる
- 高い声が出にくくなる
こうしたことがあるときは、練習を休みましょう。痛みやかすれが何日もつづくときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
声量が出にくいのは、なぜ?
歌の声量が出にくいときは、つぎのようなことが関係していることがあります。
- 息が少ない、または息が途中でなくなってしまう
- 肩や首、あごに力が入っている
- 口があまり開いていない
- 姿勢がまるくなっている
- 自分の声に自信がなく、おさえて歌っている
一つだけが原因ということは少なく、いくつかが重なっていることが多いです。一つずつ見直していくと、声の出方が少しずつ変わっていきます。
のどを痛めない声量の出し方 5つのポイント
1. 姿勢をととのえる
声は、体全体をつかって出すものです。姿勢がととのうと、息がすいやすくなり、声もひびきやすくなります。
- 足を肩はばくらいに開いて、まっすぐ立つ
- 頭のてっぺんを、上からひっぱられているイメージを持つ
- 肩の力をぬいて、胸を軽く開く
- あごを前につき出さない
2. 息をたっぷり、らくにすう
声量を上げるには、息のつかい方がとても大切です。肩を上げてすうのではなく、おなかのまわりや背中がふくらむようなイメージで、らくにすいましょう。
そして、すった息を、一度にはき出すのではなく、細く長く、少しずつ声にかえていきます。息のつかい方については、こちらの記事にもくわしくまとめています。歌の腹式呼吸のやり方。子どもにも大人にもわかる、やさしい練習
3. 口の中を広くする
口の中がせまいと、声がこもってしまい、外に届きにくくなります。
- あくびをする前のように、口のおくを広げる
- 上のほおを、少し持ち上げるようにする
- 歯と歯のあいだを、指1本から2本分くらい開ける
口のおくを広げる感じは、こちらの記事も参考にしてみてください。「のどを開く」ってどういうこと?声がらくに出るからだの使い方
4. ひびきを感じる
声が体の中でひびいている感じを、意識してみましょう。
- 口をとじて「んー」とハミングしたとき、鼻のまわりやほおがふるえる感じ
- そのふるえを感じたまま、口を開けて「まー」と声を出す
- 声を、前にまっすぐ飛ばすイメージを持つ
ひびきを感じながら歌うと、むりに大きくしなくても、声が前に出ていく感じがわかりやすくなります。
5. 自分の声をおさえない
声量が出ない理由が、気持ちの面にあることもあります。「まちがえたらはずかしい」「下手だと思われたくない」と思うと、声はどうしても小さくなってしまいます。
まずは、だれもいない場所や、家族の前など、安心できる場所で、思いきり気持ちよく歌ってみましょう。声を出すことになれていくと、少しずつ自信もついてきます。
歌の声量を上げる練習 おうちでできる5つ
ここでは、おうちでできるかんたんな練習をご紹介します。どれも、のどに力を入れずに、らくに行ってください。
練習1 ロングブレス
- 鼻から、らくに息をすう
- 口から「スー」と、細く長く息をはく
- できるだけ同じ強さで、はきつづける
はじめは短くても、だいじょうぶです。息を一定にはく力は、声量をささえる土台になります。
練習2 ハミング
口をとじて「んー」と、らくな高さでハミングします。鼻のまわりや、くちびるがふるえる感じがあれば、ひびきが生まれているサインです。
練習3 リップロール
くちびるを軽くとじて、息で「ぶるるる」とふるわせます。くちびるがうまくふるえないときは、ほおを指で軽く持ち上げると、やりやすくなります。のどの力をぬきながら、息と声をつなげる練習になります。
練習4 「まー」で声を前に飛ばす
ハミングでひびきを感じたら、口を開けて「まー」とのばします。声を、目の前のかべにあてるイメージで、まっすぐ前に出してみましょう。
練習5 少しずつ声を大きくする
1つの音を、小さな声からはじめて、少しずつ大きくしていきます。のどが苦しくなる手前でとめて、また小さくもどします。声の大きさを、のどの力ではなく、息の量でかえていく練習です。
練習は、1日5分から10分くらいでもじゅうぶんです。長い時間やるより、つかれる前にやめることを大切にしましょう。
声量を上げるときに、気をつけたいこと
練習の前に、体をほぐす
首や肩をゆっくり回したり、深呼吸をしたりして、体をほぐしてから声を出しましょう。いきなり大きな声を出すと、のどに負担がかかります。
のどがかわいたら、水をのむ
のどがかわいていると、声が出にくくなります。練習のあいだも、こまめに水をのみましょう。
録音して、たしかめる
自分ではわかりにくい声の変化も、録音するとわかりやすくなります。少しはなれた場所にスマホをおいて録音すると、声がどのくらい届いているかを、たしかめやすくなります。
お子様の場合は、とくにむりをさせない
お子様ののどは、大人よりもやわらかく、きずつきやすいといわれています。「もっと大きな声で」と言うより、「遠くのお友だちに届けるように歌ってみよう」など、イメージで伝えてあげると、むりのない声になりやすいです。どなるような声にならないよう、お父様・お母様がそばで見てあげてください。
場面ごとの声量の考え方
合唱のとき
合唱では、一人だけ大きな声を出すより、まわりの声とまざり合うことが大切です。自分の声が聞こえないと感じても、むりに声をはり上げず、ひびきを意識して歌いましょう。となりの人の声を聞きながら歌うと、全体の声がそろいやすくなります。
カラオケや、マイクをつかうとき
マイクをつかうときは、声量をすべて自分の声で出そうとしなくても、だいじょうぶです。マイクの音量や、口とマイクのきょりで、聞こえ方は大きくかわります。のどに力を入れず、らくな声で歌うことを大切にしましょう。
ひとりで練習してもうまくいかないとき
声量のなやみは、自分のくせに気づきにくいものです。ひとりで練習してもなかなか変わらないときは、先生に見てもらうのも一つの方法です。姿勢や息のつかい方など、自分ではわからないところを教えてもらえることが多いです。近くの教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
まとめ
- 歌の声量は、のどの力より「ひびき」で決まる
- むりに大きな声を出すと、のどを痛めることがある
- 声量を上げるには、姿勢・息・口の中の広さ・ひびき・気持ちの5つを見直す
- おうちでは、ロングブレス、ハミング、リップロールなどの練習がしやすい
- 練習は短い時間で、つかれる前にやめる
- のどの痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
ひびく声で歌えるようになってきたら、その声をだれかに聞いてもらうのもおすすめです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよいところや、これからの練習のヒントを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ