声楽に向いてる人ってどんな人?声の大きさより大事なこと
「声楽って、生まれつき声の大きい人がやるものじゃないの?」 「わたしの声は細いから、声楽には向いていない気がする」 「うちの子は歌が好きだけれど、声楽に向いてる人なのかな」
声楽と聞くと、オペラ歌手のような大きくてよくひびく声を思いうかべて、「自分にはむりかも」と感じる方は多いと思います。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。そこでいろいろな年齢の方の歌を聞いてきて感じるのは、声楽に向いてる人は、はじめから声が大きい人だけではない、ということです。
この記事では、声楽に向いてる人とはどんな人なのか、声の大きさよりも大事なことをお話しします。先に結論をお伝えすると、声楽は、歌が好きな人ならだれでも楽しめる習い事です。「向いているかどうか」は、はじめてみてから少しずつわかってくるものだと思います。
声楽に向いてる人は「声が大きい人」だけではない
声は、練習で育っていく
声楽のよくひびく声は、生まれつきだけで出ているわけではありません。姿勢をととのえ、息をつかい、体の中で声をひびかせる練習を重ねることで、少しずつ育っていくものです。
はじめは小さな声だった人が、練習を続けるうちに、ホールのうしろまでとどくような声になることもあります。いまの声の大きさだけで、向いているかどうかを決めなくてだいじょうぶです。
また、声楽で大切なのは、むりに大きな声を出すことではありません。のどに力を入れてさけぶような声は、かえってひびきにくく、のどをつかれさせてしまいます。体の力をぬいて、息にのせて声をひびかせることができると、むりをしなくても、声は自然と遠くまでとどくようになっていきます。
いろいろな声に、それぞれのよさがある
声楽には、高い声、低い声、明るい声、やわらかい声など、いろいろな声があります。どの声にも、その声に合った歌があります。
- 細くてすんだ声は、やさしい曲によく合う
- 低くあたたかい声は、心にしみる曲によく合う
- 明るい声は、楽しい曲をいきいきと聞かせる
「自分の声はふつうだから」と思っている方も、その声だからこそ伝わる歌があります。
声楽に向いてる人の特徴
ここからは、声の大きさよりも大事だと思う、声楽に向いてる人の特徴をあげていきます。全部にあてはまらなくても、まったく問題ありません。「これは自分にもあるかも」と思うものが1つあれば、じゅうぶんです。
1 歌うことが好き
いちばん大切なのは、やはり「歌うことが好き」という気持ちです。声楽の練習は、同じところを何回もくりかえすこともあります。そんなときも、「歌うのが好き」という気持ちがあると、続けやすくなります。
2 コツコツ続けられる
声は、すぐには大きくかわりません。毎日少しずつ練習を重ねることで、だんだんと変化していきます。大きな成果がすぐに見えなくても、コツコツ続けられる人は、声楽に向いているといえます。
1日に長い時間練習しなくても、だいじょうぶです。短い時間でも、続けることのほうが大切です。
3 人の話を聞いて、ためしてみられる
声楽のレッスンでは、先生から「肩の力をぬいて」「もう少し口の中を広く」など、いろいろなことを言われます。言われたことを、まずはやってみる。うまくいかなくても、またためしてみる。こうした素直さは、上達の大きな力になります。
4 自分の声をよく聞ける
録音した自分の声を聞いて、「ここはよかった」「ここはもう少し」と気づけることも、大切な力です。はじめは自分の声を聞くのがはずかしいかもしれませんが、なれてくると、変化に気づきやすくなります。
5 ことばや物語に興味がある
声楽の曲には、詩や物語がこめられています。外国のことばの歌もありますが、意味を知ると、歌い方がかわってきます。「この歌は、どんな気持ちを歌っているのかな」と考えるのが好きな人は、声楽をより深く楽しめると思います。
6 体を大事にできる
声楽では、体そのものが楽器です。よくねる、のどを冷やさない、つかれたら休むなど、体を大事にできる人は、長く気持ちよく歌い続けられます。
のどに痛みやかすれがあるときは、むりをして練習しないでください。何日も続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
7 ちがう自分を楽しめる
声楽の曲では、ときには自分とはちがう人物の気持ちになって歌うこともあります。ふだんはおとなしい人が、歌の中では元気な人になりきる、ということもあります。そうした「ちがう自分」を楽しめる人は、表現の幅が広がっていきます。
子ども・大人・シニア、それぞれの向き方
お子様の場合
お子様の場合は、「歌うのが好き」「音楽を聞くのが好き」という気持ちがあれば、それでじゅうぶんです。小さなころは、声の大きさよりも、楽しく声を出すことを大事にしたい時期です。
お子様の声は、成長とともに大きくかわっていきます。とくに小学校の高学年から中学生のころは、声がわりの時期でもあります。いまの声だけを見て「向いていない」と決めてしまわないようにしたいですね。
お父様・お母様は、上手かどうかよりも、「楽しそうに歌っているか」を見てあげてください。
大人の場合
大人になってからはじめる声楽にも、たくさんのよさがあります。曲の意味を深く考えられたり、自分の体の動きを感じとりやすかったりと、大人ならではの強みがあります。
「若いころに習っていなかったから」と、あきらめる必要はありません。大人から声楽をはじめる方の話は、こちらの記事でもまとめています。大人から声楽をはじめる。クラシックの歌のたのしさと、教室えらび
シニアの場合
シニアの方にとっても、声楽は楽しみの多い習い事です。姿勢をととのえて、息をしっかりつかって歌うことは、毎日の気分の切りかえにもなります。むりのないペースで、自分の声と向き合う時間を楽しんでいる方も多いです。
「向いていないかも」と思ったときの考え方
上手な人とくらべすぎない
発表会やコンクールで上手な人の歌を聞くと、「自分には向いていないのかも」と感じることがあります。でも、その人も、はじめから上手だったわけではありません。くらべる相手は、きのうの自分でじゅうぶんです。
先生との相性も考えてみる
レッスンが楽しくないと感じるときは、自分が向いていないのではなく、先生や教室との相性が合っていないだけ、ということもあります。教える方法は、先生によってちがいます。ほかの教室の体験レッスンを受けてみるのも、ひとつの方法です。
ほかのジャンルの歌もためしてみる
声楽のほかにも、ポップス、合唱、ミュージカルなど、歌にはいろいろなジャンルがあります。いろいろな歌をためしてみることで、声楽のよさにあらためて気づくこともあれば、ほかのジャンルが自分にぴったりだとわかることもあります。どちらでも、すてきなことです。
声楽が向いているか、たしかめる方法
体験レッスンを受けてみる
いちばんわかりやすいのは、実際に体験レッスンを受けてみることです。先生にいまの声を聞いてもらうと、自分の声の特徴や、どんな曲が合いそうかを教えてもらえることが多いです。
はじめてのレッスンで何をするのかは、こちらの記事でくわしく書いています。はじめての声楽レッスンでは何をする?体験の流れと、持ち物・服装
好きな声楽の曲を聞いてみる
いろいろな声楽の曲を聞いて、「この曲を歌ってみたい」と思えるかどうかも、ひとつの目安になります。心がうごく曲に出会えたら、それが声楽をはじめる大きなきっかけになります。
3か月くらいは続けてみる
声楽は、すぐに結果が見える習い事ではありません。向いているかどうかを考えるのは、まず3か月くらい続けてみてからでも、おそくはありません。その間に、声のかわり方や、レッスンの楽しさを感じられると思います。
まとめ
- 声楽に向いてる人は、生まれつき声が大きい人だけではない
- 声は、練習で少しずつ育っていくもの
- 「歌が好き」「コツコツ続けられる」「話を聞いてためせる」ことが大事
- 自分の声を聞く力、ことばへの興味、体を大事にする気持ちも力になる
- お子様、大人、シニア、それぞれのペースで楽しめる
- 向いていないかもと思ったら、くらべすぎず、教室やジャンルも見直してみる
- まずは体験レッスンを受けて、3か月くらい続けてみる
声楽は、だれでも、いつからでも楽しめる歌の世界です。「やってみたい」と思った気持ちを大切にして、まずは一歩をふみ出してみてください。近くの声楽の教室は、こちらのページからさがせます。歌の教室さがし歌を聞いてもらう場がほしくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよさを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ