大人から声楽をはじめる。クラシックの歌のたのしさと、教室えらび
「クラシックの歌を、いつか自分でも歌ってみたい」 「声楽は小さいころから習う人のものだと思っていたけれど、大人からでもできるのかな」
コンサートで歌手の声を聞いて、心がふるえるような思いをしたことがある方も、多いのではないでしょうか。マイクをつかわずに、ホールのすみずみまでひびく声。あんなふうに歌えたら、すてきですよね。
わたしは、息子といっしょに、声楽や童謡のたくさんのコンクールに出てきました。会場では、大人になってから声楽をはじめた方の歌も、たくさん聞いてきました。年れいをかさねたからこその、ゆたかな表現に、心を動かされたことが何度もあります。
この記事では、大人から声楽をはじめたい方にむけて、声楽とはどんな歌なのか、クラシックの歌のたのしさ、はじめに習うこと、教室のえらび方、続けるためのコツをまとめます。
声楽ってどんな歌?
マイクなしで、ひびく声で歌う
声楽は、クラシックの歌い方で歌う歌のことです。いちばんの特徴は、マイクをつかわずに、体全体をひびかせて歌うことです。
ポップスやカラオケでは、マイクで声を大きくして歌うことが多いですよね。声楽では、息のつかい方や体のひびきをつかって、自分の声だけで、ひろい場所にとどく声を目指します。
どんな曲を歌うの?
声楽で歌う曲には、いろいろな種類があります。
- 日本の歌曲(日本語の詩にメロディーをつけた、クラシックの歌)
- イタリアの歌曲(はじめに習うことが多い、やさしい歌)
- ドイツやフランスの歌曲
- オペラのアリア(オペラの中で、ひとりで歌う歌)
- 宗教曲や、合唱曲
はじめから外国語の歌を歌うのは、むずかしそうに感じるかもしれません。でも、はじめは日本語の歌からスタートしたり、短くてやさしい曲から習ったりすることが多いので、安心してください。
ボイトレとのちがい
ボイトレと声楽は、どちらも声の出し方を習うレッスンです。ボイトレは、ポップスやカラオケなど、いろいろなジャンルの歌をつかうことが多いです。声楽は、クラシックの歌い方を、じっくり身につけていきます。
どちらがいいということはありません。「歌いたい歌」に合わせてえらぶのがいちばんです。
大人から声楽をはじめるよさ
歌詞の意味を深く感じられる
大人になると、うれしいことも、かなしいことも、いろいろな経験をかさねています。歌詞にこめられた気持ちを、子どものころよりずっと深く感じられることがあります。それが、歌の表現のゆたかさにつながります。
自分のペースで学べる
大人の習い事は、だれかにやらされるものではありません。自分で「やりたい」と思って通うので、レッスンの時間を大切にできます。目標も、自分で決められます。
体と心のリフレッシュになる
声楽では、姿勢をととのえ、深く息をすって歌います。歌っているあいだは、ほかのことを考えずに、声と音楽に集中できます。「レッスンのあとは、気持ちがすっきりする」と話す大人の生徒さんも多いです。
何歳からでもはじめられる
声楽は、若い人だけのものではありません。40代、50代、60代からはじめる方もいます。年れいに合わせた歌い方や、曲えらびができるのも、声楽のよいところです。
はじめのレッスンで習うこと
姿勢
声楽のレッスンでは、まず姿勢をととのえることから始めることが多いです。足を少しひらいて立ち、背すじをのばし、肩の力をぬきます。姿勢がかわるだけで、声の出やすさがかわることもあります。
息のつかい方
声楽では、息をたっぷりすって、少しずつ、ながく使う練習をします。肩を上げずに、おなかや背中のまわりがふくらむように息をすうイメージです。
発声練習
「あー」「おー」などの母音で、音の高さをかえながら声を出す練習です。先生のピアノに合わせて、ひくい音から高い音まで、少しずつ声をひろげていきます。
やさしい曲を1曲
発声練習になれてきたら、短くてやさしい曲を1曲、習いはじめます。はじめは、メロディーをおぼえて、ことばをはっきり歌うことを大切にします。
楽譜が読めなくても、だいじょうぶ?
「楽譜が読めないから、声楽はむりかも」と思っている方もいるかもしれません。でも、楽譜が読めないまま習いはじめる大人の方は、めずらしくありません。
- 先生が歌ったり、ピアノでひいたりしてくれるのを聞いておぼえる
- レッスンを録音して、家で聞きなおす
- 少しずつ、音符の長さや高さを教えてもらう
レッスンを続けるうちに、自然と楽譜になれていく方も多いです。わからないことは、遠りょせずに先生に聞いてみてください。
教室えらびのポイント
習い方は大きく3つ
- 個人で教えている声楽の先生のレッスン
- 音楽教室の声楽コース
- オンラインのレッスン
個人の先生は、自宅や小さなスタジオで教えていることが多く、じっくり見てもらえるのがよいところです。音楽教室は、予約のしやすさや、通いやすい場所にあることが多いのが特徴です。オンラインは、近くに教室がないときや、通う時間がとりにくい方に向いています。ただ、声楽はひびきを大切にするので、はじめのうちは、対面のレッスンもあわせて考えてみるのもいいと思います。
先生との相性を見る
声楽は、先生との相性がとても大切です。
- 大人の初心者を教えたことがあるか
- 説明がわかりやすいか
- むりに大きな声や、高い声を出させないか
- 歌いたい曲や目標を、聞いてくれるか
先生によって、得意なジャンルや教え方はちがいます。日本の歌曲を歌いたいのか、オペラのアリアにちょうせんしたいのか、伝えてみてください。
体験レッスンで聞いておきたいこと
- 月に何回、1回何分のレッスンか
- お休みしたときのふりかえはあるか
- 発表会はあるか、出るのは自由か
- 楽譜や教材は、どうやって用意するか
- かかるお金は、レッスン代のほかにあるか
料金やレッスンの回数は、教室や先生によって大きくちがいます。気になることは、体験レッスンのときにたしかめておくと安心です。
近くの声楽の教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
続けるためのコツ
目標を、小さく決める
「いつかオペラのアリアを歌いたい」という大きな夢は、とてもすてきです。それとは別に、「3か月で、この曲を1曲歌えるようにする」など、小さな目標も決めておくと、続けやすくなります。
家での練習は短くてもいい
家で長い時間、大きな声を出すのは、むずかしいことも多いと思います。家では、息の練習やハミング、楽譜を見ながらメロディーを口ずさむなど、短い練習でもじゅうぶんです。
発表の場をつくる
練習してきた歌を、人に聞いてもらうと、大きなはげみになります。教室の発表会のほか、大人が出られるコンクールにちょうせんする方もいます。大人の声楽コンクールについては、こちらの記事でまとめています。大人・アマチュアが出られる声楽コンクール。部門や審査の流れ、40代・50代・60代からの挑戦
のどを大切にする
声楽は、体をつかって歌うので、のどや体の調子がとても大切です。
- レッスンや練習の前に、体を軽くほぐす
- 歌ったあとは、水をのんで、のどを休める
- かぜぎみのときは、むりに歌わない
- 部屋の乾燥に気をつける
声のかすれや、のどの痛みが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
よくある不安
声が小さくても習える?
はじめから大きな声が出る人は、多くありません。姿勢や息のつかい方を身につけていくうちに、少しずつ、ひびく声に近づいていくことが多いです。
年れいで声が出にくくなってきたけれど…
年れいとともに、声が出にくくなったと感じる方もいると思います。声楽のレッスンでは、いまの声に合った高さや曲をえらんでもらえることが多いです。むりのない範囲で、歌うよろこびを味わってみてください。
まとめ
- 声楽は、マイクをつかわず、体全体をひびかせて歌うクラシックの歌
- 日本の歌曲やイタリアの歌曲など、やさしい曲から習えることが多い
- 大人からはじめると、歌詞の意味を深く感じながら歌える
- はじめのレッスンでは、姿勢、息のつかい方、発声練習を習う
- 楽譜が読めなくても、少しずつなれていける
- 教室えらびは、先生との相性と、むりをさせないかを大切に
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
声楽は、大人になってからでも、ゆっくり深く楽しめる歌です。まずは、気になる教室で体験レッスンを受けてみてください。歌の教室さがし練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ