コンクール・発表の場

大人・アマチュアが出られる声楽コンクール。部門や審査の流れ、40代・50代・60代からの挑戦

更新日:2026年11月4日 ・ 書いた人:うみ

「声楽を習いはじめて何年かたったけれど、コンクールなんて、わたしにはまだ早いかな」

声楽を習っている大人の方の中には、こんなふうに思っている方も多いのではないでしょうか。でも、声楽のコンクールには、音楽大学で学んだ人やプロをめざす人だけでなく、趣味で歌っているアマチュアの方が出られる部門をもつ大会が、いくつもあります。

わたしは、息子といっしょに声楽や童謡のコンクールにたくさん出てきました。大会によっては、子どもの部門と大人のアマチュアの部門が、同じ大会の中にあることもあります。

この記事では、大人・アマチュアの方が出られる声楽コンクールがどんなものなのか、えらび方やじゅんびのしかたといっしょにまとめます。大人が出られる歌のコンクール全体のえらび方は、こちらの記事にまとめています。大人が出られる歌のコンクール。会場で歌う大会と動画で応募する大会、自分に合うえらび方

アマチュアの声楽コンクールって、どんなもの?

「アマチュア」「愛好者」の部門がある

大人向けの声楽コンクールでは、「アマチュア部門」「愛好者部門」といった名前の部門がよくあります。どんな人がアマチュアにあたるかは、大会ごとに決まりがちがいます。

たとえば、国際声楽コンクール東京では、音楽の専門の学校にいま通っておらず、プロの歌手として活動していない、または活動のじゅんびをしていない方を「愛好者」としています。音楽大学の別科や音楽教室に通っている方、むかし専門の勉強やプロの活動をしていて、いまはやめている方も愛好者にふくまれます。

いっぽう、「春の声」声楽コンクールでは、音楽大学の声楽科を出て、お金をもらって歌う活動をしている方や、オペラの団体に入っている方は、アマチュアの部門には出られません。ただし、65歳以上の方はシニアの部門に出られます。

このように、同じ「アマチュア」でも中身がちがうので、申し込む前にかならず募集要項の「出場資格」を読みましょう。

年代別の部門がある

大人のアマチュアの部門は、年れいで分かれていることが多いです。

  • 国際声楽コンクール東京の愛好者部門:31〜60歳のA部門、61〜73歳のB部門、74歳以上のオメガ部門など
  • プリマヴェーラ声楽コンコルソの愛好者カテゴリー:20歳以上、41歳以上、61歳以上、74歳以上
  • 「春の声」声楽コンクール:アマチュア一般(65歳未満)とアマチュアシニア(65歳以上)
  • アクティブシニアのための声楽コンクール:60代、70代、80歳以上

同じくらいの年代の方と同じ部門で歌えるので、「若い人とくらべられるのは不安」という方も、出やすくなっています。

課題曲か、自由曲か

声楽コンクールの曲の決まりは、大きく分けて3つです。

  • 自由曲:自分で好きな曲をえらべる
  • 課題曲:大会が決めた曲のリストからえらぶ
  • 課題曲と自由曲の両方:予選は課題曲、本選は課題曲と自由曲、など

たとえば、国際声楽コンクール東京の愛好者部門は、どの段階でも自由曲1曲を6分以内で歌います。歌う言葉の決まりはなく、カンツォーネや各国の民謡も、声楽の発声で歌うならえらべます。

「春の声」声楽コンクールのアマチュア部門も自由曲で、日本や外国の歌曲とオペラのアリアを1曲ずつ、または歌曲を2曲歌います。

アクティブシニアのための声楽コンクールは、課題曲のリストから1曲をえらび、1番だけを元の言葉で歌います。本選では、課題曲に加えて、イタリア語かドイツ語の自由曲を歌います。キーを変えて歌ってよいことも書かれています。

予選と本選

大人の声楽コンクールの多くは、予選と本選の2つ、またはそれ以上の段階に分かれています。

段階 内容の例
書類・録音の審査 録音を送って、予選に進めるかを見てもらう
予選・地区大会 各地の会場、または動画で歌う
准本選 予選を通った人が、もう一度歌う(大会によってある)
本選 大きな会場で歌い、順位や賞が決まる

国際声楽コンクール東京やプリマヴェーラ声楽コンコルソでは、地区大会、准本選、本選と3つの段階があります。アクティブシニアのための声楽コンクールでは、まず録音を郵送して審査を受け、そのあと会場で予選と本選に進みます。

先に進むほど、歌う日や参加費もふえていきます。申し込む前に、「本選まで進んだら、いつ、どこで歌うのか」もたしかめておきましょう。

動画で審査を受けられる大会も

さいきんは、予選を動画で受けられる声楽コンクールもあります。

  • 「春の声」声楽コンクール:予選は、会場で歌うか、動画を送るかをえらべる
  • 日本モーツァルト音楽コンクール:予選は動画。本選は会場か動画をえらべる
  • 大阪国際音楽コンクール:地区本選に、動画を送る「映像地区本選」がある

平日の予選に出るのがむずかしい方や、遠くの会場まで行くのが大変な方には、動画で受けられる大会が出やすいと思います。いっぽうで、本選は会場でしか歌えない大会もあるので、そこもあわせて見ておきましょう。

大人・アマチュアが出られる声楽コンクールの例

公式サイトで2026年か2027年の日程をたしかめられた大会から、大人・アマチュアの方が出られるものをまとめました。日程は2026年11月時点の公式情報です。かならず各公式サイトで最新情報をご確認ください。

コンクール 大人・アマチュアの部門 形 日程(公式サイトより) 公式サイト
アクティブシニアのための声楽コンクール(第4回) 60歳以上で、音楽の専門教育を受けていない方(60代、70代、80歳以上) 録音を郵送、予選と本選は会場(茨城・水戸) 申込:2026年11月16日(消印有効)まで/予選:2027年3月27日/本選:3月28日 https://vecchi-allegri.com/jiman/
日本モーツァルト音楽コンクール 2027(声楽部門) 一般、アマチュア。70歳以上・85歳以上のシニア部門 予選は動画、本選は会場か動画 オンライン予選の動画:2027年1月末まで/会場本選:3月20日・21日(横浜)/オンライン本選の動画:3月31日まで https://mozartmusic.jp/
プリマヴェーラ声楽コンコルソ(第5回) 愛好者カテゴリー(20歳以上、41歳以上、61歳以上、74歳以上、ミュージカル) 会場 申込開始:2026年12月1日/本選はゴールデンウィーク https://ivctokyo.com/ccp/
「春の声」声楽コンクール アマチュア一般(65歳未満)、アマチュアシニア(65歳以上) 予選は会場か動画、本選は会場(東京) 例年 申込3〜5月、本選6月ごろ(2026年は3月18日〜5月21日、本選6月21日)(公式で要確認) https://www.soleilmusic.com/competition-Harunokoe.html
国際声楽コンクール東京 愛好者部門(31〜60歳、61〜73歳、74歳以上、上級、ミュージカル) 会場 例年5月ごろ申込開始、6月ごろから12月ごろにかけて地区大会・准本選・本選(2026年の例)(公式で要確認) https://ivctokyo.com/ivc/
日本演奏家コンクール(声楽部門) 一般A・B、アマチュア 会場(神奈川・兵庫・愛知で予選) 例年 申込5〜7月、予選7〜8月、本選10月(2026年の例)(公式で要確認) https://jpas.site/category?category_id=3
大阪国際音楽コンクール(声楽部門) 一般と大学を出た方の区分(Age-G)。アリアか歌曲のコースをえらぶ 予選は音源、地区本選は会場か映像、ファイナルは会場 例年 7月ごろしめきり、ファイナル10月(2026年の例)(公式で要確認) https://www.osakaimc.com/guidelines/guidelines-oimc-section-1/

それぞれの大会の部門の分け方や、年れいを数える日は、ここにはのせきれていません。くわしくは、かならず公式サイトの募集要項をごらんください。きせつごとのコンクールの日程は、こちらの一覧にもまとめています。歌のコンクール 日程一覧 2026〜2027。子どもから大人まで、季節ごとにまとめました

自分に合う声楽コンクールのえらび方

1. 出場資格を、いちばん先にたしかめる

音楽大学を出ている方、むかし合唱団やオペラの団体で歌っていた方は、とくに気をつけてください。大会によって、アマチュアの部門に出られるばあいと、出られないばあいがあります。わからないときは、申し込む前に事務局に問い合わせましょう。

2. 曲の決まりが、いまのレパートリーに合うか

課題曲がある大会なら、リストの中に歌える曲や、歌ってみたい曲があるかを見ます。自由曲の大会でも、「アリアを1曲入れること」「イタリア語かドイツ語」など、条件がついていることがあります。いま先生と練習している曲で出られるかどうかは、えらぶときの大きなポイントです。

3. 会場で歌いたいか、動画で出たいか

ステージで歌う経験をしたいなら、会場で歌う大会。仕事や家の用事で、平日に動けない方や、遠くまで行けない方は、予選を動画で受けられる大会が合っています。

4. 本選まで進んだときの日程

予選を通ったときに、本選の日に行けないと、せっかくの結果がもったいなくなります。本選の日や会場、賞をとったときに演奏会に出る決まりがあるかも、見ておきましょう。「春の声」声楽コンクールのように、入賞した方が入賞者の演奏会に出られないと、賞がとり消しになると書いている大会もあります。

5. 伴奏をどうするか

会場で歌う大会では、ピアノの伴奏者がひつようです。自分でお願いする大会と、大会が用意した伴奏者にお願いできる大会があります。アクティブシニアのための声楽コンクールのように、伴奏者をお願いできるしくみを用意している大会もあります。

本番までの準備

先生に相談する

声楽を習っている方は、出たい大会が決まったら、まず先生に相談しましょう。曲えらび、キーの決め方、本番までの練習のすすめ方など、自分では気づきにくいところを見てもらえます。

時間をはかって通して歌う

声楽コンクールには、「6分以内」「5分以内」など、時間の決まりがあります。前奏から後奏までをふくめて数える大会もあるので、伴奏といっしょに、時間をはかって通して歌う練習をしておきましょう。

暗譜の練習は早めに

会場で歌う声楽コンクールでは、楽譜を見ないで歌う暗譜がもとめられることが多いです。外国語の歌詞は、とくにおぼえるのに時間がかかります。ことばの意味をひとつずつしらべて、自分のことばで説明できるくらいにしておくと、わすれにくくなり、表現もゆたかになります。

本番と同じ形で、一度歌っておく

先生のレッスンの発表会や、家族の前などで、本番と同じ服、同じくつで、一度通して歌っておくと安心です。動画で出るばあいは、本番のつもりでとってみて、あとから見直すと、立ち方や表情のくせにも気づけます。

のどと体のケア

  • 本番の前の日は、大きな声で長く話しすぎない
  • かんそうするきせつは、加湿やマスクでのどを守る
  • しっかりねむって、体の調子をととのえる
  • のどのいたみや声のかすれがつづくときは、耳鼻科で相談する

40代・50代・60代からの挑戦

「いまの声」で歌う

大人になってから声楽をはじめた方も、若いころに歌っていて、ひさしぶりに歌いはじめた方もいると思います。声は、年れいとともにすこしずつかわっていきます。むかし出ていた高い音にこだわらず、いまの声にいちばん合う曲とキーをえらぶことがたいせつです。キーを変えてよいかどうかは、大会や曲の種類によってちがうので、募集要項でたしかめましょう。

40代・50代:仕事や家事との両立

この年代の方は、お仕事や子育て、家の用事でいそがしいじきと重なることが多いと思います。練習の時間を毎日たっぷりとるのはむずかしくても、しめきりがあると、「この日までに1曲しあげよう」という目標ができます。予選を動画で受けられる大会なら、自分の予定に合わせてとれるので、出やすいはずです。

60代から:シニアの部門を目安に

60代、70代になってからの挑戦なら、シニアの部門や、年代ごとに分かれた部門がある大会をえらぶと安心です。60歳以上の方だけが出られる大会もあります。国際声楽コンクール東京では74歳以上の部門、日本モーツァルト音楽コンクールでは85歳以上の部門もあり、「何歳になっても挑戦できる」ことを感じさせてくれます。

申込の手続きがインターネットだけでむずかしいと感じる方へ、手書きの申込書を受けつけている大会もあります。国際声楽コンクール東京とプリマヴェーラ声楽コンコルソでは、年れいの高い愛好者部門の方を対象に、手書きの申込書を事務局が入力するしくみが書かれています。

結果より、1曲を仕上げた経験を大切に

大人のコンクールで、いちばん大きな意味があるのは、賞の色よりも、1曲をじっくり練習して、だれかにきちんと聞いてもらえたことだとわたしは思います。講評をもらったら、次の練習でひとつだけためしてみる。そのくりかえしで、歌は何歳からでもまだまだのびていきます。

まだ声楽を習っていない方へ

「コンクールに出てみたいけれど、まだ声楽を習ったことがない」という方は、まず教室で発声の基本を学んでみるのもおすすめです。カラオケ教室と声楽教室のちがいは、こちらの記事でくらべています。カラオケ教室と声楽教室、どちらが合う?おとなが歌を習うときのえらび方

声楽にこだわらず、ポップスや童謡など、好きなジャンルで出てみたい方は、ジャンルを問わない歌のコンクールをえらぶ方法もあります。

まとめ

  • 大人・アマチュアが出られる声楽コンクールには、アマチュアや愛好者の部門、年代別の部門、シニアの部門がある
  • 「アマチュア」の決まりは大会ごとにちがうので、出場資格をいちばん先にたしかめる
  • 曲は、自由曲、課題曲、その両方の大会がある。時間や言葉の決まりも見ておく
  • 予選と本選に分かれる大会が多く、予選を動画で受けられる大会もある
  • えらぶときは、出場資格、曲の決まり、会場か動画か、本選の日程、伴奏をチェックする
  • 40代・50代・60代からでも、いまの声に合う曲とキーで、自分のペースで挑戦できる

声楽コンクールの前に、まずは気軽に一度、だれかに歌を聞いてもらいたいという方には、こどもの歌声グランプリもよかったらのぞいてみてください。大学生、一般(〜64歳)、シニア(65歳以上)の部門があり、クラシックの歌曲やアリアはもちろん、どのジャンルでも動画1本で出られます。出てくれた方みんなに、文章の講評とデジタル賞状が届き、審査員へのお礼もいりません。こどもの歌声グランプリ

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