「お礼、お礼」になやんだ母が、お礼不要の歌のコンクールをつくった理由
はじめまして。こどもの歌声グランプリを主催している、ひとりの母です。
わたしの息子は、声楽や童謡のコンクールにたくさん出てきました。ジュニアクラシックで1位をいただくなど、うれしい結果もたくさんありました。
でもその裏で、わたしにはずっと、だれにも言えないなやみがありました。
歌を始めて、おどろいた「お礼」の世界
息子が歌を始めて、いちばんおどろいたのは、「お礼」の制度でした。
コンクールの日には、先生に菓子折りを持っていく。1位をとったときには、「本当は30万円くらい包むものだよ」と言われました。1万円ほどのお菓子の上に、お金を入れた封筒をのせてわたす、という形も教えてもらいました。
そこに、伴奏者へのお礼、衣装、交通費……。もう、いくら使ったのかわからないほどです。
「お礼、お礼ばかりで、レッスン代以外にかかる費用が、あまりにも大きい」
そう感じながらも、息子のためにと、だまって続けてきました。
うれしいはずの入賞が、不安にかわる
いちばんつらかったのは、息子が入賞したときに、心からよろこべない自分がいたことです。
「よかったね!」と言うと同時に、「お礼はいくらにしよう……」と考えてしまう。がんばったのは息子なのに、そのよろこびが、お金の心配で小さくなってしまうのです。
きっと、同じ気持ちのお父様・お母様は、たくさんいると思います。
お金のほかにも、親の負担はたくさんある
お礼のことだけではありません。会場で歌うコンクールでは、平日の練習の送りむかえ、遠くの会場への移動、朝早くからの付きそい、伴奏者との日程合わせなど、親の負担もたくさんあります。
お仕事をしているお父様・お母様や、小さなきょうだいがいるご家庭では、「出してあげたいけれど、むずかしい」とあきらめることもあると思います。
歌が好きな気持ちは同じなのに、おうちの事情で挑戦できるかどうかが決まってしまう。それも、わたしがなんとかしたいと思っていたことの1つです。
だから、お礼不要のコンクールをつくりました
「お金のことを気にせず、歌うことだけに向き合える場所があったらいいのに」
その思いからつくったのが、こどもの歌声グランプリです。
- 審査員の先生へのお礼や菓子折りは、いっさい不要
- かかるのは、参加費と、希望した追加サービスだけ
- 入賞しても、追加でお金をお願いすることはない
- おうちでとった動画で出られるので、交通費もかからない
もうひとつ、大切にしたこと
息子をコンクールに出していて、もうひとつ思っていたことがあります。それは「講評が届くまでが長い」ことでした。
いちばん知りたいのは、「うちの子は、次に何を練習すればいいの?」です。だからこのコンクールでは、出てくれたお子様全員に、結果発表から2週間以内に、文章の講評とデジタル賞状をお届けします。
講評を「つぎの練習」につなげてほしい
講評は、点数や順位をつけるためだけのものではありません。お子様のよいところと、これから練習するとよいところを、ことばで受け取れることに意味があると思っています。
講評が届いたら、ぜひ親子で一緒に読んでみてください。
- まず、ほめてもらえたところに、しるしをつける
- つぎに、「これから練習するとよいところ」を1つだけえらぶ
- その1つを、つぎの1か月の練習のテーマにする
いくつも直そうとすると、お子様は歌うことがつらくなってしまいます。1つずつで十分です。つぎに出たときに、その1つができるようになっていたら、それは大きな成長です。
お礼の文化を、否定したいわけではありません
ここまで読んで、「先生へのお礼はよくないもの」と感じた方がいたら、少しだけ補足させてください。
先生に感謝の気持ちを伝えることは、とても大切なことです。わたし自身、息子をみてくださった先生方には、心から感謝しています。
わたしが変えたかったのは、「お礼をしないといけないのでは」という不安のせいで、コンクールに出ることをあきらめたり、入賞を心からよろこべなかったりすることです。
お礼をするかどうかは、それぞれのご家庭と先生とのあいだで決めればいいこと。少なくとも、コンクールそのものに出るときには、その心配をしなくていい場所をつくりたいと思いました。
こどもの歌声グランプリで、大切にしていること
あらためて、このコンクールで大切にしていることをまとめます。
だれでも、どんなジャンルでも
部門は幼児からシニアまで。童謡、声楽、ミュージカル、ポップスなど、歌のジャンルは問いません。「声楽を習っていないと出られない」ということはありません。おうちで歌うのが大好き、というお子様にも出てほしいと思っています。
おうちから、動画で
会場に行かなくても、おうちでとった動画で出られます。遠くに住んでいるご家庭も、小さなきょうだいがいるご家庭も、同じように挑戦できます。動画のとり方は、べつの記事でくわしく書いています。歌の動画審査、スマホでのきれいなとり方。おうちでできる10のコツ
全員に、文章の講評を
入賞したかどうかにかかわらず、出てくれたお子様全員に、文章の講評とデジタル賞状をお届けします。
お金の心配をしない
審査員へのお礼も菓子折りもいりません。入賞したあとに、追加でお金をお願いすることもありません。
動画で出てもらうからこそ、気をつけていること
おうちで動画をとるとき、お子様の安全もとても大切です。動画を出すときは、つぎのことを、ご家族で話しあってから決めてください。
- 動画をネットにのせるときは、限定公開にしておく
- お子様の顔をうつすかどうかは、ご家族で決める
- 学校の制服や名札、家のまわりの景色など、場所がわかるものはうつさない
- 体調がよくない日は、むりにとらない。のどがいたいときは、歌うのをお休みする
声のことで気になることが続くときは、耳鼻科で一度みてもらうと安心です。
こんなお子様・ご家庭に、出てほしい
- はじめてのコンクールで、まずはおうちから挑戦してみたい
- 遠くの会場まで行くのがむずかしい
- 講評をもらって、つぎの練習に生かしたい
- お礼や追加のお金のことを気にせず、歌うことに集中したい
- もっと上をめざして、本番の経験をふやしたい
はじめてのコンクールえらびでまよっている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。子ども向け童謡コンクールのえらび方。はじめてでも失敗しないポイント
息子がはじめてコンクールの舞台に立った日のことは、今もよくおぼえています。舞台袖で「あぁ、むりだ、どうしよう」と言っていた息子は、歌いおわってわたしの顔を見た瞬間、だきついて泣きました。
「それでも、まだコンクールに出たい?」と聞くと、「出たい」と言って、ゆずりませんでした。終わってから泣かなくなったのは、5回目の舞台のときです。
よくある質問
Q. 先生に習っていなくても、出られますか?
はい、出られます。教室に通っているかどうかは問いません。おうちで練習してきた歌を、そのまま聞かせてください。
Q. 小さな子でも大丈夫ですか?
幼児の部門があります。小さなお子様は、とちゅうで歌詞をわすれたり、うごいてしまったりすることもありますが、それも含めて、その年れいらしい歌声です。むりのない長さの曲をえらんであげてください。
Q. 講評は、どんなことが書かれていますか?
お子様のよかったところと、これから練習するとよいところを、ことばでお伝えします。お子様と一緒に読めるように、わかりやすい表現を心がけています。
Q. 入賞したら、何か費用がかかりますか?
いいえ。入賞したあとに、追加でお金をお願いすることはありません。
さいごに
歌は、本来とても楽しいものです。お子様の「歌が好き」を、お金の心配なく、まっすぐ応援できる場所にしたいと思っています。
はじめてのコンクールにも、もっと上をめざすコンクールにも。お子様の歌声を聞けるのを、たのしみにしています。
そして、かつてのわたしのように、お礼やお金のことでひとりでなやんでいるお父様・お母様がいたら、ここでは何も気にしなくていいと知ってもらえたらうれしいです。親子で「出てよかったね」と笑いあえる場所であり続けられるよう、これからも心をこめて続けていきます。