スキャットとは?ジャズで意味のない音で歌う楽しみ方と、はじめてのやり方
「ジャズの歌で、ことばではない音で楽しそうに歌っている部分がある。あれは何だろう」 「スキャットとは、どういうものなのか知りたい。自分でもやってみたい」
ジャズを聞いていると、歌い手が「ドゥビドゥバ」「シャバダバ」のような、意味のない音で歌っている場面に出会うことがあります。これが、スキャットとよばれる歌い方です。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、スキャットとは何か、どんなところが楽しいのか、そしてはじめての方のスキャットのやり方を、ていねいにお話しします。ジャズボーカル全体のはじめ方ではなく、スキャットにしぼってまとめました。むずかしい音楽の知識がなくても、遊びのような気持ちではじめられる歌い方です。
スキャットとは?
ことばのかわりに「音」で歌う歌い方
スキャットとは、歌詞のことばのかわりに、意味をもたない音をつなげて歌う歌い方のことです。たとえば「ドゥ」「バ」「ダ」「ビ」「シュビ」のような音を組み合わせて、メロディやリズムをつくっていきます。
ことばの意味にしばられないので、声を楽器のようにつかえるのが大きな特ちょうです。トランペットやサックスがメロディをかなでるように、声でフレーズをつくっていくイメージです。
ジャズの中でよく聞かれる
スキャットは、とくにジャズの歌でよく聞かれます。ジャズでは、決まったメロディを歌ったあとに、その場で思いついたフレーズを演奏する「アドリブ」の時間があることが多いです。歌い手がこのアドリブをするときに、スキャットがつかわれることがあります。
ただ、スキャットはジャズだけのものではありません。ポップスやアニメの歌、テレビの音楽などでも、ことばのない「ルル」「ダバダ」のような部分を耳にすることがあります。広い意味では、こうした歌い方もスキャットとよばれることがあります。
アドリブとスキャットのちがい
アドリブは「その場で考えて演奏すること」、スキャットは「意味のない音で歌うこと」です。スキャットでアドリブをすることが多いですが、あらかじめ決めておいたスキャットのフレーズを歌うこともあります。はじめのうちは、決めたフレーズをまねして歌うところからで、じゅうぶんです。
スキャットの楽しさ
声が楽器になる
スキャットのいちばんの楽しさは、自分の声が楽器になったように感じられることです。ことばを伝える歌とはまたちがって、音の高さ、長さ、強さ、リズムだけで遊ぶことができます。
正解がひとつではない
スキャットには、「この音でなければいけない」という決まりがほとんどありません。同じ曲でも、歌う人によって音のえらび方やリズムがちがいます。自分らしさが出やすい歌い方といえます。
リズム感をきたえる練習にもなる
スキャットは、リズムにのって音をならべていく歌い方なので、リズムを感じる練習にもなります。ジャズ以外の歌を歌うときにも、ノリのよさにつながることがあります。リズムについてもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。リズム感をよくする歌の練習。子どもも大人もできる手拍子・メトロノーム練習
スキャットのやり方(はじめての方へ)
まずは、たくさん聞く
スキャットのやり方で、いちばん大切なのは「聞くこと」です。ジャズの歌の録音で、スキャットが入っているものをえらんで、何回も聞いてみましょう。
- どんな音(ドゥ、バ、ダなど)をつかっているか
- 音が短いところ、長いところはどこか
- どこで息をすっているか
- 楽器の音と、どんなふうに会話しているか
はじめは、こうしたことをなんとなく感じるだけでかまいません。聞いているうちに、スキャットらしい音の流れが耳になじんできます。
よくつかわれる音をおぼえる
スキャットでは、言いやすく、リズムを出しやすい音がよくつかわれます。たとえば次のような音です。
- ドゥ、ドゥビ、ドゥバ(やわらかく、つなげやすい音)
- バ、ダ、ダバ(はっきりして、明るい感じの音)
- シュビ、シャバ(軽く、はずむ感じの音)
- ルー、ラー、ウー(長くのばすときの音)
子音をはっきりさせると歯切れがよくなり、母音を長めにすると、やわらかい感じになります。どの音が自分に合うか、声に出してためしてみてください。
手びょうしにのせて口ずさむ
いきなりメロディを歌おうとしなくても、だいじょうぶです。まずは、手でかるくひょうしをとりながら、「ドゥビ、ドゥバ」と、リズムだけを口ずさんでみましょう。
ジャズでは、4拍子の2拍目と4拍目を強く感じることが多いといわれます。手びょうしをその拍でうつようにすると、ジャズらしいノリを感じやすくなります。
短いフレーズをまねする
録音の中で、気に入った短いスキャットの部分を見つけたら、そこだけをまねして歌ってみましょう。音の高さがぴったり合わなくても、リズムと音の感じをまねするだけで、ぐっとそれらしくなります。
まねができるようになったら、音をひとつだけかえてみる、リズムを少しずらしてみるなど、自分なりのアレンジをくわえてみてください。
メロディをくずして歌ってみる
知っている曲のメロディを、ことばのかわりに「ドゥ」や「バ」で歌ってみるのも、よい練習です。さらに、メロディの一部をのばしたり、短くしたり、まわりの音をくわえたりしてみましょう。これが、アドリブのスキャットへの入り口になります。
メロディをくずして歌う考え方は、こちらの記事でもふれています。歌のフェイクとは?メロディをくずす歌い方と、はじめての練習
伴奏に合わせて歌う
なれてきたら、ジャズの伴奏音源や、くり返しのあるリズムに合わせて歌ってみましょう。同じ和音がくり返される部分なら、音をはずしにくく、安心してスキャットを楽しめます。
スキャットの練習でつまずきやすいところ
何を歌えばいいか、わからなくなる
自由に歌っていいと言われると、かえって何も出てこなくなることがあります。そんなときは、つかう音を「ドゥ」と「バ」だけ、などとしぼってみましょう。えらぶものが少ないほうが、リズムに集中しやすくなります。
はずかしくて声が小さくなる
意味のない音で歌うのは、はじめは少し照れくさいものです。家族がいないときや、ひとりの時間に小さな声からはじめてかまいません。録音して聞いてみると、思ったよりも楽しそうに聞こえることもあります。
早口になって息が続かない
スキャットは、こまかい音が続くことが多いので、息が足りなくなりがちです。フレーズとフレーズのあいだに、休むところをつくりましょう。いつも音でうめなくても、だまっている時間があるほうが、かえってかっこよく聞こえることもあります。
のどに力が入る
速いフレーズを歌おうとすると、のどや肩に力が入りやすくなります。はじめはゆっくりのテンポで、軽い声で歌うのがおすすめです。のどの痛みやかすれが続くときは、練習を休み、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
お子様とスキャットで遊ぶとき
スキャットは、大人だけでなく、お子様といっしょに楽しむこともできます。意味のない音で歌うので、ことばをおぼえなくてもよいのが、よいところです。
- お父様・お母様が「ドゥビドゥバ」と歌ったら、お子様がまねをする
- 動物の鳴き声や、乗り物の音をスキャットのように歌ってみる
- 好きな童謡のメロディを「ルルル」や「ダダダ」で歌ってみる
「上手に歌う」よりも、「音で遊ぶ」ことを大切にすると、お子様も楽しく続けやすくなります。大きな声を出しすぎないように、やさしい声で遊んでください。
スキャットを習いたいときは
ひとりで練習していて、「もっとジャズらしく歌いたい」「アドリブのコツを知りたい」と思ったら、ジャズボーカルを教えている教室やボイトレ教室で相談してみるのもひとつの方法です。
教室によっては、スキャットのフレーズの考え方や、和音に合った音のえらび方などを教えてもらえることがあります。どこまで教えてもらえるかは、教室や先生によってちがうので、体験レッスンなどでたしかめてみてください。
まとめ
- スキャットとは、ことばのかわりに意味のない音で歌う歌い方
- ジャズのアドリブでよくつかわれるが、ほかのジャンルでも聞かれる
- スキャットのやり方は、まず「たくさん聞く」ことから
- 「ドゥ」「バ」「シュビ」など、言いやすい音からためしてみる
- 手びょうしにのせて、リズムだけを口ずさむところからはじめる
- 短いフレーズのまねから、少しずつ自分なりのアレンジへ
- のどに力を入れず、ゆっくり軽い声で練習する
スキャットは、声で遊ぶような気持ちで楽しめる歌い方です。ジャズの歌をもっと知りたくなったら、近くの教室をさがしてみてください。歌の教室さがし練習した歌をだれかに聞いてもらいたくなったときは、こどもの歌声グランプリもあります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、歌をつづける楽しみのひとつにしてみてください。こどもの歌声グランプリ