浪曲とは?語りと節で物語を伝える芸の、初心者向けの楽しみ方
「浪曲(ろうきょく)ということばは聞いたことがあるけれど、どんなものかよく知らない」 「浪曲を一度聞いてみたい。初心者でも楽しめるのかな」
浪曲は、三味線の伴奏にのせて、語りと節(ふし)で物語を伝える日本の芸です。「浪花節(なにわぶし)」とよばれることもあります。ひとりの語り手が、いろいろな登場人物を声で演じわけながら、物語をすすめていきます。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、浪曲とは何か、どんな特ちょうがあるのか、そして浪曲の初心者の方が楽しむためのポイントを、やさしくお話しします。歌とも語りともちがう、浪曲ならではの声の魅力にふれてみてください。
浪曲とは?
語りと節で物語を伝える芸
浪曲とは、三味線の伴奏にあわせて、物語を「語り」と「節」で伝える芸のことです。語りの部分では、登場人物のせりふや、場面のようすを、話しことばに近い形で伝えます。節の部分では、メロディをつけて、歌うように物語をすすめます。
この「語る」と「歌う」を行き来しながら、ひとつの物語を最後まで演じるのが、浪曲の大きな特ちょうです。
「浪花節」ともよばれる
浪曲は、「浪花節」ともよばれます。明治時代ごろから広く親しまれるようになり、多くの人に愛された芸だといわれています。
「浪花節」ということばは、義理や人情を大切にする、という意味で日常の会話につかわれることもあります。それだけ、浪曲が人びとの身近にあったということかもしれません。
どんな物語が語られるの?
浪曲で語られる物語には、人と人とのきずな、親子の情、義理と人情、歴史上の人物の話、ゆかいな話など、いろいろなものがあります。泣ける話もあれば、思わず笑ってしまう話もあります。
物語には、ほかの語りの芸や、昔の読み物から取り入れられたものもあるといわれます。
浪曲の特ちょう
浪曲師と曲師
浪曲は、ふたりで演じるのが基本です。
- 浪曲師(ろうきょくし):物語を語り、節をうなる人
- 曲師(きょくし):三味線をひいて、浪曲師をささえる人
曲師の三味線は、決まった楽譜どおりにひくというより、浪曲師の語りや声の調子にあわせて、その場でひき方をかえていくことが多いといわれます。ふたりの息がぴったり合ったとき、物語がいきいきと動き出します。
声の力強さ
浪曲の節は、「うなる」と表現されることがあります。力強く、のびのある声で、物語の気持ちを伝えます。ひとつの音を長くのばしながら、こぶしのように声をゆらす部分もあり、聞く人の心をぐっとつかみます。
ひとりで何人もの人物を演じる
浪曲師は、ひとりで、物語に出てくるいろいろな人物を演じわけます。年をとった人、若い人、男の人、女の人、こわい人、やさしい人など、声の高さや話し方をかえて表現します。声だけで、目の前に物語の場面がうかんでくるようなところが、浪曲の魅力です。
舞台のようす
浪曲の舞台では、浪曲師が、きれいな布をかけた台(テーブル掛け)の前に立って語ることが多いです。台の布には、はなやかなもようがえがかれていることもあり、舞台を見るのも楽しみのひとつです。
物語のすすみ方
浪曲は、多くの場合、節ではじまり、物語の場面を語りですすめ、気持ちがもりあがるところでまた節になる、というように、語りと節を組み合わせながらすすんでいきます。物語のいちばんの山場では、力強い節で一気にもりあげ、聞く人の心をつかみます。
長い物語の一部分だけを語ることもあり、「つづきはまた今度」というような終わり方をすることもあるといわれます。つづきが気になって、また聞きに行きたくなる、というのも、浪曲の楽しみ方のひとつです。
浪曲の初心者が楽しむためのポイント
まずは物語を楽しむ
浪曲を初心者の方が楽しむときは、むずかしく考えず、「物語を聞きに行く」気持ちでいるのがいちばんです。ことばの中に、少し古い言い回しが出てくることもありますが、全体の流れがわかれば、じゅうぶん楽しめます。
語りと節の切りかわりを感じる
聞いていると、語りの部分と、節の部分が、交互にあらわれることに気がつくと思います。
- 語りの部分では、せりふのやりとりや、場面の説明に耳をかたむける
- 節の部分では、声ののびや、気持ちのこもり方を感じる
この切りかわりを意識すると、浪曲のリズムがつかみやすくなります。
三味線の音にも耳をすませる
曲師の三味線は、物語の場面や気持ちにあわせて、音の感じをかえていきます。かなしい場面、もりあがる場面など、三味線がどんなふうにささえているかを聞いてみると、楽しみがさらに広がります。
かけ声や拍手のこと
浪曲の会場では、いい場面で、お客さんからかけ声や拍手がおこることがあります。はじめての方は、まわりのようすを見ながら、拍手で楽しむくらいでじゅうぶんです。会場によってふんいきもちがうので、無理にかけ声をかけなくてもだいじょうぶです。
浪曲を聞くには
寄席や会場で聞く
浪曲は、寄席や、浪曲の会がひらかれる会場などで聞くことができます。生の声と三味線の音を、すぐそばで感じられるのは、会場ならではのよさです。公演の予定や内容は、その時々でちがうので、公式の案内でたしかめてください。
録音や配信で聞く
浪曲の録音や、インターネットで聞ける音源もあります。家でゆっくり聞いてみて、気に入ったら会場に足をはこんでみる、という楽しみ方もあります。
お子様といっしょに聞くとき
浪曲には、親子の情や、人を思いやる気持ちをえがいた物語も多くあります。お子様といっしょに聞くときは、話の内容がお子様に合っているかどうかを、お父様・お母様が先にたしかめておくと安心です。公演によっては、お子様の入場について決まりがあることもあるので、事前に確認しましょう。
浪曲から、歌や声の表現に生かせること
浪曲は、歌とはちがう芸ですが、歌を歌う方にとっても学べることがたくさんあります。
ことばで場面をえがく力
浪曲師は、声とことばだけで、物語の場面をえがきます。歌でも、ことばの意味や気持ちを考えて歌うと、聞く人に伝わり方がかわります。歌に気持ちをこめるコツは、こちらの記事でもまとめています。歌に気持ちをこめるには?歌詞の読みこみ方と、表情・声の色のつけ方
声の高さや色をかえる工夫
ひとりで何人もの人物を演じわける浪曲の声には、声の高さ、強さ、明るさをかえる工夫がつまっています。歌でも、場面にあわせて声の色をかえると、表現の幅が広がります。
「間」の大切さ
浪曲では、ことばとことばの間、語りと節の間、三味線と声の間が、とても大切にされています。歌でも、休符や息つぎの「間」を大切にすると、歌全体がひきしまります。
浪曲を習ってみたいとき
浪曲を聞いて、「自分でもやってみたい」と思う方もいるかもしれません。浪曲の講座や教室がひらかれていることもあるようです。どこで学べるか、どんなふうに教えてもらえるかは、その時々や場所によってちがうので、浪曲の会場や公式の案内などで情報をさがしてみてください。
日本の伝統の声の芸としては、詩吟などもあります。こちらの記事もあわせて読んでみてください。詩吟とは?はじめての方への、詩吟の楽しみ方と習い方
力強い声をまねするときの注意
浪曲のうなるような声をまねしてみると、のどに大きな負担がかかることがあります。力強い声は、長い時間の練習と、体のつかい方の工夫からうまれるものです。自分でまねするときは、のどに力を入れすぎず、小さめの声で、短い時間にとどめましょう。のどの痛みやかすれが続くときは、無理をせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 浪曲とは、三味線の伴奏にのせて、語りと節で物語を伝える日本の芸
- 「浪花節」ともよばれ、明治時代ごろから広く親しまれてきたといわれる
- 浪曲師が物語を語り、曲師が三味線でささえる
- ひとりで何人もの人物を演じわけ、力強い節で気持ちを伝える
- 浪曲の初心者は、まず物語を楽しみ、語りと節の切りかわりを感じてみる
- 寄席や会場、録音や配信などで聞くことができる
- ことばで場面をえがく力や「間」の大切さは、歌にも生かせる
浪曲は、声とことばの力で、聞く人を物語の世界につれていってくれる芸です。声の表現にもっと興味がわいたら、歌の教室で声の出し方を学んでみるのもよいと思います。歌の教室さがし歌を練習してだれかに聞いてもらいたくなったときは、こどもの歌声グランプリもあります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、歌をつづけるはげみにしてみてください。こどもの歌声グランプリ