ラップの歌い方のコツ。リズムにことばをのせる、はじめての練習
「ラップを歌ってみたいけれど、ことばが速すぎてついていけない」 「ラップの歌い方のコツって、ふつうの歌とどうちがうの?」
ラップは、メロディよりも、リズムとことばが中心になる歌い方です。音の高さをあまり気にしなくてよいぶん、はじめやすそうに見えます。でも、実際にやってみると、ことばがリズムからずれたり、息が足りなくなったりして、思ったよりむずかしいと感じる方も多いと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。その中で、歌はメロディだけでなく、リズムとことばがとても大切だということを、何度も感じてきました。ラップは、その「リズムとことば」を思いきり楽しめる歌い方です。
この記事では、ラップの歌い方のコツを、はじめての方向けに、練習の順番にそってまとめます。お子様から大人の方まで、気軽にためしてみてください。
ラップの歌い方は、ふつうの歌とどこがちがう?
メロディより、リズムとことばが主役
ふつうの歌は、メロディの音の高さに合わせて、ことばを歌います。ラップは、音の高さはあまり大きく動かさず、話すような声で、リズムにことばをのせていきます。
そのため、ラップで大切になるのは、次のようなところです。
- 拍(ビート)に、ことばがきちんと合っているか
- ことばが、はっきり聞きとれるか
- 息つぎで、リズムがくずれないか
- 声の強さや速さで、気持ちが伝わるか
「話す」と「歌う」のあいだ
ラップの声は、ふだんの話し声に近いものです。ただ、ただ話すだけではなく、リズムに合わせて、ことばの長さや強さを、きちんとそろえていきます。「リズムにのって、はっきり話す」くらいのイメージで考えると、はじめやすくなります。
練習1 まずは拍を体で感じる
手びょうしと足ぶみで、ビートをとる
ラップの練習は、ことばより先に、拍を感じるところからはじめます。
- すきなビートの音源や、メトロノームを流す
- 足で、1・2・3・4と、拍に合わせて床をふむ
- 2と4のところで、手をたたく
ラップのビートは、2と4に強い音が入っていることが多いです。そこに手びょうしを合わせると、ビートにのる感じがつかみやすくなります。
リズム感をそだてる練習は、こちらの記事でもくわしく紹介しています。リズム感をよくする歌の練習。子どもも大人もできる手拍子・メトロノーム練習
体をゆらしながら聞く
ビートを聞きながら、ひざを軽くまげて、体を上下にゆらしてみましょう。体がリズムにのってくると、ことばもリズムにのせやすくなります。はずかしければ、首を小さくふるだけでもかまいません。
練習2 かんたんなことばを、拍にのせる
1拍に1つのことばから
いきなり速いラップをするのではなく、まずは1拍に1つのことばをのせます。
たとえば、「りんご・みかん・ぶどう・もも」のように、くだものの名前を4つえらび、1・2・3・4の拍に1つずつ合わせて言います。足ぶみをしながら、ことばのはじめの音が、足をふむタイミングにぴったり合うようにします。
1拍に2つ、4つとふやす
なれてきたら、1拍の中に入れることばの数をふやします。
- 1拍に2つ:「パン・ジャム」「あさ・ひる」のような2文字のことばを、たんたんと合わせる
- 1拍に4つ:「おはよう」「おやすみ」の4つの音を、こまかく分けて合わせる
ことばの数がふえても、足ぶみの速さはかえません。ことばのほうを、拍の中にきれいにならべていくイメージです。
自分の名前や、きょうのできごとで
練習のことばは、なんでもかまいません。自分の名前、すきな食べもの、きょうあったことなどを、拍にのせてみましょう。自分で考えたことばのほうが、楽しく練習できます。
練習3 ことばをはっきり聞かせる
口をしっかり動かす
ラップは、ことばが速いぶん、口の動きが小さいと、何を言っているのかわからなくなります。とくに、「か」「た」「ぱ」などの子音を、はっきり出すことを意識しましょう。
鏡の前で、口が動いているかをたしかめながら練習するのもおすすめです。
早口ことばで口をほぐす
練習の前に、早口ことばで口をほぐしておくと、ことばがスムーズに出やすくなります。はじめはゆっくり、はっきり言い、なれたら少しずつ速くしていきます。ことばをはっきり言う練習は、こちらの記事にまとめています。歌の滑舌をよくする練習。ことばがはっきり伝わる歌い方
強く言うことばを決める
全部のことばを同じ強さで言うと、たいらに聞こえます。1つのフレーズの中で、「ここを強く言う」ことばを決めると、リズムがはっきりして、聞いている人にも気持ちよく聞こえます。
多くの場合、拍のあたまや、2と4の強い音に合うことばを強めにすると、リズムにのって聞こえやすくなります。
練習4 息つぎの場所を決めておく
息が足りなくなる理由
ラップは、ことばがつぎつぎと続くので、息つぎをするひまがないように感じます。息が足りなくなると、後半のことばが弱くなったり、リズムがおくれたりします。
楽譜や歌詞カードに、息つぎのしるしをつける
練習するラップの歌詞を紙に書き出して、息をすう場所に「V」などのしるしをつけておきましょう。
- ことばの切れ目
- フレーズの終わり
- 少しだけ音がない、すきまのところ
前もって決めておくと、本番であわてずにすみます。すう息は、たくさんではなく、短く、すばやくすうのがコツです。
息を全部はききらない
1つのフレーズで息を全部つかいきると、つぎのフレーズまでにすう時間が足りなくなります。少し息を残したまま、つぎの息つぎをするくらいが、ちょうどよいことが多いです。
練習5 録音して聞いてみる
ある程度言えるようになったら、ビートに合わせて言ったものを、スマホで録音してみましょう。
- ことばが、ビートよりおくれていないか、先に行っていないか
- 何を言っているか、聞きとれるか
- 後半で、声が弱くなっていないか
- 強く言うことばが、はっきり聞こえるか
自分では合っているつもりでも、録音を聞くと、ずれに気づくことがよくあります。気になったところだけを、ゆっくりの速さにもどして練習しましょう。
練習6 ラップと歌がまざる曲のとき
切りかわる場所をたしかめる
ポップスの中には、ふつうに歌うところと、ラップのところが、1曲の中でまざっているものもあります。こうした曲では、ラップから歌へ、歌からラップへ切りかわる場所で、つまずきやすくなります。
まずは、どこからどこまでがラップなのかを、歌詞カードに線を引いてたしかめておきましょう。
声の高さと出し方をかえる
ラップのところは、話し声に近い高さで、ことばをはっきりと出します。歌のところでは、メロディの音の高さに合わせて、声をのばします。切りかわる前に、「ここから話す声」「ここから歌う声」と、心の中で準備しておくと、あわてずにすみます。
切りかわりの前後だけをくりかえす
1曲を通して何回も歌うより、切りかわる前後の短いところだけを、何回かくりかえすほうが、早くなれます。ゆっくりの速さで、切りかわりがなめらかにできるようになったら、もとの速さにもどしていきましょう。
ラップを練習するときの注意
はじめはゆっくりの速さで
音源の速さで練習すると、ことばが追いつかず、口や舌に力が入ってしまいます。アプリなどで速さを落とせる場合は、ゆっくりからはじめ、少しずつもとの速さに近づけていきましょう。
大きな声を出しつづけない
ラップは、強い声を出したくなる場面もあります。でも、どなるような声を長く続けると、のどがつかれてしまいます。マイクをつかうときは、マイクにまかせて、声はらくな大きさで出しましょう。
のどの調子に気をつける
ことばをたくさん言うので、思ったよりのどがかわきます。水をこまめにのみ、練習は短い時間で区切りましょう。痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
お子様のことばえらび
お子様がラップを練習するときは、ことばえらびにも気をくばってあげてください。人をきずつけることばや、意味がよくわからないことばをまねするより、自分で考えたことばでラップをつくると、楽しく、安心して練習できます。
まとめ
- ラップの歌い方は、メロディよりもリズムとことばが主役
- まずは、手びょうしと足ぶみで拍を体で感じる
- 1拍に1つのことばから、2つ、4つと少しずつふやす
- 口をしっかり動かし、強く言うことばを決める
- 息つぎの場所を、前もって決めておく
- 録音して、ずれや聞きとりにくさをたしかめる
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
ラップの練習は、リズムとことばをそだてるので、ふだんの歌にもきっと役に立ちます。練習した歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ