男の子が歌を習うとき。はずかしい気持ちとのつきあい方と、声がわりまでの楽しみ方
「歌うのは好きなのに、友だちに知られるのはいやみたい」 「男の子が歌を習うのって、少ないのかな」
歌が好きな男の子を育てていると、こんなふうに思うお父様・お母様も多いと思います。家ではのびのび歌っているのに、外では小さな声になってしまう。習い事のことを聞かれると、だまってしまう。そんな姿を見ると、どう声をかけたらいいのか、まよいますよね。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。会場では、歌が大好きな男の子にもたくさん出会ってきました。どの子も、それぞれのペースで、はずかしい気持ちとつきあいながら歌っていたように思います。
この記事では、男の子が歌を習うときに出てきやすい「はずかしい」という気持ちとのつきあい方と、声がわりまでの時間をどう楽しむかについて、まとめます。
男の子が「はずかしい」と感じやすい理由
まわりに歌を習う男の子が少ないと感じる
歌の教室や合唱団では、女の子のほうが多いと感じる場面があるかもしれません。教室によってちがいますが、男の子が自分ひとりだと、なんとなく落ち着かないこともあります。
「ほかにも男の子はいるのかな」という気持ちは、とても自然なものです。おかしなことではありません。
友だちに言われたことばが気になる
小学生くらいになると、友だちの目がとても気になるようになります。「歌なんて女の子みたい」など、何気ないひとことで、歌が好きな気持ちをかくしてしまう子もいます。
言った友だちに悪気がないことも多いのですが、言われた子にとっては、心にのこることばです。
自分の声がかわりはじめて、とまどう
高学年から中学生になると、声がわりがはじまる子が出てきます。前のように高い声が出なくなったり、声がひっくりかえったりすると、人前で歌うのがはずかしくなることもあります。
声がわりについては、こちらの記事でくわしくまとめています。声がわりの時期の男の子と歌。続けていい?気をつけたいこと
はずかしい気持ちとのつきあい方
まずは気持ちをそのまま受けとめる
お子様が「はずかしい」と言ったときは、「そんなこと気にしなくていいよ」と、すぐに打ち消さないほうがよいことが多いです。
- 「そうか、はずかしいと思ったんだね」
- 「言われて、いやな気持ちになったんだね」
このように、まずは気持ちをそのまま受けとめてみてください。気持ちを分かってもらえたと感じると、お子様は少しずつ話してくれるようになります。
「歌が好き」という気持ちをみとめる
男の子だから、女の子だから、ということではなく、「歌が好き」という気持ちそのものが、すてきなことです。
- 「歌っているときの声、いいなと思うよ」
- 「好きなことがあるって、いいことだね」
お父様・お母様が、歌が好きな気持ちをみとめてくれるだけで、お子様の心はずいぶん軽くなります。
外で言うかどうかは、お子様にまかせる
歌を習っていることを、友だちに言うかどうかは、お子様が決めてよいことです。「かくさなくていいのに」と思っても、むりに話させる必要はありません。
自信がついてくると、自分から話せるようになる子もいます。いまは、家の中で安心して歌える場所をつくってあげることが大切です。
歌っている男の人の姿を見せる
テレビや動画、コンサートなどで、男の人が歌っている姿を見るのもよいきっかけになります。合唱、ミュージカル、声楽、バンドなど、歌にはいろいろなジャンルがあり、男の人もたくさん活やくしています。
「かっこいいね」と、いっしょに楽しめる時間があると、歌への見方がかわることもあります。
歌が役に立つ場面を話してみる
歌を習うと、声がよく通るようになったり、人前で話すときに落ち着けるようになったりすることもあります。学校の音楽の時間や、発表の場面で、習ったことが生きることもあるでしょう。
「歌を習っていると、こんなところでもいいことがあるかもね」と、お子様といっしょに考えてみるのも、歌を続ける気持ちのささえになります。
男の子が続けやすい教室のえらび方
男の子の生徒がいるか聞いてみる
体験レッスンのときに、「男の子の生徒さんもいますか」と聞いてみるのもひとつの方法です。同じくらいの年の男の子がいると、安心して通える子もいます。
個人レッスンかグループかを考える
人前で歌うのがはずかしい子には、先生と1対1の個人レッスンのほうが、のびのび歌えることがあります。反対に、友だちといっしょだと楽しく続けられる子もいます。
お子様の性格に合わせて、えらんでみてください。子どもの歌の教室えらびについては、こちらの記事にもまとめています。子どもの声楽教室のえらび方。先生えらびで後悔しないための7つのポイント
声がわりのことを分かっている先生か
男の子は、いずれ声がわりの時期をむかえます。その時期に、むりに高い声を出させず、いまの声に合わせてすすめてくれる先生だと安心です。体験のときに、声がわりの時期のレッスンについても聞いておくとよいと思います。
近くの教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
声がわりまでの時間の楽しみ方
いまの声を、たくさん楽しむ
声がわりの前の、男の子のすんだ高い声は、その時期だけの声です。上手に歌うことだけを目標にせず、いまの声で歌える曲を、たくさん楽しんでほしいと思います。
- 好きな童謡や歌を、いろいろ歌ってみる
- 合唱で、ほかの人と声を合わせる楽しさを知る
- ミュージカルの歌など、動きのある歌にちょうせんする
いまの声を記録しておく
スマホで、ときどき歌を録音や録画しておくのもおすすめです。声がわりのあとに聞きかえすと、「こんな声だったんだね」と、親子でなつかしく話せます。
録画は、お子様がいやがらないときだけにしましょう。「とってもいい?」と、ひとこと聞いてからにすると安心です。
歌いやすい高さに合わせてもらう
声がわりが近づくと、前まで出ていた高い音が出しにくくなることがあります。そんなときは、むりに出そうとせず、先生に相談して、曲の高さを下げてもらうなどの工夫をしてもらいましょう。
声が出しにくい時期は、だれにでもあります。「出ないのはだめなこと」ではなく、「声が育っている時期」と考えると、気持ちが楽になります。
のどを大切にする
声がわりの前もあとも、のどを大切にすることはかわりません。
- 大きな声でさけびつづけない
- 練習のあとは、水をのんでのどを休める
- 声がかすれているときは、歌う時間をへらす
痛みやかすれが何日も続くときは、むりをさせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
お父様・お母様ができること
練習を「見はる」より「聞く」
家での練習を、「ちゃんとやっているかな」と見はるより、「今日はどんな歌を習ったの?」と聞いてみてください。歌ってくれたら、「その歌、すきだな」とひとこと伝えるだけで、お子様はうれしくなります。
人前で歌う場は、むりにすすめない
発表会やコンクールに出たいかどうかも、お子様の気持ちを大切にしてください。人前がはずかしい子には、まずは家族の前で歌う、動画をとって家族で見る、といった小さなステップからはじめるのもよいと思います。
本番で緊張する子への声かけは、こちらの記事にまとめています。本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること
やめたい、と言ったとき
男の子は、まわりの目や声のかわりで、「もうやめたい」と言うこともあります。そんなときも、すぐに答えを出さず、理由を聞いてみてください。
- 友だちに何か言われたのか
- 声が出にくくて、つらいのか
- ほかにやりたいことができたのか
理由によっては、教室やレッスンの形をかえることで、続けられることもあります。たとえば、グループから個人レッスンにかえる、オンラインのレッスンにしてみる、歌うジャンルをかえてみる、といった方法です。お子様といっしょに、どの形なら楽しく続けられそうか、話し合ってみてください。お休みをはさんで、また歌いたくなったら戻る、という形もあります。
まとめ
- 男の子が歌をはずかしいと感じるのは、自然なこと
- まずは気持ちを受けとめて、「歌が好き」という気持ちをみとめる
- 習っていることを外で言うかどうかは、お子様にまかせる
- 教室は、男の子の生徒がいるか、声がわりを分かっている先生かを見る
- 声がわりの前の声は、その時期だけの声。たくさん楽しんで、記録しておく
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
歌が好きな男の子が、はずかしい気持ちとつきあいながら歌っている姿は、とてもすてきです。いまの声を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られるので、会場で人前に立つのがはずかしいお子様でも、おうちでとった動画で応募できます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、お子様の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ