練習・発声のコツ

ゆっくりな曲の歌い方。テンポが遅い歌を、だらけずに最後まで歌うコツ

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「ゆっくりな曲のほうが、かんたんだと思っていたのに、歌ってみるとむずかしい」 「遅い曲を歌うと、なんだか間のびして、だらけた感じになってしまう」

こんなふうに感じたことはありませんか。速い曲は、ことばやリズムについていくのがたいへんです。でも、ゆっくりな曲には、またちがうむずかしさがあります。音が長く続くぶん、息がもたなかったり、音程がゆれたり、テンポがだんだん遅くなったりしやすいのです。

わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。

この記事では、ゆっくりな曲の歌い方にしぼって、遅い曲が歌いにくい理由と、だらけずに最後まで歌うためのコツをまとめました。お子様にも、大人の方にも、つかえる考え方です。

遅い曲の歌が難しいと感じる理由

音と音のあいだが長い

ゆっくりな曲では、ひとつの音を長くのばす場面がたくさんあります。音が長いと、そのあいだに声の大きさや高さがゆれても、聞いている人に気づかれやすくなります。速い曲なら、すぐにつぎの音にうつるので目立たないことも、遅い曲ではそのまま聞こえてしまうのです。

テンポが自然に遅くなっていく

ゆっくりな曲を歌っていると、気づかないうちに、テンポがさらに遅くなっていくことがあります。気持ちをこめようとして音をのばしすぎたり、つぎのことばを思い出すのに時間がかかったりすると、歌全体が重たくなります。伴奏といっしょに歌うときには、ずれの原因にもなります。

息が足りなくなりやすい

ゆっくりな曲は、息つぎとつぎの息つぎのあいだが、長くなりがちです。とちゅうで息が足りなくなると、語尾が弱くなったり、急いで息をすったりして、歌の流れが切れてしまいます。

「何をすればいいか」がわかりにくい

速い曲は、ことばをはっきり言う、リズムに乗るなど、がんばることがわかりやすいものです。いっぽう、ゆっくりな曲は、どこに気をつければいいのかが見えにくく、ただ音をのばしているだけになりがちです。これが、遅い曲の歌が難しいと感じる、いちばん大きな理由かもしれません。

だらけないためのリズムの感じ方

体の中で、こまかい拍を感じる

ゆっくりな曲の歌い方で、とても大切なのが、拍(はく)の感じ方です。拍とは、曲の中で一定に続く、心臓の音のようなきざみのことです。

遅い曲では、ひとつの拍が長いので、そのあいだに気持ちがゆるみやすくなります。そこで、ひとつの拍を、さらにこまかく分けて感じてみましょう。「いち、と、に、と」のように、拍のあいだに小さなきざみを入れるイメージです。こまかいきざみを体の中で感じていると、音をのばしているあいだもリズムがゆるまず、テンポが安定しやすくなります。

手や足で、そっときざむ

練習のときは、ひざを手で軽くたたいたり、足のつま先で小さくリズムをとったりしながら歌ってみてください。体がリズムをおぼえると、本番で手や足を動かさなくても、心の中でテンポを保ちやすくなります。

音をのばしている時間も「動いている」と考える

のばす音は、止まっている時間ではありません。つぎの音に向かって進んでいる時間です。音をのばしながらも、「つぎのことばへ向かっている」という気持ちを持つと、歌が前へ進んでいくように聞こえます。

伴奏をよく聞く

伴奏のある曲なら、ピアノやギターのきざみをよく聞きましょう。伴奏がこまかく動いているところは、そのリズムに体を乗せるようにすると、自然にテンポが安定します。伴奏がゆったりしている曲でも、和音がかわるタイミングを意識すると、歌が置いていかれにくくなります。

ゆっくりな曲の息のつかい方

息つぎの場所を先に決めておく

ゆっくりな曲では、どこで息をすうかを、楽譜や歌詞カードに書きこんでおきましょう。ことばの意味のまとまりで区切ると、自然な息つぎになります。

決めた場所よりも前で、「念のため」にもう一回息をすえる場所を決めておくのもおすすめです。いつもはつかわなくても、緊張して息が足りなくなったときに、あわてずにすみます。

息は、たくさんより「ゆっくり出す」

長いフレーズの前に、むりにたくさん息をすおうとすると、肩や胸に力が入って、かえって苦しくなることがあります。大切なのは、すった息を、ゆっくり、少しずつ出していくことです。

ろうそくの火を、消さないようにゆらすくらいの細い息を、長く出すイメージを持ってみてください。息を一気に出さないように意識すると、フレーズの最後まで声が続きやすくなります。

息つぎの時間も、拍の中に入れる

ゆっくりな曲では、息つぎに時間をかけすぎて、テンポがおくれてしまうことがあります。息つぎも曲の一部と考えて、拍の中でさっとすうようにしましょう。前の音を少しだけ短めに切って、そこで息をすうと、つぎの歌い出しに間に合いやすくなります。

のばす音をきれいに保つコツ

声の大きさを、そろえる

長い音をのばしていると、はじめは大きく、だんだん小さくなっていくことがよくあります。わざと小さくしていく場面でなければ、さいごまで同じくらいの大きさを保つように意識してみましょう。

音程が下がらないように、少し上を向く気持ちで

のばしている音は、息がへってくると、少しずつ低くなりやすいものです。音の高さを保つために、「少し上をねらうくらい」の気持ちでのばすと、下がりにくくなります。顔をあげて、目線を少し遠くに向けると、声も前に出やすくなります。

母音をかえない

日本語の歌では、のばしている音は「あ」「い」「う」「え」「お」のどれかになります。のばしているうちに、「あ」が「お」に近くなったり、口の形がかわったりすると、声の色もかわってしまいます。鏡を見ながら、口の形がかわっていないかをたしかめてみてください。

ことばと気持ちで、歌をつなぐ

ことばの意味を、ひとつひとつ考える

ゆっくりな曲は、ことばがひとつひとつ、聞いている人の耳にとどきやすい曲です。だからこそ、歌詞の意味をよく考えてから歌うことが大切です。だれに向けて歌っているのか、どんな場面なのかを思いうかべると、声に気持ちがのりやすくなります。

フレーズのゴールを決める

ひとまとまりのフレーズの中で、どのことばにいちばん向かっていくのかを決めておくと、歌にまとまりが出ます。ゴールが決まっていると、音をのばしているあいだも、ただ待っているのではなく、そこへ向かって進んでいく歌になります。フレーズのまとめ方は、こちらの記事でもくわしく紹介しています。歌のフレーズの作り方。どこでまとめて、どこへ向かって歌うか

音と音を、なめらかにつなぐ

ゆっくりな曲では、音と音のつなぎ目がよく聞こえます。ひとつひとつの音を切ってしまうと、ぶつぶつと切れた歌に聞こえてしまいます。息を止めずに、音から音へ、なめらかにうつっていくように歌いましょう。なめらかにつなぐ練習は、こちらの記事が参考になります。レガートの歌い方と練習。音と音をなめらかにつなぐコツ

家でできる、ゆっくりな曲の練習

メトロノームに合わせて歌う

メトロノームや、スマホのテンポのアプリをつかって、決めた速さに合わせて歌ってみましょう。とくに、のばす音のあいだにテンポがおくれていないかを、たしかめてみてください。

さいしょは、こまかいきざみが鳴るように設定すると、拍のあいだを感じやすくなります。なれてきたら、大きな拍だけを鳴らして、あいだのきざみは自分の体で感じるようにしていきます。

録音して聞いてみる

自分の歌を録音して聞くと、歌っているときには気づかなかった、テンポのゆれや、音程の下がりに気づきやすくなります。とくに、のばす音の終わりと、息つぎのあとの歌い出しを、よく聞いてみてください。

ハミングで流れをたしかめる

口をとじて「んー」とハミングでメロディを歌うと、ことばにまどわされずに、音のつながりやリズムをたしかめることができます。ハミングでなめらかに歌えるようになってから、ことばをつけて歌うと、流れが切れにくくなります。

少し速めに歌ってみる

練習のとちゅうで、わざと少し速めのテンポで歌ってみるのもよい方法です。速めに歌うと、フレーズ全体の形がつかみやすくなります。そのあと、もとの速さにもどすと、どこへ向かって歌えばいいかが、わかりやすくなります。

お子様がゆっくりな曲を歌うとき

ゆっくりな曲は、お子様にとって、息が続かずに苦しく感じることもあります。むりに長くのばさせるのではなく、息つぎの場所をいっしょに決めて、らくに歌える形を見つけてあげてください。

お父様・お母様が、ひざを軽くたたいてリズムをとってあげたり、いっしょに歌詞の意味を話したりするのも、よい練習になります。

長い時間、大きな声で練習を続けると、のどがつかれてしまいます。こまめに休みをとり、水分をとりながら練習しましょう。のどの痛みや声のかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。

まとめ

  • ゆっくりな曲は、音が長く、テンポがゆるみやすく、息が足りなくなりやすいため、難しく感じやすい
  • ひとつの拍をこまかく分けて感じると、だらけずにテンポを保ちやすい
  • のばす音も「つぎへ向かって進んでいる時間」と考える
  • 息つぎの場所を先に決め、息はゆっくり少しずつ出す
  • のばす音は、大きさ・音程・口の形をそろえる
  • フレーズのゴールを決めて、音と音をなめらかにつなぐ
  • メトロノーム、録音、ハミングを練習にとり入れる
  • のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する

ゆっくりな曲を、ていねいに歌えるようになると、歌全体の表現がぐっと深まります。練習してきた歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリにもチャレンジしてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、ゆっくりな曲で気をつけてきたところが伝わっているか、たしかめるきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ

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