歌のフレーズの作り方。どこでまとめて、どこへ向かって歌うか
「先生に『もっとフレーズを感じて』と言われたけれど、どういうことかわからない」 「音もことばも合っているのに、なんだか歌がぶつぶつ切れて聞こえる」
歌を習っていると、「フレーズ」ということばをよく耳にします。でも、フレーズの作り方や、フレーズの歌い方を、くわしく教わる機会は、あまり多くないかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌のフレーズの作り方にしぼってお話しします。フレーズのはじまりと終わりを見つける方法、どこへ向かって歌うかの決め方、フレーズとフレーズのつなぎ方までをまとめました。音を正しく歌えるようになったら、次は「まとまり」を感じて歌ってみましょう。
フレーズとは?
音楽の「ひとつの文」のようなもの
フレーズとは、メロディの中のひとまとまりのことです。ことばでいえば、「ひとつの文」のようなものだと考えると、わかりやすいと思います。
文を読むとき、わたしたちは、一字ずつ同じ強さで読んだりはしませんよね。意味のまとまりごとに、自然に区切ったり、大切なことばを少し強めたりしています。歌のフレーズも、それと同じです。
フレーズを感じると、歌がどうかわるか
フレーズを感じて歌うと、次のようなよさがあります。
- 歌が、ぶつぶつ切れずに、流れるように聞こえる
- 聞いている人に、ことばの意味が伝わりやすくなる
- 息をすう場所が、自然に決まる
- どこを大切に歌うかが、はっきりする
ひとつひとつの音を正しく歌うことは、とても大切です。そのうえで、音をつないで「まとまり」にしていくのが、フレーズの作り方です。
フレーズのはじまりと終わりを見つける
歌詞のまとまりから見つける
フレーズを見つけるいちばんかんたんな方法は、歌詞を見ることです。歌詞を、ふつうの文として読んでみて、意味が区切れるところをさがしてみましょう。
- 点やまるがあるところ
- 意味がひと区切りするところ
- 歌詞の行がかわるところ
多くの曲では、歌詞のまとまりと、メロディのまとまりが、だいたい同じになっています。
メロディの形から見つける
楽譜を見ると、メロディの形からも、フレーズが見つかります。
- 長い音や、休符のあるところで区切れることが多い
- 同じ形のメロディが、くりかえされることがある
- 楽譜の上に、弧のような線(スラー)がかいてあることもある
楽譜の中に、似た形のメロディがいくつかあるときは、それぞれをひとつのフレーズとして考えると、曲の組み立てが見えてきます。
息をすう場所と、フレーズの関係
フレーズの終わりは、息をすう場所になることが多いです。ただし、長いフレーズでは、とちゅうで息をすう必要があることもあります。
そのときは、ことばの意味が切れにくい場所で、すばやく息をすいましょう。息が続かないときの工夫は、こちらの記事でもくわしく書いています。歌で息が続かないときの練習。肺活量より大事な、息のつかい方
どこへ向かって歌うかを決める
フレーズの中の「山」を見つける
フレーズには、いちばん大切な音、いちばんもり上がるところがあります。ここでは、それを「山」とよぶことにします。
山になりやすいのは、こんなところです。
- フレーズの中で、いちばん高い音
- 長くのばす音
- 大切なことばがのっている音
- 和音(伴奏のひびき)がかわって、気持ちが動くところ
山を見つけたら、フレーズのはじまりから、その山に向かって歌っていくイメージを持ちます。
山に向かって、少しずつ進む
フレーズのはじめから山まで、同じ強さで歌うのではなく、山に向かって、少しずつ気持ちを高めていきましょう。
- はじまりは、おだやかに
- 山に向かって、少しずつ前へ
- 山をこえたら、ゆっくり落ちついていく
大きく強弱をつけるというより、「向かっていく気持ち」を持つことが大切です。声の大きさはあまりかえなくても、気持ちの向きで、歌の流れはかわってきます。
山は、ひとつにしぼる
ひとつのフレーズの中に、山をいくつも作ると、どこが大切なのか、わかりにくくなります。山は、できるだけひとつにしぼりましょう。
どこを山にするか、まよったときは、ことばの意味を考えてみてください。そのフレーズでいちばん伝えたいことばはどれか、を考えると、決めやすくなります。
フレーズの中の音のならび
重い音と、軽い音
フレーズの中には、しっかり歌いたい音と、軽く通りすぎたい音があります。ことばでいえば、強く読むところと、軽く読むところがあるのと同じです。
- 拍のはじめの音は、しっかりしやすい
- ことばのアクセントがある音は、大切にしたい
- 小さな音符や、ことばの終わりの音は、軽くしたい
すべての音を同じ重さで歌うと、フレーズがのっぺりと聞こえることがあります。軽く通りすぎる音があることで、大切な音がうき立ちます。
音と音を、なめらかにつなぐ
フレーズの中では、音と音を、なめらかにつないで歌うのがきほんです。ひとつの音を歌い終わってから次の音、ではなく、次の音へ向かいながら歌うイメージを持ちましょう。
息の流れを止めずに、ひとつながりの線をえがくように歌うと、フレーズがまとまって聞こえます。
フレーズとフレーズのつなぎ方
大きなまとまりで考える
フレーズがいくつか集まると、もっと大きなまとまりになります。文がいくつか集まって、ひとつの段落になるようなものです。
- 問いかけのようなフレーズと、答えのようなフレーズ
- 同じメロディが、くりかえされるフレーズ
- 曲の中で、いちばんもり上がるフレーズ
フレーズどうしの関係を考えると、曲全体の中で、どのフレーズを大切に歌うかが見えてきます。
くりかえしのフレーズは、同じに歌わない
同じメロディがくりかえされるときは、まったく同じに歌うのではなく、少しかえてみるのもよい方法です。
- はじめはおだやかに、くりかえしでは少し前へ
- ことばの意味に合わせて、声の色をかえる
どうかえるかは、曲や歌詞によってちがいます。先生とも相談しながら、決めていきましょう。
フレーズの終わりで、気持ちを切らさない
フレーズの終わりで息をすうとき、気持ちまで切ってしまうと、歌がとぎれて聞こえることがあります。息はすっても、気持ちは次のフレーズへつながっているイメージを持ちましょう。
フレーズの終わりの音の、のばし方や切り方については、こちらの記事でくわしく書いています。歌の語尾をきれいに。のばし方・切り方・ビブラートとのつなぎ方
フレーズを作る練習のしかた
歌詞を、ことばとして読んでみる
まずは、歌詞を声に出して、ふつうの文として読んでみましょう。どこで区切るか、どのことばを大切に読むかを感じたら、それをそのまま歌にうつしていきます。
楽譜に、フレーズの線と山を書きこむ
フレーズが見つかったら、楽譜にえんぴつで書きこんでおきましょう。
- フレーズのはじまりから終わりまで、弧のような線を書く
- 山になる音に、しるしをつける
- 息をすう場所に、しるしをつける
書きこんでおくと、練習のたびに、同じフレーズの作り方で歌えるようになります。
ハミングや母音だけで歌ってみる
ことばをはずして、ハミングや「ア」などの母音だけで、フレーズを歌ってみるのもおすすめです。ことばに気をとられず、メロディの流れや、山に向かう感じに集中できます。
録音して、聞いてみる
フレーズを意識して歌ったら、録音して聞いてみましょう。自分では流れているつもりでも、聞いてみると、音がぶつぶつ切れていたり、山がわかりにくかったりすることがあります。
聞いて気づいたことを、また楽譜に書きこんで、少しずつフレーズを作っていきましょう。
お子様には、ことばでたとえて伝える
お子様に伝えるときは、「ここは、遠くの人をよぶように」「ここは、すべり台をすべるように」など、目に見えるたとえをつかうと、わかりやすくなります。むずかしいことばより、楽しいイメージのほうが、歌に出やすいことが多いです。
まとめ
- フレーズは、メロディのひとまとまりで、ことばでいう「ひとつの文」のようなもの
- 歌詞のまとまりや、メロディの形から、フレーズのはじまりと終わりを見つける
- フレーズの中のいちばん大切な音(山)を見つけて、そこへ向かって歌う
- 山は、できるだけひとつにしぼる
- 重い音と軽い音を分けると、大切な音がうき立つ
- フレーズの終わりで息をすっても、気持ちは次へつなげる
- 楽譜にフレーズの線と山を書きこみ、録音して聞いてみる
フレーズの作り方がわかると、同じ曲でも、歌の流れがかわって聞こえてきます。どこへ向かって歌うかが決まった歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリにも挑戦してみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、フレーズの作り方を見なおすヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ