音痴は直る?大人も子どもも、音程が合うようになる練習のしかた
「カラオケで、みんなとちがう音になっている気がする」 「むかし、音痴だと言われてから、人の前で歌うのがこわい」
こんなふうに、歌うことに自信がもてずにいる大人の方は、じつはとても多いです。歌は好きなのに、音程のことが気になって、思いきり声を出せない。そんな気持ちを、ずっとかかえている方もいると思います。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。その中で、歌の先生や、いろいろな年代の歌い手さんの話を聞く機会がありました。そこで感じたのは、「音程が合わない」となやんでいる人の多くは、歌い方のくせや、練習のしかたを知らないだけのことが多い、ということです。
この記事では、音程が合わないときに考えられること、家でできるやさしい練習、つづけるためのコツをまとめます。むずかしい音楽の知識はいりません。できそうなところから、ためしてみてください。
なお、お子様の音程が気になるお父様・お母様は、子ども向けにまとめたこちらの記事を読んでみてください。子どもの歌の音程が合わないとき。おうちでできるやさしい練習
音痴は直るの?
「生まれつきだから」とあきらめなくていい
「音痴」ということばは、よく聞きますが、音楽の世界ではっきり決まった意味があるわけではありません。ふだん「音痴」と言われるのは、多くの場合、「歌ったときの音の高さが、曲の音とずれてしまう」ことです。
音の高さがずれる理由は、人によってちがいます。でも、練習をかさねるうちに、少しずつ音が合いやすくなる人はたくさんいます。歌の教室の中には、音程に自信がない人のためのコースを用意しているところもあるくらい、よくあるなやみなのです。
もちろん、どれくらいで変わるかは人それぞれです。「必ずこうなる」とは言えません。でも、「自分は音痴だから」と、はじめからあきらめる必要はないと思います。
耳がわるいとはかぎらない
音程が合わないと、「わたしは耳がわるいのかな」と思ってしまうかもしれません。でも、ほかの人の歌を聞いて「いまの音、ずれたね」とわかる方は、音を聞く力はもっていることが多いです。
その場合は、「聞いた音」と「自分が出す声」を合わせるところで、うまくいっていないのかもしれません。ここは、練習で少しずつ近づけていけるところです。
ただし、ふだんから聞こえにくさを感じる、耳鳴りがつづくなど、耳のことで気になることがあるときは、ひとりでなやまずに、耳鼻科などのお医者さんに相談してみてください。
音程が合わないときに考えられること
音がずれるときには、いくつかのよくある理由があります。自分にあてはまりそうなものがないか、見てみてください。
- 曲のキーが、自分の声に合っていない(高すぎる・低すぎる)
- 曲のメロディを、まだしっかりおぼえていない
- 伴奏やまわりの音を聞かずに、自分の声だけで歌っている
- 自分の声が、自分にどう聞こえているかに気づいていない
- 緊張して、のどや体に力が入っている
- 息がたりなくなって、音の終わりが下がってしまう
とくに多いのが、キーが合っていないことです。高すぎる歌を、むりに歌おうとすると、音がとどかずに下がってしまいます。これは「音痴」ではなく、「その曲のキーが合っていない」だけということもよくあります。
家でできる、音程を合わせる練習
ここからは、家でひとりでできる練習をしょうかいします。どれも短い時間でできるものです。
1. まずは「ひとつの音」に声を合わせる
いきなり1曲を歌うのではなく、ひとつの音に声を合わせるところから始めます。
- スマホのピアノアプリや、キーボードで、ひとつの音を鳴らす
- その音を、よく聞く
- 「あー」や「うー」で、同じ高さの声を出してみる
- 合っているか、わからないときは、少し上・少し下に声を動かしてみる
ピッタリ合うと、音と声がとけあって、ひびきがひとつになるような感じがすることがあります。さいしょはよくわからなくてもだいじょうぶです。くりかえすうちに、「合っているとき」と「ずれているとき」のちがいが、少しずつわかってくることがあります。
声の高さを画面で見られるチューナーのアプリもあります。目で見てたしかめられるので、耳だけではわかりにくいときに、たすけになります。
2. ハミングで、やさしく合わせる
口をとじて「んー」とハミングすると、大きな声を出さなくても練習できます。のどに力が入りにくく、自分の声の高さにも気づきやすくなります。
ひとつの音にハミングで合わせられたら、つぎは「ドレミ」とゆっくり上がって、「ミレド」と下がってみましょう。
3. 「サイレン」で、声を上げ下げする
「うー」と言いながら、救急車のサイレンのように、低い声から高い声へ、高い声から低い声へと、なめらかに動かしてみます。
声を動かす感じがわかってくると、ねらった音に声を近づけやすくなります。高いところは、むりにがんばらなくてかまいません。らくに出せるところまでにしましょう。
4. 片方の耳をかるくおさえて歌う
片方の耳を手でかるくおさえて歌うと、自分の声が聞こえやすくなります。伴奏や音源は、あいているほうの耳で聞きます。
自分の声と、ほんとうの音をくらべやすくなるので、「いま、少し低かったかな」と気づくきっかけになります。
5. 録音して、聞きかえす
自分の声は、歌っているときと、録音して聞くときとで、ちがって聞こえます。これは、だれでもそうです。
- スマホで、1曲ではなく1フレーズだけ録音する
- 音源といっしょに聞いて、ずれているところをさがす
- ずれていたところだけ、ゆっくりくりかえす
はじめは、自分の声を聞くのがはずかしいかもしれません。でも、録音は、ずれているところを見つけるのに、とても役に立ちます。動画をつかった練習のしかたは、こちらの記事にもまとめています。動画をつかった歌の練習のしかた。お子様が楽しくつづけられるコツと注意点
曲をつかった練習のコツ
ゆっくりで、知っている曲からえらぶ
練習につかう曲は、テンポがゆっくりで、メロディをよく知っている曲がおすすめです。むかしから歌いつがれている童謡や唱歌は、音の動きがわかりやすく、練習に向いていることが多いです。
キーを自分に合わせる
カラオケや音源アプリには、キー(音の高さ)をかえられるものが多いです。高すぎてとどかないときは、キーを下げてみましょう。キーを下げるのは、ずるいことではありません。自分の声に合ったキーで歌うことが、音程を合わせるための近道になります。
メロディだけを先におぼえる
歌詞をつけて歌う前に、「ラララ」や「ルルル」でメロディだけを歌ってみます。ことばを気にしなくてよいので、音の高さに集中できます。
小さく区切って練習する
1曲をとおして何回も歌うより、音がずれやすいところだけをとり出して、ゆっくりくりかえすほうが、練習になることが多いです。
つづけるためのコツ
音程の練習は、すぐに結果が見えにくいものです。だからこそ、つづけやすいやり方をえらぶことが大切です。
- 1回5〜10分くらいの短い時間でよい
- 毎日でなくても、週に何回かでよい
- のどがつかれたら、その日はおしまいにする
- 録音を少しずつのこして、前とくらべてみる
何週間かたってから、さいしょの録音を聞きかえしてみると、変化に気づくことがあります。小さな変化でも、自分をほめてあげてください。
また、のどがいたい、声のかすれが何日もつづく、というときは、練習をお休みしてください。それがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
ひとりでむずかしいときは、先生にたよる
家での練習で「合っているかどうか、自分ではわからない」と感じたら、歌の先生にみてもらうのもひとつの方法です。
先生は、どこでずれているのか、なぜずれるのかを、その人の声に合わせて教えてくれます。教室の中には、音程に自信がない方や、はじめての方向けのコースを用意しているところもあります。
体験レッスンのときに、「音程に自信がない」と正直に伝えてみてください。それに合わせて、やさしくすすめてくれる先生かどうかも、教室えらびの大切なポイントです。近くの教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
まとめ
- 「音痴」と言われる多くは、歌ったときの音がずれてしまうこと
- 練習をかさねるうちに、音が合いやすくなる人はたくさんいる
- 音がずれる理由は、キーが合っていない、メロディをおぼえていない、力みなど、いろいろ
- ひとつの音に合わせる、ハミング、サイレン、録音などの練習が家でできる
- キーは自分に合わせてよい。ゆっくり、短い時間で、つづけることが大切
- 耳やのどで気になることがあるときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
- ひとりでむずかしいときは、歌の先生にみてもらうのもよい
練習をつづけて、少しずつ歌に自信がもてるようになったら、だれかに聞いてもらう場をつくってみるのもすてきです。こどもの歌声グランプリには、お子様の部のほかに、一般やシニアの方が出られる部もあり、おうちでとった動画で応募できます。録音や録画で練習してきた成果を、ためしてみるきっかけになればうれしいです。こどもの歌声グランプリ