子どもの歌の音程が合わないとき。おうちでできるやさしい練習
「うちの子、歌うと音がずれている気がする」 「このままで大丈夫かな」
そんなふうに気になるお父様・お母様もいると思います。でも安心してください。小さなころに音程がずれるのは、めずらしいことではありません。この記事では、おうちでできるやさしい練習をお伝えします。
音程がずれる、よくある理由
- 音をよく聞く経験が、まだ少ない
- 自分の声を、自分で聞くことになれていない
- 曲の高さが、お子様の声にあっていない
- 大きな声で歌おうとして、音がくずれる
音程は、「聞く力」と「声をあわせる力」の両方でできています。どちらも、練習で少しずつのびていきます。
年れいによって、音程のとり方はかわる
音程は、年れいとともに少しずつそだっていくものです。おおまかなめやすを知っておくと、「いまはこれでいいんだ」と安心できます。
| 年れい | よくある様子 | 大切にしたいこと |
|---|---|---|
| 2〜3歳ごろ | 歌のことばやリズムはわかるが、音の高さはまだばらばら | 歌うことを楽しむ。音程は気にしなくてよい |
| 4〜5歳ごろ | みじかいフレーズなら、あわせられることがふえる | まねっこ遊びで、聞いてあわせる経験をふやす |
| 6歳〜小学校低学年 | 知っている歌なら、だいたいの上り下りがとれる | 歌いやすい高さで、ゆっくりていねいに歌う |
| 小学校中学年〜 | 高い音・低い音の幅が広がり、むずかしい曲にも挑戦できる | 自分の声を聞いて、なおすところに気づく練習 |
もちろん、のび方には一人ひとりちがいがあります。表のとおりでなくても、心配しすぎなくて大丈夫です。
練習の前に:お子様の歌いやすい高さを見つける
音程の練習でいちばん大切なのは、お子様が歌いやすい高さで歌うことです。高すぎる曲や低すぎる曲では、どんなにがんばっても音がずれてしまいます。
- お子様に「あー」と、らくな声を出してもらう
- ピアノや鍵盤アプリで、その声に近い音をさがす
- その音から、少しずつ上や下にうごいて、むりなく出る範囲をたしかめる
- 曲を歌うときは、その範囲におさまる高さにしてみる
カラオケアプリや音源の中には、曲の高さ(キー)をかえられるものもあります。高さをかえるのは「ずる」ではありません。お子様の声にあわせることは、声を大切にすることでもあります。
おうちでできる練習
1. やまびこごっこ
お父様・お母様が「ヤッホー」と歌うように言ったら、お子様が同じ高さでまねします。短いことばから始めて、だんだん長くしていきましょう。
2. ひとつの音をいっしょにのばす
ピアノやスマホの鍵盤アプリでひとつの音を鳴らし、「あー」と同じ高さでのばします。音がぴったりあうと気持ちいい感覚を、体で感じてみましょう。
3. 手で音の高さをあらわす
高い音は手を上に、低い音は手を下に。歌いながら手を動かすと、音の上り下りがわかりやすくなります。
4. 小さな声で、ゆっくり歌う
大きな声で速く歌うと、音がずれやすくなります。小さな声で、ゆっくり、よく聞きながら歌うと、あわせやすくなります。
5. 曲の高さをかえてみる
曲がお子様の声にあっていないと、どうしても音がずれます。少し低くしてみると、すっと歌えることもあります。
6. 録音していっしょに聞く
自分の声を聞くと、お子様自身が気づくことがあります。ただし、「ここがずれてる」より「ここがきれい」を先に伝えましょう。
1日5分の練習メニュー例
毎日長く練習する必要はありません。むしろ、短い時間を楽しくつづけるほうが、音程はのびていきます。たとえば、こんな5分です。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 1分 | 体をゆらしたり、あくびをしたりして、体と声をゆるめる |
| 1分 | やまびこごっこ。2〜3音のみじかいフレーズで |
| 1分 | ひとつの音をいっしょにのばす。あったら「ぴったり!」 |
| 2分 | 好きな歌を、小さな声でゆっくり1回歌う |
つかれていそうな日、気がのらない日は、お休みしてかまいません。「きょうはやまびこだけ」のように、1つだけでも十分です。
うまくいかないときの、よくあるつまずき
がんばっているのになかなかあわないときは、つぎのようなことがおきていないか、見なおしてみましょう。
- 伴奏や音源の音が大きすぎて、自分の声が聞こえていない
- 曲が長すぎる。まずはみじかい部分だけにしぼってみる
- 「ちゃんと歌って」と言われて、体に力が入っている
- おとなが先に大きな声で歌い、お子様がついていくだけになっている
- いきなりむずかしい曲で練習している
音源を小さめにする、ワンフレーズずつにする、それだけでぐっとあわせやすくなることもあります。
さけたい声かけ
- 「音痴だね」「下手だね」
- 「ちがう、そうじゃない」をくりかえす
- ほかの子とくらべる
小さなころに「歌が下手」と言われたことがきっかけで、大人になっても人前で歌えなくなる人もいます。音程は、楽しく歌う経験をつみ重ねることでのびていきます。
かわりに、こんなことばをかけてみてください。
- 「さいごの音、ぴったりだったね」
- 「さっきより、よく聞いて歌えていたね」
- 「この歌、歌っていると楽しいね」
できたところを、具体的に見つけて伝えるのがコツです。ほめられた部分は、お子様の中で「こう歌えばいいんだ」という目じるしになります。
のびてきたサインに気づこう
音程は、ある日とつぜんよくなるというより、少しずつかわっていきます。つぎのような様子が見られたら、ちゃんとのびているしるしです。
- 歌いながら「あれ、ちがったかも」と自分で気づく
- やまびこごっこで、まねできる長さがのびてきた
- 音源といっしょに歌うと、前よりもあう部分がふえた
- 歌うことを、前よりも楽しそうにしている
小さな変化を、お父様・お母様がいっしょによろこんであげると、お子様のやる気につながります。
よくある質問
親も歌が苦手です。いっしょに練習してもいい?
大丈夫です。お父様・お母様の音程がぴったりでなくても、ピアノや鍵盤アプリの音を「お手本」にすれば、いっしょに練習できます。「いっしょにあわせてみるね」と、楽しむすがたを見せることのほうが大切です。
練習は毎日しないといけない?
毎日でなくてもかまいません。週に何回か、楽しく歌う時間があれば十分です。いやいや長く練習するより、「またやりたい」と思えるくらいで終わるほうが、つぎにつながります。
習い事に通ったほうがいい?
歌うことが好きで、もっと上手になりたい気持ちがあるなら、歌の先生に見てもらうのもひとつの方法です。先生は、その子の声にあった高さや練習を考えてくれます。まずはおうちで楽しむ時間を大切にして、お子様の「やってみたい」が出てきたら考えても、おそくはありません。
音程がよくなるまで、どのくらいかかる?
これは一人ひとりちがいます。数か月でかわる子もいれば、年れいとともにゆっくりのびる子もいます。期間を決めずに、「前よりよくなったところ」を見てあげてください。
こんなときは相談を
- 小学生になっても、まわりの音がとても聞きとりにくそう
- 声がいつもかすれている
こういうときは、音楽の先生や、耳やのどのお医者さんに相談してみると安心です。耳の聞こえやのどのことが心配なときは、耳鼻科で一度みてもらうと、お父様・お母様の気持ちも楽になります。
まとめ
- 小さなころに音程がずれるのは、めずらしくない
- 年れいによって、できることはかわる。あせらなくて大丈夫
- まずはお子様の歌いやすい高さを見つける
- やまびこごっこ、ひとつの音をのばす、手で高さをあらわす
- 小さな声でゆっくり、曲の高さも見なおす
- 1日5分を楽しくつづける
- 「下手」と言わず、よいところを先に伝える
おうちでできる発声練習はこちら。おうちでできる子どもの発声練習。5分でできる遊びのような練習法
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