練習・発声のコツ

子どもの歌の音程が合わないとき。おうちでできるやさしい練習

更新日:2026年11月4日 ・ 書いた人:うみ

「うちの子、歌うと音がずれている気がする」 「このままで大丈夫かな」

そんなふうに気になるお父様・お母様もいると思います。でも安心してください。小さなころに音程がずれるのは、めずらしいことではありません。この記事では、おうちでできるやさしい練習をお伝えします。

音程がずれる、よくある理由

  • 音をよく聞く経験が、まだ少ない
  • 自分の声を、自分で聞くことになれていない
  • 曲の高さが、お子様の声にあっていない
  • 大きな声で歌おうとして、音がくずれる

音程は、「聞く力」と「声をあわせる力」の両方でできています。どちらも、練習で少しずつのびていきます。

年れいによって、音程のとり方はかわる

音程は、年れいとともに少しずつそだっていくものです。おおまかなめやすを知っておくと、「いまはこれでいいんだ」と安心できます。

年れい よくある様子 大切にしたいこと
2〜3歳ごろ 歌のことばやリズムはわかるが、音の高さはまだばらばら 歌うことを楽しむ。音程は気にしなくてよい
4〜5歳ごろ みじかいフレーズなら、あわせられることがふえる まねっこ遊びで、聞いてあわせる経験をふやす
6歳〜小学校低学年 知っている歌なら、だいたいの上り下りがとれる 歌いやすい高さで、ゆっくりていねいに歌う
小学校中学年〜 高い音・低い音の幅が広がり、むずかしい曲にも挑戦できる 自分の声を聞いて、なおすところに気づく練習

もちろん、のび方には一人ひとりちがいがあります。表のとおりでなくても、心配しすぎなくて大丈夫です。

練習の前に:お子様の歌いやすい高さを見つける

音程の練習でいちばん大切なのは、お子様が歌いやすい高さで歌うことです。高すぎる曲や低すぎる曲では、どんなにがんばっても音がずれてしまいます。

  1. お子様に「あー」と、らくな声を出してもらう
  2. ピアノや鍵盤アプリで、その声に近い音をさがす
  3. その音から、少しずつ上や下にうごいて、むりなく出る範囲をたしかめる
  4. 曲を歌うときは、その範囲におさまる高さにしてみる

カラオケアプリや音源の中には、曲の高さ(キー)をかえられるものもあります。高さをかえるのは「ずる」ではありません。お子様の声にあわせることは、声を大切にすることでもあります。

おうちでできる練習

1. やまびこごっこ

お父様・お母様が「ヤッホー」と歌うように言ったら、お子様が同じ高さでまねします。短いことばから始めて、だんだん長くしていきましょう。

2. ひとつの音をいっしょにのばす

ピアノやスマホの鍵盤アプリでひとつの音を鳴らし、「あー」と同じ高さでのばします。音がぴったりあうと気持ちいい感覚を、体で感じてみましょう。

3. 手で音の高さをあらわす

高い音は手を上に、低い音は手を下に。歌いながら手を動かすと、音の上り下りがわかりやすくなります。

4. 小さな声で、ゆっくり歌う

大きな声で速く歌うと、音がずれやすくなります。小さな声で、ゆっくり、よく聞きながら歌うと、あわせやすくなります。

5. 曲の高さをかえてみる

曲がお子様の声にあっていないと、どうしても音がずれます。少し低くしてみると、すっと歌えることもあります。

6. 録音していっしょに聞く

自分の声を聞くと、お子様自身が気づくことがあります。ただし、「ここがずれてる」より「ここがきれい」を先に伝えましょう。

1日5分の練習メニュー例

毎日長く練習する必要はありません。むしろ、短い時間を楽しくつづけるほうが、音程はのびていきます。たとえば、こんな5分です。

時間 やること
1分 体をゆらしたり、あくびをしたりして、体と声をゆるめる
1分 やまびこごっこ。2〜3音のみじかいフレーズで
1分 ひとつの音をいっしょにのばす。あったら「ぴったり!」
2分 好きな歌を、小さな声でゆっくり1回歌う

つかれていそうな日、気がのらない日は、お休みしてかまいません。「きょうはやまびこだけ」のように、1つだけでも十分です。

うまくいかないときの、よくあるつまずき

がんばっているのになかなかあわないときは、つぎのようなことがおきていないか、見なおしてみましょう。

  • 伴奏や音源の音が大きすぎて、自分の声が聞こえていない
  • 曲が長すぎる。まずはみじかい部分だけにしぼってみる
  • 「ちゃんと歌って」と言われて、体に力が入っている
  • おとなが先に大きな声で歌い、お子様がついていくだけになっている
  • いきなりむずかしい曲で練習している

音源を小さめにする、ワンフレーズずつにする、それだけでぐっとあわせやすくなることもあります。

さけたい声かけ

  • 「音痴だね」「下手だね」
  • 「ちがう、そうじゃない」をくりかえす
  • ほかの子とくらべる

小さなころに「歌が下手」と言われたことがきっかけで、大人になっても人前で歌えなくなる人もいます。音程は、楽しく歌う経験をつみ重ねることでのびていきます。

かわりに、こんなことばをかけてみてください。

  • 「さいごの音、ぴったりだったね」
  • 「さっきより、よく聞いて歌えていたね」
  • 「この歌、歌っていると楽しいね」

できたところを、具体的に見つけて伝えるのがコツです。ほめられた部分は、お子様の中で「こう歌えばいいんだ」という目じるしになります。

のびてきたサインに気づこう

音程は、ある日とつぜんよくなるというより、少しずつかわっていきます。つぎのような様子が見られたら、ちゃんとのびているしるしです。

  • 歌いながら「あれ、ちがったかも」と自分で気づく
  • やまびこごっこで、まねできる長さがのびてきた
  • 音源といっしょに歌うと、前よりもあう部分がふえた
  • 歌うことを、前よりも楽しそうにしている

小さな変化を、お父様・お母様がいっしょによろこんであげると、お子様のやる気につながります。

よくある質問

親も歌が苦手です。いっしょに練習してもいい?

大丈夫です。お父様・お母様の音程がぴったりでなくても、ピアノや鍵盤アプリの音を「お手本」にすれば、いっしょに練習できます。「いっしょにあわせてみるね」と、楽しむすがたを見せることのほうが大切です。

練習は毎日しないといけない?

毎日でなくてもかまいません。週に何回か、楽しく歌う時間があれば十分です。いやいや長く練習するより、「またやりたい」と思えるくらいで終わるほうが、つぎにつながります。

習い事に通ったほうがいい?

歌うことが好きで、もっと上手になりたい気持ちがあるなら、歌の先生に見てもらうのもひとつの方法です。先生は、その子の声にあった高さや練習を考えてくれます。まずはおうちで楽しむ時間を大切にして、お子様の「やってみたい」が出てきたら考えても、おそくはありません。

音程がよくなるまで、どのくらいかかる?

これは一人ひとりちがいます。数か月でかわる子もいれば、年れいとともにゆっくりのびる子もいます。期間を決めずに、「前よりよくなったところ」を見てあげてください。

こんなときは相談を

  • 小学生になっても、まわりの音がとても聞きとりにくそう
  • 声がいつもかすれている

こういうときは、音楽の先生や、耳やのどのお医者さんに相談してみると安心です。耳の聞こえやのどのことが心配なときは、耳鼻科で一度みてもらうと、お父様・お母様の気持ちも楽になります。

まとめ

  • 小さなころに音程がずれるのは、めずらしくない
  • 年れいによって、できることはかわる。あせらなくて大丈夫
  • まずはお子様の歌いやすい高さを見つける
  • やまびこごっこ、ひとつの音をのばす、手で高さをあらわす
  • 小さな声でゆっくり、曲の高さも見なおす
  • 1日5分を楽しくつづける
  • 「下手」と言わず、よいところを先に伝える

おうちでできる発声練習はこちら。おうちでできる子どもの発声練習。5分でできる遊びのような練習法

歌声が小さくて気になるときは、こちらの記事も参考にしてください。子どもの歌声が小さいときは?楽しく声を出せるようになるおうちの工夫

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