人数が少ない合唱団の工夫。少ない人数でもひびく歌にするために
「団員がへって、合唱団の人数が少なくなってしまった」 「少人数だと声がうすくて、合唱らしくひびかない気がする」
合唱団の人数が少ないとき、こんなふうになやむこともあります。大きな合唱団の歌を聞くと、「うちはこんなに少なくて、だいじょうぶかな」と心配になりますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、人数が少ない合唱団にしぼって、少人数でもひびく歌にするための工夫をお話しします。並び方、声の合わせ方、パートの組み方、曲のえらび方、そして、少人数だからこそのよさについてもまとめました。合唱は、人数が多ければよいというものではありません。少ない人数でも、工夫しだいで、心にとどく歌になります。
人数が少ない合唱団の、こまりごととよさ
こまりやすいこと
合唱団の人数が少ないと、こんなことでこまることもあります。
- 声がうすく聞こえる
- ひとりひとりの声が目立ってしまう
- パートにひとりしかいないと、音をまちがえたときに不安になる
- お休みの人がいると、パートの声がなくなってしまう
- 大きな会場だと、声がとどきにくい
少人数ならではのよさ
いっぽうで、人数が少ない合唱団には、こんなよさもあります。
- おたがいの声がよく聞こえる
- 練習の日や時間を合わせやすい
- ひとりひとりの意見が、とどきやすい
- 声をそろえたときの、すんだひびきが出しやすい
- 小さな会場や、地域の集まりで歌いやすい
人数の少なさを「足りないもの」と考えるより、「少人数の合唱のよさを生かす」と考えると、練習の方向が見えやすくなります。
並び方をかえて、ひびきをまとめる
パートごとにかたまらずに並ぶ
大きな合唱団では、パートごとにかたまって並ぶこともあります。でも、人数が少ない場合は、パートをまぜて並ぶ方法もあります。ちがうパートの人がとなりにいると、全体の和音を感じやすくなり、ひびきがひとつにまとまりやすくなります。
ただし、まだ音がとりにくい人は、同じパートの人のとなりのほうが安心できます。いくつかの並び方をためして、録音を聞きくらべてみましょう。
横に広がりすぎない
人数が少ないのに、ステージいっぱいに広がると、声がばらばらに聞こえてしまいます。少しなかよく、まとまって立つと、声がひとつになりやすくなります。
半円や、ゆるいカーブで並ぶ
まっすぐ一列に並ぶより、ゆるいカーブをつくって並ぶと、おたがいの声が聞こえやすくなります。練習では、輪になって歌ってみるのもおすすめです。
少人数で声をそろえるコツ
「大きな声」より「そろった声」
人数が少ないと、「声をたくさん出さなきゃ」と思いがちです。でも、ひとりひとりががんばって大きな声を出すと、声がぶつかって、かえってうすく聞こえることがあります。
少人数の合唱で大切なのは、声の大きさよりも、そろっていることです。
- 母音(あいうえお)の口の形をそろえる
- 息をすうタイミングをそろえる
- ことばの終わりの音を、そろえて切る
- のばす音の長さをそろえる
こうした小さなことがそろうと、人数が少なくても、ひびきのある合唱になります。
自分の声とまわりの声を、半分ずつ聞く
人数が少ないと、自分の声がよく聞こえます。そのぶん、つい自分の声ばかり気にしてしまいがちです。歌うときは、自分の声とまわりの声を、半分ずつ聞くような気持ちでいると、合わせやすくなります。
ひびきのある声を目指す
のどに力を入れて声を大きくするより、口の中を広くして、ひびきのある声で歌うと、少ない人数でも声がとどきやすくなります。合唱できれいな声を出すコツは、こちらの記事にもまとめています。合唱できれいな声を出すには。アルト・ソプラノのひびかせ方
パートの組み方を工夫する
パートの数をへらす
人数が少ないのに、パートを多く分けると、ひとつのパートの声がうすくなってしまいます。団の人数に合わせて、パートの数をへらすのもひとつの方法です。
- 女声だけの合唱団なら、二つのパートにする
- 混声でも、男声をひとつのパートにまとめる
- 場合によっては、全員でひとつのメロディーを歌う部分をつくる
パートのちがいや、自分に合うパートの見つけ方は、こちらの記事でくわしく書いています。合唱のパートのちがい。ソプラノ・アルト・テノール・バスと、自分に合うパートの見つけ方
お休みの人がいても歌えるように
人数が少ない合唱団では、ひとりお休みするだけで、パートの声がなくなってしまうことがあります。
- 何人かが、ほかのパートも歌えるようにしておく
- 練習の録音をのこして、お休みの人も聞けるようにする
- 本番の日程は、早めにみんなで決めておく
「このパートは、だれかがお休みしたらこまる」というところは、ふだんから話し合っておくと安心です。
少人数に合った曲をえらぶ
パートが少ない曲をえらぶ
人数が少ない合唱団では、パートが少なめの曲をえらぶと、ひとつひとつのパートの声がしっかり聞こえます。もとの楽譜のパートが多い場合は、少ないパートに書きかえた楽譜がないか、さがしてみるのもよいと思います。
伴奏がささえてくれる曲
ピアノなどの伴奏がしっかりある曲は、声のうすさをおぎなってくれます。伴奏なしで歌う曲は、少人数だとひとりひとりの声がむき出しになりやすいので、なれてきてからのほうが安心です。
ことばを大切にする曲
人数が少ないと、ことばがはっきり聞こえやすいというよさがあります。歌詞の意味を大切に、語りかけるように歌える曲は、少人数の合唱団に合いやすいです。
少人数の合唱団で、練習でためしたいこと
ひとつのパートを、みんなで歌ってみる
人数が少ないと、パートごとに分かれて練習する時間をとりにくいことがあります。そんなときは、ひとつのパートのメロディーを、全員でいっしょに歌ってみましょう。ほかのパートの動きがわかると、合わせたときに自分の音の役わりを感じやすくなります。
パートごとに、ひとりずつ歌わない工夫
少人数だと、パートの確認がそのまま「ひとりで歌う時間」になってしまうことがあります。人前でひとりで歌うのが苦手な人には、つらく感じることもあるかもしれません。二つのパートをいっしょに確認する、ピアノや音源と重ねて歌うなど、ひとりきりにならない形を考えてみてください。
ゆっくりのテンポで、和音を味わう
人数が少ないと、和音がきれいに重なったときのひびきが、とてもよくわかります。むずかしいところは、ゆっくりのテンポで歌い、のばす音の和音を、みんなで味わってみましょう。「いまの、きれいだったね」と感じ合えると、少人数で歌うよろこびにつながります。
録音を、こまめに聞く
少人数の合唱は、ひとりの声のかたよりが全体にえいきょうしやすいです。練習のとちゅうでこまめに録音を聞き、パートの声のバランスをたしかめましょう。
会場えらびと、本番での工夫
小さめの会場をえらぶ
人数が少ない合唱団は、大きなホールより、小さめの会場のほうが声がとどきやすいです。よくひびく部屋や、お客様との距離が近い会場をえらぶと、少人数の合唱のよさが伝わりやすくなります。
立ち位置をたしかめる
本番の会場では、できれば歌う前に、立ち位置で少しだけ声を出してみましょう。後ろのかべに近すぎないか、声がどこまでとどくか、たしかめておくと安心です。
マイクをつかうかどうか
会場の広さによっては、マイクをつかう方法もあります。ただし、マイクがあると、声のバランスがかわることがあります。つかうときは、本番の前にためしておきましょう。
少人数でも、たのしく続けるために
ひとりの声を、みんなで大切にする
人数が少ないと、ひとりひとりの声がとても大切です。うまくいかないところがあっても、だれかひとりをせめるのではなく、「みんなでどうするか」を考えるようにしましょう。
むりに人数をふやそうとしない
人数をふやしたい気持ちは自然なことですが、あせって集めようとすると、つかれてしまうこともあります。いまの人数で、いまできるいちばんよい歌を目指すことが、新しい仲間がふえるきっかけになることもあります。
のどを休める時間をとる
人数が少ないと、ひとりひとりが長く、しっかり声を出すことになりがちです。練習のとちゅうで休けいをとり、のどを休めましょう。声がかすれる、のどが痛いといったことが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 人数が少ない合唱団には、声が聞こえやすい、すんだひびきが出しやすいといったよさがある
- パートをまぜる、まとまって立つなど、並び方でひびきをまとめる
- 大きな声より、母音や息つぎ、ことばの終わりをそろえることが大切
- パートの数をへらしたり、お休みにそなえたりして、組み方を工夫する
- パートが少ない曲、伴奏がささえてくれる曲がえらびやすい
- 小さめの会場をえらぶと、少人数の合唱のよさが伝わりやすい
少人数の合唱団でも、ひとりひとりの声を大切にすれば、心にとどく歌になります。団員ひとりひとりの声をみがきたいときは、個人のレッスンを受けてみるのもひとつの方法です。歌の教室さがしまた、こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ