合唱できれいな声を出すには。アルト・ソプラノのひびかせ方
「合唱で、もっときれいな声を出したい」 「アルトになったけれど、声が低くて、こもってしまう」 「ソプラノの高い音が、きつい声になってしまう」
学校の合唱コンクールや、合唱団の練習で、こんななやみをもつ方は多いと思います。お子様が合唱で歌っていて、「どうしたらきれいな声になるの?」と聞かれたお父様・お母様もいるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。合唱の舞台を見ていると、ひとりひとりの声がとけ合って、ひとつのやわらかな音になっているときは、とても心にひびきます。
この記事では、合唱できれいな声を出すための考え方を、声の「音色(ねいろ)」にしぼってお話しします。ソプラノとアルト、それぞれのひびかせ方のコツや、まわりの声ととけ合うための工夫もまとめました。
発声練習のメニューについては、別の記事でくわしくまとめています。ここでは「どんな声をめざすか」「パートごとに何を意識するか」を中心に読んでみてください。
合唱の「きれいな声」ってどんな声?
ひとりで目立つ声より、とけ合う声
ソロで歌うときは、自分の声の個性を生かすことも大切です。でも合唱では、まわりの声とまざり合ったときに、きれいに聞こえる声がもとめられます。
合唱で「きれいな声」と言われやすいのは、こんな声です。
- 力みがなく、やわらかい
- まっすぐのびていて、ゆれが少ない
- こもらず、明るさがある
- 大きすぎず、まわりの声とまざる
大きな声で目立つことより、パート全体の声のひとつになることが、合唱のきれいさにつながります。
音色をそろえると、ひとつの声に聞こえる
合唱では、音の高さやリズムをそろえることはもちろん大切です。そのうえで、声の感じ、つまり音色をそろえると、何人で歌っていても、ひとつの大きな声のように聞こえてきます。
音色をそろえるときの手がかりになるのが、母音(あ・い・う・え・お)の形と、ひびかせる場所のイメージです。
合唱できれいな声を出すための、共通のコツ
口の中を、たてに少し広くする
合唱では、口を横に大きく開くより、たてに少し開くほうが、やわらかい声になりやすいです。口の奥を少し広げるような感じで、あくびの前の口の形をイメージしてみてください。
横に広い口で歌うと、声が明るくなりすぎて、ぺらっとした感じになることがあります。
母音をパート全員でそろえる
同じ「あ」でも、人によって口の形がちがうと、声の音色もばらばらになります。パートのみんなで、どんな口の形で歌うかを決めておくと、音色がそろいやすくなります。
- 「あ」は、たてに少し開いた、やわらかい形
- 「い」は、横に広げすぎず、口の中を少しあけたまま
- 「え」も、横に広げすぎないように
- 「う」「お」は、くちびるを少し前に出す
とくに「い」と「え」は、声がかたく、するどくなりやすい母音です。口の中の広さを、「あ」とあまりかえないようにすると、声がそろいます。
声を「前」と「上」にひびかせるイメージ
声がのどの奥にこもると、合唱ではくぐもった音に聞こえます。おでこのあたりや、鼻のおくのほうに、声をひびかせるようなイメージをもつと、声が明るく、遠くまでとどきやすくなります。
ただ、これはあくまでイメージです。むりに鼻にかけた声にする必要はありません。
息を止めず、流しつづける
声をきれいにのばすためには、息を止めずに、同じ強さで流しつづけることが大切です。のばす音のさいごまで、息がとぎれないように意識してみましょう。
ソプラノのひびかせ方
高い音ほど、力をぬく
ソプラノは、高い音を歌うことが多いパートです。高い音を出そうとすると、首やあごに力が入り、声がきつくなりがちです。
- あごを上げずに、少し引いたままにする
- 肩や首の力をぬく
- 高い音ほど、口の中をたてに少し広げる
高い音は、のどでおし上げるのではなく、ひびきを頭のほうにぬくようなイメージで出すと、やわらかく聞こえやすくなります。
声をつきさすようにしない
ソプラノの声は、合唱の中でいちばん目立ちやすいパートです。高い音を強く出しすぎると、まわりの声からとび出して、するどく聞こえてしまいます。
高い音こそ、少しひかえめに、やわらかく歌うくらいの気持ちでいると、合唱全体がきれいにまとまりやすくなります。
ソプラノの高い音の練習については、こちらの記事もあわせて読んでみてください。ソプラノの発声練習。高い音をきれいにひびかせるコツ
アルトのひびかせ方
低い声をおしつぶさない
アルトは、女声や子どもの合唱で、低いほうの音を歌うパートです。低い音を出そうとして、のどをおしさげたり、あごを引きすぎたりすると、声がこもって、くもった音になりやすいです。
- 低い音でも、のどをおしさげない
- 声を太く見せようとしない
- 口の中は、ソプラノと同じように、たてに少し広げる
低い音を出すときも、声を前にひびかせるイメージをわすれないようにしましょう。
明るさをのこす
アルトの声は、合唱をささえる大切な声です。ただ、「低い声らしく」しようとして、くらい声にしすぎると、合唱全体が重たくなってしまいます。
ほほを少し上げるような、ほほえむ前の顔で歌うと、声に明るさがのこりやすくなります。低い音でも、明るさをわすれないことが、アルトのきれいな声のコツです。
メロディーにつられないように
アルトは、メロディーではない音を歌うことが多いパートです。ソプラノの声につられないように、自分のパートの音をしっかり聞きながら歌うことも大切です。
ただ、つられないようにと大きな声でおしてしまうと、声がかたくなります。まわりの声を聞きながら、自分の音をていねいにたしかめるようにしましょう。
合唱のパートの役わりについては、こちらの記事でくわしくまとめています。合唱のパートのちがい。ソプラノ・アルト・テノール・バスと、自分に合うパートの見つけ方
まわりの声ととけ合うための工夫
となりの人の声を聞く
合唱できれいな声を出すために、自分の声だけを聞いていると、まわりとのバランスがわからなくなります。となりの人の声が聞こえるくらいの大きさで歌うと、自然と声がとけ合いやすくなります。
自分の声が目立ちすぎていないか
自分の声だけが聞こえるときは、少し大きすぎるのかもしれません。反対に、自分の声がまったく聞こえないときは、まわりにかくれすぎているのかもしれません。
「自分の声と、まわりの声の両方が聞こえる」くらいが、ひとつのめやすです。
パートで同じイメージをもつ
「やわらかい声で」「明るい声で」など、パートのみんなで、どんな声で歌うかのイメージをことばにしておくと、音色がそろいやすくなります。曲の場面によって、声のイメージをかえるのもよいと思います。
録音して、パート全体の声を聞く
練習のときに、スマホでパート全体の声を録音してみるのもおすすめです。歌っているときにはわからなかった、母音のばらつきや、目立ちすぎている声に気づきやすくなります。だれかをせめるためではなく、みんなで音色をそろえる手がかりとして聞いてみてください。
お子様が合唱で歌うときに
お子様の合唱では、きれいな声を出そうとするあまり、むりをしてしまうこともあります。
- 大きな声を出しすぎない
- 高い音や低い音を、むりにおさえつけない
- 練習が長くなりすぎないように、休みを入れる
- のどがかわいたら、水をのむ
お父様・お母様は、家で練習しているお子様に、「今の声、やわらかかったね」「みんなと合いそうだね」など、よいところを伝えてあげてください。お子様が、声の感じに気づくきっかけになります。
むりをしないための注意
合唱の練習は、長い時間になることも多いです。
- のどが痛くなったら、声を出すのを休む
- 声がかすれたら、口だけ動かして、音を聞く練習にする
- かぜのときは、むりに歌わない
痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 合唱のきれいな声は、目立つ声より、まわりととけ合う声
- 口の中をたてに少し広げ、母音の形をパートでそろえる
- ソプラノは、高い音ほど力をぬき、やわらかく歌う
- アルトは、のどをおしさげず、明るさをのこして歌う
- となりの人の声が聞こえるくらいの大きさで歌う
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
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