ミュージカルの歌の練習方法。せりふのように歌うコツ(中高生・大人むけ)
「ミュージカルの歌を練習しているけれど、ただ歌っているだけに聞こえてしまう」 「せりふのように歌う、と言われたけれど、どう練習すればいいのかわからない」
ミュージカルの歌は、きれいな声で歌うだけでなく、役の気持ちを、ことばで伝えることが大切です。部活や劇団、オーディションにむけて練習している中高生の方や、大人になってからミュージカルの歌を楽しみたい方も多いと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。いろいろなジャンルの歌を聞いてきて、ミュージカルの歌は「物語を歌でしゃべる」ような特別な楽しさがあると感じています。
この記事では、中高生・大人の方にむけて、ミュージカルの歌の練習方法をまとめました。とくに、「せりふのように歌う」ためのコツを中心にお話しします。
ミュージカルの歌は、どこがちがう?
歌が物語をすすめる
ミュージカルでは、歌が物語の大切な場面をになっています。登場人物が、うれしさや、かなしさ、まよいなどを、せりふのかわりに歌で伝えます。歌の前と後で、気持ちや状況がかわっていることも多いです。
「きれい」より「伝わる」が大切
声楽のように、ひびきの美しさを大切にする歌い方もあります。一方、ミュージカルでは、ことばがはっきり伝わること、役の気持ちが見えることが、より大切にされることが多いです。
もちろん、声のつかい方の土台は大切です。そのうえで、「この人は、いま何を言いたいのか」が伝わるように歌うことが、ミュージカルらしさにつながります。
練習方法1 歌詞を「せりふ」として読む
メロディーをつけずに読んでみる
まずは、歌詞をメロディーなしで、せりふとして声に出して読んでみましょう。だれに、何を、どんな気持ちで言っているのかを考えながら読みます。
- この歌は、だれにむかって歌っているのか
- その人に、何をしてほしいのか、何を伝えたいのか
- 歌のはじめと終わりで、気持ちはどうかわるのか
- 歌の前の場面で、何があったのか
こうしたことを、楽譜のはしや、ノートに書いておくと、役の気持ちがつかみやすくなります。
いちばん伝えたいことばを決める
1つのフレーズの中で、いちばん伝えたいことばを1つえらびます。話すときも、大切なことばは自然と強くなったり、ゆっくりになったりしますよね。歌でも同じように、そのことばを大切にすると、せりふのような自然な流れが生まれます。
歌詞の読みこみ方や、気持ちのこめ方は、こちらの記事でもくわしく書いています。歌に気持ちをこめるには?歌詞の読みこみ方と、表情・声の色のつけ方
練習方法2 話し声から歌へつなぐ
話す、リズムで話す、歌う
せりふのように歌うための、わかりやすい練習があります。同じフレーズを、3つの段階で練習する方法です。
- 1回目 ふつうに、せりふとして話す
- 2回目 曲のリズムに合わせて、話すように言う
- 3回目 メロディーをつけて歌う
1回目の話し方の感じを、3回目の歌にもできるだけのこすようにします。こうすると、歌が「ことばを伝えるもの」になりやすくなります。
話し声の高さを知る
ふだんの話し声の高さに近い音域では、せりふのような歌い方がしやすいです。高い音になっても、話しているときの自然さをわすれないように意識してみましょう。
練習方法3 ことばをはっきり伝える
子音をていねいに
ミュージカルの歌では、ことばがはっきり聞こえることがとても大切です。とくに、ことばのはじめの子音(か行、た行、さ行など)をていねいに出すと、客席までことばが届きやすくなります。
速いところは、ゆっくりから
ことばの多い、テンポの速い歌は、いきなり曲の速さで歌うと、ことばがくずれやすいです。はじめはゆっくりのテンポで、ことばを一つずつ口に覚えさせてから、少しずつ速くしていきましょう。
滑舌の練習については、こちらの記事にまとめています。歌の滑舌をよくする練習。ことばがはっきり伝わる歌い方
練習方法4 声の色をつかい分ける
場面に合わせた声
同じ人物でも、場面によって声の感じはかわります。
- 心の中でつぶやくような場面では、息を多めにして、やわらかく
- 強い気持ちをぶつける場面では、はっきりとまっすぐに
- 楽しい場面では、明るく、はずむように
1つの歌の中でも、気持ちのうつりかわりに合わせて、声の色をかえていけると、物語が伝わりやすくなります。
強く歌うときも、のどを押さない
気持ちが高まる場面では、つい声を押し出したくなります。でも、のどに力を入れて叫ぶように歌うと、のどをいためることがあります。体全体をつかい、息にささえられた声で歌うことを意識しましょう。
練習方法5 動きながら歌う
体を動かしながら声を出す
ミュージカルでは、歩いたり、おどったり、ものを持ったりしながら歌うことがあります。止まって歌えても、動くと息がみだれてしまうことはよくあります。
- 部屋の中を歩きながら歌う
- 役の動きをつけながら歌う
- 軽く足ぶみしながら歌う
少しずつ、動きと歌をいっしょに練習していきましょう。
息つぎの場所を決めておく
動きながら歌うときは、息つぎの場所を先に決めておくと安心です。せりふの区切りに合わせて息をすうと、自然に聞こえやすくなります。
練習方法6 録音・録画でたしかめる
自分の歌を録画して見てみると、気づくことがたくさんあります。
- ことばが聞きとれるか
- 役の気持ちが、顔や体にもあらわれているか
- 歌っているときに、肩や首に力が入っていないか
- 歌い終わりまで、役の気持ちがつづいているか
いいところも、なおしたいところも、1つずつメモしておくと、次の練習に生かしやすくなります。
練習方法7 相手役や伴奏と合わせる
相手のせりふを聞いてから歌う
ミュージカルでは、ほかの役の人と歌をかけ合うこともあります。ひとりで練習していると、自分のパートだけに気持ちがむきがちです。相手のせりふや歌を、本当に聞いてから答えるように歌うと、会話のような自然な流れが生まれます。相手がいないときは、家族に相手のせりふを読んでもらったり、自分で録音したせりふを流したりして、練習してみましょう。
伴奏の「間」を感じる
歌と歌のあいだにある伴奏の部分も、役の気持ちはつづいています。前奏や間奏のあいだに、何を考えているのかを決めておくと、歌いはじめのことばに気持ちがのりやすくなります。伴奏をよく聞いて、どこで気持ちがかわるのかを感じてみてください。
中高生の方へ
部活や学校の練習と、むりなく
中高生の方は、部活や勉強とならべて練習することが多いと思います。毎日長い時間歌うより、短い時間でも、歌詞の読みこみや、ことばの練習をつづけることが大切です。
声の変化がある時期
中高生のころは、声がわりなどで、声が出しにくくなることもあります。出にくい高さをむりに出そうとせず、キーを相談したり、出しやすい音域の曲をえらんだりしましょう。
大人の方へ
大人ならではの表現を
大人の方は、これまでの経験があるぶん、歌詞の気持ちを深く想像できることが多いです。上手に歌うことだけでなく、自分なりの気持ちのこめ方を大切にしてみてください。
体をあたためてから
仕事のあとなど、体がかたいまま歌いはじめると、声が出にくいことがあります。かるく体をほぐしてから練習をはじめましょう。
のどを守るために
- 練習の前に、体をほぐして、かるい発声をする
- 大きな声を出しつづけず、こまめに休む
- 水分をとり、のどをうるおす
- 声がかすれたら、その日は練習をひかえる
のどの痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- ミュージカルの歌は、歌で物語を伝えることが大切
- 歌詞をせりふとして読み、だれに何を伝えたいのかを考える
- 「話す、リズムで話す、歌う」の3段階で練習する
- 子音をていねいにし、速いところはゆっくりから
- 場面に合わせて声の色をかえ、強い場面でものどを押さない
- 動きながら歌う練習と、録画でのふりかえりをする
- のどの痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
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