声楽の公開レッスン・マスタークラスとは?受講のしかたと、聴講のたのしみ方
「マスタークラスって、よく聞くけれど、どんなことをするの?」 「声楽の公開レッスンに申しこんでみたいけれど、人前で教わるのは少しこわい」
声楽を習っていると、こうしたことばを目にする機会があると思います。音楽大学やホール、歌の教室などで、ときどき開かれている催しです。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌は、ひとりで練習するだけでなく、ほかの人の歌や、先生のことばを聞くことでも、多くのことを学べます。公開レッスンは、その両方を体験できる場所です。
この記事では、マスタークラスとは何か、声楽の公開レッスンを受講するときの準備と流れ、そして聴講(見学)するときのたのしみ方を、やさしくまとめます。
マスタークラスとは?
お客さんの前で行うレッスン
マスタークラスは、経験のある歌い手や先生が、受講生にレッスンをして、そのようすを聴講者(見学する人)にも見てもらう形のレッスンです。日本語では「公開レッスン」とよばれることが多く、ほぼ同じ意味でつかわれています。
ふつうのレッスンは、先生と生徒の2人だけで行います。公開レッスンでは、そこにお客さんがいる、というのがいちばんのちがいです。
どんな場所で開かれる?
公開レッスンは、いろいろな場所で開かれています。
- 音楽大学や音楽の学校の講座
- ホールや文化施設の催し
- 歌の教室の特別レッスン
- 音楽祭やセミナーの中のプログラム
- コンクールに合わせて開かれる講座
内容や受講できる人の条件、参加費などは、催しによってちがいます。くわしくは、それぞれの案内を見てください。
1人あたりの時間
受講生1人あたりの時間は、20分から1時間くらいのことが多いです。何人かの受講生が順番にレッスンを受け、聴講者はそれを続けて見る、という形がよく見られます。
ふだんのレッスンとのちがい
1曲を深く見ていく
公開レッスンでは、受講生が持ってきた1曲を中心に、すすめていくことが多いです。発声の基本からていねいに、というより、「この曲をもっとよくするには」という見方で、ことばの意味、フレーズのつなぎ方、ひびきの作り方などを見ていきます。
先生のことばが、聴講者にも向けられる
先生は、受講生に話しながら、聴講者にもわかるように説明してくれることがあります。「この場面は、だれに向かって歌っているのでしょう」など、歌い手みんなに役立つ考え方が出てくるのも、公開レッスンならではです。
短い時間で変化が見える
ひとこと言われただけで、声のひびきがぱっと変わることがあります。もちろん、すぐに身につくわけではありませんが、「こう変わるんだ」と目の前で見られるのは、受講生にも聴講者にも、よい学びになります。
受講生として申しこむとき
申しこみの条件をたしかめる
公開レッスンには、受講できる人の条件がある場合があります。
- 年れいや、学年の条件
- 声楽を習っている年数
- 録音や動画による事前の選考
- 歌える曲のジャンル(オペラのアリア、歌曲など)
だれでも申しこめるものもあれば、選ばれた人だけが受けられるものもあります。人数がかぎられていることが多いので、早めに案内をたしかめておきましょう。
曲のえらび方
公開レッスンに持っていく曲は、新しく練習をはじめたばかりの曲より、ある程度歌いこんでいる曲がおすすめです。
- 楽譜を見なくても歌える、またはほぼ歌える
- 自分の声に合っていて、むりなく歌える
- 今、もっとよくしたいと思っている曲
- 本番をひかえている曲
まだ音やことばに自信がない曲だと、レッスンの時間が音とりで終わってしまうことがあります。歌いこんだ曲のほうが、先生の話を深く受けとりやすくなります。
準備しておきたいこと
- 先生用と伴奏者用の楽譜(小節番号が見えるもの)
- 歌詞の意味(外国語なら、日本語の訳を自分で調べておく)
- 伴奏者との合わせ(伴奏者を自分で用意するか、主催者が用意するかを確認)
- 当日の服装(ドレスでなくてよいか、動きやすさはどうか)
外国語の曲なら、ことばの意味を1つずつ知っておくと、先生の話がぐっとわかりやすくなります。ドイツ語やフランス語の発音については、こちらの記事も参考にしてください。声楽のドイツ語・フランス語の発音のきほん。はじめての外国語の歌で気をつけたいこと
受講の当日の流れ
はじめに1回歌う
多くの公開レッスンでは、まず受講生が1曲、または曲の一部を通して歌います。先生はそれを聞いてから、どこを見ていくかを決めます。緊張して、ふだんどおりに歌えなくても、気にしなくてだいじょうぶです。先生も聴講者も、それをわかって聞いています。
先生の話を聞いて、歌いなおす
そのあと、先生が気づいたことを話し、受講生は言われたことを試しながら、フレーズを何回か歌いなおします。体のつかい方や、ことばの言い方、気持ちの向け方など、いろいろな話が出てきます。
わからないときは、質問してよい
言われたことがよくわからないときは、「もう一度教えていただけますか」と聞いてかまいません。人前だと聞きにくく感じるかもしれませんが、受講生がよくわかることが、いちばん大切です。
終わったら、すぐにメモ
公開レッスンは、気持ちが高ぶっているうちに終わってしまうことが多いです。終わったら、できるだけ早く、言われたことをメモしておきましょう。録画や録音ができるかどうかは、主催者のきまりをたしかめてください。
人前でのレッスンが不安な方へ
人前で注意されるのは、はずかしいと感じる方も多いと思います。でも、公開レッスンで先生が話すことは、受講生をせめるためのものではありません。「もっとよくなるために」というお話です。聴講者も、受講生をおうえんする気持ちで聞いています。
聴講のたのしみ方
受講しなくても学べる
公開レッスンは、聴講だけでも参加できることが多いです。自分が歌わなくても、先生のことばや、受講生の声の変化から、たくさんのことを学べます。
- 自分と同じなやみを、ほかの人がどう直していくか
- 先生が、どんなことばで説明するか
- 同じ曲でも、歌い方でどう印象が変わるか
- 自分が歌ってみたい曲に出会えることもある
楽譜を持っていくと、もっとたのしい
曲目が先に発表されている場合は、その曲の楽譜を持っていくと、どこの話をしているのかがわかりやすくなります。メモを書きこみながら聞くのもよい方法です。
「自分ならどう歌うか」を考えながら聞く
ただ聞くだけでなく、「自分ならどう歌うだろう」と考えながら聞くと、学びが深くなります。帰ったら、聞いたことを1つだけ、自分の練習で試してみましょう。
お子様といっしょに聴講するとき
声楽を習っているお子様にとっても、公開レッスンはよい経験になります。ただ、長い時間静かにしていることがむずかしい年れいのお子様もいます。お子様の参加ができるかどうか、主催者のきまりを先に見ておきましょう。途中で出入りしやすい席をえらぶなど、お父様・お母様が少し気をくばると安心です。
聴講のマナー
公開レッスンは、受講生にとって大切な学びの時間です。聴講するときは、次のようなことに気をつけましょう。
- スマホの音を消し、画面の明かりにも気をつける
- 録画・録音・写真は、主催者のきまりにしたがう
- 受講生が歌っているときは、出入りをひかえる
- 話し声や、紙をめくる音を小さくする
- 受講生の歌について、まわりで感想を言い合わない
拍手は、1人の受講生のレッスンが終わったときにすることが多いです。まわりのようすに合わせればだいじょうぶです。声楽のコンサートのマナーについては、こちらの記事にもまとめています。声楽のコンサートの聴き方とマナー。はじめての方とお子様づれの方へ
のどと体のこと
受講生として参加するときは、本番と同じように、前の日はよく休み、当日はのどをいたわりましょう。レッスンの中で何回も歌いなおすことがあるので、むりに大きな声を出しつづけないことも大切です。のどに痛みがあるときや、かすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- マスタークラスは、聴講者の前で行うレッスンで、「公開レッスン」とほぼ同じ意味
- 1曲を深く見ていくことが多く、短い時間で声の変化が見える
- 受講するなら、条件をたしかめ、歌いこんだ曲を持っていく
- 歌詞の意味や伴奏者のこと、楽譜の準備をしておく
- 聴講だけでも、先生のことばや受講生の変化から多くを学べる
- 聴講するときは、録画や出入りなどのマナーを守る
公開レッスンで聞いたことを、ふだんの練習で続けていくには、身近な先生の存在が心強いです。声楽の先生や教室をさがすときは、こちらのページをつかってみてください。歌の教室さがし人前で歌う経験をもっと重ねたい方には、こどもの歌声グランプリもおすすめです。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌を見なおすきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ