ロングトーンの練習。息を長く、声をまっすぐのばすコツ
「歌のさいごの音が、すぐに息切れしてしまう」 「声をのばすと、ゆれたり、とちゅうで小さくなったりする」
歌っていて、こんななやみを感じたことはありませんか。歌の中には、声を長くのばすところがたくさんあります。フレーズのおわりや、曲のいちばんさいごの音などです。そこで声がふらつくと、なんだかおちつかない感じになってしまいます。
そんなときに役立つのが、ロングトーンの練習です。ロングトーンとは、ひとつの音を、同じ高さ、同じ大きさで、長くのばす練習のことです。地味に見えますが、多くの先生が大切にしている、声の土台づくりの練習です。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。そのなかで、さいごの音までまっすぐのびた声は、聞いている人の心にのこりやすいと感じてきました。
この記事では、ロングトーンの練習について、なぜ大切なのか、うまくいかないときの原因、家でできる練習のすすめ方をまとめました。お子様にも大人の方にも、ためしやすい形で紹介します。
ロングトーンってどんな練習?
ひとつの音を、まっすぐ長くのばす
ロングトーンは、たとえば「あー」という声を、同じ高さのまま、5秒、10秒と長くのばす練習です。
大切なのは、ただ長くのばすことではありません。
- 音の高さが、上がったり下がったりしない
- 声の大きさが、とちゅうでかわらない
- 声の音色(ひびき方)が、さいごまで同じ
この3つを、できるだけそろえることを目指します。
なぜ大切なの?
ロングトーンの練習をすると、次のようなことに気づきやすくなります。
- 息を、少しずつ、同じ強さではく感覚
- のどや肩に、よけいな力が入っていないか
- 自分の声が、どんなふうにゆれやすいか
歌では、ひとつのフレーズを、ひと息で歌いきることが多いです。ロングトーンで、息をじょうずにつかう感覚が身につくと、フレーズのおわりまで声をとどけやすくなります。
うまくのばせないときに多い原因
息を、はじめに出しすぎている
声を出しはじめた瞬間に、たくさんの息をいっきに出してしまうと、すぐに息がなくなってしまいます。はじめは大きな声でも、とちゅうからしぼんでしまうのは、このためであることが多いです。
体に力が入っている
長くのばそうとがんばるほど、肩やのど、おなかに力が入ってしまうことがあります。力が入ると、声がかたくなったり、ふるえたりしやすくなります。
息をすう量が少ない
あわててすうと、息が胸のあたりにしか入らず、すぐに足りなくなることがあります。息のすい方は、腹式呼吸の記事でくわしくお話ししています。歌の腹式呼吸のやり方。子どもにも大人にもわかる、やさしい練習
さいごに気がぬける
のばしているうちに、「そろそろおわり」と思った瞬間に、声がすっと小さくなったり、音が下がったりすることがあります。さいごの1秒まで、ていねいにのばす意識が大切です。
練習の前の準備
姿勢をととのえる
- 足を肩はばくらいに開いて立つ
- ひざは、ピンとのばしきらない
- 背中は、上から糸でつられているようなイメージでまっすぐ
- 肩の力をぬいて、あごを少し引く
いすにすわって練習するときは、背もたれによりかからず、背中をまっすぐにしてすわります。
体をほぐしておく
肩や首がかたいままだと、声もかたくなりやすいです。練習の前に、肩をまわしたり、首をゆっくりたおしたりして、体をほぐしておきましょう。
家でできるロングトーンの練習
ステップ1 息だけを長くはく
まずは、声を出さずに、息だけで練習します。
- 鼻から、ゆっくり息をすう
- 口を少しすぼめて、「スー」と細く長く息をはく
- 同じ強さのまま、できるところまではく
ティッシュを1まい、顔の前にたらして、ゆれ方が同じになるようにはくと、息の強さがそろっているかどうか、目で見てわかります。お子様は、この練習を楽しんでくれることが多いです。
ステップ2 ハミングでのばす
次は、口をとじて「んー」とハミングで声をのばします。ハミングは、のどに負担がかかりにくく、声のひびきを感じやすい練習です。
- らくに出せる高さで「んー」
- 鼻のまわりや、くちびるが少しふるえる感じがあればOK
- 5秒くらいから、少しずつのばしていく
ステップ3 「あー」や「うー」でのばす
ハミングになれてきたら、口を開けて声を出します。はじめは「うー」や「おー」など、口の形がつくりやすい音からがおすすめです。なれてきたら、「あー」でものばしてみましょう。
- 自分にとって、らくに出せる高さでのばす
- 声の大きさは、ふつうに話すくらいか、少し大きいくらい
- 時間は、はじめは5秒、なれたら8秒、10秒と、少しずつのばす
むりに長くのばそうとしないことが大切です。苦しくなる前に、やめてかまいません。
ステップ4 ピアノやアプリで音を合わせる
家にピアノやキーボードがあれば、ひとつの音をならして、その高さに合わせて声をのばしてみましょう。スマホの音を出すアプリや、チューナーのアプリをつかう方法もあります。
チューナーをつかうと、自分の声の高さが画面に出るので、のばしているあいだに音が上がったり下がったりしていないか、わかりやすくなります。
ステップ5 いろいろな高さでのばす
ひとつの高さでまっすぐのばせるようになったら、少しずつ高さをかえてみましょう。
- まずは、らくに出せるまんなかの高さ
- 少し低い音
- 少し高い音
高い音や低い音は、むりのない範囲で行いましょう。出しにくい音を、むりやり長くのばすのは、のどに負担がかかることがあります。
練習をもっとよくするコツ
録音して聞いてみる
スマホで、自分のロングトーンを録音してみましょう。のばしているときは気づかなくても、あとで聞くと、「とちゅうで音が下がっている」「さいごが小さくなっている」と気づくことがあります。
「長さ」より「まっすぐさ」を大切に
ロングトーンというと、何秒のばせたかに目がいきがちです。でも、長くのばすことより、まっすぐのばすことのほうが大切です。5秒でもまっすぐのびた声は、15秒のゆれた声より、よい練習になっていることが多いです。
声のおわり方も練習する
声をのばしたあと、どうやっておわるかも大切です。
- 声が、ぷつっと切れないように
- 音が、さいごに下がらないように
- 息がのこっているうちに、ていねいにおえる
歌のフレーズのおわりも、同じ考え方でととのえていくと、歌ぜんたいがきれいに聞こえやすくなります。
曲の中でためしてみる
ロングトーンで練習したことは、歌の中でつかってこそ生きてきます。練習している曲の中から、声を長くのばすところを1か所えらんで、そこだけていねいに歌ってみましょう。
お子様と大人の方、それぞれの気をつけたいこと
お子様の場合
小さなお子様は、まだ息を長くつづけることがむずかしいことがあります。何秒のばせるかをきそうより、「さいごまできれいにのばせたね」と声をかけてあげてください。
- ティッシュをゆらす息あそび
- 「だれがいちばんまっすぐのばせるかな」ゲーム
- 好きな動物の鳴き声で長くのばす
こんなふうに、あそびの中で練習すると、楽しくつづけやすくなります。長い時間の練習は、のどがつかれてしまうので、短く切り上げるのがおすすめです。
大人・シニアの方の場合
大人の方は、肩や首がこっていることが多いので、練習の前に体をほぐしておくと、声がのびやすくなることがあります。シニアの方は、いすにすわって練習してもかまいません。
息を長くはくと、頭がくらっとすることがあります。そんなときは、すぐに練習をやめて休みましょう。むりに長くのばそうとせず、気持ちよくのばせる長さで練習するのが大切です。
練習時間と回数のめやす
ロングトーンは、長い時間やればよいというものではありません。
- 1回の練習は、5分から10分くらい
- 1つの音を、数回くりかえしたら休む
- 毎日少しずつのほうが、まとめてやるよりつづけやすい
家での練習時間については、こちらの記事でもまとめています。歌の習い事、家での練習は何分がいい?時間の目安と、むりなくつづけるコツ
のどを大切に
ロングトーンの練習で、のどがいたくなったり、声がかすれたりしたときは、すぐにやめて声を休めましょう。水を少しずつのんで、のどをうるおしてください。
いたみやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- ロングトーンは、ひとつの音を同じ高さ、同じ大きさで長くのばす練習
- 息をはじめに出しすぎない、体に力を入れないことが大切
- 息だけ、ハミング、「あー」の順に、少しずつすすめる
- チューナーや録音をつかうと、ゆれに気づきやすい
- 長さより、まっすぐさと、声のおわり方を大切にする
- お子様はあそびながら、大人・シニアの方はむりのない長さで
- のどのいたみやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
ロングトーンは、すぐに目に見える変化が出にくい練習かもしれません。でも、つづけるうちに、フレーズのおわりまで声がとどくようになったと感じる方は多いです。練習した歌を動画にとって、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声ののび方をふりかえるきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ