練習・発声のコツ

ロングトーンの練習。息を長く、声をまっすぐのばすコツ

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「歌のさいごの音が、すぐに息切れしてしまう」 「声をのばすと、ゆれたり、とちゅうで小さくなったりする」

歌っていて、こんななやみを感じたことはありませんか。歌の中には、声を長くのばすところがたくさんあります。フレーズのおわりや、曲のいちばんさいごの音などです。そこで声がふらつくと、なんだかおちつかない感じになってしまいます。

そんなときに役立つのが、ロングトーンの練習です。ロングトーンとは、ひとつの音を、同じ高さ、同じ大きさで、長くのばす練習のことです。地味に見えますが、多くの先生が大切にしている、声の土台づくりの練習です。

わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。そのなかで、さいごの音までまっすぐのびた声は、聞いている人の心にのこりやすいと感じてきました。

この記事では、ロングトーンの練習について、なぜ大切なのか、うまくいかないときの原因、家でできる練習のすすめ方をまとめました。お子様にも大人の方にも、ためしやすい形で紹介します。

ロングトーンってどんな練習?

ひとつの音を、まっすぐ長くのばす

ロングトーンは、たとえば「あー」という声を、同じ高さのまま、5秒、10秒と長くのばす練習です。

大切なのは、ただ長くのばすことではありません。

  • 音の高さが、上がったり下がったりしない
  • 声の大きさが、とちゅうでかわらない
  • 声の音色(ひびき方)が、さいごまで同じ

この3つを、できるだけそろえることを目指します。

なぜ大切なの?

ロングトーンの練習をすると、次のようなことに気づきやすくなります。

  • 息を、少しずつ、同じ強さではく感覚
  • のどや肩に、よけいな力が入っていないか
  • 自分の声が、どんなふうにゆれやすいか

歌では、ひとつのフレーズを、ひと息で歌いきることが多いです。ロングトーンで、息をじょうずにつかう感覚が身につくと、フレーズのおわりまで声をとどけやすくなります。

うまくのばせないときに多い原因

息を、はじめに出しすぎている

声を出しはじめた瞬間に、たくさんの息をいっきに出してしまうと、すぐに息がなくなってしまいます。はじめは大きな声でも、とちゅうからしぼんでしまうのは、このためであることが多いです。

体に力が入っている

長くのばそうとがんばるほど、肩やのど、おなかに力が入ってしまうことがあります。力が入ると、声がかたくなったり、ふるえたりしやすくなります。

息をすう量が少ない

あわててすうと、息が胸のあたりにしか入らず、すぐに足りなくなることがあります。息のすい方は、腹式呼吸の記事でくわしくお話ししています。歌の腹式呼吸のやり方。子どもにも大人にもわかる、やさしい練習

さいごに気がぬける

のばしているうちに、「そろそろおわり」と思った瞬間に、声がすっと小さくなったり、音が下がったりすることがあります。さいごの1秒まで、ていねいにのばす意識が大切です。

練習の前の準備

姿勢をととのえる

  • 足を肩はばくらいに開いて立つ
  • ひざは、ピンとのばしきらない
  • 背中は、上から糸でつられているようなイメージでまっすぐ
  • 肩の力をぬいて、あごを少し引く

いすにすわって練習するときは、背もたれによりかからず、背中をまっすぐにしてすわります。

体をほぐしておく

肩や首がかたいままだと、声もかたくなりやすいです。練習の前に、肩をまわしたり、首をゆっくりたおしたりして、体をほぐしておきましょう。

家でできるロングトーンの練習

ステップ1 息だけを長くはく

まずは、声を出さずに、息だけで練習します。

  • 鼻から、ゆっくり息をすう
  • 口を少しすぼめて、「スー」と細く長く息をはく
  • 同じ強さのまま、できるところまではく

ティッシュを1まい、顔の前にたらして、ゆれ方が同じになるようにはくと、息の強さがそろっているかどうか、目で見てわかります。お子様は、この練習を楽しんでくれることが多いです。

ステップ2 ハミングでのばす

次は、口をとじて「んー」とハミングで声をのばします。ハミングは、のどに負担がかかりにくく、声のひびきを感じやすい練習です。

  • らくに出せる高さで「んー」
  • 鼻のまわりや、くちびるが少しふるえる感じがあればOK
  • 5秒くらいから、少しずつのばしていく

ステップ3 「あー」や「うー」でのばす

ハミングになれてきたら、口を開けて声を出します。はじめは「うー」や「おー」など、口の形がつくりやすい音からがおすすめです。なれてきたら、「あー」でものばしてみましょう。

  • 自分にとって、らくに出せる高さでのばす
  • 声の大きさは、ふつうに話すくらいか、少し大きいくらい
  • 時間は、はじめは5秒、なれたら8秒、10秒と、少しずつのばす

むりに長くのばそうとしないことが大切です。苦しくなる前に、やめてかまいません。

ステップ4 ピアノやアプリで音を合わせる

家にピアノやキーボードがあれば、ひとつの音をならして、その高さに合わせて声をのばしてみましょう。スマホの音を出すアプリや、チューナーのアプリをつかう方法もあります。

チューナーをつかうと、自分の声の高さが画面に出るので、のばしているあいだに音が上がったり下がったりしていないか、わかりやすくなります。

ステップ5 いろいろな高さでのばす

ひとつの高さでまっすぐのばせるようになったら、少しずつ高さをかえてみましょう。

  • まずは、らくに出せるまんなかの高さ
  • 少し低い音
  • 少し高い音

高い音や低い音は、むりのない範囲で行いましょう。出しにくい音を、むりやり長くのばすのは、のどに負担がかかることがあります。

練習をもっとよくするコツ

録音して聞いてみる

スマホで、自分のロングトーンを録音してみましょう。のばしているときは気づかなくても、あとで聞くと、「とちゅうで音が下がっている」「さいごが小さくなっている」と気づくことがあります。

「長さ」より「まっすぐさ」を大切に

ロングトーンというと、何秒のばせたかに目がいきがちです。でも、長くのばすことより、まっすぐのばすことのほうが大切です。5秒でもまっすぐのびた声は、15秒のゆれた声より、よい練習になっていることが多いです。

声のおわり方も練習する

声をのばしたあと、どうやっておわるかも大切です。

  • 声が、ぷつっと切れないように
  • 音が、さいごに下がらないように
  • 息がのこっているうちに、ていねいにおえる

歌のフレーズのおわりも、同じ考え方でととのえていくと、歌ぜんたいがきれいに聞こえやすくなります。

曲の中でためしてみる

ロングトーンで練習したことは、歌の中でつかってこそ生きてきます。練習している曲の中から、声を長くのばすところを1か所えらんで、そこだけていねいに歌ってみましょう。

お子様と大人の方、それぞれの気をつけたいこと

お子様の場合

小さなお子様は、まだ息を長くつづけることがむずかしいことがあります。何秒のばせるかをきそうより、「さいごまできれいにのばせたね」と声をかけてあげてください。

  • ティッシュをゆらす息あそび
  • 「だれがいちばんまっすぐのばせるかな」ゲーム
  • 好きな動物の鳴き声で長くのばす

こんなふうに、あそびの中で練習すると、楽しくつづけやすくなります。長い時間の練習は、のどがつかれてしまうので、短く切り上げるのがおすすめです。

大人・シニアの方の場合

大人の方は、肩や首がこっていることが多いので、練習の前に体をほぐしておくと、声がのびやすくなることがあります。シニアの方は、いすにすわって練習してもかまいません。

息を長くはくと、頭がくらっとすることがあります。そんなときは、すぐに練習をやめて休みましょう。むりに長くのばそうとせず、気持ちよくのばせる長さで練習するのが大切です。

練習時間と回数のめやす

ロングトーンは、長い時間やればよいというものではありません。

  • 1回の練習は、5分から10分くらい
  • 1つの音を、数回くりかえしたら休む
  • 毎日少しずつのほうが、まとめてやるよりつづけやすい

家での練習時間については、こちらの記事でもまとめています。歌の習い事、家での練習は何分がいい?時間の目安と、むりなくつづけるコツ

のどを大切に

ロングトーンの練習で、のどがいたくなったり、声がかすれたりしたときは、すぐにやめて声を休めましょう。水を少しずつのんで、のどをうるおしてください。

いたみやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。

まとめ

  • ロングトーンは、ひとつの音を同じ高さ、同じ大きさで長くのばす練習
  • 息をはじめに出しすぎない、体に力を入れないことが大切
  • 息だけ、ハミング、「あー」の順に、少しずつすすめる
  • チューナーや録音をつかうと、ゆれに気づきやすい
  • 長さより、まっすぐさと、声のおわり方を大切にする
  • お子様はあそびながら、大人・シニアの方はむりのない長さで
  • のどのいたみやかすれが続くときは、お医者さんに相談する

ロングトーンは、すぐに目に見える変化が出にくい練習かもしれません。でも、つづけるうちに、フレーズのおわりまで声がとどくようになったと感じる方は多いです。練習した歌を動画にとって、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声ののび方をふりかえるきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ

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