リップロールのやり方。歌が上手くなる練習とコツを、はじめての方にやさしく
「リップロールをすると、歌が上手くなるって聞いたけれど、本当かな」 「やってみたけれど、くちびるがすぐ止まってしまう」
ボイトレの本や動画で、くちびるを「ぷるぷる」とふるわせる練習を見たことがある方は多いと思います。これがリップロールです。かんたんそうに見えて、はじめはうまくできない方も少なくありません。
わたしは息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。リップロールは、多くの歌の先生がレッスンのはじめにとり入れている、なじみのある練習です。
この記事では、リップロールのやり方を、はじめての方にもわかるように、ひとつずつお話しします。歌が上手くなるための練習として、どんなよさがあると言われているのか、できないときのコツ、音をつけた練習のしかたまでまとめました。お子様といっしょにできる楽しい練習でもあるので、ぜひおうちでためしてみてください。
リップロールとは?
くちびるをふるわせながら声を出す練習
リップロールは、くちびるを軽くとじて、息をはきながら「ぷるるる」とふるわせる練習です。ボイトレの世界では、「リップトリル」とよばれることもあります。
息だけでふるわせることもあれば、「うー」と声をのせて、ふるわせながら音の高さを上げたり下げたりすることもあります。
どうして歌の練習につかわれるの?
リップロールは、多くのボイトレ教室や声楽のレッスンで、発声のはじめにとり入れられています。よく言われるよさは、次のようなものです。
- 息を、一定の強さではきつづける感じがつかみやすい
- のどや口のまわりに力が入りすぎていると、くちびるが止まるので、自分で気づきやすい
- 大きな声を出さなくても練習できる
- 顔のまわりがほぐれて、声を出す準備になる
もちろん、リップロールだけで歌が上手くなるわけではありません。ただ、「らくに声を出す感じ」を知るための入り口として、つかいやすい練習だと考えられています。
リップロールのやり方
1 姿勢をととのえる
まずは、楽な姿勢で立つか、いすにすわります。肩の力をぬいて、あごを少しだけ引きます。体がかたいときは、首や肩をゆっくり回してから始めると、やりやすくなります。
2 くちびるを軽くとじる
くちびるは、ぎゅっとむすばずに、ふんわりとじます。上と下のくちびるが、そっとふれあっているくらいがめやすです。歯は、かみしめずに少しすきまをあけておきます。
3 息を、ゆっくり長くはく
鼻から息をすって、くちびるのすきまから、ゆっくり息をはきます。くちびるが「ぷるるる」とふるえたら成功です。
はじめは、2〜3秒つづけばじゅうぶんです。なれてきたら、5秒、10秒と、少しずつのばしてみましょう。
4 声をのせてみる
息だけでできるようになったら、「うー」と軽く声をのせます。高さは、話し声くらいの、むりのない音からはじめます。声をのせると、くちびるのふるえといっしょに、顔のあたりがむずむずするように感じることがあります。
リップロールができないときのコツ
ほっぺたを指でささえる
いちばん多いのが、「くちびるがすぐ止まってしまう」というなやみです。そんなときは、両手の人さし指で、口の両はしの少し外がわ(ほっぺた)を、やさしくおさえてみてください。
ほっぺたがふくらみすぎず、くちびるがふるえやすくなります。歌の先生も、はじめての方にこのやり方をすすめることが多いです。
くちびるをしめらせる
くちびるがかわいていると、ふるえにくくなります。水を少しのんだり、くちびるを軽くなめたりしてから、もう一度ためしてみましょう。リップクリームをぬりすぎると、すべってかえってやりにくいこともあります。
息を強くしすぎない
うまくいかないと、つい強く息をはいてしまいがちです。でも、強すぎる息は、くちびるをバラバラにしてしまいます。ろうそくの火を、消さないようにゆらすくらいのやさしい息を、長くはくイメージでためしてみてください。
くちびるに力を入れない
くちびるを「とじよう」とがんばりすぎると、かたくなってふるえません。いったん口をぽかんと開けて、あごをぶらぶらさせてから、ふんわりとじなおすと、うまくいくことがあります。
できなくてもあせらない
リップロールは、すぐにできる方もいれば、何日かかかる方もいます。どうしてもむずかしいときは、舌を「るるる」とふるわせる「タングトリル」や、ストローをくわえて声を出す練習でも、にたような感じを味わえます。
ストローをつかった練習は、こちらの記事でくわしく書いています。ストローを使ったボイトレのやり方。のどにやさしい発声練習を、おうちではじめよう
音をつけたリップロールの練習
1つの音で、長くのばす
声をのせたリップロールに、なれてきたら、まず1つの音で、5秒ほどのばしてみましょう。とちゅうでくちびるが止まらないか、声がゆれないかを、聞いてみてください。
音の高さを、上げたり下げたりする
次は、「ぷるるる」とふるわせながら、低い音から高い音へ、サイレンのようにすべらせてみます。高いほうから低いほうへもどる練習もしてみましょう。
- 低い音 → 高い音 → 低い音と、なだらかに動かす
- 高い音でのどがしまる感じがしたら、そこで止めて、少し低いところでくり返す
- 声がひっくり返っても気にせず、なめらかにつなぐことを大切にする
かんたんなメロディーで
さらになれてきたら、「ドレミファソファミレド」のような短い音の動きを、リップロールで歌ってみます。ピアノのアプリなどで音をたしかめながら行うと、音程の練習にもなります。
歌いたい曲のメロディーで
いちばん楽しいのが、好きな歌のメロディーを、ことばをつけずにリップロールでなぞる練習です。歌詞を気にしなくてよいので、息の流れや、音のつながりに集中しやすくなります。そのあとで、同じところを歌詞で歌ってみると、声の出しやすさのちがいに気づくことがあります。
歌が上手くなるための、毎日のつづけ方
1回1〜3分でじゅうぶん
リップロールは、長い時間やる練習ではありません。歌う前に1〜3分ほど行うだけでも、声を出す準備になります。たくさんやりすぎると、くちびるやほっぺたがつかれてしまうこともあります。
練習の流れの中に入れる
おうちでの練習では、たとえばこんな流れがおすすめです。
- 首や肩を軽くほぐす
- 息だけでリップロール(30秒ほど)
- 声をのせて、1つの音でのばす
- 音を上げ下げする
- 歌いたい曲を歌う
自宅での練習メニューの組み方は、こちらの記事にもまとめています。自宅でできるボイトレメニュー。10分・30分の練習の組み方を、初心者向けにまとめました
声を出しにくい時間や場所でも
リップロールは、大きな声を出さなくてもできるので、夜や、まわりに人がいるときでもとり入れやすい練習です。お風呂の前や、家事の合間など、生活の中のすきま時間をつかってみてください。
お子様といっしょにリップロール
あそびの中でためしてみる
小さなお子様は、くちびるを「ぶるぶる」させるのが、大好きなことが多いです。「車のエンジンの音」や「お馬さんのまね」など、あそびにすると、楽しみながらとり組めます。
- お父様・お母様がやって見せて、まねっこする
- 何秒つづくか、いっしょにかぞえてみる
- サイレンのように、声を上げたり下げたりしてみる
むりにやらせない
できないことをくり返しさせると、歌の練習そのものがいやになってしまうことがあります。できなくても「おもしろい音が出たね」と声をかけ、楽しい時間でおわるようにしたいですね。
気をつけたいこと
のどに力が入っていないか
リップロールをしているときに、のどがつまる感じや、首に力が入る感じがあれば、声を小さくするか、息だけにもどしてみましょう。音を上げすぎていることも多いので、楽に出せる高さでくり返すことが大切です。
つばがとぶので、まわりに注意
くちびるをふるわせると、つばがとぶことがあります。人の近くや、楽譜・スマホの前でするときは、少し向きをかえるなど、気をくばりましょう。
痛みやかすれがあるときは休む
くちびるやのどに痛みがあるとき、声のかすれが続くときは、むりに練習しないでください。かすれや痛みが何日も続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
まとめ
- リップロールは、くちびるを軽くとじて、息で「ぷるるる」とふるわせる練習
- 息を一定にはく感じや、力のぬけた声の出し方をつかむ入り口になると言われている
- できないときは、ほっぺたを指でささえる、くちびるをしめらせる、息を弱めにする
- なれたら声をのせて、音を上げ下げしたり、好きな曲のメロディーをなぞったりする
- 1回1〜3分を、歌う前の準備としてとり入れる
- のどに力が入る、痛みやかすれが続くときは休み、必要ならお医者さんに相談する
リップロールは、道具もいらず、すぐにためせる練習です。毎日少しずつつづけて、歌うときの体の感じに目をむけてみてください。練習してきた歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、これからの練習のヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ