歌の共鳴とは?体のどこがひびくの?ひびきを感じる練習
「先生に、もっと声をひびかせてと言われるけれど、ひびくってどういうこと?」 「共鳴ということばを聞くけれど、体のどこがひびいているの?」
歌を習っていると、「ひびき」「共鳴」ということばを、よく耳にします。でも、目に見えないものなので、どう感じたらいいのか、わかりにくいですよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。「ひびき」は、歌声の印象を大きく左右するものだと感じています。
この記事では、歌の共鳴とは何か、体のどこがひびいているのか、そしてひびきを感じるためのやさしい練習をまとめます。大きな声を出す方法ではなく、ひびきの「感じ方」にしぼってお話しします。
歌の共鳴とは?
声は「音のもと」と「ひびく場所」でできている
声は、のどにある声帯がふるえることで生まれます。でも、声帯でつくられたばかりの音は、じつはとても小さく、うすい音だといわれています。
その音が、のどや口、鼻のおくなどの空間を通るあいだに、ひびきがくわわって、わたしたちが耳にする「声」になります。この、音が空間の中でひびいて、ゆたかになることを「共鳴」といいます。
ギターやバイオリンにたとえると
楽器でたとえると、わかりやすいかもしれません。
ギターは、弦だけをはじいても、小さな音しか出ません。弦の下にある木の箱(胴)の中で音がひびくことで、大きく、あたたかい音になります。
歌も同じです。
- 弦にあたるのが、声帯
- 木の箱にあたるのが、のど・口・鼻のおくなどの空間
人の体の場合、この「箱」の形を、口のあけ方や舌の位置などで、自分でかえることができます。だから、同じ人でも、歌い方によってひびき方がかわるのです。
体のどこがひびくの?
のどのおく(咽頭)
声帯のすぐ上にある、のどのおくの空間です。ここが広く、ゆったりしていると、声がまるく、深く聞こえやすくなります。あくびをする前のような、のどのおくが広がる感じを思いうかべてみてください。
口の中(口腔)
口の中も、大切なひびきの場所です。口のあけ方、舌の位置、くちびるの形によって、声の明るさや聞こえ方がかわります。
舌に力が入っていると、口の中がせまくなり、ひびきが出にくくなることがあります。舌の力のぬき方は、こちらの記事にまとめています。歌うときの舌の位置。舌の力を抜いて、声をひびかせるコツ
鼻のおくや、顔のまわり
鼻のおくや、ほおのうら、目の下あたりにも、ひびきを感じる人が多くいます。歌の先生が「顔の前に声をあつめて」「マスクのあたりにひびかせて」と言うことがあるのは、このあたりのひびきのことです。
胸や頭に感じるひびき
低い声で歌うと胸に、高い声で歌うと頭のほうに、ふるえを感じることがあります。これは、声のふるえが骨などを伝わって感じられるもので、「ひびきの感じ」として、歌のレッスンでよくつかわれます。
感じ方は人によって違う
どこにひびきを感じるかは、人によって少しずつ違います。また、同じ人でも、音の高さや母音によってかわります。
「先生は鼻のおくと言うけれど、わたしはおでこに感じる」ということもあります。大切なのは、場所の名前より、自分が「いまひびいている」と感じられるかどうかです。
ひびきのある声とは、どんな声?
ひびきのある声は、次のように聞こえることが多いです。
- 小さめの声でも、遠くまでとどく感じがする
- まるく、やわらかい
- ことばがはっきり聞こえる
- のどをしめつけたような、かたさがない
反対に、ひびきが少ないと、声がこもって聞こえたり、のどだけで歌っているような、かたい声になったりしやすくなります。
ひびきは、大きな声を出すことで生まれるものではありません。力をぬいて、体の中の空間をうまくつかうことで生まれるものです。
ひびきを感じる練習
ここからは、おうちでできる、ひびきを感じる練習をしょうかいします。どれも小さな声でできるので、夜や、大きな声を出しにくい家でもためしやすいと思います。
ハミングで顔のまわりを感じる
- 口をかるくとじて、歯と歯のあいだを少しあける
- らくな高さで「んー」と声を出す
- 鼻のおくや、くちびる、ほおのあたりが、むずむずするか感じてみる
くちびるがくすぐったい感じがしたら、ひびきが顔のまわりに集まっているサインです。ハミングのくわしいやり方は、こちらの記事も参考にしてください。ハミングのボイトレのやり方。口をとじた練習で、声のひびきをつかもう
「ん」から母音につなげる
ハミングでひびきを感じたら、そのまま口をあけて、「んー、まー」「んー、のー」とつなげてみましょう。ハミングのときのひびきを、口をあけてもなくさないようにするのがポイントです。
ひびきがすっと消えてしまうときは、口を大きくあけすぎていないか、舌に力が入っていないかを見てみてください。
手をあててふるえをさがす
- ほおに両手をあてて、「まー」と声を出す
- 胸に手をあてて、低めの音で「おー」と声を出す
- 頭のてっぺんに手をのせて、高めの音で「うー」と声を出す
場所によって、ふるえの感じがかわるのを、手のひらでたしかめてみましょう。お子様といっしょに、「どこがぶるぶるした?」とあそびながらやるのもおすすめです。
あくびの口で、のどのおくを広げる
あくびをするときのように、のどのおくを広げてから、「ほー」と声を出してみましょう。声がまるく、深くなる感じがするかもしれません。
ただし、のどを広げようとして、むりにあごをさげたり、力を入れたりしないように気をつけてください。
録音して聞きくらべる
ひびきは、歌っている自分では、なかなかわかりにくいものです。スマホで録音して、
- ハミングのあとに歌ったとき
- 何も意識しないで歌ったとき
を聞きくらべてみましょう。聞こえ方の違いに気づけると、ひびきの感じがつかみやすくなります。
よくある質問
ひびきは、練習で身につくもの?
ひびきの感じ方は、練習をつづけるうちに、少しずつつかめてくることが多いです。はじめは「どこがひびいているのか、まったくわからない」という方も少なくありません。毎日少しずつハミングをしたり、録音を聞いたりしているうちに、「あ、いまの声はひびいていた」と気づける瞬間がふえていきます。
広い会場と、せまい部屋で、ひびき方はかわる?
会場の広さやかべの材質によって、まわりのひびき方はかわります。ただ、この記事でお話ししているのは、歌う人の体の中のひびきです。体の中でしっかりひびいている声は、場所がかわっても、とどきやすい声になりやすいといわれます。
ひびきを意識すると、ことばが聞きとりにくくならない?
ひびきばかりを意識すると、口の動きが小さくなって、ことばがぼやけることがあります。ひびきと、ことばをはっきり伝えることは、どちらも大切です。練習のときは、ときどき歌詞を読むように話してから歌うと、バランスがとりやすくなります。
気をつけたいこと
鼻声にならないように
「鼻のおくにひびかせる」ことと、「鼻声になる」ことは違います。鼻をつまんで声を出してみて、声がほとんどかわらなければ、鼻に声がぬけすぎていないと考えられます。気になるときは、先生に聞いてみてください。
むりに大きな声を出さない
ひびかせようとして、大きな声を出しつづけると、のどがつかれてしまいます。ひびきの練習は、小さめの声で、らくにできる高さでするのがおすすめです。
のどに違和感があるとき
歌ったあとに、のどの痛みやかすれが何日も続くときは、練習をお休みしてください。むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
お子様と練習するときのコツ
小さなお子様には、「共鳴」ということばはむずかしいかもしれません。
- 「お顔がぶるぶるするかな?」
- 「声を遠くのお山まで、とどけてみよう」
- 「おくちの中に、大きなたまごがあるつもりで」
など、イメージしやすいことばにかえて伝えると、楽しく練習できます。上手にできたかどうかより、「いろいろな声が出せるね」と声をかけてあげてください。
まとめ
- 歌の共鳴とは、声帯でつくられた音が、体の中の空間でひびいてゆたかになること
- おもなひびきの場所は、のどのおく・口の中・鼻のおくや顔のまわり
- 胸や頭にもふるえを感じることがあり、感じ方は人それぞれ
- ひびきは大きな声ではなく、力をぬくことで生まれる
- ハミング、手をあてる、録音するなど、小さな声でできる練習がある
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
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