声の出し方を忘れた?久しぶりに歌うときの、声のとりもどし方
「前はふつうに歌えていたのに、声の出し方を忘れたみたい」 「久しぶりに歌おうとしたら、どうやって声を出していたのか、わからない」
学生のころは合唱やカラオケでよく歌っていたのに、仕事や子育てでいそがしくなり、何年も歌っていなかった。そんな方が、久しぶりに歌おうとして、とまどうことはよくあります。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌は、少しのあいだ歌わないだけでも、感覚がにぶくなることがあります。でも、それは声がなくなったわけではありません。体が、歌うときの動き方を少しだけ忘れているだけです。
この記事では、声の出し方を忘れた、わからないと感じる方のために、声が出にくくなる理由と、体・息・声を順番にとりもどしていく練習をまとめました。大人の方にも、しばらく歌から遠ざかっていたお子様にも、つかえる内容です。
声の出し方を忘れたと感じるのはなぜ?
歌うための体の動きは「つかわないと、にぶくなる」
歌うときには、息をすう、はく、声を出す、口を動かす、ひびかせる、といったたくさんの動きを、同時におこなっています。ふだんの話し声では、こうした動きを大きくつかうことはあまりありません。
そのため、しばらく歌っていないと、歌うときの体の動きがにぶくなり、「どうやって声を出していたっけ」と感じやすくなります。
話し声が小さくなっている
在宅の仕事がふえたり、人と話す時間がへったりすると、ふだんの声が小さくなりがちです。ふだんあまり声を出していないと、歌おうとしたときに、声が思うように出てこないことがあります。
「前のように歌わなきゃ」という気持ち
久しぶりに歌うとき、むかしの自分と同じように歌おうとして、体に力が入ってしまうことがあります。力が入ると、声はかえって出にくくなります。「前はできたのに」というあせりが、声の出し方をわからなくさせていることもあります。
体の変化
年れいをかさねると、声の高さや出しやすさが少しかわることがあります。これはふしぎなことではなく、多くの人が感じる変化です。前とちがう声を、いまの自分の声として受け止めることも大切です。
お子様の場合も、成長とともに声がかわる時期があります。しばらく歌っていなかったあいだに声の高さがかわり、前の歌い方では歌いにくくなっていることもあります。そんなときは、むりに前の高さで歌わせず、いまの声に合う高さをいっしょにさがしてあげてください。
声をとりもどす前に、たしかめたいこと
声の出し方を忘れたと感じるときでも、多くの場合は、練習で少しずつもどっていきます。ただし、次のようなときは、練習の前に、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
- 話し声もかすれている日が、何日もつづく
- 声を出すと、のどに痛みがある
- 急に声が出にくくなった
- のどに何かつかえているような感じがつづく
声のかすれについては、こちらの記事でもくわしくまとめています。大人の声がかすれる・出にくいとき|話し声と歌声の見直し方
声をとりもどす4つのステップ
声の出し方を思い出すときは、いきなり歌うのではなく、体、息、声、歌の順番で、少しずつもどしていくのがおすすめです。
ステップ1 体をほぐす
まずは、歌うための体をととのえます。肩や首がかたいと、声も出にくくなります。
- 肩を上げて、すとんと下ろす(5回)
- 首をゆっくり左右にたおす
- 両手を上にのばして、体の横をのばす
- 口を大きくあけたり、とじたりして、顔をほぐす
歌う前の準備運動は、こちらの記事にくわしくまとめています。歌う前の準備運動。体と顔をほぐす、やさしいストレッチ
ステップ2 息を思い出す
つぎに、息のつかい方を思い出します。
- 鼻からゆっくり息をすう
- 「すー」と、歯のすきまから、細く長く息をはく
- はき終わったら、力をぬいて、自然に息が入ってくるのを感じる
これを3回から5回くり返します。肩が上がらないように、おなかのまわりがゆっくりふくらむ感じを意識してみてください。
ステップ3 小さな声から出してみる
体と息がととのったら、いよいよ声を出します。はじめは、小さな声からです。
- 口をとじて「んー」とハミングする
- くちびるをふるわせて「ぷるるる」と声を出す
- 話し声くらいの高さで「あー」と軽く出す
大きな声や高い声を、いきなり出そうとしないことが大切です。のどに力を入れず、らくに出せる高さからはじめましょう。
ステップ4 かんたんな歌を歌う
声がなじんできたら、よく知っているかんたんな歌を、小さめの声で歌ってみましょう。童謡や、むかしよく歌っていた曲など、音域のせまい曲がおすすめです。
はじめから、むかし得意だった高い曲に挑戦するより、らくに歌える曲で「歌える感覚」を思い出すほうが、声はもどりやすいと思います。
声の出し方がわからないときの、ちょっとしたコツ
話し声から歌声につなげる
歌の声の出し方がわからないときは、ふだんの話し声から入るとわかりやすくなります。歌詞を、話すようにゆっくり読んでみてください。そのあと、同じ高さのまま、少しずつ音をのばしていくと、話し声から歌声へ、自然につながっていきます。
声を出す場所をイメージする
「声を前に飛ばす」「顔の前のほうでひびかせる」など、声を出す場所をイメージすると、出し方がつかみやすくなる人もいます。わかりにくいときは、むりにイメージしなくてもだいじょうぶです。
録音してたしかめる
自分では声が出ていないと感じていても、録音して聞いてみると、思ったより声が出ていることもあります。今日の声をのこしておくと、数日あとに聞きくらべて、もどってきていることに気づきやすくなります。
1週間で声をとりもどす練習のすすめ方
久しぶりに歌うときは、1回でもとにもどそうとせず、少しずつ体をならしていきましょう。
- 1〜2日目 体をほぐす、息の練習、ハミングだけ(5分)
- 3〜4日目 くちびるのふるえ、軽い「あー」をくわえる(10分)
- 5〜6日目 かんたんな歌を1曲、小さめの声で歌う(10分)
- 7日目 好きな曲を1曲、気持ちよく歌ってみる
これはあくまで目安です。のどがつかれたと感じた日は、練習を休んで、声を休めてください。
練習する時間帯のくふう
朝おきてすぐは、体も声もまだねむっていることが多いです。久しぶりに歌うときは、体がよく動くようになった昼から夕方くらいに練習すると、声が出しやすいと感じる方が多いと思います。朝に練習したいときは、まず体をほぐし、話し声で少し声をつかってから、歌の練習に入ると安心です。
ふだんの生活でも、声をつかう
歌の練習の時間だけでなく、ふだんの生活でも、声を少しずつつかっていくと、声の出し方を思い出しやすくなります。
- 家族に、いつもより少しはっきりした声で話しかける
- 本や新聞を、声に出して読んでみる
- 家事をしながら、小さな声で鼻歌を歌う
こうした小さなことのつみかさねで、声を出すことに体がなれていきます。
むりをしないための注意
- 長い時間、大きな声で歌いつづけない
- のどがかわいたら、こまめに水を飲む
- 練習のあとに声がかれたら、その日は話す時間もへらす
- 痛みやかすれが何日もつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
- 「前の声」とくらべすぎない
声は、とりもどそうとあせるより、毎日少しずつつかってあげるほうが、もどりやすいものです。
ひとりでとりもどすのがむずかしいときは
自分ひとりでは、声の出し方がなかなかわからない、ということもあると思います。そんなときは、歌の教室で、先生に今の声を聞いてもらうのも1つの方法です。体験レッスンでは、いまの声に合わせて、むりのない練習をいっしょに考えてくれることが多いです。
近くの教室や、オンラインで受けられる教室をさがすときは、こちらのページをつかってみてください。歌の教室さがし
まとめ
- 声の出し方を忘れたと感じるのは、歌うための体の動きがにぶくなっているから
- 話し声が小さくなっていることや、「前のように歌わなきゃ」というあせりも原因になる
- 体をほぐす、息を思い出す、小さな声から出す、かんたんな歌を歌う、の順番でとりもどす
- 話し声から歌声につなげると、出し方がわかりやすくなる
- 1週間くらいかけて、少しずつ体をならしていく
- 痛みやかすれがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
声がもどってきて、また歌うことが楽しくなってきたら、だれかに歌を聞いてもらう場をつくってみるのもおすすめです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、久しぶりの歌を、新しい目標につなげるきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ