子供が歌うと怒鳴るような大声に。やさしい声に変えるコツと、のどの守り方
「うちの子、歌うといつも怒鳴るような声になってしまう」 「大声で歌うのはいいけれど、のどが心配」
歌が大好きなお子様ほど、気持ちが入って、つい大きな声になってしまうことがあります。元気なのはうれしいけれど、まわりの人の目や、のどへの負担が気になる。そんなお父様・お母様も多いと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、子供が歌うと怒鳴るような声になるときに、なぜそうなるのか、どうすればやさしい声に変えていけるのかをまとめます。叱ってやめさせるのではなく、お子様が「この声も気持ちいい」と感じられるような、おうちでの工夫を中心にお話しします。
声が小さいお子様のなやみについては、別の記事にまとめています。今回は、その反対の「大声すぎる」お子様のお話です。声が小さい子が、のびのび歌えるようになるには。お父様・お母様ができること
子供が大声で歌う、怒鳴るように歌うのはなぜ?
「大きい声=上手」だと思っている
幼稚園や保育園、小学校では、「大きな声で歌いましょう」と言われることがよくあります。そのため、お子様の中には「大きい声で歌うほど、いい歌」と思っている子もいます。がんばって歌おうとするほど、声が大きくなり、怒鳴るような声になってしまうのです。
自分の声がよく聞こえていない
みんなで歌うときや、音楽を大きな音で流しているとき、自分の声が聞こえにくくなります。すると、自分の声をたしかめようとして、さらに大きな声を出してしまうことがあります。
気持ちが高まっている
楽しい、うれしい、わくわくする。そんな気持ちがそのまま声に出るのは、子供らしいすてきなところです。ただ、気持ちが高まると体にも力が入り、のどをしめつけるような声になりやすくなります。
声の出し方をまだ知らない
大きな声と、ひびく声はちがいます。でも、小さなお子様は、そのちがいをまだ知りません。のどに力を入れて、押し出すように声を出すしか方法を知らないこともあります。
怒鳴るような声を続けると、どうなる?
元気に歌うことは、わるいことではありません。ただ、怒鳴るような声で長い時間歌い続けると、のどがつかれやすくなります。
- 歌ったあとに、声がかすれる
- 話すときの声まで、がらがらになる
- 高い音が出にくくなる
- 音程が合いにくくなる
怒鳴るような声は、どうしても音程がずれやすくなります。のどに力が入ると、声の高さを調節しにくくなるからです。
声のかすれが何日も続く、のどを痛がる、声が出にくいなど、気になることがあるときは、歌の練習をお休みして、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
子供ののどを守るための毎日のケアについては、こちらの記事にくわしくまとめています。子どもののどを守るためにできること。歌をがんばる子の毎日のケア
まずは、お父様・お母様の声かけから
「うるさい」「大きすぎる」と叱らない
つい「うるさいよ」「そんなに大きな声で歌わないで」と言いたくなるかもしれません。でも、叱られると、お子様は「歌うこと」そのものがいやになってしまうことがあります。
大声で歌っているのは、それだけ歌が好きだという気持ちのあらわれです。まずは、その気持ちを受けとめてあげてください。
「大きい」ではなく「やさしい」をほめる
声を小さくさせるより、「やさしい声」を見つけてほめるほうが、お子様には伝わりやすいです。
- 「今のところ、やさしい声できれいだったね」
- 「小さな声でも、ちゃんと聞こえたよ」
- 「その声、ふわっとしていてすてき」
できたときにすぐ伝えると、お子様は「こういう声もいいんだ」と気づいていきます。
たとえを使って伝える
小さなお子様には、「声をやさしく」と言っても、ぴんとこないことがあります。そんなときは、たとえを使ってみましょう。
- 「赤ちゃんがねているから、起こさないように歌ってみよう」
- 「ちょうちょに聞かせるように歌ってみよう」
- 「遠くの人に呼びかける声じゃなくて、となりの人にお話しする声で歌ってみよう」
イメージがわくと、お子様は自然に声の出し方を変えようとします。
やさしい声に変える、おうちでの練習
どの練習も、あそびの気持ちで、1回5分くらいでじゅうぶんです。
声の大きさあそび
声の大きさを「ねずみさんの声」「ねこさんの声」「ぞうさんの声」のように、3つくらいに分けてみます。お父様・お母様が「ねずみさん」と言ったら小さな声、「ぞうさん」と言ったら大きな声で歌います。
大きな声だけでなく、小さな声やまん中の声も出せると、お子様は声の大きさを自分で選べるようになります。ぞうさんの声も、怒鳴る声ではなく「ひびく大きな声」になるよう、のどに力を入れすぎないことを伝えてあげてください。
ハミングで歌う
口をとじて「んー」と、知っている歌のメロディをハミングしてみましょう。ハミングは、怒鳴ることができない声の出し方です。鼻や顔のあたりがむずむずするような感じがあれば、のどに力が入っていないしるしです。
ハミングのあとに、同じ気持ちで「まー」「むー」と声を出し、そのまま歌につなげてみます。
ささやき声から始める
はじめは、ささやくような小さな声で歌ってみます。つぎに、少しだけ声を足して、ふつうの話し声くらいにします。このように、小さな声から少しずつ大きくしていくと、のどに力を入れずに声を出す感じがつかみやすくなります。
ささやき声を長く続けると、かえってのどがつかれることもあるので、短い時間にしてください。
体の力をぬく
肩が上がっている、首に力が入っている、顔がこわばっている。怒鳴るような声になるお子様は、体にも力が入っていることが多いです。
- 肩をぎゅっと上げて、すとんと下ろす
- 首をゆっくり回す
- あくびをするように、口を大きくあける
- 手をぶらぶらとふる
歌う前に、こうした体ほぐしを入れてみてください。おうちでできる発声練習は、こちらの記事でも紹介しています。おうちでできる子どもの発声練習。5分でできる遊びのような練習法
自分の声を録音して聞く
小学生くらいのお子様なら、スマホで自分の歌を録音して聞いてみるのもおすすめです。「大きな声で歌ったとき」と「やさしい声で歌ったとき」を聞きくらべると、どちらが聞きやすいか、自分で気づけることがあります。
お父様・お母様は、「どっちが好き?」と聞いてみるだけでじゅうぶんです。答えをおしつけないことが大切です。
歌う場所や環境も見直してみる
音楽の音量を下げる
音楽をかけながら歌うときは、音量を少し下げてみてください。伴奏の音が大きいと、それに負けないように、お子様の声も大きくなりがちです。伴奏が小さくなると、自分の声がよく聞こえるので、大声を出さなくても歌いやすくなります。
部屋のひびきを利用する
お風呂場など、声がよくひびく場所では、小さな声でもよく聞こえます。「お風呂だと、小さな声でもきれいにひびくね」と声をかけると、やさしい声のよさに気づくきっかけになります。
家族もやさしい声で歌う
お子様は、まわりの大人の声をよく聞いてまねします。お父様・お母様がやさしい声で歌っていると、お子様も自然と声の出し方が変わっていくことがあります。上手に歌えなくても、だいじょうぶです。
学校や園でのことも考えておく
おうちでやさしい声になってきても、学校や園では「大きな声で」と言われることがあると思います。それはそれで、まちがいではありません。
お子様には、「大きな声で歌う場所もあるし、やさしい声で歌う場所もあるよ。どっちも出せるとかっこいいね」と伝えてみてください。どちらかひとつではなく、場面に合わせて声を選べることを目指すと、お子様もなっとくしやすいと思います。
先生にお願いしたいことがあるときは、「のどが疲れやすいようなので、気にかけていただけるとうれしいです」くらいの、やわらかい伝え方がよいと思います。
歌の先生にみてもらうのもひとつ
おうちでの工夫だけでは変わりにくいときや、お子様がもっと歌を上手になりたいと思っているときは、歌の教室で先生にみてもらうのもよい方法です。
先生は、体の使い方や息のすい方など、声の土台からていねいに教えてくれることが多いです。体験レッスンでは、大きな声をむりに出させないか、お子様のようすに合わせてくれるかを見ておくと安心です。
まとめ
- 子供が怒鳴るように大声で歌うのは、「大きい声=上手」と思っていたり、自分の声が聞こえていなかったりするから
- 怒鳴るような声を続けると、のどがつかれやすく、音程も合いにくくなる
- 叱るより、やさしい声が出たときにほめる
- 声の大きさあそび、ハミング、ささやき声から始める練習がおすすめ
- 伴奏の音量を下げる、家族もやさしい声で歌うなど、環境も見直す
- 声のかすれやのどの痛みが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
やさしい声で歌えるようになると、歌のことばや気持ちが、聞いている人にもっと伝わりやすくなります。おうちで練習した歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリをのぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、お子様の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ