歌声がこもる原因と直し方。録音すると声が聞きとりにくいときの見直しポイント
「自分の歌声が、なんだかこもって聞こえる」 「録音すると、声がこもって、歌詞が聞きとりにくい」
歌の声がこもるなやみは、歌を習いはじめた方や、動画で歌をとるようになった方から、よく聞かれます。せっかくていねいに歌っているのに、声が前に出てこないと、もったいなく感じてしまいますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌声がこもって聞こえるときは、歌い方に原因がある場合と、録音のしかたに原因がある場合があります。どちらなのかを分けて考えると、直し方が見えやすくなります。
この記事では、歌声がこもる原因と、その直し方の練習、そして録音すると声がこもるときの工夫を、順番にまとめました。
歌声がこもるとは、どんな状態?
自分に聞こえる声と、まわりに聞こえる声はちがう
まず知っておきたいのは、自分で聞いている声と、まわりの人に聞こえている声はちがう、ということです。自分の声は、体の中をつたわって耳にとどく音もまじっているので、録音で聞くと「思っていた声とちがう」と感じることがよくあります。
録音した自分の声への感じ方については、こちらの記事でくわしくお話ししています。録音した自分の声がへんに聞こえるのはなぜ?自分の声とのつきあい方
そのうえで、録音を聞いて「やっぱりこもっている」と感じるときは、この記事の内容をためしてみてください。
こもる声のとくちょう
- 声が口の中にとどまっているように聞こえる
- ことばの輪郭がぼやけて、歌詞が聞きとりにくい
- 明るさがなく、くぐもった感じがする
- 声が遠くまでとどかない感じがする
鼻にかかった「鼻声」とにていますが、こもる声は、口の中やのどの奥で音がとじこめられているような聞こえ方をすることが多いです。
歌声がこもる原因 体と歌い方
口の開き方が小さい
口をあまり開けずに歌うと、声が口の中でとどまってしまいます。とくに、歌詞をはやく言おうとすると、口の動きが小さくなりがちです。
反対に、口の奥を広げようとしすぎて、たてに大きく開けすぎると、声が暗くなり、こもって聞こえることもあります。ちょうどよい開き方を見つけることが大切です。
舌がうしろにさがっている
舌が口の奥のほうへひっこんでいたり、舌の奥に力が入ってもり上がっていたりすると、声の通り道がせまくなります。その結果、声がこもりやすくなります。
下を向いて歌っている
楽譜や歌詞カードを見ながら歌うと、どうしても顔が下を向きます。あごが引けすぎると、のどのまわりがせまくなり、声が前に出にくくなります。
息が少なく、声がよわい
息の量が少なく、ささやくような声で歌うと、声に芯がなくなり、ぼんやり聞こえることがあります。やさしく歌いたい曲でも、声をささえる息は必要です。
ことばの最初の音がよわい
「か」「た」「さ」などのことばの最初の音を、子音(しいん)と言います。この子音がよわいと、歌詞の輪郭がぼやけて、全体がこもって聞こえます。
録音すると声がこもる原因 道具と場所
歌い方を見直してもこもって聞こえるときは、録音のしかたも見てみましょう。
マイクとの距離
スマホやマイクに近づきすぎると、低い音が強く入って、声がこもって聞こえることがあります。反対に、はなれすぎると、部屋のひびきが多く入り、遠くでぼやけたような声になります。
スマホのマイクをふさいでいる
スマホのマイクは、本体の下のほうや横についていることが多いです。手で持ったときに指でふさいでいたり、ケースがかぶさっていたりすると、音がこもってしまいます。マイクの場所は機種によってちがうので、一度たしかめておきましょう。
部屋のひびき
まわりが布ばかりの部屋や、せまいところで録音すると、声のひびきがすわれて、こもった音になりやすいです。反対に、かべがかたく、物の少ない部屋では、声がわんわんとひびきすぎて、聞きとりにくくなることもあります。
伴奏とのバランス
伴奏の音が大きすぎると、歌声がうもれて、こもって聞こえます。伴奏を流すスピーカーの位置や音の大きさも、録音の前にたしかめておきましょう。
録音の道具については、こちらの記事もあわせて読んでみてください。家で歌を録音・録画する道具のえらび方。スマホ・マイク・アプリ、何をそろえればいい?
こもる声を直す練習
声を手のひらに当てる
- 片手を、顔の前、30センチくらいはなしたところに出す
- その手のひらに、声を当てるつもりで「アー」と声を出す
- 手を少しずつ遠くにして、声も遠くへとどけるイメージで出す
声を口の中から外へ出す感じが、つかみやすくなる練習です。
ほおを少し上げて歌う
ほおの筋肉を少しもち上げて、ほほえむような顔で歌ってみましょう。口の中の上のほうに空間ができて、声が明るく聞こえやすくなります。
鏡の前で、ふつうの顔のときと、ほおを上げたときで、声がどうかわるか、聞きくらべてみてください。
舌の先を前におく
舌の先を、下の前歯のうらに軽くつけて歌います。舌がうしろにさがりにくくなり、声の通り道が広くなります。
子音をはっきり言う練習
- 「パ・タ・カ」「パ・タ・カ」と、はっきり、くりかえし言う
- 歌詞を、メロディをつけずに、ゆっくり読む
- ことばの最初の音を、少しだけ強めに言って歌ってみる
ことばの最初の音がはっきりすると、声全体がくっきり聞こえやすくなります。ただし、強くしすぎると、かたい歌い方になるので、「少しだけ」をめやすにしてください。
ハミングから母音へ
- 口をとじて「ンー」とハミングする
- くちびるのあたりが、ムズムズとふるえる感じをたしかめる
- その感じをのこしたまま、口を開けて「マー」と歌う
顔の前のほうに声がひびく感じがわかると、声が前に出やすくなります。
顔を上げて、歌詞は目の高さに
歌詞カードや楽譜は、目の高さにおいて、顔を上げたまま歌えるようにしましょう。譜面台や、かべにはった紙をつかうのもよい方法です。
録音で声がこもらないための工夫
- スマホは、口から少しはなれた、顔の高さくらいにおく
- マイクの穴を、手やケースでふさがない
- 歌う前に、短く録音して聞いてみる
- 伴奏の音の大きさを、歌より少し小さめにする
- 大きな声で音がわれるときは、少しはなれて録音する
録音場所をかえるだけで、声の聞こえ方がずいぶんかわることもあります。家の中で、いくつかの場所をためしてみてください。
練習の前とあとを、聞きくらべてみる
こもる声は、自分の耳だけでは、かわったかどうかがわかりにくいものです。そこで、練習の前とあとに、同じ場所、同じスマホの位置で、短いフレーズを録音してみましょう。
聞きくらべるときのポイント
- 歌詞が、はじめて聞く人にもわかるくらい、はっきり聞こえるか
- 声が、口の中にとどまらず、前に出ているか
- 声の明るさが、少しかわったか
- 伴奏に、声がうもれていないか
同じ条件で録音することで、歌い方がかわったのか、録音のしかたがかわったのかを、分けて考えやすくなります。
少しの変化をよろこぶ
声のこもりは、1回の練習で、すっかりなくなるものではありません。「きのうより歌詞が聞きとりやすくなった」「さいしょのことばがはっきりした」など、小さな変化に気づけたら、それで十分です。
録音した声を、日づけといっしょにのこしておくと、何週間かあとに聞きくらべたとき、自分の声のかわり方がよくわかります。
お子様の歌声がこもるとき
小さなお子様は、口の動きがまだ小さかったり、はずかしくて下を向いて歌ったりすることがあります。お父様・お母様は、こんな声かけをしてみてください。
- 「お口をパクパク大きくしてみよう」
- 「向こうのかべまで、声をとどけてみよう」
- 「にこにこの顔で歌ってみよう」
「声がこもっているよ」と言うより、どうすればよいかを、あそびのように伝えるほうが、お子様もためしやすくなります。
自分で練習してもなかなかかわらないときは、歌の先生に見てもらうと、自分では気づきにくいくせを教えてもらえることが多いです。
まとめ
- 歌声がこもるときは、歌い方の原因と、録音の原因を分けて考える
- 体の原因は、口の開き方、舌の位置、下を向く姿勢、息のよわさ、子音のよわさなど
- 録音の原因は、マイクとの距離、マイクをふさぐこと、部屋のひびき、伴奏とのバランスなど
- 声を手のひらに当てる、ほおを上げる、子音をはっきり言う練習がおすすめ
- 録音の前に、短くためしどりをして、聞いてみる
- のどの痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談する
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