声が低いのがなやみの女の子・女性へ。低い声のよさと、歌の楽しみ方
「わたし、女の子なのに声が低くて、いやだな」 「友だちと歌うと、高いところが出なくて、自分だけ浮いている気がする」
声が低いことを、ひそかになやんでいる女の子や女性は、少なくないと思います。電話で男の人とまちがえられたり、カラオケで女性の歌手の曲が歌いにくかったりすると、自分の声を好きになれない気持ちになることもありますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、声が低い女の子・女性のなやみにしぼって、お話しします。低い声のよさ、気持ちとのつきあい方、低い声を生かした歌の楽しみ方、そしてお子様のなやみを聞いたお父様・お母様ができることをまとめました。低い声の出し方そのものの練習は、別の記事でくわしく書いています。
女性の声が低いのは、わるいことではありません。歌の世界では、低い声はとても大切にされている声です。
声が低いことがなやみになるのは、どんなとき?
「女の子らしい声」というイメージとのちがい
アニメのキャラクターや、テレビで見るアイドルの声は、明るく高い声が多いですよね。そのため、「女の子の声は高いもの」というイメージを、知らないうちにもっていることがあります。
そのイメージと自分の声がちがうと、「わたしの声はおかしいのかな」と感じてしまうことがあります。でも、声の高さは、人それぞれ生まれもったものです。背の高さや顔の形がちがうのと同じように、声にもいろいろな高さがあります。
歌うときに感じやすいなやみ
声が低い女の子や女性が、歌のときに感じやすいなやみには、たとえばこんなものがあります。
- 学校の音楽の時間に、高いところが出しにくい
- 友だちとカラオケに行くと、女性の曲のキーが合わない
- 合唱で、自分の声だけ目立つ気がする
- 「声が低いね」と言われて、はずかしくなった
- 高い声を出そうとして、のどがつかれてしまう
どれも、とても自然ななやみです。ひとりでかかえこまず、「そう感じている人はほかにもいる」と知っておくだけでも、少し気持ちが楽になるかもしれません。
女性の低い声には、こんなよさがある
聞いていて落ち着く、あたたかい声
低い声は、聞いている人に安心感をあたえることが多い声です。ゆったりした歌や、しっとりした歌では、低い声のあたたかさがよく伝わります。
話し声でも、落ち着いた低めの声は、「話を聞いてくれそう」「たよりになりそう」と感じてもらいやすいものです。
歌の世界では大切なパート
声楽や合唱には、女性の低い声の種類やパートがあります。メゾソプラノやアルトとよばれる声です。合唱では、低いパートがあることで、ハーモニーに深みや安定感が生まれます。
高い声だけでは、歌全体がうすく聞こえてしまうこともあります。低い声は、歌をささえる、なくてはならない声なのです。声の種類については、こちらの記事でもくわしく書いています。声楽の声の種類とは?ソプラノ・メゾソプラノ・アルト・テノール・バリトン・バスのちがい
大人っぽく、心にのこる声
低めの声で歌うと、大人っぽく、心にしみるような歌になることがあります。明るく高い声とはちがう、その人ならではの色が出やすいのも、低い声のよさです。
低い声とのつきあい方。気持ちを楽にするヒント
「高い声が正解」と思わなくていい
まず大切なのは、「高い声が正しくて、低い声はまちがい」という考えを、そっと手ばなすことです。声に正解はありません。自分の声には、自分の声のよさがあります。
むりに高い声を出しつづけない
声が低いことを気にして、いつもむりに高い声で話したり歌ったりしていると、のどがつかれやすくなります。かすれたり、痛くなったりすることもあります。
話すときも歌うときも、自分が楽に出せる高さを大切にしてください。のどの痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
録音した声を、やさしい耳で聞いてみる
自分の歌を録音して聞くと、思ったより低く聞こえて、がっかりすることもあるかもしれません。でも、少し時間をおいて、「知らない人の声」として聞いてみると、「落ち着いていて、きれいな声かも」と感じることもあります。
いいところを、ひとつでもいいので見つけてみてください。「ことばがはっきりしている」「やさしい感じがする」など、小さなことでかまいません。
声が変わっていく時期もある
小学校の高学年から中学生くらいの女の子は、声が少しずつ変わっていく時期でもあります。いまの声がずっと同じとはかぎりません。変わっていく声を、あせらず見守ることも大切です。
低い声を生かした歌の楽しみ方
キーを下げて歌ってみる
カラオケでは、多くの機械でキー(曲の高さ)をかえることができます。女性の曲が高すぎると感じたら、キーを少し下げてみてください。それだけで、ぐっと歌いやすくなることがあります。
キーを下げるのは、はずかしいことではありません。自分の声にいちばん合う高さで歌うほうが、気持ちも伝わりやすくなります。
男性の曲を歌ってみる
男性の歌手の曲を、そのままのキーや少し上げたキーで歌うと、ちょうどいい高さになることもあります。女性が男性の曲を歌うと、また別のよさが出ることがあります。
低い声が生きる曲をえらぶ
低い声に合いやすいのは、たとえばこんな曲です。
- ゆったりしたテンポの曲
- しっとりした、気持ちを語るような曲
- 高い音が少なく、音の上がり下がりがゆるやかな曲
- ジャズやボサノバのような、落ち着いたふんいきの曲
まずは、歌っていて「楽だな」「気持ちいいな」と感じる曲を見つけることから、はじめてみてください。
合唱では低いパートにチャレンジ
学校や地域の合唱で、パートをえらべるときは、アルトなどの低いパートに入ってみるのもおすすめです。自分の声が、ハーモニーの中でしっかりささえになっていると感じられると、低い声がほこらしく思えてくるかもしれません。
低い声を、少しずつのばす練習も
いまの声を大切にしながら、出せる音のはばを少しずつ広げていくこともできます。ただし、むりに高い声を出す練習ではなく、楽に出せる音から、ゆっくりすすめることが大切です。低い声をきれいにひびかせる出し方は、こちらの記事にまとめています。歌で低い声を出すには?男性・女性それぞれの、のどにやさしい低い声の出し方
お子様が「声が低い」となやんでいたら
まずは気持ちを聞く
お子様が「声が低いのがいや」と言ってきたら、「そんなことないよ」とすぐに打ち消すより、まず「そう感じているんだね」と気持ちを受けとめてあげてください。
なにがきっかけでそう思ったのか、ゆっくり話を聞いてみると、お子様も安心しやすくなります。
声のよさを、ことばで伝える
お父様・お母様から見た、お子様の声のよさを、ことばにして伝えてあげてください。
- 「落ち着いていて、聞きやすい声だね」
- 「歌うと、やさしい感じがするね」
- 「低いところがきれいにひびいているね」
身近な人からのあたたかいことばは、お子様が自分の声を好きになる、大きなきっかけになります。
からかわれたときは
もし、声のことで友だちにからかわれたことがあるなら、お子様はとても傷ついているかもしれません。まずはお子様の味方でいることを伝えて、つらい気持ちをいっしょに受けとめてあげてください。
先生に相談するのもひとつの方法
歌を習っているなら、教室の先生に相談してみるのもよいと思います。声の高さに合った曲えらびや、むりのない歌い方を、いっしょに考えてもらえることが多いです。これから教室をさがす方は、体験レッスンで「声が低いのがなやみです」と伝えてみてください。
大人の女性が、低い声で歌を楽しむために
大人になってからも、低い声をなやみに感じている女性は多いと思います。でも、大人になったいまだからこそ、低い声のよさを楽しめることもあります。
- しっとりした曲を、気持ちをこめて歌う
- 合唱サークルで、低いパートを担当する
- 教室で、自分の声に合う曲をいっしょにさがしてもらう
- 録音して、少しずつ変わっていく声を楽しむ
「低い声だから歌はむいていない」ということは、ありません。自分の声に合った歌い方を見つけると、歌うことがもっと楽しくなります。
まとめ
- 女性や女の子の声が低いのは、わるいことではない
- 低い声には、落ち着き、あたたかさ、大人っぽさなどのよさがある
- 合唱や声楽では、低い声のパートはとても大切
- むりに高い声を出しつづけず、楽に出せる高さを大切にする
- カラオケではキーを下げたり、低い声が生きる曲をえらんだりする
- お子様がなやんでいたら、まず気持ちを受けとめ、声のよさを伝える
- のどの痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
低い声は、あなただけの大切な声です。自分の声で歌うことを楽しめるようになったら、その歌をだれかに聞いてもらうのもすてきです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の声のよさに気づくきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ