歌で低い声を出すには?男性・女性それぞれの、のどにやさしい低い声の出し方
「歌の低いところになると、声が出なくなる」 「低い声を出そうとすると、かすれたり、聞こえなくなったりする」
歌のなやみというと、高い声の話が多いのですが、じつは低い声の出し方になやんでいる方も、たくさんいます。好きな曲の低いところがうまく歌えなかったり、合唱で低いパートになって、声が出にくく感じたりすることもあると思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。低い声は、がんばって出すものではなく、体の力をぬいたときに、らくに出てくるものです。
この記事では、歌で低い声を出す方法を、のどにやさしい練習を中心にまとめました。男女に共通する練習のあとに、男性の低い声の出し方、女性の低い声の出し方のコツも、それぞれお話しします。
歌で低い声が出ないのはなぜ?
出しやすい声の高さは、人によってちがう
声の高さは、体のつくりによって、人それぞれちがいます。もともと高めの声の方もいれば、低めの声の方もいます。
ですから、「この低い音が出ないのは、自分がへただから」と考えなくてもだいじょうぶです。まずは、自分がらくに出せる高さを知ることが、はじめの一歩です。
のどを押し下げてしまう
低い声を出そうとすると、あごをぐっと引いたり、のどぼとけを下に押し下げたりしがちです。こうすると、のどに力が入り、かえって声が出にくくなります。
声を大きく出そうとしすぎる
低い音は、高い音にくらべて、もともと聞こえにくいものです。そのため、つい大きな声で出そうとして、息を一気にたくさん出してしまうことがあります。息が多すぎると、声がかすれたり、ゆれたりしやすくなります。
体と声があたたまっていない
朝おきてすぐの声は、低くなりやすいと言われますが、歌うための低い声は、体がかたいままでは出にくいこともあります。いきなり低い音から歌いはじめず、軽く声を出してから練習するのがおすすめです。
低い声を出すときに、気をつけたいこと
低い声の練習では、つぎのことに気をつけてください。
- のどぼとけを、むりに下へ押し下げない
- あごを引きすぎない
- 太くて重い声を、むりにつくらない
- 出ない音は、出ないままでよいと考える
- のどが痛い、イガイガするときは、すぐにやめる
低い声は、むりに押し下げて出すと、のどに負担がかかりやすいです。のどの痛みやかすれが何日も続くときは、練習をお休みして、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
低い声の出し方 男女共通の練習
話し声の高さからはじめる
いきなり歌うのではなく、まずは話し声で「はい」「そうですね」と、ふだんの声を出してみましょう。そのときの声の高さが、自分にとって、らくに出せる高さです。
その高さで「アー」と声をのばし、そこから少しずつ下の音へおりていきます。
ため息で、声をおろす
- 「はぁー」と、力をぬいたため息をつく
- ため息に、軽く声をのせる
- 声をのせたまま、高いところから低いところへ、すべるようにおりていく
ため息のときは、自然にのどの力がぬけています。その感じのまま低い声を出すと、むりなく声がおりていきやすくなります。
ハミングで、下へおりる
口をとじて「ンー」とハミングしながら、ゆっくり下の音へおりていきます。ハミングは、のどに負担がかかりにくいので、低い音の練習にむいています。
低いところで、胸のあたりがかすかにふるえる感じがしたら、その感じを大切にしてください。
「オ」や「ウ」の音で練習する
低い音は、「イ」や「エ」よりも、「オ」や「ウ」のほうが出しやすいことが多いです。口の中を少し縦に開けて、「オー」と低い音をのばしてみましょう。
なれてきたら、「オ」から「ア」「エ」「イ」へと、ほかの音でもためしてみます。
小さめの声で出す
低い音は、小さめの声で出してみましょう。大きく出そうとしないほうが、のどがゆるんで、低い音までとどきやすくなります。小さな声でも、まっすぐ出せるようになったら、少しずつ声を大きくしていきます。
胸に手を当てる
低い声を出すとき、胸に手をそっと当ててみてください。声が出ているとき、胸のあたりにかすかなふるえを感じることがあります。
ふるえを感じたら、声がのどだけでなく、体にひびいているしるしです。その感じをたよりに、練習をすすめてみてください。
男性の低い声の出し方
らくに出せる低いところを広げていく
男性は、もともと低い声が出やすい方も多いのですが、「もっと深い声で歌いたい」となやむ方も少なくありません。
まずは、いま出せるいちばん低い音より、1つか2つ上の音で、らくに声をのばす練習をしましょう。そこがしっかり出るようになってから、少しずつ下へのばしていきます。いちばん低いところばかり練習すると、のどがつかれやすくなります。
太い声をつくろうとしない
低い声を出そうとして、のどの奥をつぶしたような、ごろごろした声になる方がいます。この声は、のどに力が入っているしるしです。
低い声は、あくびのはじまりのように、口の奥を軽く広げると、自然にひびきやすくなります。「太くする」より「ゆるめる」を意識してみてください。
声がわり中の中学生・高校生
声がわりの時期は、声の高さがかわったり、急に出にくい音が出てきたりします。この時期は、低い声も高い声も、むりに出そうとしないことが大切です。
合唱や学校の歌のテストでも、出にくい音は小さめに歌う、出しやすい高さで歌うなど、のどを守る工夫をしてください。声がわりについては、こちらの記事にまとめています。声がわりの時期の男の子と歌。続けていい?気をつけたいこと
女性の低い声の出し方
低いところで、声がかすれやすいとき
女性は、低い音になると、声が息っぽくなったり、かすれて聞こえなくなったりすることがあります。これは、低い音で、声をささえる力がよわくなっているときにおこりやすいです。
息をたくさん出そうとせず、話すときのように、らくに声を出すことを意識してみましょう。
話し声の低めの声をつかう
女性の低い声は、ふだんの話し声の、少し低めのところとつながっています。「ねえ」「そうね」と、おちついた声で話すように声を出し、そのまま「アー」と音をのばしてみてください。
話し声の感じをのこしたまま歌うと、低いところでも、声がしっかり聞こえやすくなります。
裏声のまま、低いところへおりない
高い声を裏声で歌っている方が、そのまま低いところまでおりていくと、声がよわく、聞こえにくくなることがあります。低いところでは、話し声に近い声(地声)にきりかえると、声が出しやすくなります。
高いところの声の出し方は、こちらの記事でくわしくお話ししています。高い声を出すコツ。のどをしめずに、らくに高い音を出す練習
低い音が多い曲を歌うとき
練習しても、どうしても出にくい低い音がある曲もあります。そんなときは、つぎのような方法もあります。
- カラオケなら、キー(曲の高さ)を少し上げてみる
- 楽譜の調をかえてもらえるか、先生に相談する
- 低いところは、声を大きくするより、ことばをはっきり言うことを大切にする
曲の高さを自分に合わせるのは、ずるいことではありません。らくに歌える高さで歌うほうが、気持ちも伝わりやすくなります。
自分の声に合った曲や高さがわからないときは、歌の先生に相談してみるのもおすすめです。歌の教室さがし
練習のめやす
- 1回の練習は、5分から10分くらい
- はじめに、ため息やハミングで、のどをゆるめる
- いちばん低い音ばかり、くりかえさない
- 録音して、声のかわり方をたしかめる
低い声は、すぐに大きくかわるものではありません。ゆっくり、少しずつ、らくに出せる音をふやしていきましょう。
ピアノのアプリなどで、その日にらくに出せたいちばん低い音をメモしておくと、少しずつのびていくようすがわかります。ただし、毎日かならず低くなるわけではありません。体の調子によって出しやすさはかわるので、出にくい日は、むりをせずに軽い練習だけにしておきましょう。
まとめ
- 出しやすい声の高さは、人によってちがう
- 低い声が出にくいのは、のどを押し下げる、声を大きくしようとしすぎる、などが原因になりやすい
- 話し声の高さ、ため息、ハミング、「オ」の音、小さめの声で、少しずつ下へおりる
- 男性は「太くする」より「ゆるめる」、女性は話し声の感じをのこして歌う
- 声がわりの時期は、むりをしない
- のどの痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
らくに出せる声で歌えるようになったら、その歌声を動画にのこしてみるのもおすすめです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるコンクールで、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があります。ジャンルは自由なので、自分の声に合った曲で参加できます。講評とデジタル賞状がとどくので、これからの練習の目安にもなります。こどもの歌声グランプリ