軽音部のボーカルになったら。初心者のはじめての練習と、バンドの音に負けない声の出し方
「軽音部に入ったら、ボーカルをやることになった」 「歌うのは好きだけど、バンドで歌うのははじめて。何から練習すればいいの?」
軽音部でボーカルになると、うれしい気持ちと、少しの不安が、いっしょにやってくると思います。カラオケで歌うのとはちがって、まわりにはドラムやギター、ベースの大きな音があります。はじめての合わせで「自分の声が、ぜんぜん聞こえない」と、あせってしまう人も少なくありません。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌は、どんなジャンルでも、体のつかい方と息のつかい方が土台になります。軽音のボーカルも同じです。
この記事では、軽音部のボーカルの練習について、初心者の方がはじめにやること、家でできる練習、バンドの音に負けない声の出し方、のどを守るコツをまとめました。お子様が軽音部に入ったお父様・お母様にも、読んでいただけたらうれしいです。
軽音のボーカル初心者が、はじめに知っておきたいこと
ボーカルも「バンドの楽器のひとつ」
ボーカルは、バンドの真ん中に立つので、目立つ役わりです。でも、ひとりで歌っているわけではありません。ドラムがリズムをきざみ、ベースが低い音でささえ、ギターやキーボードが色をつけます。その上に、歌がのっています。
だから、ボーカルの練習は「自分の声をきたえること」と「まわりの音を聞くこと」の2つが大切です。はじめから上手に歌おうとしなくてだいじょうぶです。まずは、バンドの中で歌うことに、なれていきましょう。
大きな声を出せばいい、ではない
バンドの音は大きいので、つい、さけぶように歌いたくなります。でも、のどに力を入れて大きな声を出しつづけると、すぐに声がかれてしまいます。
バンドの中で聞こえる声は、「大きい声」より「ひびく声」「ことばがはっきりした声」です。音の大きさは、マイクとスピーカーがたすけてくれます。ボーカルは、声をらくに出すことを、いちばんに考えましょう。
はじめの1か月の練習のすすめ方
1 曲をよく聞いて、歌えるようにする
まずは、バンドでやる曲を、とにかくたくさん聞きます。通学の時間や、家でのすきま時間に、くりかえし聞いてみてください。
- 歌のメロディを、口ずさめるようにする
- 歌詞を紙に書き出して、意味を考えてみる
- どこで息つぎをしているか、聞いてたしかめる
- 前奏(イントロ)や間奏の長さをおぼえる
ボーカルは、前奏のあとに歌い出すタイミングをまちがえると、バンド全体がずれてしまいます。「ドラムのこの音のあとに入る」など、自分なりの目じるしを見つけておくと安心です。
2 キー(音の高さ)が合っているか、たしかめる
原曲のキーが、自分の声に合わないことはよくあります。高すぎてさけぶようになる、低すぎて声がこもる、というときは、キーを下げたり上げたりすることを、バンドのメンバーに相談してみましょう。
キーを変えるのは、はずかしいことではありません。自分がらくに歌える高さで歌うほうが、聞いている人にも気持ちよく届きます。ギターやキーボードの人の弾き方が変わるので、早めに伝えるのがポイントです。
3 はじめての合わせは、聞くことを大切に
部活でのはじめての合わせでは、うまく歌えなくても気にしなくてだいじょうぶです。この日は、次のことを見ておきましょう。
- ドラムの音が、どのくらい大きく聞こえるか
- 自分の声が、スピーカーからどのくらい聞こえるか
- 歌い出しのタイミングが、合っているか
- 息つぎの場所が、曲の速さに合っているか
合わせのあとに、気づいたことをメモしておくと、次の練習で何をすればいいかが、はっきりします。
家でひとりでできるボーカルの練習
姿勢と息の練習(5分)
歌う前に、まず姿勢をととのえます。足を肩はばくらいに開いて立ち、ひざの力を少しぬきます。肩は上げず、首はまっすぐ。この姿勢で、ゆっくり息をはく練習をしてみましょう。
- 鼻から、ゆっくり息をすう
- 「スー」と、細く長く息をはく
- おなかのまわりが、少しずつしぼんでいくのを感じる
息を長く、一定にはけるようになると、長いフレーズも歌いやすくなります。
ハミングとリップロール(5分)
口をとじて「んー」とハミングをすると、声のひびきを感じやすくなります。くちびるをふるわせる「リップロール」も、のどに力を入れずに声を出す練習になります。大きな声を出しにくい家でも、やりやすい練習です。
曲を小さめの声で歌う(10分)
バンドの曲を、家では小さめの声で歌ってみましょう。小さな声でも、ことばがはっきり聞こえるように意識すると、口の動きがよくなります。スマホで録音して聞いてみると、ことばが聞きとりにくいところや、音程がずれているところに気づきやすくなります。
近所や家族に気をつかって、大きな声を出せないときは、むりをしなくてだいじょうぶです。大きな声の練習は、部活のスタジオや音楽室でできます。
バンドの音に負けない声の出し方
ことばの「はじめの音」をはっきりさせる
バンドの中で歌がうもれてしまうときは、ことばの子音(「か」の「k」、「た」の「t」など)が、弱くなっていることが多いです。ことばのはじめの音を、少しだけはっきり言うつもりで歌うと、声がバンドの音の中から聞こえやすくなります。
口をしっかり動かす
口をあまり開けずに歌うと、声がこもって聞こえます。鏡を見ながら、「あ・い・う・え・お」の口の形を大きめに動かして歌ってみてください。はじめは少し大げさなくらいで、ちょうどよいことが多いです。
声を前に飛ばすイメージ
声を「のどから出す」のではなく、「顔の前のほうから、遠くへ飛ばす」ようなイメージで歌うと、ひびきのある声になりやすいです。部屋のいちばん遠いかべに向かって、声を届けるつもりで歌ってみましょう。
声量の上げ方については、こちらの記事でもくわしくまとめています。歌の声量を上げる方法。大きな声より「ひびく声」を出す練習
マイクを上手につかう
軽音のボーカルは、マイクがとても大切な相棒です。マイクと口の距離が遠すぎると、声がひろわれず、バンドの音にうもれてしまいます。逆に、近づけすぎると、音がわれることもあります。
- マイクは、口から指2〜3本分くらいはなすのがめやす
- 声を大きくするところでは、少しはなす
- 小さく歌うところでは、少し近づける
- マイクの先を、口のほうにまっすぐ向ける
マイクの持ち方や、ハウリング(キーンという音)をふせぐコツは、こちらの記事にまとめています。大人のマイクの使い方。歌うときの持ち方と口との距離、ハウリングをふせぐコツ
音のバランスは、メンバーと話し合う
どんなにがんばっても、自分の声が聞こえないときは、音のバランスを見直してみましょう。ギターの音を少し下げてもらう、ボーカルの音を上げてもらう、自分の近くにスピーカー(モニター)を向けてもらう、など、できることはたくさんあります。
ボーカルだけががんばるのではなく、バンドみんなで「歌がよく聞こえる音」をつくっていくことが大切です。言いにくいときは、「自分の声が聞こえにくいので、少し相談してもいいかな」と、やさしく伝えてみてください。
のどを守るために気をつけたいこと
練習の前に、体と声をあたためる
いきなり大きな声で歌い出すと、のどに負担がかかります。練習の前には、首や肩をゆっくり回したり、ハミングをしたりして、体と声をあたためてから歌いましょう。
水をこまめにのむ
スタジオや音楽室は、空気がかわいていることがあります。練習中は、水やお茶をこまめにのんで、のどをうるおしてください。
歌いすぎない
部活の練習では、同じ曲を何回もくりかえすことがあります。ボーカルは、声をつかいっぱなしになりがちです。楽器の人だけで合わせるときは、声を休めるなど、メンバーにも協力してもらいましょう。
痛みやかすれが続くときは
歌ったあとに、のどが痛い、声がかすれる、ということが何日も続くときは、むりをして歌わないでください。耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。ライブの前でも、のどを休めることを大切にしてください。
ライブ(発表)に向けての準備
立ち位置と動きを決めておく
ライブでは、どこに立つか、どこを見て歌うかを、先に決めておくと安心です。マイクスタンドをつかうか、手で持つかも、練習のうちに決めておきましょう。
本番と同じ流れで、通し練習をする
ライブの前には、曲と曲のあいだのしゃべり(MC)もふくめて、本番と同じ流れで通して練習します。何曲も続けて歌うと、思ったより声がつかれることに気づくはずです。どこで水をのむか、どこで息をととのえるかも、決めておきましょう。
緊張しても、だいじょうぶ
本番で緊張するのは、だれにでもあることです。歌い出す前に、ゆっくり息をはいてから、ドラムやギターの音をよく聞いてみてください。まわりの音に集中すると、少し気持ちが落ちつきやすくなります。
まとめ
- 軽音のボーカルは、バンドの楽器のひとつ。自分の声と、まわりの音の両方を大切に
- 大きな声より、ひびく声・ことばがはっきりした声をめざす
- はじめは曲をよく聞き、キーが合っているかをたしかめる
- 家では、姿勢と息、ハミング、小さめの声での練習を
- マイクの距離と、音のバランスは、メンバーと相談しながら
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
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