お子様が「歌手になりたい」と言ったら。お父様・お母様ができる受け止め方と、さいしょの一歩
「ママ、わたし、歌手になりたい」 「大きくなったら、テレビで歌う人になる」
ある日とつぜん、お子様からこんなことばを聞いて、どう答えたらいいのか、まよったことはありませんか。うれしい気持ちと、「本気なのかな」「親として何をすればいいのかな」という気持ちが、まざりあうと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、子供が「歌手になりたい」と言ったときに、親ができることをまとめます。歌手になるには何が大切なのか、夢をどう受け止めればいいのか、そして、家でできるさいしょの一歩にしぼってお話しします。進路のことや、オーディションのくわしい話は、べつの記事にまとめていますので、ここでは「言われたその日から、何をするか」を中心に書いていきます。
「歌手になりたい」ということばの、うらがわ
お子様の年れいによって、意味がちがう
同じ「歌手になりたい」でも、お子様の年れいによって、こめられた気持ちはちがうことが多いです。
- 幼児のころ:歌うのが楽しい、だれかに聞いてほしい
- 小学校の低学年:好きな歌手のようになりたい、キラキラした世界へのあこがれ
- 小学校の高学年から中学生:自分の声や歌に、少し自信が出てきた。まじめに考えはじめている
小さなお子様の「歌手になりたい」は、「歌うことが大好き」という気持ちを、知っていることばで言いあらわしたものかもしれません。大きくなってからのことばには、本人なりに考えた思いが入っていることもあります。
まずは「なぜ、そう思ったの?」と聞いてみる
いきなり「むずかしいよ」「どうやってなるの?」と返すより、まずはお子様の話を聞いてみましょう。
- どんな歌手が好きなの?
- どんなところが、すてきだと思ったの?
- 歌っているとき、どんな気持ちになる?
答えがあいまいでも、だいじょうぶです。話を聞いてもらえたという気持ちが、お子様にとっては大きな安心になります。
親として、さけたい答え方
「むりだよ」「そんなに甘くない」
お父様・お母様は、お子様の将来を心配するからこそ、きびしいことを言いたくなることもあると思います。でも、夢を口にしたばかりのお子様に「むりだよ」と言うと、歌うこと自体がいやになってしまうこともあります。
歌手の世界がかんたんではないことは、お子様が大きくなるにつれて、自分で少しずつ知っていきます。さいしょから、親がその役をしなくてもよいのです。
「じゃあ、すぐに事務所に入ろう」
反対に、親のほうが先に走り出してしまうのも、気をつけたいところです。お子様がまだ「歌うのが楽しい」くらいの気持ちなのに、急にきびしいレッスンやオーディションをはじめると、楽しかった歌が、つらいものにかわってしまうことがあります。
「すごい!天才!」とだけ言う
ほめることは、とても大切です。ただ、「天才」ということばだけだと、うまくいかなかったときに、お子様が苦しくなることもあります。「今日の歌、声がのびのびしていたね」のように、見たことをそのままことばにして伝えるほうが、お子様の力になりやすいです。
おすすめの受け止め方
「すてきな夢だね」と、まず受け止める
いちばん大切なのは、お子様の夢を、まずそのまま受け止めることです。
- 「すてきな夢だね」
- 「歌っているとき、楽しそうだもんね」
- 「どんな歌手になりたいか、また教えてね」
こうしたことばで、「話してよかった」とお子様が感じられれば、それで十分です。
夢は、かわってもいい
子供の夢は、成長とともにかわっていくことがよくあります。歌手から、ミュージカル、声優、音楽の先生など、歌にかかわるべつの夢にかわることもありますし、まったくちがう夢になることもあります。
どれも、自然なことです。「歌手になりたいと言ったのに」と思わず、そのときどきの気持ちを大切にしてあげてください。歌が好きという気持ちは、どんな道にすすんでも、お子様のたからものになります。
歌手になるには、何が大切?
歌の力だけではない
歌手になるには、もちろん歌の力が大切です。でも、それだけではありません。一般的には、こんな力も大切だと言われることが多いです。
- 声の出し方や、音程・リズムのきほん
- 人前で歌うことになれていること
- 自分の気持ちを、歌で伝える力
- 練習をつづける力
- 体と声を大切にする習慣
どれも、小さなころから少しずつ育てていけるものです。特別なことをしなくても、ふだんの生活の中でのばしていけます。
「歌うことが好き」がいちばんの土台
どんな歌手も、さいしょは「歌うのが好き」というところからはじまっていることが多いと思います。親ができるいちばんのことは、その「好き」を大切に守ってあげることです。
家でできる、さいしょの一歩
好きな歌を、いっしょに聞く・歌う
まずは、お子様が好きな歌を、いっしょに聞いたり、歌ったりする時間をつくってみましょう。
- 車の中や、おふろで歌う
- 好きな歌手の歌を、いっしょに聞いてみる
- いろいろなジャンルの歌にふれてみる(童謡、ミュージカル、合唱、ポップスなど)
いろいろな歌を知ることで、お子様が「自分はこういう歌が好き」と気づくきっかけになります。
家族の前で歌う「ミニ発表会」
人前で歌うことになれるのも、大切な一歩です。いきなり大きな舞台でなくても、家族の前で1曲歌ってみるだけで、りっぱな練習になります。
- 夕ごはんのあとに、1曲だけ歌ってもらう
- おじいちゃん・おばあちゃんに、歌を聞いてもらう
- 歌いおわったら、はくしゅをする
「聞いてもらえてうれしい」という気持ちが、つぎの歌へのやる気になります。
歌っている姿を、スマホでとっておく
スマホでお子様の歌をとっておくのもおすすめです。あとから見かえすと、お子様自身が「こんなふうに歌っているんだ」と気づくことができます。数か月たってから見くらべると、成長も感じやすくなります。
ただし、とった動画をインターネットにのせるときは、お子様の名前や顔、通っている学校がわかるものなど、気をつけたいことがたくさんあります。家族で楽しむだけにするか、よく考えてから決めましょう。
のどを大切にする習慣をつける
歌手になりたいと思っているお子様には、小さなころから、のどを大切にする習慣をつけてあげたいですね。
- 大声でさけびつづけない
- 水をこまめにのむ
- よくねむる
- のどが痛いときは、歌を休む
のどの痛みや声のかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
歌を習うことを考えたら
習い事は、本人の気持ちが育ってから
お子様が「もっと上手になりたい」「ちゃんと習ってみたい」と言いはじめたら、歌の教室を考えてみるタイミングです。親が先に決めるより、本人の「やってみたい」を待つほうが、長くつづけやすいことが多いです。
どんな習い事があるか
歌の習い事には、いろいろな種類があります。
- ボーカル教室(ポップスなど)
- 声楽教室(クラシックの歌)
- 合唱団
- キッズミュージカルのスクール
どれがよいかは、お子様が好きな歌や、性格によってちがいます。体験レッスンに行ってみて、お子様の顔が楽しそうかどうかを見てあげてください。教室のえらび方は、こちらの記事でもまとめています。子どもの声楽教室のえらび方。先生えらびで後悔しないための7つのポイント
費用や時間は、むりのないはんいで
レッスン代や通う回数は、教室によってちがいます。家族の生活にむりのないはんいで考えることも、長くつづけるためには大切です。お子様には「つづけられる形で、いっしょにがんばろうね」と伝えておくと、安心できると思います。
「見てもらう」経験をふやす
コンクールや発表会は、目標になる
家族以外の人に歌を聞いてもらう経験は、お子様にとって大きな学びになります。教室の発表会や、子供が出られるコンクールは、「この日までにがんばろう」という目標にもなります。
結果が思うように出ないこともあります。そんなときは、順位よりも「さいごまで歌えたね」「前よりのびのび歌えていたね」と、がんばったところを伝えてあげてください。
進路のことは、あせらなくていい
中学・高校、その先の進路のことは、お子様が大きくなってから、いっしょに考えていけば大丈夫です。歌が好きな子の進路については、こちらの記事にまとめています。歌が好きな子の進路|中学・高校の部活、音楽科、音大、それ以外の道
まとめ
- 「歌手になりたい」ということばは、年れいによって意味がちがう
- まずは「すてきな夢だね」と受け止めて、お子様の話を聞く
- 「むりだよ」も「すぐに事務所に」も、さいしょはさけたい
- 歌手になるには、歌の力だけでなく、人前になれることや、つづける力も大切
- 家で歌う、家族の前で歌う、動画にとるなど、身近なことからはじめる
- のどを大切にする習慣を、小さなころからつける
- 習い事は、本人の「やってみたい」が育ってから
お子様の「歌手になりたい」は、歌が大好きという気持ちのあらわれです。その気持ちを大切にしながら、家族以外の人に聞いてもらう場をつくってみるのもよいと思います。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由なので、お子様の好きな歌で出られます。講評とデジタル賞状がとどくので、お子様が自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ