重唱とは?二重唱・三重唱の楽しみ方と、声を合わせるコツ
「声楽の先生から、こんど二重唱をやってみましょうと言われた」 「重唱って、合唱と何がちがうのだろう」
声楽を習っていると、ひとりで歌うだけでなく、だれかといっしょに歌う機会がめぐってくることがあります。それが「重唱」です。ことばは聞いたことがあっても、くわしくはわからないという方も多いと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、重唱とはどんなものか、二重唱や三重唱の楽しみ方、そして声を合わせるためのコツを、はじめての方にもわかるようにまとめます。ポップスのデュエットについては、こちらの記事で書いていますので、ここでは声楽の重唱にしぼってお話しします。デュエット・二人で歌うときのコツ。親子・夫婦・友だちと楽しく声を合わせるには
重唱とは?
ひとつのパートを、ひとりで歌う
重唱とは、いくつかのパートに分かれた歌を、それぞれのパートをひとりずつで歌うことです。
- 二重唱:ふたりで、2つのパートを歌う
- 三重唱:3人で、3つのパートを歌う
- 四重唱:4人で、4つのパートを歌う
声楽では、それ以上の人数の重唱もあります。
合唱とのちがい
合唱も、いくつかのパートに分かれて歌います。ちがうのは、1つのパートを歌う人数です。
- 合唱:1つのパートを、何人かで歌う
- 重唱:1つのパートを、ひとりで歌う
合唱では、まわりの人の声にささえられながら歌えます。重唱では、自分のパートは自分ひとりです。そのぶん、ひとりひとりの声がはっきり聞こえ、声と声が会話をしているような楽しさがあります。
声楽の重唱には、どんな曲がある?
オペラの重唱
オペラには、登場人物どうしが、いっしょに歌う場面がたくさんあります。たとえば、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」や「魔笛」には、二重唱や三重唱など、いろいろな重唱の場面があります。
オペラの重唱では、ちがう気持ちをもった人物が、同じ時間に、それぞれの思いを歌うこともあります。ひとりのアリアとはちがう、にぎやかさやドラマを感じられるのが魅力です。
オペラのひとりの歌については、こちらの記事もあわせて読んでみてください。アリアとは?オペラの歌の楽しみ方と、歌ってみたいときのえらび方
歌曲の重唱
ピアノ伴奏で歌う「歌曲」にも、重唱のために書かれた曲があります。たとえば、メンデルスゾーンは、ふたりで歌う歌曲をのこしています。オペラにくらべると、しずかで、声のとけ合いを味わう曲が多いと感じる方もいるようです。
日本の歌の重唱
日本の歌曲や、唱歌・童謡を、二重唱や三重唱にした楽譜もあります。なじみのあるメロディーなので、はじめての重唱にえらばれることもあります。
二重唱の楽しみ方
いちばん身近な重唱
二重唱は、重唱の中でも、いちばんはじめやすい形です。先生と生徒さん、親子、きょうだい、教室の仲間など、ふたりいればできます。
二重唱の形いろいろ
二重唱には、いろいろな声の組み合わせがあります。
- 高い声どうし(ソプラノとソプラノなど)
- 高い声と低い声(ソプラノとアルトなど)
- 女声と男声(ソプラノとテノールなど)
同じくらいの高さの声どうしだと、声がとけ合いやすく、高さのちがう声どうしだと、それぞれの声の色がよく聞こえます。
二重唱の歌い方のきほん
- まず、自分のパートをひとりで歌えるようにする
- 相手のパートのメロディーも、口ずさめるくらいに知っておく
- 同じリズムで歌うところと、別々に動くところを楽譜でたしかめる
- 声が重なるところと、かけあいになるところを、印をつけて分ける
かけあいの部分では、相手が歌い終わる前から、気持ちの準備をしておくと、つながりがなめらかになります。
三重唱・四重唱の楽しみ方
三重唱
3つの声がそろうと、和音(ハーモニー)がゆたかに聞こえるようになります。まん中のパートは、上と下の声にはさまれるので、音をとるのが少しむずかしいと感じることもあります。それぞれの役わりを知っておくと、練習しやすくなります。
- 上のパート:メロディーを歌うことが多い
- まん中のパート:和音をうめて、声をつなぐ
- 下のパート:全体をささえる
四重唱
四重唱では、ソプラノ・アルト・テノール・バスのように、高い声から低い声までがそろうことが多いです。ひとりひとりの声が、ひとつの楽器のようにかさなり合います。人数がふえるほど、まわりの声をよく聞く力が大切になります。
声を合わせるコツ
1 息をすうタイミングをそろえる
声を合わせるとき、いちばん大切なのが、歌いはじめの息です。歌い出す前に、相手と目を合わせたり、同じタイミングで息をすったりすると、声の出だしがそろいやすくなります。
2 母音の形をそろえる
同じことばを同じタイミングで歌うとき、「あ」の口の形が人によってちがうと、声がばらばらに聞こえることがあります。「明るめのあ」「深めのあ」など、どんな音にするかを話し合って、そろえてみましょう。
3 声の大きさのバランスを考える
重唱では、いつも全員が同じ大きさで歌うわけではありません。
- メロディーをもっている人は、少し前に出す
- ささえる役の人は、相手の声を聞きながら少しひかえる
- 声が重なるところでは、おたがいの声がまざるくらいにする
どちらかの声だけが大きくなりすぎないように、録音して聞いてみるのがおすすめです。
4 音の高さを、相手と合わせる
ふたりで同じ音や、きれいにひびく音を歌うときは、相手の声をよく聞いて、音の高さを合わせます。ハモリの練習のしかたは、こちらの記事でもくわしくまとめています。ハモリの練習。ハモれるようになるコツと、家でできる練習
5 ことばの終わりをそろえる
ことばの終わりの子音や、声をのばして切るタイミングがずれると、まとまりのない印象になります。「ここで切る」「ここまでのばす」を、楽譜に書きこんでおくとよいでしょう。
練習のすすめ方
ひとりで練習するとき
- 自分のパートを、ピアノで音をとりながら歌う
- 相手のパートを鳴らしながら、自分のパートを歌う
- 相手のパートを、少しだけ歌ってみる
相手のパートを知っておくと、合わせたときに、まよいにくくなります。
いっしょに練習するとき
- はじめは、ゆっくりのテンポで合わせる
- うまくいかないところだけを、くりかえし練習する
- 録音して、ふたりで聞きくらべる
- 気づいたことを、おたがいにことばで伝える
うまくいかないときも、相手をせめないことが大切です。「ここはこうしてみようか」と、いっしょに考える気持ちが、よい重唱につながります。
伴奏者と合わせるとき
ピアノ伴奏がある曲では、伴奏者とも早めに合わせておきましょう。テンポや、間のとり方を、歌う人どうしだけでなく、伴奏者ともいっしょに決めておくと安心です。
重唱をはじめるきっかけ
先生に相談してみる
重唱をやってみたいと思ったら、まずは声楽の先生に相談してみましょう。先生といっしょに二重唱を歌うところからはじめる教室もあります。先生が相手なら、声の大きさや音の高さを合わせてもらいやすく、はじめての方でも安心です。
相手と曲をえらぶとき
- 声の高さや声の大きさが、近すぎず、はなれすぎない相手か
- いっしょに練習する時間を、むりなく合わせられるか
- ふたりとも、むりなく歌える音の高さの曲か
- 楽譜の長さが、はじめての重唱にちょうどよいか
はじめは、短くて、同じリズムで歌うところが多い曲をえらぶと、声を合わせる感覚をつかみやすくなります。
本番で気をつけたいこと
立ち位置
ふたりや3人で歌うときは、おたがいの声が聞こえる立ち位置をえらびます。はなれすぎると、相手の声が聞こえにくくなります。客席から見たときのバランスも、先生に見てもらうとよいでしょう。
合図
歌い出しや、テンポがかわるところでは、目線や小さなうなずきで合図をすることがあります。練習のときから、合図のしかたを決めておくと、本番であわてにくくなります。
のどへの気づかい
いっしょに合わせる練習は、つい長くなりがちです。こまめに水を飲み、休けいをとりながら進めましょう。のどの痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 重唱とは、いくつかのパートを、ひとりずつで歌うこと
- 合唱とのちがいは、1つのパートを歌う人数
- オペラや歌曲には、二重唱や三重唱などの重唱がある
- 二重唱は、ふたりいればはじめられる、いちばん身近な重唱
- 声を合わせるコツは、息・母音・声の大きさ・音の高さ・ことばの終わりをそろえること
- 自分のパートだけでなく、相手のパートも知っておくと合わせやすい
だれかと声を合わせる楽しさは、ひとりで歌うときとはまたちがう、特別なものです。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、つぎの練習のヒントになると思います。こどもの歌声グランプリ