自宅で歌の教室をひらくとき。準備しておきたいことをまとめました
「歌を教える経験を生かして、自宅で小さな教室をひらいてみたい」 「ボイトレ教室を開業したいけれど、家でやるときは何を準備すればいいのだろう」
こんなふうに考えている方もいると思います。自宅の教室は、通う時間がいらず、自分のペースでレッスンを組みやすいのがよいところです。そのいっぽうで、お部屋や音、ご近所への気くばりなど、家ならではの準備も必要になります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、自宅で歌の教室をひらくときに、前もって考えておきたいことをまとめます。歌の先生になるまでの道のりや、身につけておきたい力については、こちらの記事でくわしくお話ししています。歌の先生になるには。ボイストレーナーなど、教える仕事のはじめ方と身につけたいことここでは「自宅で教室をはじめる準備」にしぼってお話しします。
自宅で歌の教室をひらくよさと、気をつけたいこと
自宅教室のよいところ
- 教室を借りるための家賃がかからない
- 通う時間がいらないので、レッスンの時間を組みやすい
- 子育てや家のことと両立しやすい
- 少人数で、ひとりひとりに向き合いやすい
- 生徒さんが、家のようなおちついたふんいきで歌いやすい
小さな教室だからこそ、生徒さんとの距離が近く、ていねいなレッスンをしやすいと感じる先生は多いようです。
気をつけたいところ
- 歌の声やピアノの音が、外にもれやすい
- 家族の生活と、レッスンの時間が重なる
- 知らない方を家に入れることになる
- 仕事と家の区切りが、あいまいになりやすい
こうしたことを先に考えておくと、ひらいたあとに、こまることがへりやすくなります。
お部屋のつくり方
レッスンに使う部屋を決める
まずは、どの部屋をレッスンに使うかを決めましょう。
- 生徒さんと先生が、ゆったり立てる広さがあるか
- ピアノや電子ピアノを置けるか
- 玄関から、生活の場所を通らずに行けるか
- 窓やドアが、道路やおとなりに近すぎないか
生活のにおいや、洗たく物などが目に入らないように整えておくと、生徒さんも安心してレッスンを受けやすくなります。
あると助かるもの
- ピアノまたは電子ピアノ
- 譜面台
- 大きめの鏡(姿勢や口の形を見るため)
- 録音や動画をとれるスマホ、タブレット
- 生徒さんの荷物を置く場所
- 水を飲むときに使えるテーブル
はじめからすべてそろえなくても、だいじょうぶです。レッスンをしながら、必要なものを少しずつそろえていく先生も多いです。
換気と温度
歌うときは、たくさん息をすいます。部屋の空気が入れかわるように、レッスンのあいだに窓をあけたり、換気扇をまわしたりする時間をとりましょう。冬は乾燥しやすいので、加湿器があると、のどにやさしい環境になります。
音への気くばり
ご近所への配慮
自宅で歌の教室をひらくとき、いちばん気になるのが音のことです。歌の声やピアノは、思っている以上に外へひびくことがあります。
- 早朝や夜おそくには、レッスンを入れない
- 窓をしめて、カーテンを引いておく
- ドアのすきまを、テープなどでふさぐ
- ピアノの下に、防音マットをしく
できれば、教室をはじめる前に、ご近所の方にひとこと伝えておくと、おたがいに気持ちよくすごしやすくなります。
お部屋の中でできる防音の工夫は、こちらの記事でもまとめています。歌の練習の防音、アパートでもできる工夫。お部屋の中でできることと、防音グッズの考え方
集合住宅のとき
マンションやアパートなどの集合住宅では、楽器の演奏や、教室として使うことについて、決まりがある場合があります。管理規約や、賃貸の契約書を、かならず先にたしかめましょう。わからないときは、管理会社や大家さんに相談するのが安心です。
教室の決まりごとを考えておく
レッスンの形
- 1回のレッスンの長さ
- 月に何回のレッスンにするか
- 子ども向けか、大人向けか、両方か
- 個人レッスンだけか、少人数のグループもするか
- オンラインのレッスンもするか
自宅の教室では、ひとりで教えることが多いので、むりのない数から考えるのがおすすめです。
決まりを紙にまとめておく
教室をはじめる前に、決まりごとを紙やデータにまとめておくと、あとでこまりにくくなります。
- お休みするときの連絡方法と、ふりかえの決まり
- 月謝のはらい方と、しめきり
- 先生の都合でお休みするときの対応
- やめるときの連絡の時期
- 発表会などのイベントがあるかどうか
はじめに生徒さんへきちんと伝えておくと、おたがいに安心してレッスンを続けやすくなります。
料金の決め方
料金は、地域や、教える内容、レッスンの長さによって、ずいぶんちがいます。まわりの教室の料金も見ながら、自分が続けやすい形を考えてみてください。体験レッスンをするかどうかも、あわせて決めておきましょう。
お金や手続きのこと
開業の手続き
自宅で教室をひらいて、収入をえるようになると、税金や開業の手続きが必要になることがあります。どんな手続きがいるかは、人によってちがいます。
- 税務署や市区町村の窓口に、確認する
- 税理士など、専門家に相談する
- 収入と出ていったお金を、毎月記録しておく
わからないことは、ひとりで決めずに、役所や専門家にたしかめるのが安心です。
著作権のこと
レッスンで楽譜や伴奏の音源を使うときは、著作権のことも気にかけておきたいところです。楽譜のコピーのしかたや、音源の使い方には決まりがあります。くわしくは、楽譜の出版社や、著作権を管理している団体の案内をたしかめてみてください。
もしものときのそなえ
生徒さんが、自宅でけがをしてしまうこともないとはいえません。保険にくわしい方や、保険会社に相談して、どんなそなえがあるとよいか聞いておくと安心です。
生徒さんの集め方
自分の教室のよさをことばにする
生徒さんをさがす前に、自分の教室がどんな方に合うのかを、ことばにしてみましょう。
- 小さなお子様が、楽しく歌えるようにしたい
- 大人の方に、カラオケや合唱を楽しんでほしい
- コンクールや発表会に向けて、ていねいに見ていきたい
- シニアの方が、むりなく声を出せるようにしたい
「だれに、どんな時間をとどけたいか」がはっきりすると、教室の案内も書きやすくなります。
案内の方法
- 教室のホームページやブログをつくる
- SNSで、教室のようすを少しずつ伝える
- 知り合いに、教室をはじめたことを伝える
- 教室さがしのサイトに、教室の情報をのせる
写真をのせるときは、自宅の場所がわかりすぎないように気をつけましょう。家のまわりの景色や、表札などが写っていないかも、たしかめておくと安心です。
安全とプライバシーへの気づかい
家族と話しておく
自宅で教室をひらくと、家族の生活にもかかわります。
- レッスン中は、どの部屋ですごしてもらうか
- 生徒さんが来る時間に、音を立てないでほしいこと
- トイレや洗面所を、生徒さんに使ってもらうか
はじめる前に家族と話しておくと、みんなが気持ちよくすごしやすくなります。
はじめての方を受け入れるとき
自宅の住所を伝えるのは、少し勇気がいりますよね。はじめは、知り合いからの紹介だけにする、体験レッスンの前にオンラインで少し話す、などの工夫をしている先生もいるようです。
お子様のレッスンのとき
お子様のレッスンでは、お父様・お母様にも、教室での決まりを伝えておきましょう。送りむかえの時間や、レッスン中に見学できるかどうかなどを、前もってお話ししておくと安心です。
のどと体への気づかい
生徒さんの声に、痛みやかすれが続くようすが見られたときは、むりに歌わせず、耳鼻科などのお医者さんに相談するようすすめましょう。先生自身も、毎日たくさん声を使います。自分ののども、だいじにしてください。
まとめ
- 自宅教室は、家賃がかからず、少人数でていねいに教えやすい
- レッスンに使う部屋は、広さや動線、生活感が見えないかをたしかめる
- 音への気くばりとして、時間帯の工夫や防音、ご近所へのひとことを
- 集合住宅では、管理規約や契約書をかならず先にたしかめる
- お休みやふりかえ、月謝などの決まりごとは、紙にまとめて伝える
- 税金や開業の手続きは、役所や専門家に確認する
- 生徒さんを集めるときは、自宅の場所がわかりすぎないように気をつける
- 家族と話しあい、安全とプライバシーにも気を配る
自宅の小さな教室は、生徒さんにとって、安心して歌える大切な場所になります。むりのない形で、一歩ずつ準備を進めてみてください。教室で歌ってきた生徒さんに、新しい目標をもってもらいたいときは、こどもの歌声グランプリも紹介してみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、レッスンのはげみになると思います。こどもの歌声グランプリ