ジャズボーカル初心者のはじめ方。リズムの感じ方と、スタンダードの楽しみ方
「ジャズボーカルって、おしゃれでかっこいい。でも、初心者にはむずかしそう」 「ジャズの歌い方って、ふつうの歌と何がちがうの?」
お店でながれるジャズや、ライブで聞く歌声にひかれて、ジャズボーカルをはじめてみたいと思う方は多いと思います。ただ、「リズムがむずかしそう」「英語の歌ばかりで不安」と、なかなか一歩をふみ出せない方もいるかもしれません。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。いろいろなジャンルの歌にふれてきて感じるのは、どのジャンルにも、その歌ならではの「楽しみ方」があるということです。ジャズボーカルの楽しさは、リズムにのって、自分らしく歌えるところにあると思います。
この記事では、ジャズボーカル初心者の方に向けて、ジャズの歌い方の特ちょう、リズムの感じ方、そして「スタンダード」とよばれる歌の楽しみ方を、やさしくお話しします。
ジャズボーカルとは?
楽器といっしょに、自由に歌う
ジャズは、アメリカで生まれた音楽です。ピアノやベース、ドラムなどの楽器といっしょに、その場の気分や流れを大切にしながら演奏するのが特ちょうです。
ジャズボーカルは、そのジャズの中で歌う人のことや、その歌い方をさします。楽器の人たちと音で会話をするように歌うのが、ジャズボーカルのおもしろいところです。
「スタンダード」とよばれる歌
ジャズには、「スタンダード」とよばれる歌がたくさんあります。長いあいだ、多くの歌い手や演奏家にくりかえし歌われてきた、定番の歌のことです。
スタンダードは、同じ歌でも、歌う人によってテンポやふんいきが大きく変わります。しっとりしたバラードにしたり、はずむような速いリズムにしたり。その「自分なりのアレンジ」ができるのが、ジャズの大きな楽しみです。
ジャズの歌い方の特ちょう
楽譜どおりに歌わなくてもいい
クラシックの歌では、楽譜に書かれたとおりに歌うことが大切にされます。ジャズでは、メロディーを少し変えたり、ことばを歌うタイミングを少しずらしたりして、自分らしく歌うことがよくあります。
ただし、初心者のうちは、まずもとのメロディーをしっかり覚えることが大切です。もとの形を知っているからこそ、あとで自由に変えられるようになります。
話し声に近い、自然な声
ジャズボーカルでは、大きくひびかせる声よりも、話し声に近い、自然でやわらかい声で歌うことが多いです。マイクをつかうことが多いので、小さな声でも、気持ちをこめて歌えば、ちゃんと伝わります。
楽器との「やりとり」
ジャズでは、歌のあいだに、ピアノやほかの楽器がソロで演奏する部分があります。そのあいだ、歌う人は演奏を聞きながら、次に歌いはじめるところを待ちます。ほかの人の音をよく聞くことも、ジャズボーカルの大切な力です。
ジャズのリズムの感じ方
「スウィング」のはねるリズム
ジャズのリズムでよく出てくるのが、「スウィング」とよばれる、はねるようなリズムです。
たとえば、「タタ、タタ」と同じ長さで歌うところを、「ターッタ、ターッタ」と、前を少し長く、後ろを少し短くするイメージです。ことばで説明するのはむずかしいので、ジャズの曲を聞きながら、体でまねしてみるのがいちばんの近道です。
手拍子は「2拍目と4拍目」
ジャズでは、「1、2、3、4」と数えたときの、2と4に重みを感じることが多いです。曲を聞きながら、2拍目と4拍目で指をならしたり、手をたたいたりしてみましょう。
はじめは1拍目と3拍目でたたいてしまいがちですが、2と4でたたけるようになると、ジャズらしいノリがぐっと感じやすくなります。
体ぜんたいでリズムを感じる
リズムは、頭で数えるより、体で感じるほうが身につきやすいものです。
- 曲に合わせて、軽く体をゆらす
- 足でリズムをとりながら歌う
- 歩きながら、ハミングでメロディーをたどる
メトロノームをつかって、2拍目と4拍目にだけ音が鳴るようにして練習する方法もあります。くわしくは、こちらの記事も参考にしてみてください。メトロノームを使った歌の練習。リズムが安定するコツと、速さの決め方
少し「後ろ」で歌う感じ
ジャズボーカルでは、ことばをリズムのまん中ぴったりではなく、ほんの少しだけ後ろで歌うと、ゆったりした大人っぽいふんいきになることがあります。これは、なれてきてからの楽しみです。はじめは、リズムにきちんとのることを大事にしましょう。
スタンダードの楽しみ方
まずは、いろいろな歌い方を聞きくらべる
同じスタンダードでも、歌う人によって、まったくちがう歌に聞こえることがあります。何人かの歌を聞きくらべて、「この歌い方がすき」と感じるものを見つけてみましょう。
はじめての1曲のえらび方
- テンポがゆっくりめの歌
- 音の高さの上下が大きすぎない歌
- 歌詞がくりかえしの多い歌
- 自分がよく聞いていて、メロディーを知っている歌
さいしょから速い曲やむずかしい曲をえらぶと、たいへんに感じてしまうことがあります。先生に、自分の声やレベルに合った曲を相談してみるのもおすすめです。
英語の歌詞は、意味を知ってから
スタンダードは、英語の歌がほとんどです。歌う前に、歌詞の意味を日本語でたしかめておきましょう。意味がわかると、どのことばを大切に歌いたいかが見えてきます。
英語の歌い方のコツは、こちらの記事にもまとめています。洋楽を上手に歌うコツ。英語の発音・リズム・ことばのつながり
自分の声に合った高さ(キー)で歌う
ジャズでは、歌う人の声に合わせて、曲の高さを変えて演奏するのがふつうです。むりに高い声や低い声で歌う必要はありません。先生や伴奏の方と相談して、自分がらくに歌える高さを見つけましょう。
ジャズボーカルを習うには
ジャズボーカルの教室
歌の教室の中には、ジャズボーカルのコースがあるところがあります。発声のきほんから、リズムの感じ方、英語の歌い方、楽器の人との合わせ方まで教えてくれることが多いです。
教室えらびで見ておきたいこと
- ジャズボーカルを教えている先生か
- 初心者向けのレッスンがあるか
- ピアノなどの伴奏に合わせて歌う練習ができるか
- 発表会やライブで歌う機会があるか
- 通いやすい場所と時間か、オンラインでも受けられるか
レッスンの回数や費用は、教室によってちがいます。体験レッスンで、先生の教え方やふんいきをたしかめてから決めると安心です。
近くの歌の教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
家でできるジャズボーカルの練習
毎日少しずつ、ジャズを聞く
いちばん大切な練習は、ジャズをたくさん聞くことです。家事をしながら、通勤しながらでもかまいません。耳がなれてくると、スウィングのリズムも自然に体に入ってきます。
指をならしながら歌う
好きなスタンダードを、2拍目と4拍目で指をならしながら歌ってみましょう。リズムと歌をいっしょに感じる、よい練習になります。
録音して聞いてみる
スマホで録音して聞くと、リズムが前のめりになっていないか、ことばが聞きとれるかなどに気づきやすくなります。
のどをいたわる
やわらかい声で歌うときも、のどに力が入っていると、つかれやすくなります。歌う前に軽く体をほぐし、つかれたら休むようにしましょう。痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
初心者によくあるなやみ
リズムにのれている気がしない
スウィングのリズムは、すぐに身につくものではありません。聞く時間をふやし、体をゆらしながら歌ううちに、少しずつなじんでいきます。あせらず続けてみてください。
英語の発音に自信がない
はじめから完ぺきな発音でなくても、だいじょうぶです。ことばの意味を知り、ゆっくり読む練習をくりかえすうちに、口もなれてきます。
まとめ
- ジャズボーカルは、楽器と会話するように、自分らしく歌うのが楽しいジャンル
- はじめは、もとのメロディーをしっかり覚えることから
- スウィングのはねるリズムと、2拍目・4拍目のノリを体で感じる
- スタンダードは、いろいろな歌い方を聞きくらべて楽しむ
- 歌詞の意味を知り、自分の声に合った高さで歌う
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
ジャズボーカルは、大人になってからでも、何歳からでもはじめられます。まずは、ジャズボーカルを教えてくれる教室をさがして、体験レッスンに行ってみてください。そして、練習してきた歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由なので、ジャズでも出られます。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ